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女子校の実態!有名女子校の特徴、指導方針等

女子高生

日本には、女子校が幾つも存在します。そして歴代に名を残した女性たちの中には、女子校出身者が多くいます。そこで有名女子進学校に注目し、その素性を詳しくみていきましょう。

 

各校独自のカリキュラムや環境を有する一方で、女子校に共通するカリキュラムや環境もあります。優秀な女性を教育する秘密が、そこにはきっと隠されているはずです。

 

桜蔭学園:一生懸命であきらめない

1924年という関東大震災によって世間が混乱する最中に、東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)の同窓会メンバーの手により設立されたのが、桜蔭です。同窓会の名前は、桜蔭会です。理想の女子教育の実現を目指して設立されました。建学の精神は「礼と学び」です。

 

東大合格者数トップテン常連校ですが、齊藤教頭によれば、「お洒落をしたい年頃にもかかわらず、桜蔭生は電車の中でも参考書を読んでいるという噂は、まんざら嘘ではない」と言います。

 

桜蔭と言えば、東大合格常連校であり、女子校の中では群を抜いています。しかし一方で、生徒たちを、受験だ、受験だと言って日々追い立てることはしていません。受験に関係のない教科(例えば家庭科や美術、音楽など)も生徒たちは真剣に取り組んでいます。何事にも「やるからには一生懸命」というのが桜蔭生の特徴の一つです。

 

桜蔭生には、「親からの期待に応えたい」「社会に貢献できるような女性になりたい」という気概が感じられます。部活動、学校行事、どれをとっても生徒はまじめに取り組みます。

 

高校二年生まではすべての生徒に部活動の参加を義務付けています。桜蔭では生物部など科学系の部活に人気が集中します。その他には管弦楽、料理、ダンスなどの部活にも人気があります。書道、華道、茶道といった女性らしい部活動の活躍も目立ちます。シンクロナイズドスイミングのような活動をするリズム水泳部という、独自的な部活も存在します。

 

大学行事として無視できないのは、体育大会で高校三年生が踊るダンスです。中学からの6年間の集大成として披露されるダンスに、本人たちはもちろん、後輩や教員、保護者達は目頭を熱くします。中学生は特にその姿を見て、「自分たちもああなりたい」と憧れを抱きます。

 

進学校のイメージが強い桜蔭ですが、受験に関係はなくとも、とても特徴のある授業を設けています。それは「礼法」と「女性学」です。

 

「礼法」の授業は、中学一年生で週一回、中学二・三年生で五週に一回、高校二年生では隔週に一回行われます。ふすまの開け方や座布団の運び方、お茶のいただき方などを学びます。生徒たちは礼法の授業の成績が良いと、女性としての誇りを感じるかのように、とても喜びます。

 

「女性学」は総合学習の授業であり、結婚・妊娠・出産など女性の生涯キャリアに関わるテーマについて、生徒たちが激論を交わします。男子生徒の目を気にする必要がないからか、生徒たちの多くがはっきりと自分の意見を述べます。

 

「女子は人前で恥をかくのを一番嫌がるので、プライドを傷つけないで伸ばすことが女子教育のコツです」と小林教諭は語ります。

 

その言葉を裏付けるように、桜蔭では習熟度学習を導入していますが、成績で生徒をクラス分けするようなことはしません。どのレベルの授業を選ぶかは、生徒自身が決めることができます。

 

桜蔭生は国立大志望の子が多く、医学部志望の子も少なくありません。そのため一般の学校よりも浪人率は高くなりますが、これは齊藤教頭の言う「あきらめない桜蔭スタイル」があるがゆえなのかもしれません。

 

さらに桜蔭には、女子生徒のための理系教育の方法も確立されています。一般的に女子生徒は理系科目を苦手とする傾向にありますが、桜蔭生の約六割は理系の進学先を選択しています。

 

理系の部活動も多く、桜蔭の文化祭では展示を行い、来場する小学生に理科実験を行わせたりもします。これは桜蔭の文化祭名物でもあり、「サイエンスストリート」と呼ばれています。

 

齊藤教頭は、桜蔭の生徒たちには、一芸に秀でるだけでなく、最終的にバランスの取れた女性になってほしいという願いを抱いています。「女性のコミュニケーション力の高さを活かし、男女手を取り合って助けられるような女性、そのようなコミュニケーションのとれる男子を育てられる女性になってほしい」と語っています。

