子育てと仕事、忙しい中でも大事にしたい夫婦のコンビネーション

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仲良し夫婦

毎日忙しく、子育てになかなか参加できないと悩んでいるお父さんは多いと思います。そんな方におすすめしたいのが、毎日数分を割いて濃密に子供と関わる形での子育て参加です。

 

毎日数分間真剣勝負で子供と向き合い、数分間が数時間分にもなるほどに子育てをしようというものですが、毎日遅くまで残業続きのお父さんたちにしてみれば、たった数分間といえども毎日それを捻出するのはものすごく大変、というのが正直なところではないでしょうか。

 

そうなるとやはり子育ての主役はお母さんということになり、お父さんはお母さんとうまくコンビを組んでいくことが重要になってきます。ここでは仕事に子育てに忙しい中、どうやって夫婦のコンビネーションを保っていくかについて見ていきましょう。

 

お母さんとの関係が良ければ子育てもうまくいく

お父さんがどれだけ一生懸命になり、子供のために毎日数分間を使ったとしても、当然ながら子育てのすべてがそれでこなせるわけではありません。時間的にも内容的にも、それ以外の時間に子供と関わるお母さんの方が間違いなく子育てに関わることになります。

 

必然的に、子供は長い時間お母さんからのお世話を受けて過ごすことになりますので、子供はお母さんからの影響を強く受けます。

 

そんな中、お母さんがいつもカリカリしていて、子供に対してマイナスの言葉ばかりかけていたとしたら、子供は自然と自己価値観が低く育ってしまい、「自分は駄目な人間なんだ」といったような思考様式を持つ人間になってしまいかねません。結果的に、粘り強さに欠けすぐにあきらめてしまうような人間に育ってしまう可能性もあります。

 

逆に、お母さんがいつもポジティブシンキングをする人で、子供にもプラスの言葉を多くかけているような家庭では、子供もそうしたものの考え方を身につけるようになります。そうなれば自然に自己価値観の高い人間に成長し、粘り強く一本芯があって、障害に突き当たってもものごとを投げ出さない強い人間となることでしょう。

 

このように、お母さんのあり方は子供に大きな影響をもたらしますので、子供をよく成長させたいなら、お母さんが良い状態であるかどうかということが非常に重要になってきます。

 

しかし、お父さんが子育て時間を満足に取れないほど忙しいような場合、得てしてお母さんは子育てや家事でいっぱいいっぱいになっていることが多いものです。時間的にも精神的にも子供の世話をするのに大わらわで、自分について身体的・精神的に状態がどうかなどと考えているような暇はないのが実際のところでしょう。こういった状況において、お母さんの状態を良いものにキープするには、お父さんの力が必要になってきます。

 

毎日忙しく働いている場合、生活時間的な問題からお父さんと子供が触れあえる時間はそんなに取れないのではないかと思われます。しかし、大人であるお母さんとであれば、ある程度の時間をキープできるはずです。

 

お母さんと良い関係をキープするべく頑張るというのは、子供が眠っている間にする間接的な子育てであると言えるでしょう。そして場合によっては、忙しい中お父さんがした子育ての中で、子供にとって一番良い影響を与えることになるかもしれないのです。

 

実際、平成23年にベネッセ教育総合研究所が行った調査によれば、お父さんとお母さんの間の関係が良い状態の家庭では、お父さんが子育てに対して肯定的な感覚を持ちやすくなり、結果子供にとっての成長環境が良いものになるという結果が出ています。

 

夫婦の間の意思疎通がかみ合わないのは何故?

お母さんとなるべく良い関係をキープすることが、お父さんの役割として非常に重要であると言えば、そんなことは言われずとも分かっているという声が聞こえてきそうです。しかし重要なことは、分かっているのに会話がなかなかかみ合わない、というのもまた事実ではないでしょうか。

 

得てして夫婦の間で意思疎通をするときには、うまくかみ合わないことが多いものです。これにはきちんとした理由があります。その理由とは、両者のコミュケーション体系が根本的に異なっているからです。女性はコミュニケーションの場面で高い共感能力を用い、男性は同じ場面でシステム化をしようとします。その違いによってかみ合わなさが発生してくるのです。

 

学校のクラス内での人間関係などを見ても、女子は共感能力を通じて横断的な組織を構成する傾向がありますが、男子は命令を通して縦断的な組織を構成する傾向があります。

 

つまり、女性対女性の場面ではお互いに持っている共感の能力を活かし、言葉がなくても互いに自分の果たすべき役割を理解する、といったことができるようになります。しかし、夫婦の場合のように女性対男性の場面では、男性の側が女性が期待する反応を返せないため、女性の側が苛立つという結果が生じるのです。

 

逆に男性は、立場が上の人からの命令を受け、立場が下の人に頼み事や指示をし、また相談を受けるというように、縦断型のコミュニケーションを得意としています。そのため、はっきりとした命令や依頼に対する反応や対応には効率性を求めがちで、最も早く最も効果の上がるような対応策を取りたがります。

 

これは相談を受けた場合にも顕著で、相手の悩みをある程度把握した時点で「要するに~」と相談内容をまとめ、解決策を考えて、こういう方法でやればいい、という形で答えを返すものだと思っています。

 

会社組織などではこれは非常に役立つ能力なのですが、女性からの相談にこういう形でレスポンスするのは最悪のやり方です。男性としてはよかれと思って話をしたにもかかわらず、女性から見れば自分の話を最後まで聞いてくれないということで不満を抱くことになってしまうからです。

 

お母さんの「お悩み相談」に上手に対応するには

お母さんがお父さんに対して、ちょっと聞くと相談に思えるような話をする時、それは実は相談ではなくて愚痴のことが多いです。つまり、お母さんはお父さんからの助言が欲しいわけでも話を要約して欲しいわけでもなく、自分の中のもやっとした感じをすべて吐き出し、一緒に「それはたいへんだったね」と感じて欲しいだけなのです。

 

つまり、そういった時には黙って最後まで話を聞くというのが正解になります。話を途中で遮って助言などすると、よけい機嫌を損ねることになってしまいますので注意が必要です。お母さんからの相談に上手に対応するためには、次のような態度を取るようにするとうまくいきます。

