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睡眠不足も解決できる!仮眠があなたの脳をスッキリさせる

仮眠

日本人は、学生も、働き盛りの社会人も、年配の人も、睡眠時間が足りていない人がたくさんいます。1日24時間と決められた時間の中で、勉強、仕事、趣味、遊びなど自分のやるべきこと、または、やりたいことをするために睡眠時間を削って活動しています。

 

しかしながら、睡眠時間が足りていないと、脳も体の働きも鈍くなり、最良のパフォーマンスが出来なくなり、うっかりミスで済めば良いですが、大きな間違いにつながることもあります。眠気を我慢して長時間起きていて活動しても、結果としては、無駄になってしまうこともあります。

 

なぜ人は眠たくなるのでしょうか?その眠気の仕組みや、眠いのを我慢して引き起こされるマイナス要素と、仮眠することのプラス要素を見ていきます。仮眠と言っても、様々な場面で実践できる仮眠の種類があります。超短時間仮眠の取り方もご紹介したいと思います。

 

睡眠不足の日本人の敵は昼間の眠気!

2010年7月から8月に、30~50代の男女819名を対象に、味の素が「世界5都市睡眠意識調査」と題し、睡眠に満足している人の割合を調査しました。結果は以下の通りです。

1位:上海(68.4%)

2位:ストックホルム(60.5%)

3位:パリ(55%)

4位:ニューヨーク(54.5%)

5位:東京(28.9%)

 

東京が最下位という順位もさることながら、その満足度の割合の低さが際立っています。また、東京で約49%の人が、睡眠に不満を感じていました。その理由の60%以上が、睡眠が足りていないため、朝気持ちよく起きることができず、昼間に眠くなり、全身に疲労を感じるというものです。

 

では、そんな睡眠問題を抱えている東京の人達は、何か問題解決のために工夫をしているのでしょうか?残念ながら、何も解決策を講じないままという人が最も多く、全体の25%もいました。

 

外国では、寝る前の環境改善のために音楽を聴いたり、本を読んだり、または、寝る時間、起きる時間を規則正しく調整したり、自分にあった枕やベッドを探したり、照明を変えてみたり寝具を工夫して、問題解決に取り組んでいます。

 

眠気を我慢したまま作業をしても効率的ではありません。作業効率が悪いどころか、間違いを引き起こしてしまい、事故につながることもあります。

 

法的には自動車の飲酒運転は厳しく取り締まられますが、睡眠不足での運転は、何の罰則もありません。しかし、睡眠不足運転も飲酒運転同様の危険があります。

 

健康な成人を対象とした実験で、通常8時間睡眠している人が、2時間睡眠時間を減らすと、体重1kgあたり0.5gのアルコール摂取時と同じ眠気が引き起こされることが判明しました。これは「ほろ酔い状態」に相当します。

 

再掲ですが、睡眠不足での自動車の運転を取り締まる法律は、今のところ存在しませんが、飲酒運転同様に危険なことであるということを、たくさんの人に理解してほしいものです。

 

午後2時から午後4時は睡魔との戦い

仕事や勉強をしていても、午前中より午後になってからの方が、眠たくなることが多いと思いませんか?様々な場所で、居眠りをしている人をよく見かけます。

 

昼ご飯を食べた後に睡魔が襲ってくることがよくあります。眠気の原因は、昼ご飯を食べることでしょうか?お腹がいっぱいになり、空腹が満たされると、満腹ホルモンの影響で少しは眠たくなることがありますが、それが原因ではありません。

 

朝ごはんや晩ご飯を食べた後は、昼ご飯ほど眠くなりません。それでは、午後からやってくる睡魔は、何が原因なのでしょうか?眠気の原因は2つ考えられます。

 

第1原因は、「体内時計」です。体内時計では、1日に2回強い眠気がやってきます。1番強い眠気は、午前2時から午前4時頃です。この時間帯は、ほとんどの人は寝ているはずです。この夜中の眠気の強さと比べると弱いですが、2番目に強い眠気は、午後2時から午後4時頃にやってきます。

 