 

女子学院:校則のない自由

女子校の中でも特に自由な校風として知られているのが、女子学院です。女子御三家の一つであり、大学進学実績もトップクラスの学校です。1870年築地居留地内にプロテスタント長老派のA六番女学校が設立されたのをはじめとして、1890年に現在の場所へと移転して女子学院へと改名しました。

 

戦時中キリスト教が禁止されてもなお、キリスト教の学校であることをアピールし続けたほど、気概を持ち合わせたことがある学校です。自由であることの大切さを学校自身が体現してみせていると言っても過言ではないでしょう。

 

初代学長は「あなた方は聖書を持っています。だから自分で自分を治めなさい」という言葉を生徒に残しています。中学校の頃から生徒たちはこの言葉を聞かされて成長していきます。

 

女子校というと厳しい校則があるイメージをもつ人もいるかと思いますが、女子学院には校則が4つしかありません。「校章バッジの着用」「上履きの着用」「下校までの不要な外出の禁止」「校外活動の際の学校への届け出」だけです。

 

生徒たちの中には髪を染めたり、ピアスを空けたりする子もいますが、その多くは流行せず、女子学院の風紀が際立って乱れることはありません。お互いに「あの子はあの子」と思う文化が根付いているからです。自分自身を認めてもらえているという安心感から、生徒たちはそれに見合った振る舞いをしようと動きます。

 

女子学院は学校と生徒との強い信頼関係から、成り立っています。それゆえに生徒たちの責任感も強く、学校行事にも積極的に取り組みます。例えば文化祭、体育祭、クリスマス礼拝などもすべて生徒たちが取り仕切っています。

 

女子学院で自由なのは、生徒だけではありません。教員にも自由快活な姿勢が身につき、臆することなく自分の意見を発するものが多くいます。このような教員の姿勢もまた、生徒たちに良い影響を与えていると考えられます。

 

女子学院は大学進学実績がトップクラスでありながら、受験に特化した授業をあまり導入していません。むしろ、話し合いや作業をする学習授業の方が多いくらいです。

 

中学二年生の「ごてんば教室」では、2012年に「友、共、朋」というテーマを生徒たち自らが決めて話し合いを行いました。同じように高校三年生の修養会では「喜び」をテーマとして定め、自分の生き方について話し合いました。さらに高校一年生は事前に国語、社会、講演会の機会から学習し、広島へと赴き平和について学びます。

 

ホームルームで行う「礼拝」の時間では、毎回一人が代表としてクラス全体に向けて聖書にちなんだスピーチを行います。時にはこの場で、自分の心の葛藤を暴露する生徒もいます。

 

一クラスは44~48名とやや多めの構成になっているのが特徴的です。このことについて阪本教諭は「クラスの人数が少なければ、全員が発言をしなければならなくなります。でも生徒たちには得意な科目も苦手な科目もあります。時には黙っていたい、人の話を聞いていたい時もあります。そんな時、人に隠れられるくらいの人数がちょうどいいのです」と語ります。

 

生徒たちの立場に立った発言です。これに応えるように、生徒たちは決して人数の多さにかまけて授業を妨害したりしません。

 

また、進路を誘導することもありません。キャリア教育の講演も行いますが、話題は職業に絞らず、どう生きるかを考えさせるものになっています。学校全体で、生徒本人に考えさせ、その意志を尊重するというスタンスを守り、自由な校風を生みだしています。

 

雙葉学園:宗教と奉仕活動が根源にある

女子御三家の中で唯一の姉妹校であり、幼稚園・小学校を有するのが雙葉です。1875年設立の築地語学学校が前身で、1909年に現在の地に雙葉高等女学校、翌年に幼稚園・小学校ができました。

 

姉妹校5校に共通する教訓は「徳においては純真に、義務においては堅実に」であり、生徒たちがみな素直であり、品性を備え、責任感を強く持つことを目指しています。校則もこの教訓に則り、大まかなものしかなく、何事も生徒たちの責任とされています。

 

和田校長によれば、お嬢様学校というイメージを持たれることも多く、実際に似通った家庭環境で育った子たちが集まってきます。そのため、生徒の視野が狭くなりがちという特色があり、教員の間では生徒たちの視野をいかに広げていくかが課題です。