 

改善策を持ち出さない

お母さんから愚痴を聞かされた時、あるいは、「ちょっと相談があるんだけど」などと持ちかけられた時、注意したいのが「改善策や解決策を示そうとしてはいけない」という点です。

 

話の中に隠れている問題点を抜き出し、どうやってそれを改善したり解決したりすればいいかを考え、解決策をわかりやすく示す・・・、職場であれば素晴らしい対応になるかもしれませんが、お母さんの愚痴に対してこれをやるのはNGです。

 

お母さんがお父さんに愚痴を言うような時、ほとんどの場合は解決策が欲しくて話をしているのではありません。何をしたいのかというと、単に愚痴を言いたいだけ、聞いて欲しいだけなのです。

 

これは、「相談」という“いかにもなワード”で話が始まった時にも、たいていの場合同じです。自分でも気づいてはいないけれど、やっぱり単に思ったことを聞いて欲しいだけ、というようなことが多いのです。

 

親身に考え過ぎない

男性の場合、何か相談されたときに親身になって話を聞けば聞くほど、何とかして相手の問題を解決してあげたいと思うものです。しかし、相手は解決策を求めていないのですから、これは逆効果です。

 

途中で話を遮って内容を要約し、問題点を抽出し始めたり、対応策を言い始めたり評価を下したりすると、お母さんからすれば自分の話につきあってもらいたいだけなのに、それができなくなり感じていたストレスがしまいにはお父さんへの憎悪となって噴出したりしかねません。

 

このようにならないように相手の相談を受ける一番の方策は、親身になりすぎないことです。お母さんの相手をしているのではなく、偶然居合わせた見知らぬ誰かと話をしているようなつもりになって話を聞くようにした方が良い場合が多いのです。

 

男性と女性のものの考え方には違いがありますし、問題解決方法が真っ向から違っているようなこともよくあります。どうすべきかということよりも、単に話を聞いて、相手の聞きたがっていることを言ってあげた方がコミュニケーションはうまくいくようになります。

 

可能/不可能で答えない

妊娠でつわりに苦しんでいる時や、育児中にストレスをため込んでいるような時、お母さんが「ああ、きつい。ねえ、ちょっとこれどうにかして!」などと無茶ぶりをしてきたような経験はないでしょうか。

 

こういう愚痴に対してお父さんがやってしまいがちなのが、「そんなこと言ったって、俺にはどうしようもないよ」と答えてしまうこと。実際、どうしようもないのは事実で間違ってはいないのですが、こういう対応は最悪です。最悪の場合、夫婦関係にヒビが入りかねません。

 

無茶ぶりをしている本人も、どうにかしてと言ったらお父さんが実際にどうにかしてくれるとは思っていません。単に自分が苦しいということを理解して欲しい、辛さを共有して欲しいと思っているだけです。従って、こういうときには相手の辛さ苦しさに寄り添う言葉をかけるのが正解です。

 

お母さんからの相談に上手に対応するためのやり方として、覚えておきたいテクニックも3つほど紹介しておきます。

 

適度な相づちを打つ

お母さんの愚痴や相談については、黙って最後まで話を聞くのが正解と言っても、完全ダンマリというのはよくありません。実際に実験してみると分かりますが、自分が話している時に相手が全く無反応だと、ものすごく話しにくいものです。ここは心につまった異物をきれいにはき出してもらうべく、適宜相づちを打って話を促しましょう。

 

単に復唱する

こちらもタイミングは重要ですが、相手の話していることをそのまま繰り返すようにします。「今日○○なことがあって・・・」と言われたら、「今日○○なことがあったんだ・・・」と返し、「かなり腹が立って」と言われたら、「腹が立ったんだね」と返すようにするだけです。

 

話を聞きながら、矛盾点や違和感を感じたとしても、そこはぐっと飲み込んで相手の言うことを繰り返すようにします。そうすれば、自分の話をきちんと聞いてくれていると思うものです。

 

いたわりの言葉やねぎらいの言葉を挟む

まずはお母さんの愚痴や相談を最後まで聞き、一段落ついたところですっといたわりやねぎらいの言葉をかけます。それも、「それは大変だったね」であったり、「よくやってると思うよ」程度の言葉で十分です。愚痴や相談を聞いてもらい、共感を示してもらえたということでお母さんは満足し、話は無事に終わりとなることでしょう。

 

夫婦喧嘩を上手に収めるには

お父さん側に精神的な余裕がある場合には、コミュニケーションにも性差があることを頭に置いた上で、お母さんの愚痴や相談をうまく聞いてあげることは可能かと思います。しかし、お父さんもまた仕事上のストレスなどで精神的にいっぱいいっぱいで、お母さんの愚痴や相談ごとなど聞いている余裕がないというような場合にはその限りではありません。

 

こういう場合には得てして、子育てでストレスを溜めたお母さんと、仕事でストレスを溜めたお父さんの間に夫婦喧嘩が発生してしまうことになります。こうした夫婦喧嘩は、後から考えるとどうでも良いようなこと、例えば言葉の選び方が気にくわなかった、といったようなことがきっかけになって始まることが多いです。しかし、いったん始まってしまうと互いに嫌な思いをするだけでなく、ものすごくエネルギーを使ってしまうことにもなりかねません。

 

そこで、夫婦喧嘩が始まってしまった時、あまりエネルギーを消費せずに収束に向かわせるためのポイントをいくつか紹介しておきます。

 

夫婦喧嘩に勝っても良いことはない

夫婦喧嘩は相手を打ち負かすためにやるものではありません。お互いの考えていることを理解するためにやるものです。理詰めでお母さんを負かすことができれば、その場では良い気分になるかもしれませんが、その後ずっと口をきいてもらえなかったりと、まず良いことはありません。たいていの場合、こじれてから後で謝る方がたいへんなものです。はじめから喧嘩に勝とうとしないことが肝心です。

 

仲直りはきちんとする

お互いが自分の意見を口にし終わったら、そこで無理に結論を出そうとしない方がうまくいくことが多いものです。喧嘩してカッカ来ている時に気持ちのポイントを切り替えるのは至難の業ですが、腹が立っていたとしてもぐっと抑えて仲直りのための行動を取りましょう。行動を変えることで気持ちもだんだんとおさまっていくものです。