夜の睡眠が十分足りている時は、午後にやってくる睡魔に打ち勝つことができますが、前の日、睡眠不足の時は、睡魔に負けて、自分の意志に背いて眠ってしまうこともあります。それは、眠気の第2原因である「睡眠物質」が関係しています。プロスタグランディン、サイトカイン、神経ペプチドなどがあります。

 

脳を休めず使用し続けると、これらの物質が脳内にどんどん生成され、蓄積されていきます。脳内に睡眠物質が増加しずぎると、脳が崩壊してしまうので、睡眠物質の生成を止めて、分解するために、睡眠を取り、脳を休めなくてはなりません。こうして、人間の体の中を常に一定の環境に保とうとする仕組みがあります。これを「恒常性維持機構」と言います。

 

午後からの強い睡魔に襲われるのは、このような体内時計と睡眠物質の働きが作用していたからだったのです。

 

日常生活で眠気を感じる人は、「エップワース眠気尺度」をやってみよう

十分な睡眠を取っているのに、眠気を感じる人は注意が必要です。そのような場合は、「エップワース眠気尺度」をまずやってみましょう。

 

エップワース眠気尺度は、世界中で広く使われている信頼性の高いテストです。普段の生活での眠気を評価するもので、全部で8問のテストです。各質問で、大体いつも当てはまると思う場合は3点、よくあると思う場合は2点、時々はあると思う場合は1点、絶対にないと思う場合は0点を選択して下さい。

 

エップワース眠気尺度

(第1問)あなたがテレビを見ている時のことをお聞きします。テレビを見ながら、座りながら眠ってしまうことがありますか?

 

(第2問)あなたが誰かと座ってお話している時のことをお聞きします。おしゃべりしている最中に、座りながら眠ってしまうことがありますか?

 

(第3問)あなたが座って読書している時のことをお聞きします。座って本を読みながら、眠ってしまうことがありますか?

 

(第4問)あなたがお昼ご飯を食べた後のことをお聞きします。お昼ご飯を食べてから、静かに座っている時に、眠ってしまうことがありますか?

 

(第5問)あなたが他の人が運転している車に同乗している時のことをお聞きします。休憩しないで、1時間くらいドライブが続いている時に、眠ってしまうことがありますか?

 

(第6問)あなた自身が車を運転している時のことをお聞きします。何分間か信号待ちになった時に、眠ってしまうことがありますか?

 

(第7問)あなたが映画館で映画を見ている時や、会議室での講演会、説明会、会議などに参加している時、クラシックなどの音楽コンサートで音楽鑑賞している時など、たくさんの人が集合する場所で、じっと座り続けている時のことをお聞きします。座りながら眠ってしまうことがありますか?

 

(第8問)あなたが午後、ちょっと休もうとして、横になった時のことをお聞きします。横になりながら、眠ってしまうことがありますか?

 

各質問の点数を足して、合計得点を出して下さい。点数が高い人ほど、昼間の眠気が強く、点数が低い人は、眠気が弱いと判定されます。合計得点が11点以上の場合は、病気の可能性もありますので、睡眠障害の専門医療機関に受診することをお勧めします。

 

眠気と戦わず、仮眠を取って脳を休ませてあげよう!

脳の中で「大脳皮質」は、勉強、仕事、スポーツなどをする際に、最高の力を発揮するために働くところです。具体的には、言語、思考、記憶、創造などをつかさどる領域です。

 

眠くなると、大脳皮質の働きが鈍くなってしまいます。眠気に打ち勝とうと我慢しても、良い成果を出すことはできません。逆に、間違いや事故を引き起こしてしまう確率が高くなります。

 

高速道路で起こった事故の確率が、眠気の周期と関係していることが、イタリアの研究で報告されています。眠気は我慢せず、仮眠を取るべきです。仮眠を取れば、眠気がなくなり、脳が復活するため、間違いも減って作業効率も上がります。

 

脳の「扁桃体」は喜怒哀楽などの感情をつかさどる領域です。睡眠不足の時、やる気が出なかったり、何ごとにもイライラしてしまったりすることがあります。これは、扁桃体の働きが低下し、感情や意欲に関係する脳内物質が減るからです。