 

一方で実際の生徒たちは、活発で前向きな子が多いと言います。大工仕事でも力仕事でも積極的に取り組みます。

 

教育の根源は週一回の宗教の授業と奉仕活動です。赤い羽根共同募金の街頭での呼びかけ活動は64年間毎年行われており、児童養護施設や障害者施設との交流も60年以上続いています。

 

フィリピンの子どもたちのサポートを目的に行われる「サラマッポ募金」は、近年になって生徒たちの提案で始まりました。このような活動を通して、生徒たちは喜びや充実感だけでなく、時に傷つけられることも経験し、視野を広めていきます。

 

奉仕活動と並び、雙葉の名物となっているのがダンスです。雙葉は創立直後から、体育の授業でダンスを取り入れています。運動会で高校三年生が踊る「ランゲの花の歌」、約百人にもなる部員数を誇るダンス同好会、他にも授業などで生徒たちは積極的にダンスに触れています。

 

雙葉はカトリック校であり、「独自性、自由性、相互性」の3つのキリスト教の精神に則っています。特に独自性は女子校にとって、無視できないものと言えます。女性であることも立派な独自性だからです。

 

学校では女性生徒だけでなく、女性教員がキャリアを考え活躍できる環境作りにも取り組んでいます。女性教員がいきいきと働く姿こそ、女子生徒にとっては何よりの刺激になるのです。

 

横浜雙葉学園:お互いに尊重し合うことが大切である

四谷雙葉、田園調布雙葉と合わせて「雙葉三姉妹」と呼ばれるのが、横浜雙葉です。三姉妹の中で最も歴史が古く、1900年に横浜紅蘭女学校として開設されました。ある調査では礼儀・作法の行き届いた学校第一位に選ばれたこともあります。横浜雙葉も「徳においては純真に、義務においては堅実に」が校訓です。

 

校則の厳しいイメージを持たれやすい学校ですが、頭髪検査や服装・手荷物チェックを行うことはありません。中学一年生こそ教員の指導による多少の他律は必要ですが、高校三年生にもなると自律が身につき、特筆すべき指導は必要としなくなります。千葉校長は「自律こそが我が校の無形文化だ」と語っています。

 

千葉校長は生徒たちに本当の意味でのお嬢様になってほしいと願っています。「無理に着飾り派手な立ち振る舞いをすることなく、質素に生き、その場その場に溶け込むように、臨機応変な立ち振る舞いを出来るようになってほしい。そのためには本物を見極める眼力と品性を日頃から備えてほしい」と語っています。

 

横浜雙葉の運動会には名物があります。高校三年生が行う「田毎(たごと)の月」と呼ばれるもので、高校三年生にとっては、卒業式に並ぶ大切な演目です。

 

ここでは高校三年生が各々考えた学校生活への感謝の言葉が読み上げられ、生徒たちが古風な音楽に合わせて手を取り合いながら踊ります。そのような光景に、卒業生も在校生も静かに涙を流します。このような光景を、東教諭は「実に女性らしい」と評しています。

 

また運動会全体では、女性ならではの組織力を感じ取れる場面も多くあります。学年対抗で行われる運動会では、勝ち負けを目的とするよりも、生徒が一丸となって達成しようという思いが感じられます。運動の得意・不得意に関わらず、みんなで参加し作り上げようという工夫が見て取れます。

 

毎年、中学一年生が参加する校外学習で、千葉校長は「違っているから素晴らしい」をテーマに講演を行っています。「自分らしさも、他人らしさも、唯一無二の特性です。これをお互いに認め合っていくことが大切です」と千葉校長は生徒たちに説きます。

 

横浜雙葉の正門から校舎までのアプローチには、種類の異なる桜がたくさん植えられています。桜の種類、咲き方、咲く季節、どれも違う桜を植えることに千葉校長は特別な意味を感じています。生徒たちの個性を、桜の木一本一本に投影しています。

 

横浜雙葉の生徒たちは、ありのままの自分でいいのだという安心感を、学生時代に学びます。そして同時に友達のありのままも受け入れようという精神を学びます。友達や教員、学校全体に自分のありのままを受け入れてもらうことで、生徒はたくましく育ちます。

