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体をむしばむイライラや怒りについて良く知ろう!

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イライラしている女性

「短気は損気」という言葉があります。イライラしたり怒ったりすることで私たちは日々、様々なことを失っている可能性があります。お金、時間、仕事のチャンス、そして健康な体までも…。イライラや怒りによって、私たちの生活や体に何が起こっているのか見ていきましょう。

 

日常生活の中にはイライラ要素がたくさん!少しイライラするだけでも自律神経は3時間乱れる

日常生活の中にはイライラすることがたくさんあります。例えば、通勤や帰宅時の混雑した電車で、よろけて横の人に寄りかかってしまった人がいたとしましょう。ぶつかってしまって「すみません」と謝るも、相手はカンカンで怒り心頭です。ラチがあかないと判断したのか、よろけた人はその場から逃げ去ってしまいました。

 

むろん、仕方ないにはせよ、よろけてぶつかってしまった方が悪いのですが、自律神経的にはカンカンに怒ってしまった方が最悪の事態になります。一度イライラしてしまうと、自律神経は一気に乱れ3時間は元の状態に戻りません。その場から逃げ去った人の方が、得をするとは皮肉なものです。

 

自律神経というのは、内臓や血管などをコンロトールしている神経です。私たち人間は常に体の機能に意識を向けているわけではありません。呼吸や血液循環、心機能、消化や分泌、排せつと様々な機能が不自由なく動いているのは、この自律神経が存在するからです。この神経がなければ私たちは生きていけません。

 

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の二つが存在します。

 

交感神経が活発になると、心拍と血圧が上昇し、血液粘度が高まり、活動的になります。一方で、副交感神経が活発になると、心と体が静まり休息的になります。従って、日中は交感神経が優位な状態で、夜中は副交感神経が優位な状態となっています。

 

理想はどちらの神経もバランスよく高いことであり、一方の神経だけが活動的であることを自律神経の乱れといいます。体の様々な機能を調整し、バランスよく保つ働きを持っている自律神経が乱れるのは、健康的にはあまり良いことではありません。自律神経の乱れた状態が頻繁に発生したり、継続して続いたりすると身体のいろんな所に不具合が出てきます。

 

この乱れを引き起こす原因の一つがイライラや怒りです。そして、急激に起こった自律神経の乱れは中々収まらないのです。

 

イライラは溜め込まないほうがいい、というアドバイスをよく耳にします。確かに気持ちの点ではそちらの方がすっきりするかもしれません。しかし、自律神経の乱れという点から考えると抑え込んだ方が得策です。

 

イライラを急激に発散させると、自律神経は大きく乱れ、平常に戻るまでに多くの時間を要します。一方でイライラを堪えると、一時的には交感神経が活発になりますが、すぐに副交感神経も活発化し平常に戻ろうと作用します。長い目で見れば後者の方が体にとってはずっと健康的なのです。

 

現代人はイライラから逃れたいと思っている

イライラや怒りを好きでやっている人はいないかと思います。できればイライラしたくないけど、世知辛い世の中でいろいろあるのが実際のところではないでしょうか。

 

数年前に、断捨離や片付けが流行りましたが、部屋が散らかっていると目につきイライラするものです。片付いていると、心が落ち着き自律神経は乱れません。仏教体験、座禅などが若い女性にブームですが、これも自律神経が安定します。

 

「ヘルパーズハイ」という言葉があります。ボランティアなどで人をヘルプする(助ける)と、オキシトシンというホルモンが分泌されるのですが、このオキシトシンは、幸せホルモン、愛情ホルモンなどとも呼ばれ、ストレスを低減し幸せな気分をもたらしてくれます。

 

「なぜタダ働きするの?」と考える人もいるかと思いますが、いいことをすればヘルパーズハイの状態になり、自律神経が安定し、心も身体も良い状態になるのです。

 

日常生活の至る所にイライラ要素が散りばめられている現代において、できればイライラしたくないと無意識に望んでいるのかもしれません。

 

