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女子校は女性へのメリットで溢れている

通学する女子校生

女性同士の集まりを見ると、一見仲が良さそうに見えても裏では…などといった勘繰りをする人も少なくないでしょう。大人の女性同士でもそのようなことが起きる中で、女子生徒だけを集めた女子校ではもっと激しい感情のぶつかり合いがありそうです。

 

しかし、思春期の女子生徒を集めた教育環境には、そのようなデメリットなど気にもならなくなるような素敵なメリットがたくさんあります。

 

女子校だからこそ伸びる女子の持ち味

女子校での教育には、女子生徒にとってメリットがたくさんあります。例えば、しつけや生活指導において、厳しい校則を守ることで自主性を育むことができます。また礼儀作法のような、集中して手本に習って習得するものを、男子生徒の目を気にせずに会得することもできます。

 

さらに、コツコツと丁寧に取り組むという女子の持ち味を、最大限に引き出すことも出来ます。この持ち味は、特に勉強の面で大きな効果をもたらすでしょう。

 

女子に比べて男子は気分にムラがあり、女子のようにコツコツと勉強に取り組むことができません。特に思春期の男子は幼く、自分にできないことをやってのける女子のこのような姿勢を、冷やかすような態度をとりやすくなります。

 

女子校では、男子生徒の冷やかしを受けることはありません。デリカシーのない男子生徒の言動に傷つく心配もありません。女子校は、女性本来のの持ち味を存分に引き出すことで、特別な学習効果を期待できる女子生徒にとって望ましい学習環境なのです。

 

品川女学院の生徒にアンケートをとったところ、なんと6割の生徒が学級委員経験者でした。この学校のほとんどの女子生徒がリーダーシップという個性を持っていると考えられるでしょう。しかし、このリーダーシップも、共学校に入れば男子生徒からの「優等生ぶっている」といった幼い冷やかしを受けることで、育たないかもしれません。

 

女子の感性に合わせて授業を作る

女性と男性では、感性が大きく異なります。女子校の文化祭を見てみると、どこも可愛らしい、女性らしさを感じさせる工夫や装飾が凝らされています。女子生徒たちは自分の女性としての感性やセンスに沿って、こだわりをみせ、独創性や創作性を育んでいるのです。

 

これが男子生徒のいる共学校では話が違ってきます。男子生徒、女子生徒どちらの感性にもあった中庸を見つけなければなりません。自分とは意見を違えるものとの折り合いをつける経験も大切ですが、それはもう少し大人になってからでもいいと考えられています。

 

中学校、高校の時期に大切なのは、自分の作りたいモノを作り上げたという経験や、その達成感、喜びなのです。

 

「女子校のメリットは、女子生徒の感受性にフォーカスし、それを育ててあげられることだ」と白百合の田畑文明教諭は語っています。浦和一女の板谷大介教諭によれば、「そもそも男子と女子では興味の対象が異なる」といいます。例えば、男子生徒は勝ち負けのはっきりとわかる「平家物語」を好み、女子生徒は感情の動きがよくわかる「源氏物語」を好みます。

 

女子校ならば、そのような女子生徒の好みに合わせ、授業テーマを設定することができます。さらに女子生徒ならではの高い水準に合わせ、物語で語られる心情の奥深くまで探るよう、国語教育の指導ができるのです。女子校では、女性の持っている特性を引きだし、磨きあげる教育カリキュラムが実践されているのです。

 

女子の組織力が心を安定させる

ケンブリッジ大学の心理学・精神医学教授のサイモン・バロン=コーエン氏が著した『共感する女脳、システム化する男脳』という本があります。この本のタイトルからも分かるように、女性は共感する能力が極めて高い生き物です。

 

男女のコミュニケーションに齟齬が生まれる大きな要因は、男性と女性の共感力の違いにあります。感情で話をしたがる女性の意図を、論理的に理解しようとする男性は上手くくみ取れないのです。

 

近年、世の中が女性の組織力に注視していることにお気づきでしょうか。例えば女子サッカーや女子ホッケーなどの、「なでしこ」や「さくら」といった女性らしさを際立てた名称をよく耳にします。経済的に見ても、映画のレディースデーや女子会プランの導入により、女性のつながりによる集客を狙ったものが多くあります。

