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ネット依存症の原因、問題点、心身への影響や症状

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ネット依存症

インターネットはとても便利なものです。スマホが登場してからは特に、日常生活になくてはならない、身近なものになりました。SNSや動画、ゲームに限らず、ニュースも新聞よりもネットで見るという人が多くなりました。

 

けれども、その便利さ、楽しさに、いつの間にか身も心も絡めとられて抜け出せなくなってしまう人もいます。それが「ネット依存症」です。

 

依存症の中のネット依存

ひと口に依存症と言っても、依存対象によって様々なものに分けられます。よく知られているアルコール依存や薬物依存などの、いわゆる「物質」に依存するものと、ギャンブル依存や買い物依存などの「特定の行動」に依存するもので、ネット依存は後者の分類に入ります。

 

アルコールや薬物に対する依存は、危険な精神疾患を伴い、肉体の健康も損ないます。精神、健康面ともに、回復するには専門家の手が必ず必要になります。買い物やギャンブルでも、経済面に大きな打撃を受け、日常生活を破壊します。それらに比べると、ネット依存は一見、たいしたことではないように思えます。

 

実際、ネット依存というべきか否かの線引きは、他の依存症よりも難しいかも知れません。ただネットにアクセスしている時間が長いだけでは、疾患とは思い難いからです。けれども、自分ではやめようとしてもやめられず、コントロールがきかない状態に陥り、日常生活に破綻をきたすようになったら、治療を必要とする疾患であると認識すべきでしょう。

 

ネット依存は、インターネット普及後間もない頃から存在はしていました。仕事でネットを多用する人々が主な患者であり、数も当初はそう多くはありませんでした。それが家庭へのネット普及とともに増え始め、爆発的に増加したのは2012年以降、スマホの普及によるところが大きいでしょう。

 

ネット依存の危険性については、アメリカでは早くから指摘されていました。1995年、アメリカの精神医学者イヴァン・ゴールドバーグ博士がインターネット依存症(Internet addiction disorder)という病名を初めて提唱し、その3年後、心理学者のキンバリー・ヤング博士が、ネット依存を見分けるためのチェックテストを発表して注目を集めました。

 

2001年にはK・J・アンダーソンによる全米調査が行われ、その推計によれば、アメリカの大学生の約10%がネット依存という結果が出ました。日本で初めてネット依存の調査が行われたのはその6年後です。厚生労働省によるその調査では、成人男性のうち約153万、女性約118万、計271万人位の人たちがネット依存の傾向にあるという結果が出ています。

 

子供たちのネット依存の現状

中高生を対象としたネット依存の調査が初めて本格的に行われるには、2013年まで待たねばなりませんでした。チェック項目はアメリカのヤング博士の作成したチェックテストを基に作成され、その結果「中高生のうち約51万8000人(8.7%)にネット依存の疑い」というニュースは当時の世の中に大変な衝撃を与えました。

 

スマホの世帯保有率が7割を超え、子供たちのネット利用の時間は増加傾向にあります。2016年の総務省による調査結果では、高校生のスマホや他の機器利用を含めた平均ネット利用時間は200分を超えています。2015年には微減しているものの、全体としては増加傾向にあります。

 

スマホによるネット利用時間の増加は、大人も同じです。もちろん、大人のネット依存も軽視できるものではありませんが、子供たちの方がさらに大きな影響を受けることになります。1つには、人間関係に対する影響です。

 

リアルの友達関係だけでも、トラブルは尽きないものでした。同じ世界を共有していても、些細な行き違いや思い込みなどで悩み、いさかいになった記憶は誰にでもあるでしょう。今はそこに、ネットオンリーの友達やリアルとネットどちらも絡んだ友達も入り込んでくるのですから、人間関係の複雑さは想像に余りあります。

 

また、会ったことのないネットだけの「友達」の中には、実際は「友達」と言えないような相手が含まれている可能性も高いのです。顔を合わせない、リアルの自分を知らない相手だからこそ話しやすいといいますが、悪意ある相手からしても、顔を合わせない、リアルの自分を知られていないのは都合が良いということに、子供たちは気づきません。