怒りにはいろんな種類がある

怒りというと、カンカンで怒り心頭といったイメージを想像するかもしれません。このような怒りは意識して減らそうとコントロールすることもできるでしょうが、怒りとあまり意識しない怒りの方が問題です。

 

ストレス社会と言われて久しい現代において、私たちは日々意識しない怒りの感情に曝されて、イライラしています。

 

例えば短いお昼休み、慌てて駆け込んだコンビニエンスストアの列が混んでいてムッとしたことはないでしょうか。帰宅時の満員電車で足を踏まれたり、不用意に鞄で押されたり、たった1分でも電車が遅延したりした時はどうでしょうか。

 

また自分はイライラしていなくても、上司から八つ当たりされたり、家族や恋人から嫌味を言われたりしてイラつくこともあるでしょう。

 

このような体験は誰しもが、そう少なくはない頻度で体験しているはずです。例えイライラしたのはたった一瞬であっても、その時沸き上がった怒りの感情が長くは続かなくても、私たちは日々怒りの感情に触れ、積み重ねているはずです。

 

また、「あの時ああしていれば」という後悔の念も小さな自分への怒りの一つです。あなたが怒りにまかせて逃してしまった成功を、誰かが手にしたときに抱くジェラシーも怒りの一つです。

 

このようなあまり意識しない怒りやイライラでも自律神経は乱れます。そして自律神経が一度乱れると、安定状態に戻るのに3時間はかかります。

 

怒り心頭で大爆発状態の怒りなら、怒りを静めればやがて自律神経の乱れも治まりますが、意識していない怒りの場合、気付いていないので継続的に自律神経が乱れることになります。つまり自律神経が終日乱れっぱなしという状態になってしまいます。

 

現代社会においては、こういう状態が毎日続きやすい傾向にあり、身体の様々なところに不具合が生じやすい社会、時代と言えます。

 

自律神経の状態を見える化することができる!

イライラや怒りは、私たちの体をむしばむため、自律神経を乱さずに生きていくことが重要です。乱れ0は無理としても、自律神経の乱れを小さく抑えてコントロールしていくことが大切です。

 

しかし、自律神経は、読んで字のごとく「自律した神経」ですので、自律神経をコントロールすることは不可能と今まで考えられてきました。しかし、近年、自律神経の動きを把握する機械が開発されました。これにより、何をすれば自律神経の乱れをコントロールできるのかを検証することが可能になりました。

 

実は、自律神経の働きは心拍で計測できるのです。この計測が可能なのは、技術進歩のおかげで、以前よりも気軽に計測することが可能になりました。

 

そもそも心拍には「揺らぎ」というものがあります。心拍は、一定のリズムで毎秒毎分打っておらず、わずかなズレがあり、これを「揺らぎ」と言います。揺らぎがある状態が正常なわけです。

 

この揺らぎの大小で自律神経の状態が把握できます。

 

揺らぎがあまり無く心拍がほぼ一定のリズムの時は、交感神経が高くなっており緊張状態です。心拍のスパンが、0.6秒、0.9秒、1.3秒という感じでバラバラな時は、副交感神経が高くなっておりリラックス状態です。

 

一般的な傾向として、子供は、心拍数が多く、交感神経が高いです。子供の心臓は、1回で送り出す血液の量が大人ほど多くないので、拍動数を増やすことで一定時間内で送り出す血液量を増やしているのです。

 

逆の傾向として、マラソン選手は、1回で送り出す血液量が多い「スポーツ心臓」になっており、心拍数が少なく、副交感神経が高いです。

 

このように心拍を計測し分析することで、自律神経の状態を把握することができるのです。

 

プロのスポーツ選手は、自律神経をコントロールしている

前述の通り、交感神経、副交感神経のどちらもバランスよく高い状態(トータルバランス)が理想です。また、交感神経と副交感神経の高さを加算した数値(トータルパワー)も重要となります。

 