 

クラーク横浜青葉キャンパスの三浦校長もまた、女子だけの組織のパワーに注目しています。女子同士が同じ方向を向いたときに、高い共感力によって生み出される組織力やその相乗効果に期待しているのです。そしてこれこそが女性としての特徴を最大限に引き出していると考えています。

 

全国にあるクラークのキャンパスにおいて、唯一の女子校であるクラーク横浜青葉の生徒たちは、ひと際自尊心が高い傾向にあります。これは他者から共感されることで、心が安定し、生徒たち一人一人が自信をもって生活出来ているからでしょう。

 

そしてこの自信を生みだしている要因こそが、まさに共感力の高い女子生徒だけで構成された、女子校という環境なのです。

 

女子校の校長や教諭から、女子生徒の特長を説明されるとき、「集団力」という言葉をよく耳にします。これらは男子生徒の存在を取り払い、共感性の高い場所に安心して自分をさらけ出すことができる、女子校という環境ならではの賜物だと考えられるでしょう。

 

女子生徒に合った学習指導方法

男性と女性とでは、得意とする教科や、学び方が異なります。一般的に言えば女性は理数系の科目が苦手であり、論理的な思考ができないとされています。

 

しかし、いくつもの海外の調査から得られた知見によれば、そのような不得意さは女性ではなく、むしろ学習方法に問題があったのだと考えられています。女性に合った学習方法をすれば、女性の理数系科目の成績も伸び、論理的思考も身につくのです。

 

2013年度から「共学だけど、授業は別学」を掲げた、かえつ有明の副校長は、自身の指導経験から男子生徒と女子生徒には、それぞれ適した指導方法があると明言しています。

 

まず、目標の持たせ方については、女子生徒には具体的な目標を持たせることが大事だとしています。一方で男子生徒には大きな目標を持たせることが大事だとしています。

 

続いて、指導の仕方やや接し方について、女子生徒には安心感をもたらすことが大事だとしています。一方で男子生徒には挑戦的意欲を刺激するようにすることが大事だとしています。

 

そして最後に、女子生徒の伸び方として、やればやるほど伸びるという特徴があるとしています。男子生徒の伸び方として、スイッチが入らなければいくら追い立てても意味がないという特徴があるとしています。

 

共学ではあるがクラス編成は男女別学の学校として有名なのが、神奈川県の桐光学園と東京の国学院久我山です。これらの教員もクラスによって、教科ごとの指導方法を変えています。

 

数学については、女子生徒の場合は1番最初の問題から解答・解説していかないと、次の問題に取り掛かれません。途中で解けない問題が出てくるとまた最初からやり直し、説明も具体的に細かくしなければ中々理解できないのです。

 

一方で男子生徒の場合は一度概要だけ説明し、あとは問題をどんどん解かせた方が理解度はぐっと高まります。説明も抽象的なもので大枠を理解させる程度で事足ります。

 

英語については、女子生徒には文脈から理解させる方法が適しています。一方で男子生徒は文法に則って、システマチックに理解させる方が、定着しやすいようです。

 

最後に国語については、女子生徒は行間を読み解く物語文に長けていますが、男子生徒は行間を読む能力に欠けているので、そこを指導してやらなければなりません。

 

一方で論説文については、女子生徒は始めから読み進めて理解する必要があるため、男子生徒よりも解答までに手間や時間がかかります。一方で男子生徒は、構造を理解して段落の主旨から解答を導くため、効率よく行うことができます。

 

このように男子生徒と女子生徒とでは、適した学習の方法が全く異なります。このような生徒たちを、同じ教室で同質の指導をすることに、メリットがあるとは考えにくいでしょう。海外には男女別学による成功事例が多くありますが、これは男女それぞれに特化した専門の指導トレーニングを受けた教育者によるものです。

 

女子校には高3からの追い上げがない

男子生徒と女子生徒とでは、質問の応対の仕方にも注意しなければなりません。

 