 

また、「海馬」という記憶をつかさどる領域が扁桃体の近くにあります。海馬と扁桃体は協力して記憶に関する大切な働きをしていますが、眠気を我慢して、作業しようとしても、扁桃体が正常に機能しない状態では、記憶力も低下してしまいます。

 

それに加えて、「セロトニン」という気分を穏やかにする物質、「ドーパミン」という脳内に快感を与える物質、「ノルアドレナリン」というやる気を出す物質などの脳内物質が、睡眠不足になると減少してしまいます。

 

眠気は気持ちの問題で解決できる、睡魔に負けるものかと思っていた人もいるかもしれませんが、上記の通り、眠気を我慢することにメリットがないのは医学的に証明されています。

 

脳がオーバーヒートしてしまう前に、仮眠を取って、脳をクールダウンさせてあげましょう。睡眠の最大の目的は、脳を休ませてあげることです。

 

記憶力向上には仮眠がお勧め!

以前は、睡眠は脳の休憩のために行うものだと位置づけられていましたが、睡眠の重要性が他にもあることが近年分かってきました。

 

睡眠と記憶の関係を導く面白い実験が行われました。2語で1組の単語を20組暗記し、12時間後に別の単語を20組覚えるという実験です。

 

覚醒グループは睡眠なしです。睡眠グループは2回の暗記タイムの間に睡眠を取りました。そして、2回目の暗記タイムの後に、1回目の単語20組についてのテストを実施したところ、睡眠グループの方が、覚醒グループより、多くの単語を覚えていました。

 

したがって、睡眠を取ることで、脳に記憶が残りやすくなるだけでなく、睡眠を取ると、睡眠後に異なることを暗記しても、最初に暗記したことが忘れずに維持しやすいということが判明しました。

 

このことは、睡眠学的に脳波の面からも証明されています。脳の眠りの中でもノンレム睡眠の深い眠り(徐波睡眠)の時、脳に固定されます。夜中の睡眠中の前半部分に、徐波睡眠は多く出現します。

 

そうなると、しっかり覚えたことを記憶するためには、午前0時には眠り始め、眠ってからの1時間半から3時間の睡眠が大切ということになります。夜中の睡眠だけでなく、仮眠にも記憶力向上の働きがあります。

 

福岡県のある進学校で、1日15分の昼寝タイムを設定しました。すると、昼寝をした生徒は成績がアップし、勉強にも積極的になったと回答しています。

 

仮眠中にたとえ夢を見たとしても大丈夫です。夢を見ている時には、新しい記憶のつながりを生成したり、いらない記憶を排除したりするとも考えられています。時間に追われて、寝る間も惜しんで勉強や仕事をするのではなく、積極的に仮眠を取り、記憶力アップにつなげた方がお得です。

 

仮眠が長すぎると心筋梗塞になりやすい!

世界各国には、「シエスタ」というお昼寝の習慣がある国がいくつもあります。働きすぎの日本人からすれば、信じられないようなうらやましい習慣です。暑い国だけでなく、夏だけの期間限定というわけでもなく、世界中の38の国や地域が、シエスタの制度を取り入れています。

 

具体的には、午前11時から午後4時までの間に、1~2時間のお昼寝タイムを取るものです。その時間は、レストランやお店も営業を中断して休憩タイムになるわけです。シエスタとは、もともとラテン語が起源で、「hora sexta」と言って、「目覚めてから6時間後に取る睡眠」という意味になります。

 

シエスタの習慣がある国々では、昼寝をする分、夜の睡眠時間は短めとなっており、睡眠時間の平均が4~6時間となっています。

 

昼間の眠気と戦わず、堂々と昼寝ができるシエスタは、良いことだらけのように思えますが、このシエスタは、注意しなければ健康を害する事態を招く可能性があります。実は、シエスタの時間と心筋梗塞に因果関係が認められています。

 

健常者と心筋梗塞の患者さんを対象に調査したところ、心筋梗塞になる危険率は、シエスタが20分以下の方は23%低下しますが、45分の方は心筋梗塞のリスクが1.3倍と上がり、90分の方はリスクが1.7倍とさらに増加します。

