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やる気と集中力は、自分で作り出せる!

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集中して勉強

勉強には、やる気と集中力が不可欠です。とは言え、苦手科目の時やその日の気分次第で、なかなか集中出来なかったり、やる気が続かなかったりという事もあるでしょう。そんな時でも強いやる気と集中力を生み出し、維持する方法について、脳の仕組みの観点から見ていきましょう。

 

勉強したいのに集中出来ない子供達

「うちの子は授業に集中出来ているのかしら?」子供の学校での様子が気になる親は少なくないと思います。

 

子供の様子を思い浮かべてみて、普段から「少しの物音に反応してすぐ気が散ってしまう」「スマホを気にしている」「宿題を先延ばしにする」「叱られると根に持つ」「朝食を摂らない」「自分の部屋や机、バッグの中がぐちゃぐちゃ」等に当てはまる場合、授業に集中出来ていない可能性があると言えます。

 

これは、脳が勉強モードに切り替わっていない為です。なかなか頭が働かず、授業に集中出来ない、あるいは、勉強に集中したくてもやる気が出ないという子供は少なくありません。

 

実際、ベネッセの雑誌のアンケートで、「授業についていけない」「予習と復習に時間を取られて勉強出来ない」「勉強しても成果が出ない」等の理由から、勉強が「やる気の出ないもの」ランキングの第1位に輝いています。

 

(参考)集中力はどこで生まれるのか

集中力には、脳の前頭葉が関わります。特に注意の持続、過剰な集中や感情の抑制、やる気のコントロールを担う前頭葉の内側部が、集中力アップの鍵とされています。前頭葉は中学生から高校生頃の年齢で発達のピークを迎え、その後も20歳後半まで成長を続けます。

 

1日の始まりに、集中力を高める準備をしよう

1日のやる気を引き出すには、朝一番に脳を目覚めさせる必要があります。その為、子供がどのように目覚めるかが重要になってきます。起きたらまず、朝日を見る習慣をつけましょう。朝日を見ることで、脳が活発に活動し始めます。目覚める30分程前から部屋のカーテンを開けて、朝日を浴びせるのも良いでしょう。

 

そして、軽くストレッチをして体に刺激を与える事で、脳を活発化させるホルモンを分泌させます。伸びをしたり、手足をグーパーしたりするだけでも十分効果があります。同時にベッドから身を起こしましょう。

 

また、顔を動かす事も、脳を目覚めさせるのに有効です。セロトニン系やノルアドレナリン系のスタート地点である脳幹網様体と、顔の神経は直結している為です。洗顔後に鏡の前で笑顔を作ったりしながら、ゆっくりと顔の筋肉を動かす事を意識します。

 

このような手順を踏んで脳を目覚めさせる事で、ホルモンの分泌が活発になり、その日の脳の働きがぐんと良くなります。

 

脳が目覚めたら、次はしっかり朝食を摂って、集中力を高める力をつけましょう。食事は、いわゆる「知情意」の中の「知(知性)」や「情(感情)」に関する働きも活発化させ、脳の活発な活動を助けると共に授業への集中度に貢献します。

 

食材にも気を配りましょう。「まごわやさしい」という言葉をご存知でしょうか?「ま」は豆類、「ご」は胡麻、「わ」はわかめ(海藻類)、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」はしいたけ(きのこ類)、「い」は芋類の事を指しています。これらは集中力を高める食材と言われており、和食洋食問わず、積極的にメニューに取り入れていくと良いでしょう。

 

さらに、食事中の「噛む」というリズミカルな運動は、セロトニン系の働きを活発化させる効果もあります。一日の集中力の為に、朝食は必ず食べるようにしましょう。

 

日中も集中力を保つには

「眼球運動」で頭の中を一旦リセット

何かに夢中になっている時の子供の視線に注目してみてください。どこか一点のみに定まっているはずです。集中力とは「眼球をどのように操作するか」であると言えるほど、集中力と眼球の操作は、実は深く関わっています。

 

