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こだわりの給食を出す保育施設

給食

子育てにおいて、食事作りはとても重要なことの一つです。授乳から始まり、離乳食、幼児食…。子供の食事は、始めは家で親御さんが作られるのがほとんどだと思いますが、幼稚園や保育所などに通う年齢になると、よそで給食を食べるようになる子供も出てきます。

 

自分が作ったのではないものを食べるのですから、親御さんにとってはどんなものを給食で食べているのか、気になるところですね。通う幼稚園や保育所によっていろいろですが、中には、食事に特にこだわりを持っているところもあるようです。

 

今回紹介したいのは、東京都三鷹市にある、「みたか中央通り保育室」です。こちらは、給食に力を入れているということで有名な保育施設です。具体的にどのような給食を取り入れているのか見ていきましょう。

 

0~2歳児の子供に純和風な給食を

JR中央本線三鷹駅から歩いて10分弱のところにある「みたか中央通り保育室」、ここでは0~2歳の子供たちおよそ30名が毎日元気に過ごしています。

 

駅前の大通りにあるビルの中にあるという場所柄、少し騒々しくなってしまいがちなのですが、この保育室の雰囲気はとても落ち着いているようです。ここは、年齢ごとに部屋があるのではなく、大部屋をパーテーションのようなもので仕切って活動しています。

 

そして子供たちが過ごす部屋と同じ空間にあるのが、給食を作る台所です。食事の時間が近づくと漂ってくるいい香りは、家で過ごすのと同じような感覚にさせてくれます。そこで作られるのはなんと、純和風な給食。しかも、ご飯と味噌汁、少しの野菜料理や魚料理といった、日本が昔から食べてきた伝統食なのです。

 

と言っても、始めからこのようなこだわりを持った給食ではなかったようです。できたばかりの頃は、他の多くの保育施設が取り入れているような給食、つまり、カレーやスパゲティなど子供が好みそうな洋食メニューも取り入れたものだったそうです。しかしある時から方針を切り替え、日本の伝統食を給食とするようになったのです。

 

この保育室のある日のメニューは、五分づき米のご飯に味噌汁、焼き魚、漬物。おやつには味噌を塗ったおにぎり。またある日には、主食と味噌汁は変わりなく、おかずにひじきと大豆の煮もの、たくあんが添えられていました。おやつはやはり、おにぎりです。おやつのおにぎりは、時々ふかしいもなどにもなります。

 

素材にもこだわっています。お米は、農薬の使用を減らしたものを、この保育室内で5分づきに精米しています。野菜は生活協同組合から、魚は近所の魚屋さんから届きます。ですから、子供たちは新鮮な食材を毎日食べられるだけでなく、切り身ではなく丸ごとの魚の姿を知ることができるのです。

 

配膳も特徴的です。普通は、最初からお盆に一人分ずつセットされたものが、園児の前に並べられることが多いでしょう。しかしここでは、テーブルごとに園児の目の前でご飯や味噌汁を器に入れていくのです。おかずが魚の時は、これもまた子供たちの前でほぐし、めいめいの皿に取り分けてあげるのです。

 

興味深いのが、この給食でよく出される手作りふりかけです。2種類のふりかけが出されるのですが、1つはだしをとった後のかつお節を炒って作られるふりかけ。もう1つは糠ふりかけです。

 

ここでは保育室内で精米するので、毎日糠が手に入るのです。その糠は、捨ててしまえばただのゴミですが、そんなことはしません。糠は、糠漬けを作るための糠味噌にもなりますが、炒るととても香ばしくておいしいふりかけになるのです。この糠ふりかけは子供たちに大好評で、おかわりの声が続出するのだとか。

 

糠ふりかけの魅力はおいしさだけではありません。普段、精米していれば糠は食べられません。しかしふりかけにして糠を食べれば、精米したご飯なのに玄米並みの栄養が摂れることになるのです。子供は玄米を消化しきれないことが多いので、玄米の栄養を摂らせたければ、ふりかけにするのがとても効率的であると言えるでしょう。

 

和食給食…当初の不安とそれを裏切る子供の食べっぷり

最初はもちろん、いろいろな不安があったようです。「よく噛まなくては飲み込めない分づき米を、子供たちはちゃんと食べられるのだろうか」「伝統食の一つである漬物は生もの。これを給食として出して衛生面での問題はないのだろうか」「幼児食が始まったばかりの子供に、頭ごと食べるような焼き魚を食べさせて、事故にでもなったら…」などなど。

 

何より、あまり前例のないことですから、作る側としても勝手が違い、大変だったはずです。それに、「和食」と言うとなんだかとても手間がかかりそうに思えたことでしょう。しかしいざ始めてみると、想像していたよりは手がかからず、子供たちは意外にもそんな給食をとてもよく食べたのだそうです。

 

まず、それまでの給食に比べて残量が少なくなりました。そして、今まではたくさん食べられなかった子供も、普通の量を食べられるようになったのです。さらに、病気にかかりにくくなり、欠席する子供がグンと減ったのです。

 

毎日のようにおやつで出されるおにぎりも、子供には大人気。大人からすると、毎日おにぎりなんて…と感じるものですが、不平の声は一切なく、喜んで毎日食べるのだとか。特別メニューとして、甘い洋菓子をおやつに出したこともあったそうですが、なんとそれを食べた後に、子供たちはおにぎりをせがんだのだそうです。おやつにはおにぎり、と子供たちは思うようになっていたのです。

 

普通のお菓子をおやつにしていたのでは、きっと夕方、しかも夕飯の支度をしている頃にはお腹が空いて、子供たちはぐずぐずと機嫌が悪くなることでしょう。しかしこの保育室の子供たちはおにぎりをおやつに食べているため、夕方になっても機嫌よくいられるのです。

 

給食を和食にし、食材にもこだわれば、給食費がとても高くなるのでは、と思われるでしょう。確かにこの保育室でも、和食献立に切り替える前よりは、給食費が上がってしまったそうです。しかしその理由は、和食が高くつくからということではありません。子供たちが以前よりもたくさんの量を食べるようになったからなのです。

 

現代は、様々な国の料理が手軽に食べられます。雑誌や本も、国籍を問わずいろいろなジャンルの料理レシピが紹介されています。和食が体にいいということは、おそらくほとんどの方が頭ではわかっているのでしょう。しかし「和食は手がかかりそう」「子供が食べてくれなそう」と何となく思ってしまい、和食から遠のいてしまう方が多いようです。

 

しかし、この保育室の実践から、和食は決して特別でも、手のかかるものでもなく、しかも子供たちにも受け入れられるものであるということが分かります。和食にはこのような力があるからこそ、日本人はずっと食べ続けてきたのです。

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