 

シエスタと死亡率を調査したイスラエルの報告では、男性でシエスタを全然取らない人と1時間以下の人の死亡率には差はありませんでしたが、1~2時間の人は、2.6倍、2時間以上の人は、13.6倍も死亡率が高くなるという結果になりました。

 

女性では、シエスタを全然取らない人より、1時間以下のシエスタをしている人は、心筋梗塞の死亡率が4.7倍、1~2時間の人は、5.6倍にもなりました。

 

体に良いと思って実施されているシエスタですが、時間が長すぎると心筋梗塞や死亡のリスクが高まってしまいます。最適なシエスタの時間は、1時間以下です。20分以下なら、なお良いと言えるでしょう。

 

適切な仮眠が認知症を予防してくれる

2012年の厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者の25%が、認知症患者または認知症になる危険が高いとされています。

 

認知症と昼寝の関係を見ていきましょう。常に昼寝を1時間以上する人は、しない人に比べて認知症になる確率が2倍になることが分かっています。ところが、昼寝の時間が30分以内だと、認知症になる確率を5分の1に減らすことができます。

 

午後の眠気をなくすために、正しい時間帯に仮眠を取ると、仮眠後に脳の働きを復活させて、その後の作業パフォーマンスが向上します。仮眠を始める時間帯が遅すぎてもいけません。

 

長すぎるのも良くありません。覚醒と睡眠のリズムが崩れて、夜眠りにくくなり、浅い睡眠しか取れなくなり、脳の疲労が回復しにくくなります。この状態が続くと、認知機能の低下につながると考えられます。

 

認知症を予防するためには、午後3時までに30分以内の仮眠を取ることがお勧めです。あくまで仮眠ですので、ベッドや布団を用意して、しっかり寝るということはしない方が良いです。ちょっとだけ眠ることが高齢者には理想の昼寝です。また、認知症予防に効く9箇条を紹介します。

 

(1)規則正しく同じ時間に起床し、就寝する

毎日同じ時刻に目覚めると、体内時計が乱れることなく働いてくれます。睡眠ホルモン・メラトニンは、起きてから明るい光を見て、そこから14~16時間後に分泌されて、おのずと眠たくなってくるのです。

 

(2)日光を十分浴びる

睡眠と覚醒のリズムをはっきりつけると、一晩ゆっくり眠ることが出来るようになります。昼間は、明るいところで生活しましょう。覚醒レベルをアップするには、光はとても重要です。

 

(3)睡眠時の寝室の環境を整えよう

眠る時の最適な温度と湿度はどれくらいか知っていますか?室温は16~26度、湿度は50~60%です。部屋の明るさも重要です。静かで暗い部屋が理想です。真っ暗が嫌な場合は、豆電球のフラットライトならつけておいても大丈夫です。

 

(4)規則正しい食事をし、運動も忘れない

昼間に運動して体を動かして、しっかり活動すれば、夜には疲れて自然と眠くなります。体を使う運動だけではありません。頭を使っても疲れますので、眠くなってきます。活動量が少なすぎると眠くならないので、適度な運動は欠かせません。心身の疲労回復のために睡眠を取るのです。

 

(5)薬の影響で不眠や仮眠になっていませんか?

夕食後は、ニコチンやカフェインの摂取は控えましょう。抗うつ薬、降圧薬、副腎皮質ステロイド、パーキンソン病薬などの中には、睡眠障害を引き起こすものが含まれています。それらの薬が睡眠に影響するかもしれない場合は、主治医に相談が必要です。

 

(6)かゆいところや痛いところはありませんか?