 

ネット依存の心への影響、症状

ネット依存になってしまうような時、大抵の人は心に何かしらの問題を抱えています。それが人間関係であれ、能力的な問題からくるものであれ、リアルで孤立し、ネットの世界へ逃げ込んだ結果、そのまま抜けられなくなってしまうのです。そうなると日常生活の9割はネットで占められ、食事や排せつを除いては、他のことに殆ど注意を向けなくなります。

 

周囲とのコミュニケーションにもほぼ無関心になります。家族の言葉は届かなくなり、話しかけてもろくに返事も返ってきません。学校や仕事の話など聞こうものなら途端に不機嫌になり、オンラインゲームの仲間やSNS友達とのやり取りに夢中です。物欲も限定され、欲しがるのはPCやスマホ関連のものばかりで、他の話は聞かなくなってしまいます。

 

ネットゲーム中毒と言われる人たちには、1日10時間以上もゲームをやり続ける人もおり、当然ながら彼らの日常生活は崩壊しています。目覚めている間はほぼゲームという生活を続けているうちに、心の健康は損なわれ、ふさぎ込んだり、突然笑いだしたり、怒り出したりという精神的、情緒的不安定な状態から暴力まで、様々なことが起こります。

 

目に見えて異常が現れてしまうくらいになると、家族との関係も悪化しますし、社会復帰までの道のりは険しいものになります。そこまで至らなくとも、スマホ、PC、タブレットなどのデジタル機器の長時間使用は心身の疲労につながることは、既に周知のこととなっています。

 

ネット依存の命への影響

ネット依存の患者は、(肉体の)命への執着が薄くなるという傾向もあります。顕著なのはネットゲーム中毒の場合で、ゲーム内では何度でも死ねるということも無関係ではないでしょう。

 

死んでもすぐに生き返るネット内の自分とリアルの自分が同一化してしまい、リアルの自分がどうなっても、その世界で生きていられるような気持ちになってしまうのです。

 

執着が薄くなるのは、自分の命に対してだけではありません。他人の死に対してもあまり動揺しなくなってしまいます。これは極端なところまでいけば、何らかの事件に発展してします可能性すらある危険な兆候です。

 

死への抵抗感が薄くなるのは、本人の意識、執着の重心がリアルではなくネットにあるからです。ネット依存の患者は、オフラインでいると不安感に苛まれ、休日にもネットから離れることなくかえってどっぷりと浸かってしまいます。

 

これではいけないと思っても、自分ではどうすることもできません。病的な執着は、自制心を簡単に振り払ってしまいます。

 

依存患者の依存対象に対する執着は半端なものではありませんから、家族も強い態度をとることができません。もうやめなさいなどと言おうものなら怒り出しますし、暴力を振るうケースも少なくありません。

 

取り上げられても同じか、逆に急に無気力になってしまうこともあります。何もすることが見つけられず、何もしないで日々を過ごしてしまうのです。

 

新聞やテレビなど、他のメディアを見ず、また学校などのリアルの接触を断ってしまっていると、情報は全てネットを通じたものになります。そうなると他のメディアからの情報は受け付けず、全てはネットの情報に左右されるようになります。

 

これは、自ら洗脳に近い状態に陥ってしまうようなものです。もちろん、家族からの言葉よりも、ネットが優先されます。

 

ネット依存の体への影響、症状

デジタル機器による健康被害というと、一番に挙げられるのがやはり「目の健康」でしょう。近視はずっと増加傾向にあります。平成28年度の「学校保健統計調査」によれば、裸眼視力1.0未満の児童生徒の割合は、小学校で3割、中学校では5割、高校では6割を超えています。動体視力も落ちており、飛んでくるボールを避けられない子供も増えています。

 

近頃急増中の、「スマホ老眼」も忘れてはいけません。20代~40代に多いとされていますが、10代なら大丈夫というものではありません。スマホ利用の時間が長ければ長いほど、視力は危険にさらされます。

 