 

豊島岡女子学園:努力を継続する

旧加賀藩士夫人の川村常が、二人の娘と女子裁縫専門学校を創立したのがはじまりです。1892年のことでした。豊島岡と言えば有名なのが毎朝5分間行われる「運針」の作業です。運針とは、約一メートルのさらし布を赤い糸で縫い進んでいく作業です。

 

中学一年生から始め、高校三年生が終わるころには白いさらし布も赤一色に変わります。豊島岡の生徒たちは大学入学試験の朝も、「運針」によって平常心を保っています。小美野教諭は「運針は、裁縫の技術を向上させる意味よりも、何事も基礎基本を大切に、コツコツ努力を継続させる意味があります」と説明します。

 

中学一年生と高校から入学した生徒には、「礼法」の授業が課されます。この礼法は小笠原流の礼法に則り、和室・洋室での立ち振る舞いを身につけるのが基本ですが、豊島岡では生徒たちの個性が活かされています。

 

例えば2012年の中学一年生の礼法の授業では、「彼氏の家にお呼ばれしたときの立ち振る舞い」をテーマに、ロールプレイが行われました。生徒が彼女役、はたまた父親役になり、臨機応変に立ち振る舞う術を考え、身につけようと工夫しました。

 

岸本教諭は「礼法の授業も運針も、それをきっかけに生徒が、女性らしい振る舞いや生き方を考えるようになればいい」と語っています。

 

女子校にしては多い割合で、男性教員が教員全体の6割をしめています。教員の中でも男女の隔たりがないので、男女参画社会のモデルケースを、生徒たちは毎日目にしています。

 

運動会の名物「チェンジ!」では、生徒たちが教員を着せ替え人形のようにして、好き放題仮装させるゲームが行われます。学年ごとに行われるダンスでは、中学一年生の演技に上級生が「カワイイ」という声援をぶつけます。

 

書道部、囲碁部は共に全国レベルの活躍をしています。特に有名な部活はコーラス部で、2011年には全国大会で金賞を受賞して、大みそかの紅白歌合戦にも出場しました。

 

豊島岡は進学指導にも非常に熱心です。1990年代後半から、中学受験難関校として名を轟かせるようになってきました。特に理系に強く、生徒の過半数が理系の進学先を選んでいます。シラバスの作成や公開授業、授業アンケート等を行い、教員の指導力向上にも余念がありません。

 

昨今急な学校改革を行う学校も少なくない中、豊島岡は120年以上の歴史の中でその場その場で必要な手を打ち、進化し続けています。豊島岡は伝統校として、「学校の変わり方」を他校に示し続けています。

 

鷗友学園:子供を生み、育てる女性だから学ぶこと

1935年に府立第一高等女学校(現在の都立白鷗)の同窓会、鷗友会が設立されました。良妻賢母教育が盛んだった当初の頃から、「女性である前に一人前の人間であれ」と教育に力を入れていました。

 

「英語の鷗友」と呼ばれるほど、英語教育には力を入れています。特に数多くの原書を読みこなす「多読」の授業は、鷗友の名物と言ってもいいでしょう。しかしその一方で女子に寄り添った理科教育も充実しており、理系選択をする生徒も少なくありません。

 

鷗友は全教科において表現することを大切にしています。特筆すべきは体育でのリトミック・ダンスでしょう。ダンスは体を使い自己を表現することと、ダンスを受け入れる感性が重要になります。

 

その点女子校では、男子生徒の目を気にする必要がないため、生徒は思う存分女性らしい演出で自分を表現することができます。またダンスを見る側も、同じ女性であるため、感性が似通い、受け入れられやすくなります。

 

さらに、鷗友には園芸の授業が創立二年目から正課として存在します。敷地内に実習園と専用の講義室を構え、多様な植物を育てています。子供を生み、育てる性だからこそ、植物の栽培を通して学ぶことが多くあるという考えからです。

 

生徒たちは「園芸」のテキストの表紙を、押し花を使って自分だけの表現で飾ります。また毎月あるお誕生会では校舎内の花を摘んで活けます。

 

鷗友はミッション系の学校ではありませんが、キリス教の自由主義の精神に則っています。

 