 

結論を出そうとしない

冷静に話し合っているならともかく、夫婦喧嘩は互いに感情的になりがちです。そんな状況でお互いが受け入れることのできる結論など、まず無理というものです。たいていの場合、結論を出そうとして話を詰めようとすると、かえって事態がまずくなってしまいがちですので、無理に結論を出そうとしない方がベターです。

 

原因を見ずに解決を心がける

職場で問題ごとが持ち上がった時、「そもそも誰のせいなんだ?」という議論を始めるのが不毛であることは論を待たないことかと思いますが、これは夫婦喧嘩でも同じです。しかし、感情的になりやすい喧嘩の場面では、「そもそも君が・・・」であったり、「元はと言えばあなたが・・・」といった言葉をつい言ってしまいがちなもの。原因に目を向けず、どうやったら喧嘩を収めることができるのかに目を向けましょう。

 

違うお題を持ち出さない

「○○の時、あなたが・・・」は禁句です。こちらが今の喧嘩と関係ない話題を持ち出せば、相手も同じやり方で逆襲してきます。結果、話がますます混乱してしまうことになるでしょう。仮に相手が「○○の時・・・」と言い出したときも、その話題に乗らない・逆襲しないことが大事です。

 

勝手に退場しない

趨勢が悪くなったり、言い合うのが面倒になってくると、一方的に話を切り上げて部屋にこもってしまうようなことをするお父さんが時たまいますが、これは最悪です。取り残された相手は大きな孤独感、むなしさ、やり場のない怒りに包まれてしまうからです。かなり遅くなってしまったというような時には、「もう遅いから明日また話そう」という形できちんと相手に同意を取った上で話を切り上げることが大切です。

 

言いたいことを言い終わったら一旦休戦する

夫婦喧嘩で大事なのは、お互いが納得できる一つの結論を出すことではありません。お互いが自分の思っていること、自分の言い分を存分にはき出すことです。そういう意味では、ある程度言い分を言い終え、互いに同じようなことを言い始めた時には、言いたいことを言い終わっていると見ることができますから、そのタイミングを捉えて喧嘩に幕を引きましょう。

 

喧嘩後の態度は重要

夫婦喧嘩を一時休戦した場合でも、あるいは喧嘩が終わった後でも、その後の態度が重要です。感情的な言い合いの後なので腹が立っているとは思いますが、それでもきちんと「ありがとう」や「ただいま」などの挨拶は欠かさないようにしたいものです。そうでないと、お互いに素直になって通常モードに戻る機会を逸してしまいます。腹の底はどうあれ、挨拶だけは交わしておけば、仲直りするまでの時間もぐっと短くなります。

 

喧嘩をすることで夫婦は寄り添える

結局、夫婦喧嘩で大事なのは、お互いに自分の言い分をきちんと最後まで言い合うことです。そして、その後には(気持ちの上ではともかくも)表面上きちんと仲直りをすることです。

 

わざわざ喧嘩までしたのに、「お互いの納得いく結論を出さなくてもいいのか?」という指摘が出そうですが、実際のところ出さなくても構いません。一見、喧嘩の前と何も変わっていないように思えるかもしれませんが、実際のところはきちんと無意識レベルでの変化が生じてくるからです。

 

人間の言動というのは、90%以上が無意識の領域によって影響を受けていると考えられています。例えば、「○○課の××さん、ちょっと苦手なんだよな」と思っているとしましょう。そうすると、特に意識した覚えはないのに、気づくとその課の近くを避けて通るようになったりするのです。

 

夫婦喧嘩についても同じことが言えます。お互いに言いたいことを言い合って、相手の心の中がどうであったのかを知ると、仮に話しているときには相手の言い分に納得できなかった場合でも、その後は無意識の段階で相手にある程度の配慮をした上での言動をするようになるのです。

 

例えば、お母さんから「子供に甘すぎる」と指摘されたとしましょう。言われたときには「そんなことはない、押さえるべきところは押さえてるはずだ」と感じたとしても、喧嘩の後に子供に対処するときには少し辛めに接するようになったりするものです。これは、お母さんの言い分に納得していなかった場合や、お母さんからの批判を恐れていない場合であっても同様の結果が出ます。

 

つまり、お母さんの言い分を知った時点で、無意識のレベルで譲れる線は相手に譲った方が良いというように、言動に修正がかかるようになるわけです。夫婦喧嘩をした後には互いに少しだけ相手の立場に配慮できるようになるわけで、そんなふうにして喧嘩を繰り返すことで、夫婦はだんだんと互いに寄り添っていくことになります。

 

従って、一見無意味な消耗戦に見えがちな夫婦喧嘩であっても、夫婦関係の構築に大きな影響を及ぼしていることになります。むしろ喧嘩をしない夫婦の方が、いつまで経っても相手の立場に寄り添えないという意味で問題があると言えるかもしれません。

 

もともと、夫婦喧嘩が起きるのは、パートナーに自分の思いを理解して欲しいという強い思いがあるからです。自分のことを理解してもらえなくてもいいというような冷め切った関係であれば、夫婦喧嘩のような面倒なことは極力避けて通るようになるだけです。ですから、昔から言うように「喧嘩するほど仲が良い」のです。

 

相性が良いパートナー同士では子育てに関する喧嘩が増えがち

夫婦喧嘩というのは、互いに相手に自分の考えを分かって欲しいと思うために起きるわけですが、そうした観点から見るならば、パートナーとの相性が良い場合ほど、子供ができると夫婦喧嘩が増えるとも言えます。

 

「パートナーとの相性が良い」というと漠然としていますが、これはつまり、自分が足りないところはパートナーが得意としていて、パートナーが苦手なところは自分が得意であるというように、夫婦間で補いあえるような間柄であるということです。例をあげれば、自己主張が強い人と自己主張が万事控えめな人というのは、こうした相補的な間柄になりやすいので相性が良いと言えます。

 

夫婦二人で生きていくには良い関係であっても、子供ができると関係性が変わってきます。強く自己主張できる人の方は、今までそのようなやり方をすることで人生をうまく渡ってきたという考え方をしていますので、自分の子供にも強く自己主張ができるようになってほしいと考えがちで、実際にそういうふうに育つようにと働きかけをするものです。

