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食事制限のしすぎはアトピーの子供と親を苦しめる

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アトピーの子供

アトピー性皮膚炎の子供をもつ親御さんの中には、子供に対して厳しく食事を制限している人が少なくありません。それによって症状が軽くなればいいのですが、中にはあまり変化が見られず、親子共々食事が辛いものになってしまっているケースもあります。アトピー性皮膚炎の食事制限をどう考えていくべきか、一緒に考えていきましょう。

 

ステロイド剤を効果的に使いつつ、食生活も見直そう

アトピー性皮膚炎で病院にかかると、ステロイド剤を処方されることが多いものです。しかし、このステロイド剤を必要以上に不安視する方が少なくありません。

 

でも、ステロイドは、たくさんの量を長い年月をかけて使い続けることに問題があると言われることはありますが、適切な量で使い方をきちんと守って使用すれば危険なことはなく、かゆみを抑える効果に優れたお薬なのです。

 

しかし、いろいろな情報が耳に入って、ステロイド剤に対する疑問が強くなりすぎると、それを使わずに食生活で何とかできないかと考えるようになり、結果としてとても厳しい食事制限を子供に対して行うようになるケースがよくあるのです。

 

軽いアトピー性皮膚炎なら、ステロイド剤を使わなくても食事制限だけでよくなるのかもしれません。しかし、ステロイドを使うことに抵抗を感じる親御さんの多くは、ステロイドを使うだけではなかなか良くならないほど症状が重いからこそ、何かほかに方法はないのだろうかと一生懸命考えてこられたのでしょう。

 

ステロイドを使わないと決心した親御さんは、おそらく必死になって食事制限を行うのでしょう。あれもこれもアレルギーを起こしそうだから除去しよう、そして、これもそれもアトピーに良いようだから取り入れよう…そうやっていくうちに、どんどん力が入りすぎて、親も子もほとほと疲れ果ててしまうという場合が、決して少なくないのです。

 

アトピー性皮膚炎の治療中は、ステロイド剤も上手に取り入れていきましょう。本来ならば、成長とともにアトピー性皮膚炎は次第におさまっていくもの。体にはもともとそのような力があるのです。しかし症状が重い時期は悪化のスピードも速いですから、そんな時はステロイド剤の力を借り、その勢いを一旦鎮める必要があるというわけです。

 

もちろん、ステロイド剤を使いつつ、食生活全体を見直すのは必要不可欠です。ただし何かを除去したり何かを取り入れたりといった部分的なことだけではなく、もっと全体的な見直しが必要なのです。

 

子供によっては除去が必要な子もいます。でもそうでないなら、必要以上にあれもこれも悪そうだから除去しようとやっていると、子供の成長にも悪影響をもたらしますし、精神的にも辛くなってしまうことでしょう。

 

必ず除去食が必要な子供でないなら、もっとシンプルに考えてみましょう。日本で昔から食べられていた伝統食、つまり、ご飯に味噌汁、そして野菜や魚の副食といった食事を食べるようにすればよいのです。実際、それだけで症状が改善されるケースは多いのです。

 

しかし食生活の改善は即効性のあるものではありません。ですから、ステロイド剤も効果的に使ってほしいわけなのです。「ステロイドは悪」と思いこまず、柔軟に使っていくのがよいのではないでしょうか。

 

除去食でなく日本の伝統食にしてアトピーが軽くなったAさんのケース

小さい頃からアトピー性皮膚炎の症状があったものの、そんなに重症ではなかったAさん。中学校にあがったころから次第に症状が悪化してきたため、皮膚科に通うように。その治療は塗り薬を塗布するというものだけでした。それでだんだんと、Aさんのお母さんは「本当にこの治療法でよいのだろうか」と思い悩むようになったのです。

 

心配になったお母さんは、本や新聞などでアトピー性皮膚炎についての情報を集め、その結果、食生活に原因があるのではないかと考えるようになりました。頃を同じくして、アトピー性皮膚炎の子供のための商品を取り扱うお店を知り、その勉強会に行ってみることに。するとそこで、「お子さんのアトピー性皮膚炎を治すためには、除去食を始めるのが良い」とアドバイスされたのです。

 

そこに望みを託すといった心持で、お母さんは除去食を始めました。Aさん用に米は低アレルギーのものを、パンは小麦粉ではなく雑穀で作られたものを、味噌や醤油は大豆不使用のものを、肉類はシカやウサギなどを買うようになりました。そして家族の分とは別に、Aさんのための食事を作るようになったのです。

 

それは大変な苦労であったに違いありません。それなのに、何カ月続けてもアトピー症状に変化は見られなかったのです。その上、Aさんは貧血症状をも引き起こすようになってしまいました。

 

アトピー性皮膚炎だから除去食をしなければならないということはありません。もちろん、ある食べ物を食べることによって症状がひどくなる人もいます。乳幼児には顕著に表れるようです。その場合はその食べ物を除去した食事をしなければなりません。

 

しかしながら、症状を引き起こすその食べ物が何かということを見つけ出すのは、とても難しいことなのです。血液検査によって「卵にアレルギー反応が出るかもしれない」「牛乳かもしれない」ということはわかりますが、それが絶対に原因であるとはまだ言えないのです。つまり、その食材を食べてもアトピー症状が出ないという場合もあるというわけです。

 

Aさんの場合は、アトピー症状を引き起こす食材が、綿密な検査によって特定されたわけではありませんでした。それなのに、症状を引き起こすかもしれない食材を全て除去して来たのです。

 

実はAさんは、家で除去食を食べつつ、友人とレストランで普通のメニューを食べることもありました。つまり、普段は食べない普通の米やパン、大豆も、時々は口にしていたというわけです。そしてそのせいでアトピー症状が悪化するというわけでもなかったのです。