体の各部のかゆみや痛みは、不眠の原因になることが多いです。しっかり治療しましょう。

 

(7)水分は体に必要ですが、夕方以降は摂取しすぎない

必要な水分の摂取は積極的に行うべきです。熱中症や脱水症にならないように適度な水分補給は必要です。しかし、水分の摂りすぎで、寝ている間に何度もトイレに行くようなら、睡眠の妨げになっています。眠る前に水分を摂りすぎていないかチェックしてみましょう。

 

(8)睡眠は必要な分だけで大丈夫

年齢を重ねるごとに、体や脳が必要とする睡眠時間が減少します。そのため、20代のころには8時間くらい眠っていた人が、40代や50代になって、6時間くらいで十分と感じ、それ以上眠れなくなることもあります。

 

(9)眠れない時は無理に眠らなくても良い

夜、なかなか布団を着ても寝つけないことや、早朝に起きてしまって、もう一度眠りたいけど眠れない場合は、無理に眠ろうとせずに、早いとこ起きましょう。

 

目的と時間で「仮眠」を分類

一言に仮眠と言っても、眠る長さや目的、時間帯によって効果が違ってきます。仮眠を5つに分類して見ていきましょう。

 

(1)一瞬から数秒(眠いか眠くないかに関わらず):ナノ・ナップ(瞬間仮眠)

眠るつもりがない時に、突然ガクッとしたり、目は閉じていないにも関わらず、相手の呼びかけに応答しない場合を「マイクロ・スリープ」と言います。

 

睡眠が足りなさ過ぎて、脳の神経細胞が崩壊してしまう前に、自分の意志に反して、一瞬または数秒間、脳の働きをストップさせて脳細胞を守ろうとする仕組みです。マイクロ・スリープは、無意識なものですが、これを自分の意志で取ることを「ナノ・ナップ」と言います。

 

仮眠する前と姿勢を変えずに、目を閉じるだけです。一瞬から数秒の仮眠を取り、目を開けたら、体をリラックスさせるために伸びの運動など、座ったままでも良いので体を動かすと良いでしょう。

 

数秒でも仮眠を取るだけで頭がスッキリするので、考えごとをしている時や、創造性のある仕事をしている時、勉強中などにも取り入れてみましょう。

 

(2)1分(~数分):マイクロ・ナップ

こちらもナノ・ナップと同様に、姿勢を変えずに目を閉じるだけです。「マイクロ・ナップ」は、分単位の仮眠を意味します。

 

電車やバスなどの乗り物での移動中や、洋式トイレに座った時、会議前などに実践するのが良いでしょう。間違いが増えてきたり、頭がスッキリしなくなって思考が低下してきたと感じたら、マイクロ・ナップを取りましょう。ナノ・ナップより数十秒長いだけですが、効果は大きいです。

 

眠すぎる状態でのマイクロ・ナップは、1分以上眠ってしまう可能性があるので、眠気が限界にくる前に、自発的に仮眠を取ることを推奨します。

 

(3)10分:ミニ・ナップ

ミニ・ナップには、ナノ・ナップやマイクロ・ナップと少し違うところがあります。それは、眠ろうとする前に、ネクタイなどの体を締めつけているものを極力緩めて楽な状態にし、姿勢も仮眠する前と同じではなく、安定した姿勢を取るようにします。

 

電車やバスなどの乗り物での移動中や、仕事や勉強の間の休憩時間に、自発的にミニ・ナップを取りましょう。

 

仮眠前と比較して、10分以上の仮眠を取ると、脳の働きが向上することが、実験結果から客観的に証明されています。有名な人では、J・Fケネディ元アメリカ大統領は、1日に数回ミニ・ナップを取ることが習慣になっていたそうです。

 

(4)20分:パワー・ナップ

パワー・ナップは、眠りが深くなりすぎてはいけません。深くなる前にスッキリ目覚めるために、カフェイン摂取後、机に伏せたりして仮眠するのが効果的です。

 

仮眠用グッズとして枕などが販売されていますので、そういったグッズを利用して、快適な仮眠生活を送るのも良いでしょう。60歳以下の人は20分の仮眠を、高齢者の方は30分の仮眠がベストです。

 

「睡眠12箇条」というものを厚生労働省が2014年に発表しています。その中で、短時間の仮眠を、午後の作業効率を改善させるために推奨しています。

 