 

反対に、控えめな自己主張で人生を渡ってきた方の親は、自己主張を控えて周囲との摩擦を生まないようにすると人生がうまくいくと思っていますので、子供には自己主張を控えるようになって欲しいと思うわけです。

 

こうして相性が良い夫婦同士で、子供にどんな育ち方を求めるかという点が真っ向異なってきます。このため、いざ子育てが始まったときに意見が衝突するのです。

 

そのように言われると、なんだか深刻な断絶が生じてしまいそうな気がしてきますが、子育てに関してそういう衝突が起きるというのはむしろ良いことかと思います。それは、子供が自分の価値観を形成する場合に、非常に良い影響を与えるからです。

 

両親の価値観が違っていれば、子供はその両方のやり方の長所と短所を見比べることができます。そして、その広い幅を持つ価値観の中から自分に合った個性を選んで伸ばしていくことができるからです。複数の兄妹がいる場合、それぞれ違った性格の子供になっていくことでしょう。

 

このように、相性が良い夫婦の方が幅広い可能性を持つ子供世代が育つ可能性があると考えられます。そう考えると、家庭というのは実に面白い仕組みになっているものだと思わずにはいられません。

 

イクメンお父さんのいる家庭ほど夫婦の衝突は増えがち

もしお父さんが旧態依然とした子育て感の持ち主で、子育てに関することは全てお母さんにお任せというような人だったとしたら、子育てがらみで夫婦の衝突が起きるようなことはないでしょう。

 

最近の世情を見ると、男性も子育て・育児により参画するようにすべきであるとして、お父さんがいわゆる「イクメン」であることは非常に良いことといったような風潮があるかに思えます。しかし、得てしてそういう家庭ほど、子育てに関してお父さんとお母さんがぶつかることが起きるものです。

 

企業の経営者には、いわゆるワンマン経営をする社長さんが結構いますが、そういった社長さんにはかなりの重責がのしかかるものです。経営判断をする時には、自分の判断が全てを決めることになりますし、その結果次第で従業員の人生を狂わせるようなことも起きるかもしれません。

 

そんな重責に押しつぶされそうな時に、有能な共同経営者になりうる人物を見つけ、その人物を招聘して副社長に据えたとしましょう。初めのうちこそ、頼りになる人物に来てもらえてよかったと思えるかもしれませんが、いずれ社長と副社長の間で経営のスタンスにずれが生じはじめ、それによって意見の衝突も起きるようになっていきます。

 

結果として、これならまだ一人で全てやっていたころの方が、楽だったかもしれないと感じるようになる・・・、というようになることが意外にあります。こうした例と同じようなことが、子育てに積極的なお父さんのいる家庭でも起きる傾向が高くなります。

 

先に挙げた「子育てに関することは全てお母さんにお任せ」という例は、いろいろと問題だという指摘を受けそうですが、逆に考えれば、子供のことはお母さんを完全に信頼して任せているということです。ところが、お父さんが子育ての役割に開眼し、自分の価値観を反映した子育てを突然始めたとしたらどうでしょうか。

 

お母さんにしてみれば、自分の領域を侵されたように感じるかもしれません。そうなれば、子育てに口を出し始めたお父さんに対していらだちを感じ、それを表し始めるお母さんもいるでしょう。いらだちをぶつけられたお父さんからすれば、せっかく子育てに参加しようと頑張っているのに、なんで迷惑がられなければならないんだろうとなってしまいます。

 

このように、いわゆるイクメンお父さんのいる家庭ほど、夫婦の衝突が増加するということが起きてきます。これはかなり皮肉な結果であると言わざるを得ません。

 

意見の衝突は互いの真剣さの表れと考える

夫婦間で子育てに関する緊張が高まってくると、お父さんもお母さんも「またか!」と感じるようになるものです。こうなってくると、なんだか全てのシーンでお互いの価値観が違っているような気がしてくるものですし、それでより関係がぎくしゃくしてきたりします。どうしても違いがあるポイントにばかり目が行ってしまいがちになるためです。

 

ここで一旦思い出して欲しいのは、一緒に家庭を作って生きていくことをお互いに納得し、一緒に子供を作り、名前を決めて、子供に必要なことはお互い何でもしようと決めたという事実です。

 

基本の部分においては、まったく問題なく意見の一致を見ているからこそ、細部についての相違が見えた時に、逆にそれが大きな違和感として感じられるのだということに留意しておく必要があると言えます。

 

子育て中に意見が衝突し「またか!」と苛立った時には、いつもは当然すぎて思い浮かべることもない大事なポイント、夫婦間で共有している価値観の部分について考えるようにすべきです。そして、意見がぶつかるというのは、「お互いに真剣に子育てに邁進しようとしているからだ」という考え方をしてみてください。少しは苛立ちも軽減されるのではないでしょうか。

 

子育てではどうしても子供とたくさんの時間を過ごすお母さんがメインの役割を担いがちで、そのためお母さんの状態を良い状態にキープするのもお父さんの大事な役目です。

 

しかし、意見がぶつかっていて喧嘩をしている時には、そうも言っていられないでしょう。お母さんに笑顔でいてもらうのも大事ですが、子供のためを思ってする喧嘩もそれはそれで大事なことです。お父さんとしては二律背反に陥ってしまうので辛いところでしょう。

 

ここで忘れないようにしたいのは、お母さんがメインとなりがちな以上、譲れるポイントについてはなるべく譲るということを心がけるということです。子育てについては、気持ちや熱意はお母さんにも負けるものではないが、権限については一歩譲るといった態度を示すとうまくいきます。しかしながら、どうしてもここは譲れないと思った時には、膝つき合わせてきちんと話し合いをすることもまた必要です。

 

お父さんが真っ向からぶつかってくれば、その瞬間はお母さんも苛立ち、夫婦間が少々ぎくしゃくするかもしれません。しかしながら、お互いに思うところをすべて吐き出し、それを互いに共有して認め合った時、そうする前よりもずっと良い夫婦関係を築くことができるようになります。

 