制服は数パターン用意し、生徒それぞれが自分らしい着こなしを楽しめるようになっています。またあいさつをすることを重んじていますが、教員が強要することもありません。教員は生徒のことを「さん」づけで呼び、自分のことを「先生」とは呼びません。教員と生徒の間にも、対等な人間関係が成り立っています。

 

「自分を犠牲にする」のではなく「自分らしく生き、力を発揮する」ことを鷗友は何よりも大切にしています。鷗友の西川校長は「自分らしく生きて、納得のいく人生を歩めるような女性になって欲しい」という願いを生徒たちに持っています。

 

品川女子学院:女性のための28プロジェクト

以前は世間のニーズに合わせて、厳しい校則を課す学校でしたが、自律の身につきにくさや、被管理者の姿勢が身についてしまう危険性を鑑みて、方針を転換しました。現在は漆紫穂子校長の元で「女性に特化した、時代に即した女子教育」を女子校の使命とし、学校運営がなされています。

 

品川女子学院と言えば、女性の人生のターニングポイントである28歳を目指して行われる、「28プロジェクト」が注目されています。生徒たちに理想の28歳を想像させ、理想に近づくためには今の自分に何が必要かを考え、行動させようという教育です。

 

漆紫穂子校長は「女性には女性特有の問題が起こることを前提とした教育を、中学・高校のうちから行わないと間に合わないのです」と語っています。

 

「28プロジェクト」は六年かけて行われます。まず中学一年生では地元・品川を中心に地域を知り、貢献できるような体験をします。そして中学二年生では日本を知るために、新潟での民泊、伝統芸能や工芸との触れ合いなどを体験します。

 

そして中学三年生では世界を知るために、ニュージーランドへ修学旅行に行きます。さらにここでは世界だけでなく、仕事についても学びます。「企業コラボレーション総合学習」において、企業と共同で商品開発を行うのです。実際に売り出される商品の開発に携わるため、単なる職業調べでは分からない仕事の本質に迫ることができます。

 

高校一・二年生の時は、文化祭をショッピングモールに見立て、「起業体験プログラム」が行われます。実際に生徒が一口500円の出資者となり、ベンチャー企業のように模擬店を企画・運営します。

 

この体験を通して企業運営の仕組みを知るだけでなく、チームワークや発想力、コミュニケーション能力など社会人として必須な能力を早期に身につけておくことが期待されます。

 

品川女子学院には「6割GO!」という言葉があります。過半数以上の可能性があれば何事も挑戦してみようという考えです。例え失敗しても、その失敗から学び取ることがきっとあるからです。失敗やもめごとも貴重な学びの機会だと捉えられています。

 

このようなパイオニアを育てる指導をする一方で、女性らしさを学ばせる講座も開かれています。漆紫穂子校長は女子校出身者が強い女になり過ぎるという懸念を抱き、美しく活き活きと活躍する一助になればと願っています。

 

将来どのような女性でありたいか、生徒たちが理想をよりはっきり抱くことができれば勉強のモチベーションもあがり、安定した職業選択も可能になっていきます。

 

東京女学館:実践で学ぶ女性のリーダーシップ

1886年に伊藤博文や澁澤栄一らが、「女子教育奨励会設立趣意書」を作成しました。最も優れた教育を受けたものこそが、主婦になり、母になることに適しているのであって、国家繁栄のためには女子教育が欠かせないことを訴えました。翌年には「国際性や知性、気品を兼ね備えた女性の育成」をめざし東京女学館が設立されました。

 

東京女学館は、制服に誇りを持っている女子校として有名です。制服を着るということは、東京女学館の生徒としての責任感をまとうことだと中学一年生の入学説明会で説明されます。女学館の制服は一年中白いセーラー服であり、これは精神の高潔さ、正直に純粋に学校生活を送る証としての意味があります。

 

教室には「品性を高め、真剣に学べ」という校訓が掲げられています。福原校長はここに掲げる品性とは、その人の持つ人間性、教養、態度、行動、生き方、全てから感じられる心地よさや爽やかさのことを指すとしています。

 

1998年、創立100周年を機にこれまでの女子教育を見直し、「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」を新たな教育目標として掲げました。

 