(5)90分:ホリデー・ナップ

ホリデー・ナップとは、その名のとおり休日の仮眠のことです。平日に、パワー・ナップのつもりが、20分以上眠ると、脳が深い眠りに入るため、起きてからも目覚めがスッキリせず、眠気が継続してしまいます。したがって、平日の仮眠は20分以内にとどめておいて下さい。

 

ところが、平日の睡眠不足がどうしても解消できない場合は、休日に限り、90分の仮眠を取りましょう。これが「ホリデー・ナップ」です。なぜ、90分かというと、目覚めやすい睡眠リズムが90分周期だからです。しかし、夜の睡眠を妨げないためにも、午後3時以降に仮眠を取るのは避けて下さい。

 

日常生活で仮眠をいつ取り入れるべきか?

1日のうちで眠気を強く感じるのは、2回あります。午前、午後の両方とも、それぞれ2時から4時の間です。その2回の眠気より弱い眠気は1~2時間ごとに現れ、また、10~20分ごとにも、より弱い眠気がやってきます。強い眠気に打ち勝ってなんとか起きていると、そのうちに眠くなくなって、眠かったことを忘れていることもあります。

 

このような眠気のリズムを考慮すると、午後2時から4時に仮眠を取りたいところですが、実際問題、普通のビジネスマンにとって、その時間に仮眠を取ることができる人は少ないでしょう。そこで、実践可能なお勧めの仮眠は、お昼休みを利用した20分間の「パワー・ナップ」です。

 

午後2時にやってくる昼間最強の眠気を待たずして仮眠を取れば、午後の眠気を先取りして解消できます。ビジネスマンには、お昼休みにランチを食べて、その残り時間の20分で必ずパワー・ナップを取っていただきたいものです。

 

眠気のサインを見逃さず、素直に眠くなったら短い仮眠を取るように心がけましょう。

 

まぶたが重たく感じたり、あくびが出たりするのは、分かりやすい症状ですが、思考回路がストップしてしまったり、判断力・決断力が鈍くなったり、やる気がなくなったり、間違いが増えたり、頭がスッキリしなかったり、集中力がなくなったり、感情が抑えきれなかったり、動作が鈍ったり、これらは脳の働きが低下している状態です。

 

短い仮眠は、様々な場所で、1日に何回でも取ることが可能です。電車に乗っていて、たとえ立っていても、つり革につかまりながらなら、数秒間の仮眠は取れます。会議の前に5分間仮眠してみるのも有効でしょう。文書を読んでいる時、何度も同じ箇所を繰り返し読んでしまう際には、1分間で良いので仮眠を取ってみましょう。

 

短い仮眠の取得を推奨してきましたが、夜の睡眠が十分と言えるほど、しっかり取れている場合は、昼間にそれほど眠くならないはずです。そのときは、お昼休み以外には、あえて仮眠は必要ないでしょう。

 

「睡眠不足症候群」と言って、自分が睡眠不足であることを認識出来ていない人が、急激に増えてきています。眠気を感じていないとしても、1日の睡眠時間が6時間以下の人は、積極的に仮眠を取るべきです。

 

睡眠不足症候群になると、自分では眠気を感じていないですが、大切な場面で急にガクッと眠ってしまうかもしれません。そうなる前に、仮眠の先取りが重要です。

 

仮眠が取れないような、大切な会議や説明会、授業中などの前に、目を閉じて、さも何か考えごとをしているかのように見せかけて、仮眠を取れば良いのです。

 

事前に仮眠を取っておけば、脳が活性化でき、頭がスッキリして、大事なイベントに臨むことができます。そうすれば、興味深く話を聞くことができ、テンションも上がり、やる気が出てくること間違いなしです。

 

仮眠のおかげで問題解決!新しいアイディアが生まれる

昔から仮眠上手には偉人が多いと言われています。発明で有名なトーマス・エジソンもそのうちのひとりです。彼は、夜眠ることが嫌いで、3~4時間しか睡眠を取りませんでした。しかし、寝ていないわけではなく、仮眠をうまく取り入れていたのです。

 