ぶつかり合う夫婦の元では他人を尊重できる子供が育つ

確かに子育てで何か引っかかりが生じるたびに、毎度夫婦の間を険悪にしてしまうのはたいへんですし、そうでなくても疲れているお父さんの中には面倒くさいと感じてしまう人もあるかもしれません。しかし、建設的な衝突の後には夫婦関係がより良く変わります。そういう意味では、こうしたぶつかり合いは必要なプロセスなのです。

 

子育ての場面でぶつかり合いが生じやすいのは、子供を育てるということがきっかけとなり、2人だけで生きていた時には見えなかった違いや見ようとしなかった相違点に気づけるようになるからです。そうしたポイントについて互いに認識を深め、その違いを尊重し合うことができるようになれば、価値観で衝突をせずに互いを認め合える多様性のある家庭環境を築くことができるようになります。

 

このような多様性のある環境で育った子供は、お父さんとお母さんが時に意見をぶつけ合いながら、それでも仲良く生活していく様子を目にして大きくなります。

 

喧嘩や仲直りを繰り返しながら生きていく親のあり方を見ることにより、子供は「夫婦であっても、それぞれ違っていてもいい」といったことや「意見が違っていても、互いに尊重し合うことはできる」ということ、そして「言いたいことを言い合える関係こそが、本当の信頼関係である」といったようなことを、ごく自然なあり方として学びとっていきます。

 

ある日夫婦喧嘩した親たちが、次の日にはいつも通り仲良く家庭生活を送っていたり、かえって前よりも仲良くなっているような様子を見ながら育つことで、夫婦という形で男性と女性が一つ屋根の下で暮らすというのは不思議で、そしてなんだかいいものだというように思ってくれることでしょう。

 

そんな環境下で育った子供は、自分の価値観とは違う価値観を持った相手であっても、その価値観を尊重できるような人物に成長することでしょう。相手にあわせて自分の意見を主張し、それでいて相手を受け入れることができるような多様なあり方に適応した人物に育つのです。

 

昨今のグローバル時代にあって、自分の意見をきちんと主張し、それでいて相手の主張を尊重できる人材というのは重要であり、多方面で必要とされるようになってきていますが、まさにそんな人間に育てることができるのです。

 

こうした子供は、多様性というものに対して自然な適応力を有しています。そしてそのことは、その子供にとって将来ものすごい強みになっていくことでしょう。

 

勘違いイクメンにならないようにしよう

建設的な子育てをするためには、場合によっては夫婦間で喧嘩をすることも必要となってくるわけですが、とはいえまったくする必要のない喧嘩や衝突といったものも存在します。浮気をしてみたり、家族に内緒で借金をしたりしたのが発覚し、それについて責められるといったような類いのものです。

 

パートナーが自分を責めているからといって、反論するとなったらそれは単なる居直りでしかありません。そんな理由の喧嘩が子育ての役に立つはずもありませんので、子供の前でしてしまうことのないようにしてほしいものです。

 

そこまではいかずとも、毎日忙しい中で時間を捻出して子育てをするお父さんたちが、陥りやすいワナがあります。それは、子育てや家事を頑張ってやっているつもりなのは本人だけで、実際にはお母さんや周りの家族の苛立ちの元にしかなっていないという勘違いイクメンになってしまうことです。

 

こういった勘違いイクメンになってしまうのは、あるパターンがあります。自分では子育てや家事をきちんとこなしているつもりでも、大事な点をおさえていないためにあまり助けになっていなかったり、たくさんあるしなければならないことのうち一部だけをやって得意げにしていたり、良いとこ取りにしかなってなかったりするような場合です。

 

こういった勘違いイクメンは、まったく何もしようとしないよりは、かなりましだとは言えるかもしれませんが、独りよがりのことだけして、自分はいっぱしのイクメンになったつもりで、得意そうにしているところが痛々しく映ります。

 

こういった勘違いイクメンは、お母さんたちが毎日たいへんな思いをしてこなしている子育てや家事の全貌が把握できていません。そのため、大事な点をおさえ損ねたり、ほんの少しやっただけでも何かものすごくたくさんのことをこなしたような気になってしまいます。

 

それで得意そうな様子を見せるわけですから、毎日たいへんな思いをしているお母さんたちから見れば非常に腹立たしく映ります。その程度で得意がられるぐらいなら、いっそ何もしてくれない方がましだとなるわけです。

 

ここで問題を厄介なものにするのは、こうしたタイプは「勘違い」をしているわけですから、自分が問題のあることをしているという認識がない点です。このため、腹を立てたお母さんから苛立ちをぶつけられても、どうしてそうなってしまうのかが全く理解できません。このため、お母さんとの間で、もめ事になってしまっても議論がかみ合わず、多様性をもたらしてくれるような意義ある夫婦喧嘩ができないのです。

 

「自分は頑張っていろいろやっているのに、全く評価してもらえない。それどころかよかれと思ってやったことに、クレームばかりつけられる」などという悩みを抱えているお父さんは意外に多いものですが、ギャップの背後にはこうした意識のずれが潜んでいるものです。

 

ではどういう行動が勘違いイクメンとみなされがちなのか、いくつか例を見てみましょう。このうちかなりの数が当てはまるようなら、かなり勘違い度が進んでいるかもしれませんので、少し自分を顧みた方がいいかもしれません。

 

子供が生まれたばかりのころ、自分にできることは限られると考えていた

生まれたばかりの赤ちゃんには言葉が通じません。そのため、言葉が通じないうちは自分にできることはあまりないと誤解しているお父さんが結構います。

 

この時期の赤ちゃんは、言葉で意志を伝えることができないぶん、身体全体を使った動きで、泣き声で、周囲に自分の意志を伝えようとするものです。そしてお母さんは赤ちゃんのそうした情報発信を、それこそ全身を耳にしてくみ取ろうとします。そうしている傍らで、「言葉が通じないから自分にできることはあまりない」などという態度を取っていられたら、お母さんは苛立ってしまうことでしょう。

 