トータルパワーは、自律神経の活発度合いを数値化したもので、この値が低いと倦怠感やモチベーション低下といった状態に陥ります。

 

激しいトレーニングをすると故障しやすいプロ野球選手の自律神経を計測したところ、トータルパワーが低いことが分かりました。このような選手は、激しいトレーニングの次の日は練習量を抑えるなどして対応しています。

 

また、ピッチャーの自律神経を計測すると、先発投手は交感神経が高く、抑え投手は副交感神経が高い人が多いということが分かりました。逆に言えば、自律神経の特徴から、その人が向いているポジションを予測することも可能となります。

 

自律神経を計測することで、スランプに陥った選手の原因を究明することもできます。

 

あるプロゴルファーのスイング中、スイング前後の自律神経を計測すると、スイング前に副交感神経が上がっていました。このことから打つ前に力が入っているということが推測されます。どこの力が入っているのかを調べていき、力を入れないようにすればパフォーマンス向上につながります。

 

また、笑うことで副交感神経が上がるので、ショットを打つ前にニコッと笑うことをルーティンにするのも有効です。

 

自律神経のトータルバランスの良い服の色も調べることが可能です。どの色というのは、人によって違いますが、これを応用し、ウェアの色を決めているプロのスポーツ選手もいます。

 

一昔前までは、スポーツのメンタル面は根性、気合いといった精神論がまかり通っていましたが、自律神経が計測できる今、エビデンスベースで高いパフォーマンスを出すことが可能になっているのです。

 

プロのスポーツ選手の世界では当たり前になっているこのようなことを、日常生活に応用することは可能です。

 

自律神経を計測できるようになったおかげで、私たちは自分のイライラする時の特徴をも捉えることが可能になります。

 

スポーツ選手はすでに医学的見地から自律神経の特徴を掴み、パフォーマンスを向上させています。それと同じように、私たちも普段の生活の中で自律神経を乱さないような仕草や身の回りのものへ、行動や環境を変えることでイライラをコントロールすれば快適な生活を手に入れられます。

 

自分の自律神経の特徴を把握して、上手にイライラをコントロールする方法を身につければ、もう書店で「癒し」や「人生の生き方」といった自己啓発本を探すこともなくなるでしょう。難しい勉強や厳しいトレーニングの必要もなく、快適な怒りの少ない生活を送ることができるのです。

 

イライラが発生する原因は5種類

自分が経験した過去のイライラや怒りを思い出すと、実に多くの種類があるように思うかもしれませんが、イライラの原因は5種類しかありません。

 

①体調が良くない

体調が良くない時は、適切な思考・処理ができず、少しのことでイライラしがちです。風邪をひいてだるい時、二日酔いで頭痛・倦怠感がひどい時、女性ならホルモンバランスが崩れる生理前など、体調が悪いとイライラ発生率は高まります。

 

②余裕がない

約束の時間に遅刻しそうな時、納期間近で間に合いそうにない時、残業続きでオーバーワーク気味な時、焦りやプレッシャーでイライラ発生率は高まります。

 

③環境が良くない

真夏の炎天下で外回りの営業に行かないといけない時、逆に真冬の寒すぎる時、急なゲリラ豪雨でびしょ濡れになった時、こんな時は少しのことでもイライラすると思います。また、気候以外でも、喫茶店で隣の席の人が大声で話していてうるさい時、通勤ラッシュの満員電車に乗っている時、高速道路で渋滞に出くわした時、環境の悪さはいろいろありますがイライラ発生率は高まります。

 

④予期せぬことが発生した

仕事でつまらないミスをした時、強引に街頭アンケートをやらされた時、雪で飛行機が飛ばなくなった時、予期せぬことが起きるとイライラせずにはいられません。

 

⑤自信がない

いつも怒っている上司は、「自分が間違っているかも?」と思っているのかもしれません。自信のなさを隠すために怒っているのかもしれません。また、初めての講演会やスピーチなど、自信がない状態では何かとイライラしがちです。

 