視線が一点に定まると言っても、ただ眼球を固定して動かさないという訳ではありません。脳の細かい動きを意図的に取り消すよう眼球を操作する事が、集中には必要です。この眼球操作に関わっているのは前頭葉の前頭前野であり、特に自ら進んで注意を向けるような場合、働きが活発化します。

 

従って、眼球操作により前頭前野を活発化させる事で、視線の面から集中力を高める事が出来ると言えます。そしてこの眼球操作のトレーニングとしてお勧めしたいのが、「眼球運動」です。

 

眼球運動の方法は、まず、プリントや教科書、勉強机等の四角い物の真ん中を注視します。次に、頭を固定して眼球だけで、その四つの角を左回りに2周追います。角ごとに1、2、3、4……7、8と数えて下さい。終わったら右回りも行います。最後に、息を深く吐いて終了です。

 

授業中にぼーっとしてしまったり、勉強中眠気が襲ってきたりする事の多い子供の頭を切り替えるには、何か別の事を始めるのが効果的です。眼球運動はその1つで、頭の中を一旦真っ白にする目的と、次の作業に集中する為の形式的な役割があります。

 

気持ちを込めた「集中の開会式」を習慣化

勉強は、やる気の出ないものランキングの第1位であると前述しました。いきなり集中して勉強を始められないのも当然ですし、そもそも、人間の脳は突然別の何かに切り替わる事を嫌います。勉強をスムーズに始める為には、これから勉強に集中するぞという自分なりの「集中の開会式」を行うのが非常に有効です。

 

集中の開会式はどんな物でも大丈夫です。眼球運動でも良いですし、学校にいる場合であれば、授業開始のチャイムが鳴ったらノートを開いて日付を書いたり、教科書とノートを机にトンとして揃えてみたりするのも良いでしょう。家庭なら、軽くストレッチをしたり、「勉強を始めるぞ」と声に出したりする事も出来ます。

 

とにかく、その行為を習慣化する事が重要です。習慣化して勉強の始め方が定まる事で、前頭葉が落ち着き癒されます。すると癒しの快感と勉強が結び付き、勉強へのやる気につながります。そして最大のポイントは、集中の開会式を誠心誠意行う事です。気持ちを込めると、より脳が活発化するのです。

 

実際に、キャベツを千切りする時の脳の活動を調べた実験において、「普段と同じようにキャベツを切る場合」と「気持ちを込めてキャベツを切る場合」では、気持ちを込めている場合の方が、活発に前頭葉が働くという結果が出ています。

 

キャベツの千切りに限らず、掃除機をかける時、洗濯物を干す時、食器を洗う時など、何となく行いがちな普段の家事も、気持ちを込めれば脳を活発化させる事が出来ます。

 

ドミノ倒しで遊んだ事があるでしょうか。立てたドミノを倒さないよう、1枚1枚気持ちを込めて並べたはずです。つまり誠心誠意並べる事で脳が活発化し、高い集中力を生んでいるのです。

 

また、同じ作業を繰り返す場合には、最初の段階で気持ちを込めた方がより強く脳が活発化し、同時に癒されるのも早くなります。素早く作業に慣れる事で脳が自動化を学習し、子供の焦らない心の準備にもつながります。勉強に対する意欲向上の為にも、集中の開会式は丁寧に行うよう、子供に伝えましょう。

 

「暗示語」で集中をコントロール

集中の開会式の1つとして、「暗示語」という方法もあります。暗示語とは、勉強に集中出来るようになる呪文のようなものと言えます。自分が発した言葉により脳が暗示され、自身の心や体の状態を変化させる事があります。

 

どのようなものかと言うと、例えば、仰向けか座っている状態で目を閉じ、リラックスしながら、「気分が落ち着いている」と頭の中で唱え続けます。次に、「右足が重たい」「左足が重たい」「右手が冷たい」「左手が温かい」という一定の言葉を唱え続けます。

 