また、PCやスマホの画面を長時間見ていることによる不眠も問題になります。ただでさえ、ネット利用時間の長い子供は睡眠時間を削っていることが多いのに、画面の発するブルーライトの刺激で体内時計が狂ってしまい、入眠が妨げられてしまうのです。睡眠不足は様々な問題を引き起こしますし、眠れないまま昼夜逆転すれば、生活に支障が出ます。

 

ネット依存状態が長く続けば、更なる身体的不調も出てきます。PCやスマホに夢中になって、食事も不規則になってしまえば栄養も偏り、栄養失調になるのは当たり前です。栄養と運動という肉体形成の根本がないがしろにされるのですから、子供の場合は身体そのものの形成ができなくなってしまいます。

 

同じ姿勢で運動もせず、不規則な生活を続ければ、肩こりや頭痛なども出ますし、疲れはとれにくくなります。一番恐ろしいのは。「肺静脈血栓塞栓症」です。飛行機の狭い座席などでずっと同じ姿勢のままでいることから引き起こされるとして、エコノミークラス症候群と呼ばれていますが、韓国では既にネットゲーム依存と思われる若者の死亡例があります。

 

SNSの普及によるネット依存の原因と依存メカニズム

かつてはネット依存と言えば、オンラインゲームにはまるネットゲーム中毒がメインとされてきました。けれども、現在はオンラインゲームよりもSNSによるネット依存の方が深刻かつ増加傾向にあります。SNSにはまりやすいのは、男子よりも女子が多く、この傾向はかつてと変わりません。

 

スマホを買ってすぐ、オンラインゲームアプリを入れることはなくても、SNSアプリを入れない子供は、おそらく居ないでしょう。女の子ならなおさらです。利用時間も長く、食事時でも手元にスマホを置いてSNSのメッセージを気にしてしまう子も少なくありません。目の前に友達がいても、着信があればそちらを見るというのも、今や珍しくない光景です。

 

よほど楽しいのだろうと、親は思うかも知れません。けれども、その内容が決して本人にとって楽しいものばかりではないのも、SNS依存が加速する一因です。楽しいわけではないけれど、見ないでいると皆から遅れてしまう、取り残されてしまうと思い、不安になってしまうのです。いじめや仲間外れの対象になりたくない気持ちもあるでしょう。

 

日本では特に、「絆」や「協調性」を重んじる傾向があるのも、子供たちのSNS依存に拍車をかけている一因かも知れません。つながっていることを重んじなければいけないという世の中の流れは、そのつながりにがんじがらめになってしまう子供たちにとっては、一種の呪いのようなものになってしまうのです。

 

リアルでの友人関係に全幅の信頼を置けるならば、SNSにそこまでこだわる必要は生じません。けれども、残念ながら、子供たちは生の情報源よりもネットの情報を信頼しがちです。その結果、リアルよりもネットの友達を信じるようになり、果ては恋愛もネットの方がいいと言い出す子供もいるくらいです。

 

オンラインゲームによるネット依存の原因と依存メカニズム

オンラインゲームによるネット依存も、割合こそ少なくなったものの依然として存在しています。特に男性の場合はSNSよりもネットゲームに依存する傾向があります。中には1日10時間以上もプレイし続ける人も少なからずおり、ほぼ1日中オンラインゲームをしています。

 

オンライン以前のゲームならば、クリアすればそこで一旦は終了ですし、プレイ自体も自分のペースで進められました。けれども、オンラインゲーム、中でもMMORPGと呼ばれる多人数参加型のゲームでは、一緒にプレイする仲間がおり、様々な冒険を協力して行くことになります。そのため、途中で抜けたり、自分だけやめたりすることは難しいのです。

 

また、常に更新が繰り返されるオンラインゲームでは、1つの冒険をクリアしても、すぐに次の冒険が待っています。そこに居る限り永遠に続く、終わりのないゲームなのです。そして、その中にいる自分(アバター)への思い入れは、その成長や課金によるレベルアップを通じて更に深くなり、終わりなきゲームの構造とあいまって、依存度を高めます。

 

問題はMMORPGだけには留まりません。ソーシャルゲームにも依存の危険はあります。スマホででき、いつでもどこでもできてしまうため、いつの間にか「やらないでいられなく」なってしまうのです。本人に自覚はなくとも、これは立派な依存傾向です。