これらの5つのどれかが起こった時、もしくは複数起こった時にイライラや怒りが生まれます。5つの全てを排除することは難しいでしょうが、1つ2つでも低減することができればイライラは低減します。

 

また、これら5つがイライラの原因という事実を把握するだけでも、そういう状態にならないように注意することができますし、なってしまっても対処することが可能です。

 

暑いならクーラーを付ける、風邪をひかないように睡眠を十分とるよう心がける、遅刻しないように早めに家を出るなど対応することができます。

 

イライラによって、血液と寿命が塞き止められる

LINEのトーク画面で、相手にイライラを示す時、どのようなスタンプを選ぶでしょうか。色々なキャラクターのスタンプがあると思いますが、青筋が立つ、目が充血する、顔が赤くなる、額に汗をかくといった表情で描かれたものを選ぶ人が多いのではないでしょうか。

 

このような表情は、怒りによって交感神経が急激に活発化して自律神経が乱れた結果をよく表しています。ドラマや映画の登場人物だったら、このような表情だけでなく、心拍の上昇によって呼吸が浅くなり、額や手に汗をかき、喉の渇きや全身の震えを演じて怒りを表現するかもしれません。

 

交感神経の活発化により急激な心拍数の上昇や血圧の高まりは、脳梗塞や心臓発作を引き起こすリスクになり得ます。実際に、怒りっぽい人ほど心臓発作のリスクが高いという調査結果もあります。

 

怒りの度合いが強くなると、顔色は徐々に赤色から青紫色に変わっていきます。また体が震え、呼吸が浅くなり、頭痛やめまいといった症状も出てきます。これは怒りによって血液が体に均等に行きわたらなくなってしまうからです。

 

体に血液が行きわたらなくなる状態というのは、とても危険です。細胞が出す老廃物を運ぶことも、細胞が必要とする酸素や栄養素を運ぶことも出来なくなってしまいます。そして最終的には酸素や栄養素が不足した細胞は、死んでしまいます。

 

さらに交感神経が活発化すると、血液を凝固させる働きを持つアドレナリンが分泌されます。ドロドロの血液が健康被害をもたらすことはもう説明する必要もないでしょう。

 

このドロドロの血液を解消するために日頃から運動や食事制限に精を出している人もいるかもしれません。イライラや怒りは単なる感情ではありますが、あなたの日頃の努力を一瞬で無に帰している可能性もあるのです。

 

たまには運動をせず、甘いものや脂っぽいものをたくさん食べることもいいでしょう。努力によってリカバリーをすれば、血液はいずれサラサラに戻ります。危険なのはこれらが習慣化して常に血液がドロドロの状態にあることです。これはイライラや怒りも同様です。毎日怒り、イライラしている人ほど、血液はドロドロのまま、次第に寿命まで縮めることになりかねません。

 

便秘改善が先か、イライラをコントロールするのが先か

激しい運動をした後、突如嘔吐感にかられた経験はないでしょうか。これは交感神経の活発化よって全身の血液が筋肉に集められ、消化機能を抑制してしまったために起こる現象です。

 

イライラや怒りによっても同様の現象が起こります。消化機能が抑制されるために、腸内では栄養分が吸収され切らず、腐敗して蓄積されていきます。腐敗した栄養分は毒素を出し、腸内環境を悪化させ、便秘を引き起こします。

 

便が硬くなると、トイレに籠って苦しまなくてはならなくなりますね。その時、私たちはどのような顔をしているでしょうか。おそらく眉間にしわをよせ、口角を下げ、しかめ面をして、まるで怒ったような表情でいるのではないでしょうか。この表情は例え怒っていなくても交感神経を活発化させてしまいます。

 

また便秘が続くと、血液が汚れてしまいます。汚れた血液が体内をめぐると臓器や血管に傷がつき、それはやがて臓器や血管の働きをコントロールする自律神経の乱れにも影響します。そしてこの自律神経が乱れると、更に腸内環境は乱れていくという悪循環に陥るのです。

 