エジソンは、1000個以上の特許を持っていますが、そんな新しい発見の裏には、仮眠があったのです。実験がうまくいかず悩んだ時には、その問題を考察しながら、短い仮眠を取りました。すると、起きた時に、問題解決の良いアイディアがふと思い浮かんだそうです。

 

脳内では、睡眠中に必要な記憶が残されて、不要な記憶は排除されます。新しい記憶が脳内に保存される際には、古い記憶と関連付けが行われます。これは、自分の思いとは関係なく、脳内で自動的に新しい記憶と、予想外の古い記憶が結びつき、そのマッチングが新しいアイディアの誕生となります。

 

これは科学的にも研究されている方法で、「追想法」または「レミニセンス」と呼ばれています。

 

日本人でも、追想法を実践して、偉大な業績を上げた人がいます。日本人で初めてノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士です。一般の人でも、練習を重ねれば、多くの人が追想法をマスターできます。

 

眠る前にすることは、問題・課題となっている事柄の枠組みや事実関係を出来る限り具体的に考えてみて下さい。さらに、自分自身で、その事柄の解決策を簡単に考えてみましょう。

 

次に、「起きた時に、問題の解決策が判明する」と強く信じます。心理的な要素も含まれますが、自己暗示も大切です。追想法に自信を持って下さい。睡眠中に問題解決策、新しいアイディアを発見してくれるのです。

 

ほんの数秒の仮眠「ナノ・ナップ」で眠気を撃退!頭スッキリ!

一瞬から数秒以内の仮眠は、それほどの効果がないと思っていませんか?そんなことはありません。

 

どんなに多忙な人でも、数秒以内のスキマ時間は、1日のうち何回でもあるはずです。場所や時間を選ばず、ナノ・ナップ(瞬間仮眠)は実践できるでしょう。

 

仕事中、勉強中、会議中などの人前でも、他人に気づかれずに数秒以内なら目を閉じて仮眠を取ることはできます。眠らなくても構いません。目を閉じて視覚情報を遮断するだけでも、脳は休まり、頭がスッキリしてきます。ぜひ試してみてください。

 

眠気を感じるその前に、1分間の仮眠「マイクロ・ナップ」をとる

1分から数分間の仮眠が可能な時間が出来たら、マイクロ・ナップ(1分仮眠)を実践しましょう。マイクロ・ナップだけで、眠気のない頭スッキリ生活が送れるわけではありません。

 

夜の主となる睡眠は、しっかりと6時間以上取り、昼休みには、ランチの後に20分間の昼寝(パワー・ナップ)をして、もし時間が許すなら、10分仮眠(ミニ・ナップ)を取り入れ、さらに、分単位の時間ができたら、1分仮眠を実践して下さい。

 

1分仮眠は、どの時間帯に取っても問題ありません。集中力が途切れてしまったり、間違いが増えたと感じたら、即実践してほしいものです。眠気が強くなりすぎる前に、仮眠を取ることが最も重要な点です。例えば、トイレの個室で座りながらなら、会社の中でも1分仮眠は取れるはずです。

 

はじめは、1分以上眠ってしまわないように、アラームをセットしておくのがお勧めです。寝すぎてしまうと、自分自身に罪悪感が出てしまいます。「1分たったら目覚めるぞ!」と強い意志を持って下さい。強い意志によって、体は目覚める準備をしてくれます。

 

また、仮眠後は、ネガティブにならないことが重要です。「仮眠して頭が冴えてきて良かった」「体が楽になった」とポジティブにとらえて下さい。

 

椅子に座っている場合は、背もたれがあればもたれて、アゴを少々引いて、膝と足首は90度になるように曲げて、足の裏はぶらぶらせずにしっかり床に足をつけましょう。両手は胸の前で組んだり、椅子の肘掛けがあればそこに置いたり、机があればそこにのせたりしましょう。

 

電車の中などの場合は、椅子から落ちないように安定した姿勢でお試し下さい。試しに今から、1分仮眠をやってみてはいかがでしょうか。

 