 

Aさんとお母さんはあるところからアドバイスを受け、除去食をやめて、その代わり、家族そろって日本の伝統的な食事をとるよう心がけることにしました。安全性を考えて自然食品を取り扱うお店を利用することにはしましたが、アトピー用の特殊な食材を買うのはやめました。そして経済的に苦しくならないよう、普通のスーパーで米などの食材を買うようにもなりました。

 

食事内容としては、基本的に胚芽米と味噌汁、漬物。朝はこれに常備菜をプラス。夜は魚料理や野菜料理を加えます。油脂類の摂取を控えるために、卵料理は減らしました。そして昼食にはご飯と野菜や豆、いものおかずが入ったお弁当を食べることにしました。さらにおやつはふかしいもや干しいも、甘栗、おせんべいなどに切り替えました。水分補給としては、水か麦茶と決めました。

 

このような食習慣を2週間続けてみると、びっくりするほど症状が改善されたのです。Aさんが除去食をしてきたときに食べていた食材は悪いものではありません。ただ、食事の内容は洋食中心でした。それが、日本の伝統的な食のスタイルにしただけで、大きな変化が見られたのです。

 

食生活が変わったことで、Aさんとお母さんの精神面にも変化が見られました。Aさんは特殊な食材が入った特別なお弁当を、友達に見られるのは恥ずかしかったのです。それがなくなって、お昼の時間が楽しいものになりました。お母さんも負担が減り、明るい気持ちになれました。

 

Aさんの症状が改善したのは、食生活の内容がよくなったからというのももちろんありますが、このように精神的に楽になれたことも、大きな要因であったに違いありません。

 

安全な食品だけではアトピー症状が改善しなかったBちゃんのケース

9歳の女の子、Bちゃんには生まれながらにしてアトピー性皮膚炎の症状がありました。最初はごく軽いものだったので、病院からもらう薬で何とかなっていたのですが、成長するにつれ、薬を塗っても症状がおさまらないようになってきました。

 

薬だけではダメなのでは?と思ったお母さんは、たくさんの本からアトピー性皮膚炎についての情報を集め、食の重要性にたどり着きました。その時からお母さんは、Bちゃんの食事のために安全性の高い食品を使うことに決めたのです。金銭的にも体力的にも大変なことだったのですが、農薬や食品添加物の心配がない食品を買うことにしたのです。

 

朝食には、農薬を使わない国産の小麦粉と天然酵母による手作りパン、そして低温殺菌牛乳。おやつにはその小麦粉を使ってお菓子を作り、飲み物には果汁100%ジュースを用意しました。全ての食事に安全な食品を使い、できる限り手作りで頑張ってきたのです。にもかかわらず、アトピー症状は軽くなるどころか、次第に悪化していったのです。

 

すっかり落ち込み、毎日の食事作りに疲れ果ててしまったお母さんは、パンではなくご飯を中心にした食生活に少しずつ変えていきました。

 

まず、手作りパンで始まっていた朝食は、和食に変わりました。つまり、ご飯と味噌汁と漬物、それにふりかけや野菜の副菜がつく、純和風の食事になったのです。お米は比較的食べやすい7分づきにして、少量の雑穀も加えて炊き上げます。

 

おやつにはケーキやクッキーなどの洋菓子ではなく、主食にもなるようなおにぎりとかふかしいも、ゆでとうもろこしを食べるように。そしてジュースではなく水や麦茶などで水分をとるようになりました。

 

夕食ももちろん、日本の伝統的な食事です。朝と同じようなメニューに、野菜料理や魚料理、豆料理などがプラスされます。

 

問題は給食です。本当ならば和食の手作り弁当といきたいところですが、周りの子供たちが同じ給食を食べる中、自分だけお弁当を食べなければならないのは、Bちゃんにとっては大きな苦痛に感じられたのです。

 

そこで、給食だけはみんなと同じものを食べることになりました。ただし、日本ではもともと牛乳を飲む習慣がありません。ですから、和食中心の食生活にするために、担任の先生によく説明して、牛乳だけは飲むのをやめるようにしました。

 

そんな食生活を送ること半年。安全な食品を使った洋食を食べていた頃に比べて、症状は良くなってきました。ただ、給食では油脂類や乳製品が使われることが多く、そのような日はアトピー症状が悪化することがあります。

 

それなら給食をやめたらよいのでは、とお考えの方もいるかもしれませんが、本人にとって苦痛な食事は、体にとって良い食事にはならないもの。そこでBちゃんとお母さんは、給食を食べるかお弁当にするかという問題は、この食生活をもうしばらく続けてみてから考えることにしました。

 

無農薬や食品添加物不使用の食品は、確かに体に良いでしょう。しかしBちゃんの場合はそれだけではダメだったようです。それは、そのよい材料を使って洋食を作っていたからなのかもしれません。洋食には、日本ではもともと使ってこなかった乳製品や、たくさんの肉類、油脂類を使うことが多いもの。そこに問題があった可能性があります。

 

お母さんは安心食材を手に入れるのにも、それを使って料理を作ることにも、大きな労力を費やしていました。もちろん、金銭面でも大きな負担であったことでしょう。にもかかわらず症状は良くならない…。これでは疲れてしまって当然です。もしかしたらそんな精神的な疲れも、Bちゃんの症状の悪化に影響していたかもしれません。

 

Bちゃんの症状は少し改善しましたが、お母さんの方も今までのような大変さがなくなり、表情が明るくなりました。これも、食生活を変えたことによってもたらされたよい結果だと言えるでしょう。

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