最近では腸活といったフレーズで、食生活の改善や運動に努める人が多くなってきました。もし本当に腸の活動をよくしたいと願うのならば、怒りをコントロールする方法を身につけるのも大切です。自律神経や腸内環境を乱す原因をコントロールするのが改善への近道になるでしょう。

 

イライラで細胞に爆弾が落とされる

イライラや怒りを感じる前と後では、体内や細胞の状態が大きく変わってしまいます。私たちの体は約60兆個もの細胞で出来ていると言われており、これらが状態を変えてしまうことの恐ろしさは想像が尽きません。

 

前述の通り、イライラや怒りで血液がドロドロになります。このドロドロの血液を顕微鏡で観察すると、血液中の赤血球が別の赤血球とくっついていたり、黒く変色して粘り気を帯びていたりしています。

 

健康な赤血球は、円盤状で中央に窪みを有しています。しかしイライラや怒りによって交感神経が活発になると、この赤血球の形が維持できなくなり、酵素を細胞まで運ぶという本来の役割を果たすことができなくなります。

 

また激しい苛立ちや怒りによって、全身の血管が収縮して血圧が上がります。細くなった血管内を変形した赤血球や白血球、血小板が勢いよく流れるため、血管内皮細胞に傷がついてしまいます。この傷によって血栓が生まれ、動脈硬化という恐ろしい症状が進行します。

 

動脈硬化は、脳梗塞や心臓発作を引き起こす原因となります。私たちは日頃から体内や細胞の状態を逐一観察することはできません。イライラや怒りを溜めることで、気づかないうちに体内で恐ろしい爆弾を育てている可能性があります。

 

イライラすることは脳の神経伝達物質の無駄遣い

朝活として会社に行く前に、ウォーキングやランニングに勤しむことが推奨されています。運動をすると脳内でドーパミンという物質が放出され、体がシャキッと目覚め、思考がクリアになるからです。ドーパミンやノルアドレナリンは興奮性の神経伝達物質と呼ばれています。

 

一見、ドーパミンやノルアドレナリンが放出されることはいいことのように思えるかもしれません。しかし、これらの神経細胞には「フィードバック機能」が備わっており、過剰に放出され続けると、いずれその放出を止めてしまいます。

 

日頃から過剰放出を繰り返していると、運動時や大事な試験、会議といった場面でドーパミンやノルアドレナリンの放出がされない可能性が高まります。これによって集中力ややる気の低下、うつ状態を引き起こします。さらにドーパミン不足がひどくなると、動作が緩慢になってパーキンソン病の症状も現れます。またノルアドレナリンの不足は痛みの原因になることがあります。

 

このように興奮性の神経伝達物質の放出は、適当なタイミングで最大の効果を得られるように調整する必要があります。そのためには、イライラや怒りによっても、これらの物質が放出されてしまうことを知っておく必要があるでしょう。

 

戦闘状態の体の中は実は無防備になっている

風邪をひかないためにあらゆる対策を講じても、結局具合が悪くなってしまったということはありませんか。そのようなことが頻繁にあるという人は、もしかしたら怒りっぽい性格なのかもしれません。イライラや怒りは、あなたの体を風邪をひきやすいものにしている可能性が高いのです。

 

イライラや怒りによって自律神経が乱れると、免疫システムさえも上手く機能しなくなってしまいます。免疫システムの中で恐らく最も有名なのが白血球の存在でしょう。白血球は体の中に入ってきた異物を排除し、体の回復や不調を防ぐ役割を担っています。自律神経が乱れると、この白血球の分布バランスが崩れてしまいます。

 

白血球には比較的大きな異物を排除する顆粒球と、小さなウイルスを排除するリンパ球の二種類があります。普段はバランスのよい分布を保っているこの二種類の白血球ですが、交感神経が活発化すると顆粒球が増殖します。

 

顆粒球の不必要な増殖は、常在菌を減少させるばかりか、大量の活性酵素の発生にもつながります。一方で副交感神経が活発になっても、アレルギー疾患やアトピーにかかりやすくなる危険を伴います。