福原校長は「110年に及ぶ伝統の中で女子教育の先駆者として大切にしてきたのが、品性を磨く女子教育です。これを忘れることなく、さらにこれからは男性と共に協力して社会に貢献できる女性になって欲しい」と、新しい教育目標への思いを語りました。

 

福原校長は品性を高め、社会に貢献する女性を育てるために、特に女性らしいリーダーシップを伸ばす教育を行いたいと語ります。女性らしいリーダーシップとは、従来の軍事的なピラミッド型のリーダーシップではなく、女性の組織力を最大限に活かした横のつながりの強い「インクルーシブ・リーダーシップ」のことです。

 

インクルーシブ・リーダーシップを伸ばすために、女学館ではこれまであった生徒会制度を廃止し、実行委員会制度を作り上げました。教員と生徒会執行部が中心となっていた生徒会活動をフラットにし、行事別に希望者を募って実行委員会を組織することで、生徒が全てを主体的に取り仕切るようにしました。

 

実行委員会制度を設けたことで、生徒はお互いを指導し合う立場となり、双方に敬意や感謝の意を払うようになりました。

 

生徒が納得のいく結果にたどり着くまでには時間がかかるため、教員への負担は大きくなります。しかし、その分生徒たちからは自らが納得し選出した代表や設けたルールには、文句もなく従い、何が何でもやり通そうという気概を感じます。

 

さらに女学館の名物と言えば、体育祭のクライマックスで高校三年生が行う「カドリール」と「プロムナード」です。

 

カドリールはフランスの宮廷ダンスであり、良家の子女の教養の一つとして長く受け継がれてきました。プロムナードは高校三年生が六年間の学校生活への思いを、人文字で表現したものです。この人文字を映したモザイクが食堂の前に飾られます。

 

晃華学園:女子の組織力を見せつける

もともとは暁星学園と同法人でしたが、1961年に幼稚園と小学校が昇華学園として別法人化され、1963年に昇華学園中学・高等学校が誕生しました。

 

カトリック系のミッションスクールである晃華の教育理念は、フランス語の格言「ノーブレス・オブリージュ」です。「喜んで与えられた役割を果たす人」「他者のために生きる人」を育てる教育を長年行ってきました。

 

この教育理念を伝えるために、中学生のうちは毎年オリジナリティあふれる学校行事が年6~7回行われます。創意工夫を凝らしてそれらを実現する力、コミュニケーション能力を身につける絶好の機会となっています。

 

例えば「東京修学旅行」という大好評の企画行事がありました。中学三年生がリーダーとなり、一日かけて東京を周遊するプランを練ります。下級生たちは面白そうなプランを提示した上級生の班に加わり、一日を過ごすという企画です。下級生を喜ばせるために、一生懸命プランを練り上げる上級生の姿はまさに教育理念そのものでしょう。

 

さらに高校生になると、年間50~60もの講話を聴き、様々な人の人生から学び、自分のこれからについて考え、目標を見つけるきっかけとしています。またマナー教育にも力を入れており、女性として身につけておいた方がいいマナーを日常的に学んでいます。

 

晃華には変わった部活が二つあります。「居合道同好会」と「科学同好会」です。「居合同好会」には比較的多数の生徒が在籍しており、マリア様やイエス様の像の前を黒い袴姿で通り過ぎる光景はとても目をひきます。また「科学同好会」では長年ワラジムシの研究を行っており、良くも悪くも女子校らしさが感じられる活動風景が見られます。

 

頌栄女子学院:グローバル感覚と考える力を磨く

頌栄女子学院と言えば、タータンチェックのスカートにブレザーという制服の元祖と言っても過言ではないでしょう。教員も生徒もみな、この制服に誇りをもっており、特段の細かい服装規定を設けずとも、生徒たちはみな美しく制服を着こなします。

 

高校三年生は「礼法」という授業があり、そこで女性の品性や教養を学びます。また6月の第2水曜日は「花の日礼拝」として、中学生が花を持ち寄り、神を賛美します。そして日頃の感謝の気持ちを込めて、近所の交番や消防署へ、カードを添えて花束を届けるのです。

 

運動会は「頌栄フィールドデイ」と呼ばれています。運動会の名物は、学年別に作成披露されるマスゲームです。女性らしい優雅な仕上がりに魅せられます。

 