実は簡単なことしかしていなかったり、良いとこ取りしかしていない

例えば、子供のおむつ換えをする際に、オシッコの時はやるけれどもウンチの時は手を出さず、お母さんに任せているというようなことはないでしょうか。あるいは、子供をお風呂に入れる際、自分がやっているのは単に子供といっしょに湯船に入ることだけで、お風呂に入れる前後にしなければならないもろもろの雑事はお母さん任せだったりしてはいないでしょうか。

 

こうした「子育て」は、子育て全体のごく一部にしか過ぎず、しかも面倒なところを除いたいわゆる「良いとこ取り」でしかありません。たいへんな部分をすべて担当しているお母さんから見れば、それで「自分は頑張っている」などと言われてでも、ただ腹立たしいだけということになってしまいます。

 

赤ちゃんへの授乳中は自分は関係ないと思っている

お母さんが赤ちゃんに授乳している時、自分は関係ないとばかりに他のことをしているようなお父さんは結構います。

 

赤ちゃんへの授乳というのは、単に栄養を与えるだけの行為ではありません。赤ちゃんと視線を交わして愛情を表現し、安心感で包み込んであげる機会でもあります。こうした絶好の機会なのですから、お父さんもお母さんと一緒になって赤ちゃんに愛情を向けてあげるべきではないでしょうか。

 

子供が泣き出したら、泣き止ませるのはいつもお母さん

何かの拍子に子供が泣き出してしまうと、自分では泣き止まないからとすぐにお母さんにバトンタッチしてしまうお父さんがいます。そうなると、お母さんは他に忙しいことがあったとしても、そちらを放り出してかかり切りにならなければいけなくなってしまいます。忙しい時こそお父さんの手を借りたいのに、これでは役立たず扱いされても文句は言えません。

 

家事をしたつもりにしかなっていない

よく、ゴミ捨ては自分がしているというお父さんがいますが、実はお母さんがまとめたゴミ袋をステーションに持って行っているだけといったことにはなっていないでしょうか。

 

ゴミ捨てという家事において、一番手間がかかるのは家のいろいろなところにあるゴミを一つにまとめるプロセスです。それをせずにまとめてもらったゴミ袋を捨てに行くだけというのは、ゴミ捨てという家事を受け持ったことにはなりません。

 

また、週末の休みに料理をしているといったお父さんが時々いますが、その時に家族みんなの好みや栄養面にも気を遣った料理をしているでしょうか。また、経済的な側面にもきちんと配慮して食材を選んでいるでしょうか。

 

お母さんが食事の準備をする時には、こうしたことにきちんと注意して料理をしているわけですが、そうでない料理はいわゆる「男の料理」です。言ってみれば趣味であって家事とは呼べないものです。

 

子育ての方針で議論になり、お母さんを言い負かしてしまった経験がある

お互いに子供の将来のことを考えている夫婦ほど、子育ての方針に違いが生じ、時に議論になってしまいがちなものです。考え方に違いが出たとしても、忘れてはいけないのは夫婦が共同で家庭生活を営み、そして子育てをしているということです。議論で熱くなり、その場の勝ち負けにとらわれてお母さんを言い負かすようなことをしていては、とうてい評価してもらえることにはなりません。

 

子育てや家事を頑張っているつもりだが、それを認めてもらえない

自分の行為を振り返ってみた時に、上記のような「勘違い」をしてはいないと自信を持って言えるのに、それでもなお母さんからの評価が低いというような場合は、ちょっと根深い問題があるかもしれません。何らかの理由で、お母さんから愛情を受けられなくなってしまっている可能性があります。(こちらに関して詳しくは後述します)

 

子育ての権利を強く主張しがち

時々職場などで、子育てをする権利を振りかざすような勘違いした人を見かけます。確かに世の中の傾向として、男性の子育ては市民権を得てきてはいますが、こういう人はその権利の面だけに目が行っていて、職場の同僚や親戚の人、友だちなどにサポートをしてもらってはじめてうまくいくのだということを忘れています。周囲の人への感謝の念を忘れずに接するようにすべきでしょう。

 

お母さんが本当にして欲しいのはどんなことだろうか?

「いつの間にか勘違いイクメンになってしまった!」ということにならないためのコツは、子育ての中でかっこよさや楽しさを求めないことです。お母さんがお父さんに感謝するのは、当然ですがお母さんがお父さんに手を貸して欲しいと願っているまさにその分野を担当してあげることに尽きます。

 

自分が子育てや家事で良いとこ取りをしてはいないかを自問し、それがすんだら子育てや家事でお母さんがストレスを感じる分野はどこかを探してみて下さい。

 

世のお母さんたちを対象とした調査では、日々の家事の中でストレスを感じる分野の上位10位中7つまでに掃除がランクインしています。

順位 嫌いな家事 回答
1位 お風呂掃除 45.8%
2位 アイロン掛け 43.5%
3位 トイレ掃除 40.6%
4位 エアコン掃除 33.6%
5位 窓拭き 32.6%
6位 キッチン掃除 32.1%
7位 掃除(掃除機) 30.7%
8位 食器洗い 27.9%
9位 洗面所周りの掃除 27.7%
10位 夕食を作る 24.6%

(出典:(株)ハー・ストーリィ / 20代~60代の女性1000人を対象に、2012年1月24日~2月2日に実施したWEBアンケート調査)

 

つまり、お父さんが家事の一部を担当するなら、こういった掃除の分野を担当するようにした方が評価が高まるということです。掃除というと、何か腕まくりして時間をかけてやることのように勘違いしている人がいますが、毎日ちょっとずつを心がけることで相当きれいになるものです。忙しいお父さん向きの家事とさえ言うことができる分野です。

 

お母さんたちが一番嫌がるお風呂掃除ですが、毎日残業で遅くなり、家族で一番最後にお風呂を使うことの多いお父さんこそできるやり方があります。自分がお風呂を使った後、そのまま上がるのではなく、毎日そこで軽く掃除をするのです。お湯を捨てる時に浴槽を軽く掃除し、排水口のトラップにたまっている髪の毛やアカの塊を処分するということなら、そんなに時間をかけずにできると思います。

 

また、トイレの場合、自分がトイレを使った後にちょっとだけ時間を割き、汚れが目立つところをトイレの汚れ拭きなどで、ささっときれいにしておくということを実践してみましょう。毎回少しずつでも実行していればすごくきれいになります。

