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昼寝で眠気をコントロールして、生活をちょっとプラスにしよう

昼寝

昼休み後の眠気はつらいものです。しかし、眠気にはちゃんとした理屈があります。それは人の長い歴史と、地球のリズムが関わっています。睡眠を知る事で、眠気をコントロールして、生活をちょっとプラスにしませんか。

 

睡眠の不思議さと曖昧さ

あなたは二度寝中に夢を見たことがありますか?夢の内容は人それぞれですが、その中でも夢のストーリーを自在に操る事ができる人がいます。なんとも不思議な現象です。睡眠とは、ただ寝て体を休める事だけでなく、地球の昼夜のリズムに合わせて私たちが体得した生体リズムです。

 

太陽の光で体内時計をリセットし、自分の意思で睡眠もコントロールする事もできます。長い年月の中で地球の意思と自然の意思が調和した、文化・文明の象徴とも言えます。夢の内容をコントロール出来るのも、ありえない話ではありません。

 

睡眠には一日に短い睡眠を何度もとる「多相睡眠」と、一度の睡眠を長くとる「単相睡眠」があります。草食動物は前者、肉食動物には後者が多く当てはまります。私たち人間は単相睡眠とされています。

 

この睡眠スタイルも、人が自分の意思を睡眠に反映させて獲得したと考えられます。日中は明るいから活動し、夜は暗いからぐっすり眠るような、社会生活に合わせたライフスタイルを取っているから、単相睡眠へとなっていきました。

 

もともと人間も多相睡眠でした。しかし、知識や文化を手に入れるようになって、より生産性の高い活動をするために自分の意思で単相睡眠になりました。しかし、最初から完全に単相睡眠になれたかというと、そうではありません。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは一日に何度も寝て起きています。これは多相睡眠です。だんだんと寝る時間が夜に集中し、単相睡眠として安定するのが、10歳から11歳と言われています。

 

つまり、私たちは生まれてから10年ほどの年月をかけて多相睡眠から単相睡眠になれるようにトレーニングしていました。睡眠に無意識のうちに、単相睡眠になるように意識を向けていたのです。

 

大人でも多相睡眠の名残はあります。それが眠気です。眠気の理由のひとつは、本来取るべき睡眠時間が足りていない事です。体や脳が十分に休まっていないと、眠気として現れてきます。

 

昼食後の午後の暖かな時間に眠気が来ることはありませんか。これは満腹だから眠くなるだけではありません。多相睡眠の名残から来ている事もあります。個人差はありますが、夜中の眠気以外にも昼の午後2時~3時の間に眠気のピークがやってきます。

 

単相睡眠の名残によって、人には一日2回程の眠気のピークがあります。この眠りのピークと、寝不足による眠気が合わされば、どうしても眠りたくなってしまいます。多相睡眠の誘惑に勝つためには、昼間も寝てしまいましょう。

 

昼休みを活用して睡魔に勝とう

学生や大人の人で昼間の睡魔に打ち勝つには、昼休みを活用するのがお勧めです。昼休みに寝る事に抵抗がある人は、昼休みの意味や、昼寝の精神を今一度考えて欲しいです。労働基準法からも、昼休み中は業務の支障が出ない限り何をしても自由という事になっています。

 

抵抗がある人の理由の一つが、二度寝をだらしがないと思ってしまう環境にあります。会社で昼寝をしていると、周りから寝不足だと思われ、生活管理が出来ていないというレッテルを張られることが往々にしてあります。この人はだらしがないと「さげすむ視線」を浴びる事になってしまいます。

 

入社してすぐの若手社員となると、「さげすむ視線」はさらに強くなるでしょう。そんな環境にまずは打ち勝つ力を手に入れましょう。いかに泰然として昼寝をする事が出来るか。いかに他の人からの視線を気にする事なく眠れるかという胆力が必要です。

 

ただ、胆力を手に入れなさいというのは難しいと思います。ではまず、昼寝の利点を知りましょう。昼寝がいかに重要かを知る事で、昼寝に対する罪悪感を減らす事が出来ます。

 

まず、NASAでは、宇宙飛行士の体調管理の部分で、睡眠についても研究を行っています。その研究によると、45分以内の昼寝であれば仕事の能率は35%アップし、判断力も50%も上昇するとの報告でした。

 