 

ソーシャルゲームにおいても、課金問題は存在します。オンラインゲームでもそうですが、ほとんどのゲームにおいて、ゲームを有利に進めたりする特別なアイテムを有料にしています。1つ1つは大した額ではなくても、たくさん買えばすぐに子供のお小遣いでは払いきれない額になってしまい、トラブルに発展します。

 

かつて、「コンプガチャ」問題では、親のクレジットカードを勝手に使ってしまい、信じがたい額の請求が届いたという話がありましたが、それと同じことは今も起こり得ます。親に嘘をつく、クレジットカードを盗むのはまだましな方で、プレーヤー同士での不正取引や、性犯罪に結びつくことすらあるのです。

 

ネット依存は犯罪と隣り合わせ

「青少年インターネット環境整備法」の改正により、現在はスマホでも、契約者が未成年であればフィルタリングをかけることがキャリア側に義務付けられています。DLできるアプリにも制限をかけることができ、子供が勝手にアプリを入れられないようにできます。解除するには親の同意のもとにキャリアでの手続きが必要になり、子供だけではできません。

 

けれども、スマホ自体にフィルタリングをかけても、LINEなどのアプリ経由の情報にフィルタリングをかけるのは大変難しいのです。もちろん、アプリ提供者側も手をこまねいているわけではなく、LINEでも設定によってはある程度の制限をかけることができるようになっています。ただし、それでも自分で解除してしまう可能性は残ります。

 

結局のところ、機能制限だけで子供たちを守るのはとても難しいのです。フィルタリングが義務化されたのは喜ばしいことですが、契約者名が本人でないと適用されませんし、フィルタリングを妄信するのも危険です。手を尽くして、たとえ有害なサイトからは守りきれたとしても、ネットに接続している限り完全な安全などあり得ないのです。

 

SNSの拡散力の高さは既に万人の知るところでしょう。子供たちもそれは知っているはずですが、その怖さについては実感しなければ分かっておらず、気軽に友達の写真や自分のことなどをアップしてしまいます。SNSアプリそのものの個人情報保護能力についても、あまり信じられるものではありません。

 

ネットは世界に開かれた窓でもありますが、同時に閉じた世界でもあります。一旦その中に入り込んでしまえば、子供たちが何をしていても外から大人が感知することはできません。動画に漫画、小説から株取引まで、子供たちがネットでやっていることは様々です。そしてそのどれもが、ネット依存への入り口になり得るものなのです。

 

ネット依存の脳への影響

依存症のメカニズム

動物は何らかの行動をとった後、その結果によって「学習」し、同じ行動をとる頻度が増減するという性質を持っています。「オペラント条件付け」と呼ばれるもので、身近な例としては犬にお手やお座りを教える際の「ご褒美」などが挙げられます。お手をするとおいしいおやつが貰えると分かると、大体の犬はすぐにお手やお座りを習得します。

 

犬は、お手をすると嬉しいことがある、楽しいことがある、と学習したわけです。「ご褒美」を貰えた時、犬の脳内では報酬系と呼ばれる部分が刺激され、嬉しい、楽しい、という快感が得られます。そうすると、犬は再び同じことをしたいと思うようになるのです。これは「オペラント条件付け」がプラスに作用する例で、人間でも基本的には同じです。

 

「オペラント条件付け」がどう作用するかは、「どのような行動が」報酬系を刺激するかに左右されます。努力の末の達成感も、オンラインゲームでの勝利も、お酒も、果ては麻薬も、同じように報酬系を刺激するからです。安易な手段で報酬系を刺激することを覚えてしまうと、人間はその行動を繰り返し、更なる快感を求めるようになるのです。

 

依存症に至るメカニズムは、ネット依存でもギャンブル依存でも、薬物依存でも変わりません。薬物は化学的に脳内の報酬系に作用するので、快感と行動との密着度が他よりも高く危険ですが違法であり入手も簡単ではありません。一方、ネットは合法的に、しかも電源を入れて接続すればOKなのですから、依存への間口は広いと言えます。