 

イライラや怒りによって自律神経が乱れることで、免疫力が低下し、風邪をひきやすくなります。そればかりか免疫力の低下によってガンさえも誘発するリスクを高めてしまいます。交感神経が活発すると、リンパ球の働きが弱くなってしまうので、ガン化した細胞を排除することができなくなってしまうのです。

 

このようにイライラや怒りによって見た目上は戦闘状態になりますが、私たちの体の中は反対にとても無防備になっているのです。

 

怒らないことで筋肉や骨格を守る

我を忘れるくらいの怒りに包まれたとき、信じられない力を発揮するという光景を漫画の中ではよく見かけます。俗にいう「火事場の馬鹿力」です。これは普段筋肉や骨格を守るためにかけられている脳のリミッターが解除されることで、現実世界でも容易に起こりえます。

 

このリミッターが解除される理由は、交感神経が活発になることで副腎皮質からアドレナリンが分泌によるものです。アドレナリンはイライラや怒りを感じると分泌されます。またアドレナリンが分泌されると、さらに人はイライラや怒りを感じやすくなることが分かっています。まさに怒りの負の連鎖です。これに囚われてしまうと、私たちの体はすぐにボロボロになってしまいます。

 

さらにアドレナリンの分泌が過多になると、冷静な判断や行動は難しくなります。緊急時の火事場の馬鹿力ならばよいのですが、満員電車や大事な会議の場で怒りやプレッシャーで頭が真っ白になってしまうことで、人間関係や社会的地位さえも壊しかねません。

 

老化の敵もイライラ、怒りである

酸素は金属だけでなく、あらゆるものをサビさせていきます。これは私たちの体も例外ではなく、体のサビは、いわゆる「老い」につながります。体を酸化させる「活性酸素」とは、体内に取り込まれた酸素が変化したものであり、体内の細胞や遺伝子を傷つけていきます。

 

体で老いを一番感じやすいパーツは、おそらく肌ではないでしょうか。体内で酸化が進むと、肌からハリが奪われてシワが生まれ、老いを感じます。金属であれば表面をコーティングすることで酸化を防ぐことができますが、人間の体では体内から酸化が始まり徐々に外へと表れくるため、同じように防ぐことができません。

 

酸化の原因である活性酸素が発生する主な原因は、激しい運動や紫外線、喫煙や乱れた食生活が挙げられますが、イライラや怒りも原因の一つです。

 

前述の通り、イライラや怒りによって自律神経が乱れると、交感神経が活発になり白血球のうちの顆粒球が増殖していずれ大量の活性酸素を発生させることになります。また副交感神経の活動が抑制されるため老廃物として排出されることもなく、どんどん体内にサビが溜まってしまいます。

 

体のサビは脳の自律神経中枢にも及びます。自律神経が機能しなくなると疲れが残り、めまいやふらつきの原因になります。過度な運動や仕事は活性酸素を体内に蓄積し、老いを早めていきます。

 

イライラ、怒りによる糖化を甘くみてはいけない

酸化だけでなく、糖化も老いの原因です。糖化の原因となる「糖化生成物(AGEs)」は血液中の過剰な糖分とタンパク質が結合して生成されます。

 

老いの代表ともいえる、肌のくすみやたるみは、このAGEsが皮膚組織で生成されることで、褐色化して弾力がなくなったために起きています。また最近では動脈硬化、骨粗しょう症、目のあらゆるトラブル、認知症とも糖化は関係があると考えられています。

 

甘いものを控えているだけでは糖化は避けられません。イライラや怒りによって、糖化はさらに加速するのです。

 

活性酸素と違い、AGEsは一度出来てしまうと、なかなか排出されません。そのためなんとかしてAGEsを作らないように努める必要があります。そこで重要になるのがインスリンとアドレナリンです。

 

インスリンは人間が唯一血糖値を下げることができる物質で、すい臓から分泌されます。このインスリンが大量に分泌されると低血糖の状態となり、今度はアドレナリンが分泌されて血糖値を高めます。

