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弁証法を思考に取り入れると、思考も精神力も鍛えることができる

弁証法で思考中

討論には、さまざまの手法があります。その中でも弁証法の活用は、思考力と精神力の二つを鍛え上げられる方法としておすすめです。弁証法を取り入れることが、思考力や精神力の向上にどのようにつながっていくのかについて見ていきましょう。

 

弁証法の活用で、感情や性格に左右されない思考力を身につける

討論の方法には、さまざまな種類があります。「弁証法」とは、対立した2つの意見がある時、どちらか1つの意見に決定するのではなく、互いの矛盾点を出し合って、更に上のレベルで話し合いをして統合しようという方法です。A対Bではなく、AとBからCが生まれたり、A1やB1が生まれるような話し合いを行います。

 

「ディスカッション」とは、問題提起があらかじめされていて、それについて複数人が意見を言い合います。ディスカッションはその場で結論が出ても出なくてもどちらでも良く、テレビでよく見る討論番組などがまさにこの形式と言えます。AもあるしBもあるし、Cもありますねという形で終了しても問題ありません。

 

「ディベート」とは、すでに「○○はこうであるべき」というテーマがあり、それに対して賛成派か反対派のどちらかに必ず分かれて討論し合います。ディスカッションと違うところは、AかBかどちらかに分かれているため、みんな良いなどといった中間的な意見は述べられないという事です。

 

また、ディベートは、本人の意思や意見に関係なく、賛成派か反対派に分かれての討論になりますが、弁証法では自身の意見に基づいた発言が出来る事が大きな違いとなります。

 

さらに、結論を最後に出すという事はどちらも同じですが、ディベートの場合は第三者が討論に勝敗をつけるゲームのような形式に対し、弁証法は勝負ではなく、互いの意見のレベルを上げる事を目指します。

 

このように3種類の討論の方法が主にありますが、どの種類も自分の感情が本来発言すべき思考内容を上回ってしまうと、討論自体が何だったのかとお互いにしこりを残すことになります。思考力をワザ化して柔軟な対応が出来るようにするには、感情や性格に左右されてしまうのではなく、立場を変えて物事を客観的に見る事が出来る基礎が必要です。

 

そのためには、弁証法を日頃から活用できるような思考力を磨くことです。弁証法のトレーニングで一番いい方法は、信頼できるパートナーに協力してもらうことです。1つの議題に対して、自分の意見を否定する意見を言ってもらいます。

 

ここで重要なのは、否定されたことで感情的にならずに、お互いの矛盾を見つけて、互いに「そう言われれば相手の言うとおりだな」とハッと気づくことです。互いに気付くことで、そこからより高い考え方を導き出せるような地点を目指していきます。気づきがあって、相手の言っていることの本質が分かればそこからぐっと話が発展しやすくなります。

 

否定されていい気分でいる事はないですが、最近の若者は褒めて伸ばす教育方針の影響で、否定される経験が少なくなってきています。また、日本人はディベートのような、意見に対して勝負をつける討論の経験もあまりありませんから、他の人種に比べてもNOと言われた時の心理的ショックは大きい方かと思います。

 

また、事業に成功した社長などは、自分の歩んできた道が正しいから今の位置にいるのだという自信がありますから、否定されると感情的になりやすく、結果、否定されたくない部下ばかりが増えていき、経営不振に陥るケースも少なくありません。

 

どのような立場の人間であっても、否定的な意見を言われても、より良い結論やアイデアを出す為の糧と思う事を思考力アップの基盤とすることです。無責任なイエスマンばかりを味方にせず、1人のNOと言える人間の意見を受け入れる事が、思考力をアップさせる近道といえます。

 

弁証法を思考だけでなくメンタル面の強化にも活用して、苦境を乗り越えやすくする

弁証法を基にした思考力が身につけば、独りよがりな偏った考え方ではなく、様々な意見を客観的にあらゆる角度から見て意見を述べる事ができるので、社会でも柔軟に対応が出来るようになります。自分の主張が否定されても、その否定を含みながら新たな意見を述べる事が出来るという事は、生物の進化のプロセスによく似ています。