 

「見ているだけ」では脳は成長できない

比喩的な意味だけではなく、ネットは世界に開かれた窓です。様々な知識が詰まっており、子供たちに有益な情報もたくさんあります。ネットからたくさんの知識を得られるのだから、それで問題はないじゃないかと思うかも知れません。けれども、いくら見たり聞いたりを重ねても、それだけでは脳には定着しないのです。

 

私たちはそれを、実は本能的に知っています。乳幼児は見慣れないものを見つけると、すぐに手を伸ばし、触ろうとします。何かをやってみせれば、自分も真似しようとします。単純なことならば、すぐにできるかも知れませんが、そうでなくとも何度も繰り返してやろうとするものです。赤ちゃんの脳は、触れて、動いて、初めて急速に成長するのです。

 

乳幼児期を過ぎても、自ら「動く」ことと脳の発達はとても密接な関係があります。子供のころは特に、自発的に体を動かして五感全てで感じとることが大切なのです。にもかかわらず、「見ているだけ」の状態で視覚、聴覚からの刺激だけを受け続けていると、発育はアンバランスなものになります。得たはずの知識も、全く身につかなくなってしまいます。

 

ネット依存増加の社会的原因

ネット依存の患者が増えてきたことには、スマホの登場に加え、いくつかの要因が複合的に作用した結果と考えられます。まず、家族や友達、職場の仲間などとの人間関係の在り方が変わってきたこと、そして、「外へ出る」ことを好まない若者の増加などがあります。

 

変化する人間関係の在り方

大抵の人は、一人では生きていくことができません。経済的にというよりは、精神的に誰かとつながっていることが、精神の安定にもつながります。家族など周囲の大人たちや同年代の友達の中で、少しずつ築かれていく人とのつながりはごく自然なもので、意識することすらないものですが、強固でそう簡単には崩れたりしないものでした。

 

そういった自然に築かれているはずの人と人とのつながりが、今はだんだんと希薄になりつつあります。周囲の人間関係が希薄であると、ネット依存に陥りやすくなります。リアルで築けなかった人間関係を、ネットの中で補完しようとしてしまうからです。決して、人間関係そのものを求めていないわけではないのです。

 

リアルでは友達がおらず、それで良いと言う子供たちも、ネットの中ではたくさんの友達がいたりします。そして「ネットの方が色んな人がいるから面白い」とも言います。確かにそうかも知れません。でも、彼らは結局、リアルでは常に1人ぼっちです。そうなると、ネットの方が楽しくなるのも無理はないでしょう。

 

リアルではどうにもうまくやれないけれど、ネットの中でならば楽しく過ごせるのです。ネットの中に楽しい場所があるのだから、これでいいんじゃないかという考え方が、子供たちの中に蔓延しつつあるように思えます。一時的な現実逃避というよりも、現実からの分断ともいうべき意識は、今の世の中を騒がせている事件にも通じるのではないでしょうか。

 

IT業界の成長の陰にネット依存が存在する

各産業にとって、子供たちは常に重要なマーケットです。日本では特にその傾向が強く、子供たちの求めるもの、求めそうなものが研究しつくされ、次々と開発、発売されてきました。中でもゲーム業界は子供たちをメインターゲットとしており、今も様々な商品が発表されています。

 

家庭用ゲーム機の販売が過熱したころも、子供たちに対する影響を懸念する声は多くありました。けれども、技術革新と市場原理の前には、そういった声はすぐに霞んでしまいます。IT業界は現在、日本のメイン産業の1つと言えますし、これからも発展していくでしょう。ネット技術の開発にも、他国に負けぬように力を注がれることと思います。

 

技術の発展は、私たちの生活をより豊かに、便利にしてくれますが、その発展の陰で子供たちに対する影響が無視されては元も子もありません。幼い頃からネットやその関連技術を当たり前に使う子供たちを、大人が守ってやれるようにしなければなりません。それにはまず、大人の側がリスクをしっかり認識し、正しい使い方を考えるべきでしょう。

 