 

そもそも家庭のトイレが汚れる一番の理由は、男性の小便の飛沫が飛び散ることです。汚れは付着した直後が一番落ちやすいため、お父さんがささっとやるのが実は一番効果が高いのです。

 

また、用を足した後、便座の蓋を閉じない人がいますが、これを必ず閉じるようにするというのも効果があります。蓋を閉じる時に汚いままであることに抵抗感を覚えれば、自然とまめに掃除をしようという気になるからです。副次的なものとして、保温機能がついている便座の場合、蓋をこまめに閉じるようにすると家計にも優しいという効果も得られます。

 

このほか、お母さんの手が届きにくい高所の埃払い、蛍光灯の交換、自転車などの機械ものの整備といったように、お母さんたちが苦手そうだなと思うところをさりげなく片づけておくようにすれば、自然とお母さんからの評価は上がっていくことでしょう。

 

週末だけ料理をし、余計な食材を買い込んだり冷蔵庫の中身を使い放題使ったり、台所を汚しっぱなしにするような家事をするよりも、スキマ時間を活用してでもお風呂やトイレをきれいに保とうとすることの方がはるかに効果が上がります。お母さんの嫌がることを率先してやることこそ評価への近道と心得ましょう。

 

1日に数分、お母さんのたいへんさについても考えよう

お父さんたちの中には、自分が仕事に行っている間、お母さんたちがどんなにたいへんな状況に置かれているのかということを分かっていない人が結構います。一方で、お父さんが職場でどんな目に遭いながら生活の糧を得てきているのかについても、お母さんがきちんと分かっているとは限りません。

 

しかし、そうした点を比べ合ってたいへんさ合戦をやっても、意味が無いばかりか互いに嫌な思いをするだけに終わることが多いものです。

 

よく、パートナーが自分に対して思いやりを示してくれないと不満を述べる人がいますが、相手に思いやりを要求する前に、果たして自分の方はパートナーに思いやりを示しているのかどうか一度自問してみるといいでしょう。

 

自分はお母さんがどれだけたいへんな思いをしているのか、あまりよく考えたことがないかもしれないといったような謙虚な考え方を忘れないことです。それがお母さんに思いやりを示すことにつながります。

 

お父さんが残業で遅くなり、赤ちゃんをお風呂に入れる時間までに帰宅できない時、お母さんは赤ちゃんにお風呂を使わせるために、自分はゆっくりと入ることができていないかもしれません。お風呂から上がった後も、赤ちゃんが湯冷めしてしまわないように、自分は濡れたままで赤ちゃんのお世話をし、それが済むまでは毎日寒い思いをしているかもしれないのです。

 

また、お昼ご飯を作っている時でも、赤ちゃんがぐずり始めれば、料理を放っておいてそれをあやしに行き、結果として火の通り過ぎたおいしくないランチで我慢しなければならないようなこともしばしばです。来る日も来る日も赤ちゃんの生活サイクルにあわせて、自分を二の次にしなければならない生活を送っているのです。

 

そんなお母さんのたいへんさを理解することができるように、1日数分でいいので、そのたいへんさはいかばかりか想像してみるといいでしょう。そうやって多少なりとそのたいへんさが理解できれば、お母さんに対して素直に感謝の念が浮かんでくるようになるでしょうし、お母さんのこなしているもろもろのことを尊敬できるようになり、愛情も深まるというものではないでしょうか。

 

忙しく毎日仕事に明け暮れているお父さんほど、このようにしてお母さんのたいへんさに思いを致すようにすべきです。お母さんが自分のパートナーでいてくれることや、自分の子供の母親としてその役割を果たしてくれていることについて、それが当然だなどと思うようになってはならないのです。

 

お父さんがお母さんに対して感謝を感じ、尊敬し、深い愛情を示していれば、それは必ずお母さんに伝わるはずです。そしてお母さんの方からも、同じように感謝や尊敬、深い愛情といったものが返ってくるようになるものです。

 

子育てに頑張るお父さんたちが抱きがちな3つの悩みとは?

自分ではお母さんに対して感謝し、めいいっぱい頑張っていると思っているのに、お母さんからの愛情を受けられていない気がする・・・、そんな悩みを抱えているお父さんは意外に多く存在します。

 

子育てに頑張ろうと張り切るお父さんが抱く悩みというと、たいてい以下の3つに集約されます。

・子育てのストレスでいっぱいいっぱいになったお母さんが、自分に八つ当たりをしてくる

・頑張って子育てに参加しようとしているのに、考え方が違うばかりか、自分がよかれと思ってやったことにクレームばかりつけられてやる気が無くなってきた

・どれだけ子育てを頑張っても、いつまで経っても頑張っていることを認めてくれない。

 

逆に言えば、この3つのポイントさえ押さえておけば、子育てについての問題はたいてい何とかなるということです。概ね説明済みですが、今一度まとめておきましょう。

 

お母さんが子育てでストレスを溜めないようにする

これについては、お母さんの愚痴や悩みをきちんと聞き、その心情に共感を示してあげることで、かなり解消されます。しかし、そうしてもなお、お母さんの八つ当たりが収まらないような時には、そうした態度を改めるように言わなければなりません。

 

しかし、こういう時に言い方に気をつけないと、事態がさらに悪化する危険性もあります。一番よくないのはお母さんに要求を突きつけるような言い方です。

 

ここはそうではなく、「そんなふうな言い方をされたら、僕だって傷つく」といったように、「自分」を主語にしながら自分の思いを伝えるようにすると効果があります。心理学ではこうした言い方のことを「Iメッセージ」と言います。これは相手に自分の思いをよりソフトな形で伝えることができる言い方です。

 

子育てについて、お母さんとの意見の食い違いがある

まずは子育てについて、夫婦間で意見や価値観が食い違っても構わないと考えるようにすることです。お父さんの価値観とお母さんの価値観の間に見られる開きは、そのまま子供の人間形成の幅につながっていくためです。

 

意見や価値観の食い違いによってたびたび言い合いになってしまう場合には、その言い合いに勝とうとしない、無理にまとめようとしない、といったようなやり方で夫婦喧嘩がエスカレートしないように気をつけましょう。

 