これを順番に従って練習していくと、ほとんどの人が、足が重たいと感じたり、手が温かく感じたりする事が出来ます。ただ感じるだけでなく、サーモグラフィーで確認すると赤く表示されます。本当に体温が上がるのです。

 

ドイツのシュルツが生み出した「自律訓練法」というリラクゼーション技法も、自身の状態をコントロールするのに言葉を用いるものです。大学等で心身症の治療法として研究されていて、気分を改善する効果や血圧低下の効果がある事が分かっています。

 

言葉が感情や気持ちにも変化を及ぼす事を明らかにした実験もあります。ある実験の為に実験室に入る前の参加者に、スタッフが「このカップを持っていて欲しい」とカップを手渡します。中身はホットコーヒーかアイスコーヒーのどちらかが入っています。

 

実験室での実験は、ある人物に関係した文を読み、その人物の人柄についてコメントするというものでした。

 

すると、実験前にホットコーヒーを手渡された参加者は、相手の人柄について「温和である」とか「包容力がある」「親切」等、より温かさのある人とコメントしたのに対し、アイスコーヒーを手渡された参加者は、より「冷たい」印象のコメントが多く出されました。

 

この実験により、肌で感じた温度と、人の印象の温度(信頼関係)のどちらも、脳の「島」という部位が関わっている事が分かりました。「○○さんは温かい人」と感じる時、脳内では単なる表現ではなく、本当に温かい温度として捉えているのです。

 

スポーツ選手も暗示語を使う事があります。パフォーマンス前に自分で言葉を発する事によって心を平穏に保ち、高い集中力を発揮します。

 

暗示語を使う場合の注意点は、実現しようと意識しない事です。自律訓練法の例で言えば、「足を重くするぞ」とか「手を温かくする!」と意識して、そうなろうとしてしまうと成功しません。一定の言葉を頭の中でただただ繰り返す事が重要で、その受け身的な作業が暗示効果を高めます。

 

子供の心が落ち着く言葉や意欲が沸く言葉を見つけ、それを暗示語にしてみるのも良いでしょう。

 

勉強の為の特別エリアに移動する

授業に集中して欲しいのはもちろんですが、家庭での学習も集中して取り組んでもらいたいものです。良く考えてみると、テレビやスマホ、漫画など、学校より自宅の方が集中を妨げる要素がゴロゴロしています。趣味や娯楽ばかりで勉強時間を削らないようにする為に、子供自らしっかり時間の管理をする事が大切です。

 

まず、勉強の開始時間を決め、その時間が来たら勉強の為の特別エリアに移動するようにしましょう。

 

特別エリアは、必ずしも子供部屋である必要はありません。勉強が出来る子というのは、自分の部屋で一人きり、ひたすら勉強するという印象を抱きがちですが、有名中学に入った子供達のテレビ取材のインタビューを聞いてみると、ほとんどの子供が、家族で賑わうリビングや、テレビがついている部屋で勉強していたと言います。

 

脳は安心したり、ほっとしたりする場所を学習します。子供にもよりますが、一人きりの静かな子供部屋より、家族が集うリビングの方が落ち着く場合もあります。子供部屋でもリビングでも、勉強に集中できる特別エリアを定め、時間が来たら移動する習慣を身に付けましょう。

 

集中の15分を基本にしたスケジュールでやる気維持!

自宅で集中して勉強する為には、事前に勉強のスケジュールを立てておく事が大切です。集中とは、自分から「やるぞ!」と意気込む能動的な集中と、その時必要とする情報が目の前にあるような受動的な集中が釣り合っている状態です。そこに意欲も加わると、より脳が活発に働きます。

 

しかし、人間がこの集中している状態を保てるのは、たった15分程であると言われています。よって、この15分を基本に、起承転結型のスケジュールを立てる事をお勧めします。

 

まず、最初の15分は準備運動です。勉強の為の特別エリアに移動したら、集中の開会式で頭を勉強モードにします。前日の学習や学校の授業の復習等から始めると良いでしょう。

 