育児にも影響を及ぼすネット依存

スマホ育児の是非について、最近はあちこちで議論がなされているようです。忙しいお母さんたちの助けになるならという容認の意見もあるようですが、できれば乳幼児にはデジタル機器を持たせない方が良いという考えがスタンダードです。

 

乳幼児期には、しっかりと目を合わせ、表情の変化や触れ合いによるコミュニケーションが必要です。親子の愛情や愛着をこの時期にちゃんと育てておくことで、成長に従って少しずつスムーズに親離れをすることができるようになるのです。

 

また、赤ちゃんは自分の声や行動に親が応え、反応してくれるという安心感を得て初めて、信頼というものを知ることができます。この頃に育つ信頼感は、人生において「人を信じる」ことができるか否かを左右するほどに大切なものになります。それらは、スマホやタブレットの画面からは決して得ることのできないものです。

 

親の側にも様々な事情があります。少しの間ならば致し方ないこともあるでしょう。ただし、おもちゃのような感覚で、子供にスマホを渡すのはやめるべきです。日本では、大人も娯楽のためにスマホを使っている向きが多いですから、その感覚の延長なのでしょう。けれども、これはとても危険です。

 

子供は欲望にとても忠実ですから、見たい動画のためならば、驚くべき集中力でもって大人を観察し、扱いを覚えてしまいます。大人はその様子に感心してしまうようですが、さて、そのスマホ「守られた」スマホでしょうか?子供が見るべきでない動画を見てしまう可能性は無いと言い切れるのでしょうか?スマホが無いと、泣く子供になってはいませんか?

 

国によるネット依存対策~日本と韓国~

スマホは日々進化し、ネットの世界も常に変化し続けています。新しい技術が開発されることは、とても喜ばしいことです。しかし、一方でそのリスクに対するフォローは全て後手に回っているのが現状です。特に子供たちを守る手段は、法的にもないに等しいのです。ゲームやアプリについての規制も、ほぼ業界の「良心」に一任されているのが現状です。

 

一方、国を挙げてIT産業の振興を推し進めてきた韓国では、2000年代初頭から若者のネット依存が問題視されてきました。PC房と呼ばれるネットカフェで長時間オンラインゲームをしていた若者が急死した事故をきっかけに、韓国政府は政府内に専門の委員会を立ち上げ、まずは若者の「ネットゲーム中毒」についての調査を実施しました。

 

2006年に実施されたその調査では、14%の青少年にネット依存傾向がみられるという結果が出ており、この事態を重く見た政府は、その後さまざまな対策を講じています。4か所の病院に治療モデルの構築を依頼し、国内の青少年相談センターをネット依存の相談センターに指定し、必要と判断されれば治療を受ける病院の紹介もできるようにしました。

 

また、調査についても1度で終わることなく、決められた節目ごとに韓国独自の「K‐スケール」と呼ばれる診断基準を用いた調査によって子供たちの依存度を調べ、依存度によっては「レスキュースクール」と呼ばれる11泊12日のキャンプに参加させることとしています。24時間体制で相談を受け付ける、ホットラインも開設されました。

 

更に2011年には、午前0時から6時まで、16歳未満のユーザーをネットにアクセスできないようにするという「シャットダウン制」が導入され、子供たちがオンラインゲームで夜中まで遊ぶことができないようになりました。ゲーム業界の反対を押し切って実施されたこの制度には、韓国が国民総番号制をとる国であることが深く関わっています。

 

ソウル市では、独自に「アイウィルセンター」という、ネット依存の予防、教育、治療を目的とした施設を開設し、市内の子供たちのネット依存に対するケアを行っています。専門的なスタッフを常駐させ、相談に加えて教育、訪問などの細かいケアを行うほか、学校の職員に対する教育も行っており、日本からの視察も多いそうです。

 

ネット依存の形は、スマホの普及により刻一刻と変化してきました。これだけ行き届いた施策を行っているはずの韓国でも、今なお若者のネット依存は深刻な問題です。

 

スマホとSNSによる依存がメインとなるに従い、2011年にはスマホ依存の診断基準も作成されました。スマホ依存が、今後のネット依存対策のメインとして捉えられているということでしょう。

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