昼寝を我慢して、その後の仕事を睡魔と闘いながら、だらだらと過ごすよりも、昼寝をしてから、テキパキと仕事が出来た方が効率が良いとは思いませんか。

 

アメリカでは「パワーナップ」という言葉が定着しています。パワーナップのナップは日本語で「うたた寝」や「まどろむ」という意味です。これは米国コーネル大学の社会心理学者、ジェームス・マース教授が提唱したものです。

 

「リフレッシュして力を取り戻す短時間の仮眠や昼寝」という意味で主に使われています。つまり、アメリカでは昼寝をする事で力を取り戻している事が主流になっています。言葉が定着するほどですから、効果は確実です。

 

昼寝には、寝不足の解消以外にも、ストレス社会を生き抜くための「心の解放」もあります。仕事をし続けるよりも、パワーナップを挟んだ方が、身体的にも精神的にも楽な気がしませんか。

 

昼寝の有用さについては日本でも数多くの睡眠学者が研究しています。教育現場で実際に睡眠を導入した例もあります。福岡県の県立明善高校である実証実験をしました。その実験は、約1か月半の間、昼休みに15分間の仮眠を続けるというものです。

 

その結果、昼寝をする前よりも明らかに学力が向上した報告があります。更に、センター試験の成績がアップし、難関大学の合格率アップと、長期的に見ても学力が向上しました。この実験は専門家の間でも注目を浴びて、教育現場では昼寝を積極的に取り入れるようになりました。

 

生徒に話を聞くと、睡眠不足の解消という事だけではなく、「やる気が出た」「午後の授業に集中できた」といった、学習面の話も多かったです。この実験での睡眠スタイルは、机に突っ伏して寝る「ちょっと寝る」スタイルで、特別な睡眠ではありません。誰でも明日から実践する事が出来ます。

 

学校で昼寝の導入が進んでいますが、さらにビジネスでも昼寝を有効活用しようとする傾向があります。ディスコという半導体を扱う会社では、ちょっと寝るようなスタイルでは収まらず、仮眠室まで用意する程昼寝を重要視しています。

 

仮眠室は徹夜などで宿泊する用ではなく、午後の昼寝を推奨するような簡易的なものです。さらに昼休み中に寝るのではなく、午後の業務時間内で30分程度使用する事が出来ます。昼寝を業務の一環として取り入れています。

 

ここまで来ると、昼寝に対する罪悪感は薄れるでしょう。会社や学校の公的な機関が推奨しているのですから、昼寝をして悪い訳はありません。ただ、簡易仮眠室や、仮眠テントを用意している企業は決して多くありません。大半の人は昼寝をする時に使うものが机と椅子です。ちょっと寝辛いと思いますが、その中でも最適な昼寝法をご紹介します。

 

最適な昼寝法とは?

最初に、昼寝をする際にあたって、最適な時間を知らなければなりません。労働省産業医学総合研究所では、20~30代の男女30人を対象に昼寝の後の頭の働きについて実験しました。内容はただ英文を書き写すというものですが、昼寝を15分とったグループが一番ミスの少ない結果となりました。

 

他にも45分の睡眠グループと、睡眠なしのグループがありましたが、両者ともにミスが多い結果でした。15分という睡眠は眠りの浅いノンレム睡眠という部分で留まる事の出来る最適な時間なのです。

 

それ以上眠ってしまうと、眠りの深いレム睡眠に頭が切り替わってしまい、起きようとすると頭がボーっとなってしまいます。従って昼寝の睡眠時間は15分~20分が最適です。どんなに眠くなっていても、15分後には起きる事が出来るように、アラームなどをセットしましょう。

 

寝る場所については、学生の皆さんは普段座っている机、社会人の方はオフィスのデスクと椅子でしょうか。車を活用する仕事の人は、車内でも睡眠が取れますが、交通違反として切符を取られてしまう場合がありますので、注意をしましょう。

 

トイレで寝ていたという話を聞くことがあります。寝ている姿を見られたくないからと言いますが、トイレの中に15分滞在する事の方が、周りの人に体調不良化と心配されてしまいます。昼休み中ですから、堂々と机で寝てしまいましょう。誰も咎める人はいません。

 

中には床で横になる人や、椅子を並べて眠る人もいますが、横になってしまうと熟睡してしまいます。また、寝ているアピールになって冷たい視線を浴びる事になってしまいます。やはり一番丁度良いのが机に突っ伏して寝る事や、椅子に座って眠る事です。