生徒の約20%が帰国生であることも、頌栄女子学院の特徴であり、この環境が英語教育や国際理解教育へと活かされています。中学卒業までに英語検定準2級合格するものも多く、学校のESSや模擬国連部も高いレベルを持っています。英語を使う職業に就く卒業生もとても多いです。

 

一方で考える力を育てるために「小論文指導」や「ライフデザイン教育」にも力を入れています。中学三年生では卒業論文も課されます。

 

三輪田学園:教科学習と人間教育

1887年に「翠松学舎」が設立されたのが始まりです。教育理念は「徳才兼備の女性を育てる」ことです。そのためあってか、1903年のカリキュラムにはすでに英語・数学・科学の授業が取り込まれていました。教科学習の指導方針ではコツコツ努力する女子の性質を捉え、「小テスト満点主義」を掲げています。

 

教科学習だけでなく、人間教育も三輪田の特徴です。「生き方教育」と「読書教育」の2軸で人間形成を促しています。

 

「生き方教育」では、「いのち」「平和」「環境」「自立」をテーマに各学年で繰り返し行っていきます。「いのち」のテーマでは、特に女性は命を繋ぐ性であることを自覚させ、共感力の高い女性へと育てることを目指しています。「自立」のテーマでは、進路指導も兼ねて、女性としてのライフプランニングを行わせています。

 

「読書教育」は40年以上の歴史があり、中学生には週に一時間「読書」の時間を設けています。図書館で課題図書を読みレポートを提出すると、教員からたくさんのコメントが返ってくる仕組みも存在します。これによって読解力、文章理解力の向上も目指しています。

 

125年以上も歴史のある伝統校のため、「三世代で三輪田」という生徒も少なくないと言います。卒業生の来訪もとても多いと吉田校長は笑いながら語ります。

 

山脇学園:伝統と革新の融合が進む

創立者は明治憲法・起草者の一人である山脇玄です。山脇玄は貴族院で婦人参政権の付与を主張するなど、当時の男尊女卑の社会を革新しようと動いた人です。

 

100年以上も歴史のある山脇が、今時代の流れを汲んで様々な変化を遂げようとしています。「山脇ルネサンス」と呼ばれるこの革新的な動きによって、英語教育と理科教育の体験型スペースの構築や最新の自主学習施設の建設、制服の新しいアイテムの追加など、変革はどんどん進んでいます。

 

一方で「礼法」「華道」「琴」「ダンス」など山脇の伝統とされる授業は今後も継承されていきます。現代社会で活躍する女性にこそ必要な教養・品格を備える上で重要だと判断されたからです。

 

吉祥女子中学・高等学校:進学実績も人気もうなぎのぼり

近年大学進学実績を伸ばしていることで、人気が高まっているのは吉祥女子です。制服はブレザースタイルが基本ですが、ブラウスやスカートなどをオプションで変更することが可能です。ズボンの着用も認められています。

 

さらにカリキュラムには、従来の女子校によくみる日本の伝統文化を学ぶものに加え、ピアノやバイオリンなどの音楽系から、英会話や中国語会話などの語学系まで、有料で希望者が参加する課外授業を豊富に設けています。

 

また文化祭や体育祭では、男子校顔負けの大工仕事や騎馬戦、棒倒しなど、従来の女子校にはない壮大さや緊張感を感じることができます。

 

四天王寺学園:文武両道の進学校

四天王寺敷地内にあり、女子校としては珍しい仏教校です。教育方針は「和を以て貴しとなす」で、お互いを尊重し合うことで団結力を高めるのがこの学校の生徒たちの特長です。

 

登下校時には正面の慈母観音像に合掌し一礼します。生徒全員が自分専用の客用茶道具一式をもっているところが、実に女子校らしくあります。次週の時間にお茶の作法を学ぶこともあります。

 

西日本屈指の大規模進学校であり、大学進学を目指す「英数コース」というものが存在します。生徒の七割が医学部、薬学部などの理系進学先を志します。さらに自然科学系の天文班や生物班といったクラブ活動も盛んです。

 

一方で「スポーツ・芸術コース」の生徒たちの活躍も目覚ましく、全国にその名を轟かせています。かつてはバレーボール、シンクロナイズドスイミング、テコンドー、卓球などでオリンピック出場選手を輩出したこともあります。

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