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性に悩む子供たち

性に悩む子供たち

近年、子供たちの周囲では、かつてなかったほど性に関する情報が氾濫しており、子供たちはそこからさまざまな影響を受けています。子供たちの性行動について見ていきましょう。

 

産婦人科をもっと身近な存在に

思春期の女子は体内のホルモンのバランスが乱れやすいため、生理のサイクルが乱れる月経不順であったり、子宮が急に収縮することによって激痛が伴うなどの月経困難症といった症状を起こすことがよくあります。

 

生理時のひどい痛みなどは鎮痛剤を処方してもらえば和らげることができますが、鎮痛剤を使うと癖になってしまうといったような誤解をしていて、医師に相談せず我慢しきれなくなって倒れて救急搬送されるといった事例が繰り返し発生しています。

 

それでもたかが生理痛という考え方には危険が潜んでいます。子宮の内膜を形成している組織が子宮の外で増えてしまう子宮内膜症が起こっている可能性もあるからです。

 

思春期という時期は体が成長して生殖のためのメカニズムを完成させていく時期でもあります。子宮内膜症は不妊や痛みの原因となりますから、あまりに痛みがひどい場合には産婦人科を受診すべきでしょう。

 

最近では、若者の間で性感染症が大きな増加を見せているほか、若年層でのヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染による子宮頸がんの増加傾向も指摘されています。いずれも早期に発見して治療をすることが大事であるため、子供たちが産婦人科をより受診しやすいようにすることが大事になってきます。

 

そのためには、思春期ぐらいの子供が疾病予防や定期検診を通じて産婦人科に行きやすい環境を作ると共に、子供が産婦人科に行くことに抵抗を持っている親世代の意識を変革していくことが必要だと考えられます。

 

氾濫する性情報の悪影響

一方、思春期の男子の場合、世の中に氾濫する科学的な根拠のない情報で不安を感じ、自分の外性器に関する悩みを持ってしまうケースが多くあります。

 

医師に寄せられる相談のほとんどは、性器のサイズの大小についてのものか、形に関するものか、あるいは自分の性行動に関するものになっており、これは30年ほど前から変わっていないと言います。

 

こうした事例で実際に治療が必要なほどの問題があることは少なく、言ってしまえば個性というレベルに収まっているものが多いわけですが、それでも男の子が悩んでしまう理由としては、Web上や雑誌広告などに性関連の情報が氾濫していることや、その情報が正確でない知識をばらまいていることがあげられるでしょう。

 

特に雑誌などでよく見られる美容形成外科の広告などは、問題が大きいという意見もあります。自分の性器に問題があるのではないかという考えをあおり、安易に手術を促したりしているからです。こうした手術が失敗すると大変なことになりますから、慎重に検討することが必要なのにも関わらずです。

 

特に性器に関する悩みは誰かに相談したり他人と比べたりしにくいものです。そのため、自分の性器がおかしいのではないかという「身体醜形障害」になってしまいやすいという傾向があります。こうした悩みについては精神科の利用も含めて検討することが必要になってきます。

 

性行動の低年齢化は進んでいるのか?

2002年より2年に1回行われている「男女の生活と意識に関する調査」では、全国に住む男女3000人を対象にして性行動や性に関する意識を調べています。

 

それによると、性交開始年齢について、現在の中学生・高校生と20代とを比べると、後者の方が早くまた性交を経験した割合も高いという結果であり、性行動が低年齢化していたり、それが早まっていっているとは言えないという結果が得られています。

 

一方で、10代女性が妊娠中絶を行った割合は、平成27年度5.5%で、30年ほど前と比べるとおよそ2倍にもなっています。コンドームなどできちんと避妊をすることに関する周知徹底については、まだまだ完全とは言えない状況と考えられます。

 

最近では子供たちが性的な情報を簡単に入手できるようになっており、昔のように性交を完全に禁止するというのは無理になってきています。その点を問題視するよりも、中絶や性感染症といった問題が起きないようにきちんとした性教育を行い、正しい避妊のやり方といったものを周知徹底することが大事になってきていると言えます。

 

アメリカやヨーロッパの国の中には10代女性に対して避妊用ピルを出したり、あるいは性感染症の検査や治療を受ける際の費用が全額免除されるという国もあります。

 

こうした取り組みを参考に、日本でも無料受診券のついた健康手帳のような制度を創設してはどうかと提唱する専門家もいます。次世代を産み育てることになる子供たちの性的な悩みを社会が支え、トラブルに遭う機会を減らしていけば、最終的には少子化問題にも寄与できるのではないかという考え方です。

 

親に対する評価と性交との関連性

「男女の生活と意識に関する調査」においては、親と子供の間の関係性と性交開始年齢との間に関連性が見られるかどうかについての調査が行われることもあります。

 

過去の調査では、全体平均では性交開始年齢が19.4歳となっているのに対し、子供が親に対して低い評価をしているケースではこれが2年ほど前倒しされ、17歳ぐらいになっているという結果が出ています。

 

また、親とよく会話をしているケースや、地域の人などから影響を受けている子供の場合、性交開始年齢は遅くなり、親や地域の人が早期の性交を抑止する力となっていることも分かっています。

 

また興味深いデータとして、親が子供との間で性に関連した話をしていた場合、性交開始年齢は16.9歳とむしろ早まったという結果が見られ、このことから親が子供に性教育をするというのが果たして良いのかという疑問点も浮かび上がっています。

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