 

前述の通り、アドレナリンはイライラや怒りに関係の深い物質でもあります。イライラによってアドレナリンが過剰に分泌されてしまうと、インスリンの分泌を抑えてしまい、例えば甘いものを食べていなくても知らないうちに体の中で糖化が進んでしまいます。

 

体の糖化を避けるには、糖分の摂取を控えるか、怒りをコントロールするという方法があります。しかし糖分は生命活動に必要な栄養素でもあるため、全く摂取をしないでいることは難しいでしょう。糖分の過剰摂取を控えながら、怒りのコントロールを心がけていくことが体の老いをゆるやかにさせる最善の対策となるでしょう。

 

若返りの秘訣はミトコンドリアと自律神経

私たちの体の細胞一つ一つにミトコンドリアがあり、体を動かすエネルギーATP(アデノシン三リン酸)を生成します。しかし年齢を重ねると、ミトコンドリアの数も減り、慢性的なエネルギー不足となって体の機能が低下していきます。これもまた老化の一因です。

 

ATPの供給が低下すると、体はまず呼吸や体温調節な生命活動に必要な機能にエネルギーを使うようになります。それに伴い、肌や髪といった組織にはエネルギーが行き届かなくなり老化現象が進んでいきます。

 

ミトコンドリアがエネルギーを生成する際にも、活性化酸素が発生して、元気なミトコンドリアや他の細胞を傷つけていることが分かってきました。ただ、ミトコンドリアが元気な状態でエネルギーを生成すると、自然と副交感神経が活発になり少々の活性化酸素は体外へ排出されるため、極端に気にする必要はありません。

 

健康で長生きするためにはミトコンドリアの数と質を保ち、副交感神経の活動を妨げないことが一番のカギになります。そのためにも有酸素運動によってミトコンドリアを多く含む筋肉細胞を増やすこと、イライラや怒りによって自律神経を乱してミトコンドリアを減少させるようなことは避けなくてはなりません。

 

イライラをコントロールして疲れ知らずのあなたに

イライラや怒りに気をもんで、「気づかれ」をしたという経験はないでしょうか。実はイライラすることで体は本当に疲れを感じています。

 

交感神経の活動が活発化すると、血液の循環が悪くなることはもうご理解いただけたでしょう。血液が充分に体に回らないと酸素不足となり、体温が低下し、ミトコンドリアの働きまでも低下していきます。

 

ミトコンドリアがATPを作らなくなると、「解糖系」という仕組みが働き、体の細胞は無酸素でもエネルギーを生成するようになります。この時、代償として発生するのが疲労物質です。

 

疲労物質が発生すると、筋肉痛を始め、だるさや疲労感をもたらします。このような症状を緩和するためには副交感神経の働きを活発化させて、血液の循環を良くしてミトコンドリアの働きを助ける必要があります。

 

トップアスリートは、試合に向けて激しい練習を行うと同時に自律神経をコントロールして疲労をあとに残さないよう工夫しています。疲労が残っていると、本番の大事な試合にベストコンディションで挑めないからです。

 

疲労を溜め込まないことはアスリートだけでなく、私たち一般人にも重要なことです。疲れた体では仕事のパフォーマンスは上がりませんし、革新的なひらめきも生まれません。動作も緩慢になり、思わぬ怪我をおってしまうかもしれません。さらに心も体も疲労していると、本当に些細なことが許せなくなり、人間関係にも悪影響を与えてしまいかねません。

 

イライラや怒りに身を任せては、百害あって一利なしです。イライラや怒りによって起こる様々な体の変化は、最終的にあなたの大切な人間関係や社会的地位まで壊してしまいます。

 

感情は目に見えず、完璧にコントロールすることはできません。しかしイライラや怒りに付随する自律神経の動きや特徴を把握し、対策することはできます。イライラや怒りと上手く付き合っていくことで健やかで快適な生活を手に入れましょう。

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