次は30~60分程時間を取り、メインの勉強をします。この時も、15分1セットとして勉強内容を区切ると、集中が持続しやすくなります。例えば、初めの15分は単語を覚える時間、次の15分は問題集に取り組む時間といった具合です。長くても90分を限度にします。

 

そして最後の15分で少し頭を休めつつ、翌日のスケジュールを立てましょう。ここでスケジュールを立てるのには意味があります。その日勉強した内容を見直す事が出来るので、今日覚えた事、あるいはその日見つけた弱点を次のスケジュールに反映出来るというメリットがあります。

 

さらに、その日のやる気の余韻を残して翌日のスケジュールを考える事で、やる気も持続されます。「明日も頑張って勉強するぞ!」「明日はこの内容が面白そうだ」と、楽しいポジティブな余韻を残す事で、翌日スケジュールを実行する際、自然とやる気が沸いてきます。

 

脳にも適度な休憩が必要

時間を忘れて勉強に没頭してしまい、気が付いたら2時間近く経っていたという経験はありませんか?たっぷり勉強出来た気分になるかも知れませんが、脳が集中を持続出来るのは15分という事を考慮すると、長時間勉強するというのは好ましくありません。脳が疲れてしまい、働きが鈍る為、勉強の内容が頭に入ってない事がほとんどなのです。

 

適度に脳を休ませ、集中力を持続していく為にも、時計のアラーム機能に使って、勉強タイムと休憩タイムの切り替えを明確にする事をお勧めします。またこのアラーム音は、集中の開会式としても役立てられます。

 

なかなか集中出来ない時には…

何度も述べているように、集中は15分程度しか持続出来ません。しかし、その時の体調やモチベーション次第では、その15分でさえ集中が続かないこともあるでしょう。そのような時には、以下の3つを試してみましょう。

 

①タッピング

何か気になる事があったり、なかなか頭が勉強モードに切り替わらなかったりする場合には、体へ刺激を与えるのが効果的です。手で太もも等をリズミカルに叩くタッピングを行うと、刺激が脳へ伝わりノルアドレナリン系の働きを活発化させます。同時にリズミカルな運動はセロトニンの分泌も促す為、受動的な集中状態が作り易くなります。

 

②仕切りを自分で作る

子供によっては、夜暗くなってからの方が勉強し易かったり、図書館や塾にある1人用の仕切り付き勉強机の方が集中出来たりする場合もあります。ただ、毎回そのような環境で勉強出来るとは限りません。

 

そんな時お勧めなのが、自分で仕切りを作る方法です。競馬馬が遮眼帯で視界を覆い、気が散るのを防いでいるのと同じような意味合いです。例えば、机の両端に辞書や教科書を置いて手作り仕切りにしてみたり、仕切りを作れる道具がない場合は、「く」の字にした両手で両目の視界を遮ってみたりすることで集中を作り出す事が出来ます。

 

③色で集中する

色の効果を利用して集中する手もあります。例えば、黄色は信号機の注意信号として使われているように、網膜上目立ち易く、集中を高める色とされています。この黄色のメモ帳等を手元に置いておき、「これを見つめれば集中出来る!」と自分の中で決めてしまうという方法です。

 

青も黄色同様、集中力を高める色とされています。他にも、もっと勢いをつけて勉強したい時は興奮しやすい赤を見たり、休憩タイムには鎮静を促す緑を見たりと、目的によって使い分ける事も可能です。

 

脳のリズムに合わせた勉強のスケジュールを立てよう

脳の活動にはリズムがあります。一週間の中で、脳が活発に働く曜日と、脳の働きが鈍り集中しにくい曜日が、個人差はありますが誰にでも存在します。

 

日曜日の終わりに、翌日から始まる学校や仕事の事を考えてげんなりした経験がありませんか。よく「ちびまる子ちゃん症候群」や「サザエさん症候群」と呼ばれたりしますが、このげんなりした気持ちも金曜日にかけてだんだん元気になり、土日を満喫した後また日曜日の終わりに気分が下がるという周期的な気分のリズムになっています。

 