1分仮眠のはずが寝すぎてしまう人は、「睡眠不足症候群」の可能性あり

1分仮眠を実践しようとして、気づいたら1分どころか数十分眠ってしまったら、「睡眠不足症候群」を疑う必要があります。常に睡眠不足が続いているのに、自分では自覚がない状態が、「睡眠不足症候群」です。脳の働きが低下して、眠気があると認識出来なくなる人もいます。

 

症状としては、夜の睡眠が足りていないこと、その影響で、日中は強い眠気が伴います。時間に余裕がある休日には、平日より長く眠っていたり、睡眠不足と自覚がない場合、寝つきが悪いなどと感じることもあります。

 

睡眠不足の影響で、脳の働きが落ちてしまいます。そうなると、注意力が低下し、疲労感が強くなり、やる気がなくなり、落ち着きがなくなり、協調性がなくなり、攻撃性が高くなることがあります。他には、抑うつ状態になったり、食欲がなくなり、胃腸障害が現れたり、筋肉痛になったりする場合もあります。

 

大人だけではなく、思春期の子供達にも睡眠不足症候群の人がいます。思春期の子供達は、眠気を自ら訴えない場合があります。不機嫌になったり、注意力が低下したり、食欲がなくなったりと、異常が見受けられます。

 

睡眠不足症候群になりやすい人は、次の3タイプの傾向があります。

 

(1)多忙タイプ(睡眠時間を削って、仕事や勉強を優先せざるを得ない人)

働き盛りのビジネスマンや受験生がここに分類されます。近年、共働きの夫婦も増え、育児しながら働き続ける女性が増加中です。彼女達もここに分類されます。

 

(2)夜更かしタイプ(夜更かしをして遅くまで起きて眠ろうとしない人)

この夜更かしタイプの人は、「睡眠時間節約派(テレビ、ゲーム、携帯電話、スマートフォンなどをするために、睡眠時間を削っている)」と、「覚醒時間浪費派(家族の誰かが起きているから、理由なく一緒に起きておいて眠らない)」がいます。

 

(3)長時間睡眠タイプ

この長時間睡眠タイプの人は「長時間睡眠者(1日の睡眠時間が10時間以上必要)」と、「長時間睡眠傾向者(日常的に必要な睡眠時間が8~10時間)」がいます。この人達は、日本人の平均睡眠時間の7時間20分眠っても、睡眠不足の状態になります。

 

睡眠不足症候群の治療としての第1歩は、自分自身が睡眠不足だと認識することから始まります。はじめに、自分の睡眠の記録をつけて睡眠習慣の確認することからスタートしましょう。

 

また、様々なタイプに分けられるため、ひとりひとりの睡眠時間はそれぞれ異なることや、睡眠不足になりやすい体質であることを理解した上で、自分に必要な睡眠時間を見極めて、睡眠時間を確保するための工夫が必要です。

 

次に、生活習慣の改善に努めましょう。夜更かしタイプの人は、テレビ、ゲーム、携帯電話、スマートフォンなどで、明るい画面を見続けることが眠気を減少させるので、そういった液晶画面などをずっと見ることを控えると眠りやすくなります。夜遅い時間に、タバコやカフェインなどの刺激物を摂取することも控えるべきです。

 

多忙タイプの人は、周囲の協力が必要になってきます。ビジネスマンは、睡眠不足による作業効率低下のデメリットを会社と話し合い、残業を減らしてもらったり、日中に仮眠出来る環境を整えて下さい。

 

学生の場合は、勉強時間も大事ですが、学校生活、家庭生活など1日のスケジュールを再検討して睡眠時間を十分取れる生活リズムを工夫して下さい。

 

いろいろとやってみても、夜の睡眠時間がまだ足りていない時は、日中の仮眠に頼りましょう。平日は、お昼休みにご飯を食べた後に、20分仮眠「パワー・ナップ」を必ず実践するようにし、休日は、午後3時以前に90分仮眠「ホリデー・ナップ」を実践し、日頃の睡眠不足を補っていきましょう。

 

睡眠不足症候群の人に限り、1分以内の仮眠は、睡眠不足のままで実践すると、決められた時間に起きられなくなると困るので、睡眠不足の症状が少々緩和されてから試してみる方が良いでしょう。

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