例えば男子生徒が質問に来た時は、自分の疑問の解答がほしい時です。そこに余計な説明は必要ないと考えられます。一方で女子生徒には、答えだけでなく、その答えまで一緒にたどり着いてもらえたという経験を与えてやることが必要になります。女子生徒のわからない気持ちに共感し、受け入れて、安心感をもたらさなければなりません。

 

ある女子校の教員によれば、大学受験において、逃げ切ろうとする女子生徒を、男子生徒が追い上げ、追い越そうとする構図が見て取れるといいます。高1の時からコツコツと勉強してきた女子生徒に、高3から勉強のスイッチが入った男子生徒が迫ってくるのです。

 

男子生徒のいない女子校の生徒にとっては、この男子生徒の追い上げは実感しにくいものです。これが女子校の環境のデメリットと考えられるでしょう。

 

「共学だけど、授業は別学」のかえつ有明では、このような生徒たちの特性を理解し、高3からは男女混合の授業体制を導入しています。

 

女子校のキャリア教育は時に生々しい

男子生徒と女子生徒では心の成長の仕方も異なります。女子生徒の心は直線的に成長していきますが、男子生徒の心は何かのきっかけを経て、急激な曲線を描くように成長していくのです。このような特性を考えると、本来学校行事の設定主旨や、その開催時期についても、それぞれに合ったものに変えてやることが、適切なのではないでしょうか。

 

例えば女子校、男子校に限らず、共学校でもキャリア教育の一環として行われている、卒業生の講演や講話会について考えてみましょう。男子生徒には大きな夢を与え、女子生徒には具体的な目標を与えるのが、効果のあるキャリア教育の方法です。

 

男子校では中学生から高1くらいを対象にしたものでは、夢や希望を抱かせるような、抽象的な講演内容が多いようです。高2、3年生を対象にしたものになってようやく、進路選択や受験勉強の方法などといった、具体的な講演内容になってきます。

 

一方で、女子校では比較的早い段階から将来についての具体的な講演内容を話すものが多いようです。学校によっては、中学生の頃から卒業生による、女性としての現実を突きつけるような、生々しい講演が行われています。

 

例えば豊島岡のOGであり、大手自動車メーカーに勤めている卒業生の一人は、卒業生公演として、男性社会で働く女性社員の厳しい現実を刻々と生徒に伝えたと言います。もし男子生徒のいる学校であったならば、講演の内容も違ったものになったであろうという感想を豊島岡の教員は持ったそうです。

 

さらに白百合の卒業生である産婦人科医は、自身の勤務経験から、女性の高齢出産に対して危機感を覚え、女性の性のタイムリミットを訴える講演がしたいと、自ら名乗りをあげたそうです。母校の生徒には正しい知識を持って将来設計をしてほしいという、切実な願いがあったのかもしれません。

 

今現在、社会の中で日々、女性として戦い続けている卒業生の講演は、ただでさえ感受性の高い女子生徒たちの気持ちを大きく揺さぶります。この講演によって女子生徒たちは、未だ男社会として機能し続ける世の中に、1人の女性として挑んでいかなければならない、厳しい現実を突きつけられるのです。

 

講演が終わった後、女子生徒たちは少なからず、自分の女性としての将来について考えるようになります。女子生徒の中には、将来に不安を覚える子も出てくるかもしれません。そんな時、共感性に溢れた女子校だからこそ、周りの生徒たちと不安を分かち合い、時には意見を交換し合うことで、安心感を得ることができるのです。

 

思春期は、自分が女性であるという現実を心身共に強く感じる時期です。そのためこの時期に「女性としての自分の将来」について真剣に考えるということは、後々とても大切な経験となってきます。

 

そんな思春期に同性だけで過ごす環境・時間を確保して与えてあげることは、私たち大人が考えるよりもずっと大きな意味を持つのかもしれません。

 

きっと共学校でも、「女性の将来」や「社会で戦う女性」といったテーマで卒業生が講演をする機会はあるでしょう。しかし、同じテーマであっても、同性の生徒だけに話すものと、男女が混同している生徒たちに話すものとではその趣旨やニュアンスが変わってくるはずです。

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