 

太古の地球の生物のほとんどは、深海に生息していました。やがて、地球がオゾン層に包まれて、電磁波や紫外線の影響が少なくなると、深海の生物が浅い海域でも生きられるようになりました。

 

その後、地殻変動で大陸が出現した際に、その大陸と一緒に海藻が上陸します。海藻はそこから進化を遂げて、現在地上で目にする植物の基になります。この植物の繁栄が、大陸に有機物を蓄積させ、陸上が栄養を含む環境となり、やがて昆虫や両生類が上陸します。両生類は脊椎動物へと進化してやがて恐竜が誕生します。

 

昆虫はより遠くの餌を得るために、脚や羽が生えます。脊椎動物も両生類の時には残っていたヒレを走る脚へと進化させ、さらには翼を持つまでに進化した生物もいました。このように、生き抜くために、地球環境の変化に体を進化させてきた過程が、弁証法的プロセスと言えます。

 

人間が2本足で歩き、道具を使い、言葉を話せる進化を遂げたのも同様に、弁証法的プロセスを歩んできた証です。

 

弁証法的な思考とは、世界情勢や社会のルールなど、自分ではどうすることもできない環境の変化に対して、通用しなくなった自身の思考を、環境に合わせて柔軟に変えて生き残っていく為の手段です。苦境に負けず、乗り越えられる思考が身についているという事は、同時に自身のメンタル面にも比例して強い影響を与えていることが分かります。

 

例えば、面接を受ける前に質問される事を予想立てて答える練習をしてきたのに、当日は、答えた事に対して面接官が否定的に質問を返して追い込むやり方をされてきたらどうでしょう。否定的な意見を言われてしまった事だけで、もういっぱいになり、反射的に防御的な応対しかできなくなってしまうケースも良くあるパターンです。

 

こうなってしまったら、思考回路もメンタル面も停止してしまいます。このような人間は、会社でも、注意されると注意されたことだけで何も手につかなくなるので、上司や先輩も仕事を頼みにくくなるし、付き合うのにも距離を置かれてしまいます。

 

弁証法的な思考がワザ化していれば、「この考えはおかしいのではないですか?」と否定されたとしても、それを受け入れるメンタルは強くなっていますから、瞬時に否定に対して、返す言葉も出てきます。

 

人からあれこれ言われるのは嫌いだと思う人がほとんどだと思います。でもそこで、「このままではダメだ」と向上心を持って、すでに出来上がった思考基盤を見直し、修正していく癖付けが出来るメンタルの強さも思考力とセットで必要なのです。

 

子供時代から育む弁証法的思考力は、否定や合体の繰り返しでアップする

弁証法と表現してしまうと、難しく感じてしまいますが、実は子育てにも応用できます。例えば、英単語の勉強をテストに向けて行う時、親が子供時代にやってきた勉強法を伝えて、「これでお父さんはテストで満点取ったから、あなたも同じように勉強すればいい」とすすめたのに、結果テストの成績は思うように伸びなかったという事もあると思います。

 

学校の先生も、ひたすら何度も書いて覚えなさいとか、文章にして覚えなさいなどさまざまな事を言います。このように、テストで満点を取るというゴールは同じでも、手法はあらゆる種類があって、必ずしも全てがしっくりくるわけではありません。

 

子供時代に思考力をアップさせるには、子供自身がいろいろな方法を組み合わせてみたり、「なんか違うな」と否定してみたりすることで、バージョンアップしていくことです。

 

ただし、自分のやり方が絶対であり、他人の手法は認めないという考え方にならないように注意が必要になります。きちんと耳を傾けて受け入れる事も必要であることを親が声掛けをしてあげる事で、弁証法的な思考のベースが作り上げられます。

 

また、子供の頃からの思考力の幅を広げるには、親が子供のした事を「そうじゃないでしょ。」と全否定して、「こうしなさい。」と代わりに違う事を上書きしてしまうような声掛けをしないように気をつけなければなりません。これでは、ただマインドコントロールされているだけです。