こうした脳活動のリズムは生理学的なものなので、なかなか集中出来ない日があるのも仕方のない事と言えるでしょう。大切なのは、自分のリズムに合わせた勉強のスケジュールを組む事です。特に夏休みなどで生活リズムが崩れやすい時には、集中する為の工夫が必要です。

 

夏休みの最初の1週間は、自分の集中のリズムを把握する週にしましょう。集中力が高かった曜日、1日の中で集中出来ていた時間帯をチェックし、それをもとに勉強のスケジュールを立てます。集中出来る曜日にはどんどん問題を解いたり暗記物に取り組んだりして、逆に集中しにくい曜日には前日の復習中心にすると良いでしょう。

 

このように勉強の抑揚をつける事で、脳のドーパミン神経系とセロトニン神経系の活動のバランスが取れ、集中出来ない日があっても不安になったり焦ったりする事なく、やる気を持続していく事が出来ます。

 

例え3日坊主でも、子供を責めないで下さい!

ただ、やる気にもリズムがあります。やる気に関わるドーパミンは、計画をばっちり立てて意気込んだ時に分泌のピークを迎え、その後は減っていき、3~5日で底辺になります。3日坊主とはただ飽きっぽい性格を言うだけでなく、このような脳の理屈から仕方のない事であるとも言えるのです。

 

また、勉強を始めてすぐは集中出来ていても、次第にやる気かなくなってしまうという事もあるでしょう。これは、例えば大きな物音に対し最初は驚いても、2回3回と続けて聞くうちに慣れて驚かなくなるように、脳の中のドーパミンの分泌が回数を増す毎に減っていく、「馴化」という性質が関与している為です。

 

ほとんどの場合で3回目からドーパミンの分泌が減っていく為、やはり3日坊主にはそう言われるだけの根拠があると言えます。なので、例え子供が3日坊主だったとしても、それは人間の性質であると捉え、自分で勉強のスケジュールを立ててそれを2日も続けられた事を褒めるようにしましょう。

 

そして、なぜきちんとスケジュールを立てようと思ったのか、どうして1日でなく2日も勉強を続ける事が出来たのか、子供に聞いてみて下さい。すると子供の頭の中では、良い事が出来た理由の模索が無意識に続きます。この無意識な作業と、褒められて嬉しい気持ちは線条体で結びつき、やる気を引き起こします。

 

こうしてやる気を維持する事で、3日坊主で終わってしまったとしても、また次の3日坊主を始める事が出来ます。その間が一週間、一か月と空いてしまっても、1度きりの3日坊主で終わらせない事が大切です。とにかく勉強を始めてみる事で、脳が活発に働くきっかけを与えます。

 

あまり乗り気しない時でも、とりあえず始めてみれば、だんだんとやる気が沸いてきて線条体が活動を始め、いつの間にか脳が集中している状態になれる事もあります。このように「やってみたら出来た!」「始めたら意外と楽しかった!」という体験の蓄積こそ、子供の財産であり、やる気を生む材料になります。

 

目標は実力の少し上くらいがベスト

ここで大事なのは、難しすぎる事は始めない事です。「やってみたら出来た!」「始めたら意外と楽しかった!」と思えるのは、自己達成感を得ているからです。

 

あまりにも過密なスケジュールや、高難度の問題集に挑戦しようとして、脳が「これは出来ない」「無理」と感じてしまうと、前頭葉の働きが抑えられてしまいます。すると達成感を得られない上に、頑張っても無意味だったという事を脳が学習し、やる気を失います。

 

冒頭でも勉強のやる気が出ない理由として、勉強しても成果が出ない事を挙げましたが、これには、自分の実力より難易度の高い目標を設定して挫折してしまっている背景があると言えます。このような状態になって勉強へのやる気がなくなると、尚更成績が上がらず成果が出ない悪循環となります。

 