 

では、代表的な椅子を利用した睡眠と、机を利用した睡眠の最適な眠り方をご紹介します。まず椅子寝ですが、電車や車、バスなどで座っている状態で睡眠を取る事を指します。この時のコツが、椅子には浅く腰をかけ、背もたれにゆったりと背中を寄せます。

 

足は、肩幅の2倍開いて、腰の安定感を高めます。体重をお尻にかけるのではなく、背中とお尻でバランスよくかけて、背中の真ん中あたりに重心が来るようにします。腰を安定させたら、次は首を安定させます。

 

頭まで背もたれがある椅子であれば、背もたれに寄りかかって構いません。ない場合は前に傾けて、首が前後に振られてしまうのを防ぎます。胸に顎を軽く乗せるようにすると、首が安定します。

 

首、腰が安定したら眠りに入ります。腹式呼吸がベストですが、とにかく深呼吸をする事が大事です。吸って、吐いてを意図的に繰り返す事で、体が入眠体制に移ります。アイマスクなど、光が入らないようにすると入眠がより素早く行えます。

 

椅子寝は座っていればどこでも出来ますが、足を大きく広げなければいけなかったり、首を大きく傾けなければいけなかったりと、女性の方にはちょっと抵抗があると思います。そこでよりスマートに寝るならば机を利用する事をお勧めします。

 

机寝は腕を枕代わりにして突っ伏して寝るようなスタイルです。両腕のどちらかの肘から先を、手のひらを伏せた状態で机につけて、もう片方を上に乗せ、その上に額を乗せるやり方が一般的です。

 

このやり方であれば、足も閉じたままで大丈夫です。寝顔を他の人に見られる心配もありません。しかし、机寝にも問題があり、起きた時に額や顔が赤くなってしまう事があります。顔が圧迫された事が原因なので、気になる方は生地の柔らかいタオルなどを用意しておきましょう。

 

ひざ掛けや、しわになっても良い上着などでも代用可能です。これで午後の仕事にも支障が出ません。睡眠の質をもっと高めるのであれば携帯用手枕などが有効です。スーパーやデパート、雑貨屋さんでは、枕などの睡眠コーナーに様々な昼寝グッズが置いてあります。一度見てみてはいかがでしょうか。

 

眠りの場所について触れましたが、眠るための意識や心構えについてもご紹介しましょう。15分間での睡眠を推奨しているので、余計なことを考えていたら眠る事はできません。「起きたらあれをしなきゃ・・・」「そういえばあれをやっていない」などと、仕事の事を考えてはいけません。

 

寝付けない場合も同様です。「寝なきゃ」「寝ないと後が大変・・」などと焦ってしまうと、却って眠れません。眠れなくても目を塞いでいるだけで、脳を休める事が出来ます。外界の情報を遮断するために、耳栓などもお勧めです。自分だけの世界に入る事で頭はリラックスし、スッキリします。

 

15分で起きられないという方は、コーヒーなどのカフェイン入りのものを口にする事がお勧めです。カフェインによって目が覚める効果は30分後に現れます。それまでは問題ないので、眠る15分前にコーヒーを飲み、15分睡眠を取れば、ちょうどカフェインが効いてきてスッキリと目が覚める事ができます。

 

日本はちょっと変?日本人だからこその「ちょい寝」

ちょい寝をする場所はオフィスや車内だけではありません。電車の中、バスの中、座れる場所は格好のちょい寝スポットです。しかし、外国の方からすると、ちょっと変だと言われてしまいます。

 

その人が言うに、電車の中で寝ていたら財布を確実に盗まれてしまうとの事です。不特定多数の人がいる場所で眠る事はとっても危ない行為です。しかし、日本人は電車で寝ていても身の危険や、窃盗に会う心配はほとんど感じていません。

 

それは、日本人が周りを気にしていないのでしょうか。それとも寝ている人に悪さをしようと考えないからでしょうか。日本人は3・11の東日本大震災のときにも、海外から賞賛を集めるほどお互いを助け合っていました。それは日本人にとって特別な事ではありません。

 

「お互い様」という言葉があるように、自分の苦労は人も同じと考えて、お互いに助け合っていました。財布と盗まれても周囲の人が助けてくれると考えているのでしょう。だからこそ周りを意識せずに公共の場で眠れるのかもしれません。

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