また、クレームばかり言われてやる気が失せそうになった時、前述の「Iメッセージ」を使うとうまくいきます。「僕だって自分なりに考えて頑張っているのに、そんなふうな言い方をされたら傷つくよ」といったような言い方で、自分がストレスに感じていると言うことを主張しましょう。我慢してため込んでしまい、耐えきれずにストレスが爆発してしまう事態になる方が危険だからです。

 

子育てについて、頑張りを認めてもらえない

いろいろ頑張っているのにそれを認めてもらえないというのは、一番深刻な悩みではないかと思います。しかし、これにもそれなりに理由というものが存在します。よくあるのは、自分ではきちんとやっているつもりで、実は勘違いなことをしているというものです。

 

端から見た時にそれほど役に立っていなかったり、あるいはむしろ迷惑になっていたりするようなことさえあり得ます。そういう状況では、頑張りを認めてもらえないのも当然です。まずは、子育てのシーンで自分がやってきたことを少し振り返り、反省点がないかを見直してみることです。

 

愛されていなければ頑張りも認めてもらえない

自分の行動を客観的に振り返ってみても特に問題を見いだせない時は、少し根の深い問題が発生している可能性があります。

 

FQ JAPAN(パパのための育児雑誌)とママこえ(ママの口コミサイト)が行った共同調査によれば、「自分の夫がイクメンだと思うか?」という質問をお母さんたちにしたところ、「思う」が52%、「思わない」が48%といった結果が出ました。

 

さらに、「結婚時点を100%として、現在夫に対しての愛情度はどれぐらいか?」という質問では、自分の夫をイクメンだと思うと回答した群の愛情度の平均は約80%だったのに対し、イクメンだと思わないと回答した群での平均は約53%という結果が出ました。

 

「イクメンだから愛しているのか」、「愛しているからイクメンだと思っているのか」までは判断できません。どちらが主なのか、あるいはどちらが先なのかは分かりませんが、「妻の夫への愛情が高い場合、夫はイクメンだと認められやすい」ということは分かります(因果関係は不明だが、相関関係はある)。

 

つまり、「いろいろやっているはずなのに、その頑張りを認めてもらえない」という場合、お母さんから愛されていない可能性があるということです。

 

そうであれば、頑張りを認めてもらえないお父さんたちがやらなければならないのは、もっと家事や子育てに精を出すことではなく、お母さんの愛情をもう一度取り戻すための努力をすることになります。

 

お母さんの愛情をもう一度取り戻すには

子育て中の女性は、子供に一心に愛情を注いでいるものです。また、授乳期においては体内のホルモンバランスに変化が生じるため、性欲自体も減退することが知られています。こうしたことから、自分のパートナーに対して、以前よりも魅力を感じられなくなるというのは普通にあり得ることです。

 

こういった状況も手伝って、お母さんを女性扱いしなくなってしまうと、そのまま完全に母親モードに入ってしまいます。そうなってしまうと、子育て中の女性は、パートナーに対して愛情を振り向けなくなってしまいます。

 

また、生物学的な立場から見た場合、人間の男女の愛情というのは4年程度しか続かないといった研究があります。結婚当初はどれだけ愛情に満ちた家庭を築いていたとしても、4年も経てば愛情がしぼんでしまうのが、ある意味当然だというのです。

 

当初の愛情がしぼんでしまうだけならまだいいのですが、反動でとにかく八つ当たりをされてしまうようになったり、乱暴な言動をぶつけられたり、無視されるようになったりすることもあります。こうして世のお父さんたちは、お母さんからの愛情を失ってしまうのです。

 

放っておけば4年程度でしぼんでしまう夫婦間の愛情を長続きさせるには、どうすればいいのでしょうか?

 

良く言われることですが、誰かから愛情を向けられたければ、その人を愛することが一番大切です。ただし、これには注意すべき点があります。もとは愛情を育んでいたからといって、それを取り戻そうという考え方をしない方がうまくいくことが多いです。相手をもう一度はじめから口説きなおすぐらいのつもりで作戦を考え、実行に移すようにするのです。

 

極端なことを言えば、相手を自分の妻ではなく、初めて会った女性であるぐらいの考えを持って対処するようにするといいでしょう。初対面の女性にいきなり性的関係を求める人はいないと思います。相手の話を注意深く聞いて、褒めたり持ち上げたりし、自分のほうからもちゃんといいところを見てもらうように努め、だんだんと精神的な距離を縮めようとするはずです。

 

それと同じように、一朝一夕の効果を狙うのではなく、じっくり構えて相手を口説くようにし、当然ながら、自分に魅力を感じてもらえるように自分に磨きをかけることも忘れてはいけません。

 

お母さんの愛情を再び取り戻すことができれば、同じように子育てや家事に参加した場合でも、それまで以上にありがたがられたり、ねぎらいの言葉をもらえるようになることでしょう。そうなってくれば、頑張りを認めてもらえないといった問題もなくなってくると思われます。

 

子育てや家事を頑張るほど感謝されるようになれば張り合いも出ます。お母さんのストレスも減って家庭の雰囲気もよくなり、そうすればそれまでよりも早く帰宅したいとやる気が出ます。そして夫婦の仲もよくなり、子供に対しても溢れんばかりの愛情を注ぐことができるようになる・・・、こういった好循環が回り始めるのです。

 

子供の側にしてみれば、お父さんとお母さんの中に理想的な夫婦のあり方を見ることができるようになります。時々意見がぶつかり合うことはあっても、基本的には仲がいいというような夫婦関係を幼いころから見せてもらえるというのは、その子供にとっては大きな財産になるはずです。

 

考えてみれば、忙しくてなかなか子育てに手が回らないというのは、ある意味でかなり贅沢な悩みだと言えます。というのも、ちゃんとなすべき仕事があること、子育ての大半を信頼して任せることができるお母さんがいること、そして何よりかわいい子供がいること、これ以上ないぐらいの環境をすでに持っているということだからです。

 

忙しくて子育てを思うとおりにできないというのは、実はかなり贅沢な状況にあるのだということを常に頭に置いておけば、その中から1日のわずかな時間を子育てに割くぐらいのことは苦もなくやっていけるのではないでしょうか。

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