 

子供同士でトラブルが起きても、過剰に親が出てきて解決するのではなく、また、自分の責任ではないと逃げてしまう子供には、どうしたらよいか向き合うサポートをしてみましょう。

 

「Aという考えもあるし、Bという考えもあったね。ではお互いどうすればよかったのかな?」といったような、Cという結論に至るような考え方のベースを根気よく作り上げます。

 

こうすると、やがて大人になってトラブルが起きても、さまざまな意見の中から新たな解決案を見つけられるような思考力へと発展していきます。チームで問題が起きた時には、結束力が高まり、みんなで乗り越えていかなければという前向きな精神力も培われていきます。トラブルにより起きた事象から、結束力と忍耐力も生み出されていきます。

 

一昔前は、「男の子は男の子らしく。」「女の子は女の子らしく。」と育てられてきました。しかし、これらの一言で片づけられてしまうような社会では、今はもうなくなってきており、男性の中にある女性的な部分に関しても評価される時代となりました。子供の頃から、多様で柔軟な思考を取り入れていくことで、早くワザとして活用できるようになるのです。

 

ブレストと弁証法を使い分け、意見を上の次元でまとめる思考を癖づける

会議で新しいアイデアを考える時、まずは弁証法のように互いの意見の矛盾を探すことはせずに、出来るだけたくさんの意見をとにかく出し合います。同性ばかりの会議よりは、異性が混ざっている方が、出される意見の幅も広がります。

 

そこから、それぞれの意見を否定せずに、次へつなげるにはどうしたらよいかを考えます。これはブレーンストーミング(ブレスト)と呼ばれる方法です。

 

「相手の意見を否定しない」というルールに守られているので、参加者は安心してたくさんの意見を出し合います。新しいアイデアを生み出すのにはこのブレーンストーミングは大変効果的ではありますが、意見を出し終えた後に、これをふるいにかけなければまとまりません。

 

そこで、次に弁証法を用いた意見を出し合います。弁証法は、出された意見の矛盾を指摘し合い、各々の意見に対する本質を明らかにし、次元の高い所で統一していこうという思考法です。自分の意見が否定されても、感情的になる事はありません。

 

この思考法を参加者全員が意識していたら、ブレーンストーミングで出し合った意見から、出たアイデアの質を磨くことが出来るので、さらなる高次元レベルでのアイデアとして確立するのです。

 

みんなが意見に対して同じ考えを持っていたら、その偏った思考のまま事が進んでしまいます。否定をするというとは、言う方も言われた方も、感情の部分に関して言えば気持ちの良いものではありません。でも、否定的な意見を受け入れたことで、被害が少なくなるような対策がとれたという防災についての討論のケースもあります。

 

弁証法は、否定を糧にして、より良い結論を導き出す為の手段となります。感情が入って、意見を全て足して2で割る。あるいはすべての意見をそのまま結合してしまうという方法は、根本的な真の解決にはなりません。討論の結果、排除するという決断もあって当然のことです。

 

このように、2つの方法を使い分けられる思考の癖付けを、会社が積極的に取り組んでいけば、やがてこの思考はワザ化されて、社員一人一人の思考力はとても質の高いものになります。感情抜きで意見を出し合う事は、精神力や忍耐力も鍛え上げられることになります。

 

1人1人の思考力が高まれば、会議で出し合った意見とは反対の意見を持った人が、その場では発言せずに後から「実は・・・」というようなケースも回避できます。異議は必ず先に言う、異議があって当たり前という会議の雰囲気に持っていかなければ、レベルの高い議論につながりません。

 

最近は、パワーハラスメントを気にしすぎて、部下に言いたいことが言えない上司が増えています。上司が言いたいことを言えずに「まあいっか、別に」という偏った思考では、この部下を中心とした部署から質の高いアイデアは生まれないでしょう。

 

ただダメ出しをするのではなく、反対の意見を提示して、部下により深い思考を持ってもらおうとすることが大切です。

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