この悪循環から抜け出すには、設定する目標の難易度を、実力の少し上にするのが効果的です。例えば、見たこともない記号や数式ばかりが並ぶ計算よりも、自分の知っている公式を少し応用すれば解けそう、くらいの問題の方が、上達を見込めると同時に楽しく勉強出来ます。

 

この少し頑張れば出来そうくらいのレベルで勉強のスケジュールを立てたり、問題集を選んだりする事で、達成感を得やすくなり、やる気を沸き上がらせる事が出来るでしょう。

 

成果を待てる焦らない心を育てよう

悪循環から抜け出すもう一つの方法として、成果を焦らない心を育てる事が挙げられます。頑張っても無意味だったで終わらせるのではなく、「大丈夫、次がある!」「次はやってみせる!」と、次に成果を期待する事で、やる気を維持するのです。勉強に夢中になれる子供には、このような成果を待てる力が備わっています。

 

焦らない心がある子供は、自分の勉強のスケジュールを自分で立てる習慣が身についています。壁にぶつかってもくじけず、自分なりに次の解決方法を探っていく自主学習によって、結果として学力が上がり、成績アップ等の成果を出す事が出来ます。

 

焦らない心は脳のセロトニン神経系により養われます。安心感や満足感によってセロトニン系の働きを活発化するには、親のサポートも欠かせません。勉強の為の特別エリアをいつも片付けておいたり、早寝早起きをして朝食を必ず食べる習慣を身に付けさせたり、適度に体を動かす事を勧めたりする事が、焦らない心の成長につながります。

 

苦手を克服する方法は、好きになる事!

誰にでも苦手教科はあるものです。苦手教科の克服法として、苦手意識を減らす方法をお伝えしたいと思います。

 

観察する事で、好きになる

人種的な偏見度合いを調べる研究の中で、20人の白人の大学生に、黒人の顔を見分ける訓練を行いました。数枚のよく似た黒人の顔写真を見た後、別の顔写真も加えた上でもう一度見、見た事ある顔と初めて見る顔を分ける訓練です。

 

この訓練を10時間続け、訓練前後の偏見度合いを調べると、正確に顔を区別出来るようになった学生ほど、偏見度合いが小さくなっていました。

 

白人大学生は顔写真を見分ける為に、黒人1人1人の顔をじっくり見て違いを探したはずです。つまり、「見る=好きになる」です。一般的に、集団の細かい違いや差によって個々の識別が出来るようになると、集団全体に対する選好度が上がると言われています。

 

やる気に関わる「好き」「嫌い」

「好き」「嫌い」の感情は脳の偏桃体という部分で決められています。記憶に関わる海馬の入り口に位置し、偏桃体が決めた感情と海馬の記憶を前頭葉が総括して、意思決定します。

 

例えば、算数の授業が始まる時、算数が苦手な子供は嫌だなと感じるでしょう。この時脳の中では、「嫌」というシグナルが偏桃体から海馬へ伝えられています。すると、今までの算数に対する記憶が苦しいものとされていきます。そして「嫌」シグナルはやる気に影響する部分にも伝わり、算数へのやる気をなくしていきます。

 

このような仕組みを、「イヤイヤ回路」と呼びます。

 

反対に、算数を「好き」と感じると、算数のノートを開く等の無意識の動作と「好き」が結びつき、意欲的に授業に臨めるようになります。これを「スキスキ回路」と呼びます。

 

苦手を好きにする為には?

まずは、苦手教科を「嫌」と一括りにするのを辞めましょう。「嫌」な部分はどこなのか、その教科の何が苦手なのか、いつから苦手になったのか等、細かい部分に向き合ってみて、個々の「嫌」に差をつけます。そうすると、苦手教科に対する拒否感を減らしていく事が出来ます。

 

それが出来たら、次は苦手教科の勉強を始める時のあらゆる動作を楽しく行うようにしましょう。椅子に座る、教科書やノートを並べる、鉛筆やマーカーを出す等の一つ一つの動作を「好き」と思えるようになると、スキスキ回路が回り出します。すると、やる気が沸いて脳が活発に働き、苦手意識も減らしていけるでしょう。

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