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家族そろって食事をしよう!子供の心が育ちます

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家族で食事

心豊かな子供に育てたい。親であれば誰でもそう願うでしょう。情操教育よりも、習い事よりも、子供の心を豊かに育ててくれる方法があります。それは、家族みんなで食卓を囲むことです。

 

孤食が当たり前の時代に!?

以前の日本では、家族がそろって朝食や夕食をとるのは、当たり前のことでした。食事の時間はだいたい決まっていましたし、食事だけでなく、お風呂に入る時間や寝る時間、起きる時間まで毎日ほぼ同じで、日々のサイクルが規則的に回っていました。

 

これは何も日本だけの習慣ではなく、外国でもたいてい食事は家族一緒にとるものです。国籍が違っているもの同士が仲良くなるために、会食をすることもよくあります。同じ話をするのでも、食事をしながらだと雰囲気が和やかになるものです。

 

しかし、今の日本では、孤食が珍しい風景ではなくなってしまいました。「孤食」とは、家族の団らんがなく一人で食事をとることや、家族のそれぞれが別々に食事をとることを言います。小学生くらいの小さな子供でも、毎朝一人で食事をとっていることが少なくありません。

 

孤食については、今から30年ほど前に注目されるようになりました。1982年に行われた国民栄養調査によれば、一人で食事をとる子供の割合は22.7%、つまり5人に1人の子供が孤食をしていたということです。そんなにも多くの子供が一人ぼっちで食事をとっていることに、当時世の中の人々は衝撃を受けました。

 

独立行政法人日本スポーツ振興センターが行った「平成22年度児童生徒の食事状況等調査」によると、朝食を一人で食べると答えた小学生は15.3%、中学生は33.7%でした。6人に1人くらいの小学生、3人に1人くらいの中学生が孤食しているという計算になります。

 

孤食をしている人数だけが問題になるのではありません。現在の孤食は、その実態も憂うべき状況となっています。まず、家族はそれぞれ一人で食べているにもかかわらず、その時間帯は一緒であるという不思議な状況が目立ってきています。

 

孤食が言われ始めたころは、家族の生活時間帯がそれぞれ違っているために、一緒の時間に食事をとれず、孤食になってしまうというものでした。それが今では、同じくらいの時間帯に、それぞれ自分の部屋で食事をとる子供たちとダイニングテーブルで食事をとる親たちがいるという現象が起きているのです。

 

しかも、1人はおにぎりを食べ、1人はトーストにかじりつくといった具合に、食べるメニューが違うこともあります。また、一緒の場所で食べていても、父親は新聞を読みながら、母親はテレビのニュースを見ながらというように、関心を向けている方向もバラバラなことがあります。家庭の外の情報に意識がむけられ、家族間で交わされる挨拶や会話がないことも少なくありません。こんな状況が今や特殊ではなくなってきています。

 

孤食の実態として驚くことは他にもあります。かつて孤食は「やむを得ずこうなっている」ものでした。しかし今では孤食をしている子供もさせている親も、特にそれを問題と捉えていないし、逆に好んでそうしていることもあるというのです。

 

ある調査によると、「一人で食べている時が一番楽しい」と答える子供が出てきています。なぜそう思うのかというと、「楽であるから」、「リラックスできるから」、「誰にも文句を言われないから」などの回答がありました。また母親の方も「それぞれが楽しく食事をしていればそれで良し」と考えているとの回答もありました。

 

孤食は今や特別なことではなく、しかもそれぞれが納得の上でしているということは、驚くべき現状だと言えるでしょう。

 

家族でとる食事がコミュニケーション能力を育てる

家族の出発時間がバラバラになりがちな朝の食事だけでなく、夕食までもが孤食であるケースが増えています。教育について関心の高い人でさえも、我が子の孤食に危機感をもたないこともあります。

 

しかしこんなにも孤食が広がってきているからと言って、これを新しい食事の在り方だと思ってはいけません。誰もがこの流れに疑問をもち、みんなで孤食をなくしていくべきです。

 

孤食を続けていると、最近問題になっている若い人たちのコミュニケーション能力の低下に拍車がかかってしまいます。近頃、引きこもりになってしまう人もどんどん増えてきていますが、これもコミュニケーション能力が健全に育たなかったことが一因となっています。

 

思春期は、自我に目覚め、他人からどう思われているかがとても気になる時期です。そのため、他者と関わるのを怖がったり、苦手になったりする子供たちが出てきますが、それは思春期にはよくあることです。

 

しかしその状態が思春期の時代を超えても続いていると、程度の差こそあれ引きこもりになってしまいます。思春期を通して自立をすることができなければ、社会に出ていけず引きこもってしまうのです。自立という発達課題をクリアするには、他者とコミュニケーションをとる経験を積むことが必要不可欠です。

 

そのために大事になるのが、家族とのコミュニケーションです。これが、他者とコミュニケーションをとるための基盤であり、トレーニングになるのです。家族と喧嘩したり仲直りしたり、協力して家の仕事に取り組んだりすることで、自分以外の人とうまくやっていく方法や、気持ちを分かち合う方法を学ぶことができます。

 

そんな家族とのコミュニケーションの場として最もふさわしいのが食事です。人は味覚を通して、気持ちを素直に表現できるものです。おいしければ自然と笑顔になります。たいていは家族が食事を作っていますから、「おいしいものを作ってくれてありがとう」という、家族に対する感謝の心も自然と芽生えてきます。

 

さらに、食べている時には自分の気持ちが外に向いていくもので、朝食時であれば「今日は音読発表会をするの。頑張らなくちゃ」とか「今日はテストがあるの。あ~あ、嫌だなあ」などと、自分の気分を家族に打ち明けやすくなります。

 

家族の誰かがそんな話を始めれば、それに対して他の家族がいろいろなことを言い、気持ちの交流が始まります。話しているうちに「まあ頑張るか」という気持ちにもなれて、今日という日をスタートさせる力が湧いてきます。

 

また、食卓を家族で囲むことによって、家族の健康状態や精神状態を知ることもできます。いつもより食欲がない時は、体調が悪いのかもしれませんし悩み事があるのかもしれません。特に子供には、心身の状態が食欲に顕著に表れます。

 

親が子供の様子に気づけるばかりではありません。子供も親の食事の様子から、なんだか今日は機嫌が悪いぞ、とか、元気がないみたい、とか感じられるようになります。他の人の様子を感じ取る力がついていくのです。

 

他人の様子から気持ちを推測できる力は、大人が言葉でいくら説明して身に付けさせようとしても、それほど効果を発揮するものではありません。日頃の経験を通して、だんだんと自分の力になっていくものです。

 

家族がいっしょに食事をとり、語り合い、協力して後片付けをするような毎日を過ごしている子供であれば、家族以外の人とのコミュニケーションもきっとうまくやれるようになります。心豊かに育っていけます。

 

子供にもどんどん後片付けの手伝いをしてもらいましょう。親から「上手だね!」とほめられたり「ありがとう」と感謝されたりすると、子供は自分に価値を見出すことができます。頼りにされた充実感が、困った事態に立ち向かう強い心を育ててくれます。

 

子供に手伝いをしてもらうことは、単に家事を分担して親が楽になるということではありません。家事を一緒にやることで、家族同士の心のつながりが強まり、他者とコミュニケーションをする良い練習にもなります。家族の豊かな食事風景は、家族の質、個々の人間の質そのものを向上させてくれるのです。

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