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男子校の中身をのぞいてみよう!有名男子校の特徴、指導方針等

男子校

厳しいイメージがある男子校ですが、女子の目を気にせずにのびのびできる環境でもあります。しかし一口に男子校と言ってもいろいろな学校がありますので、どんな特徴があるか有名男子校をいくつか見ていきましょう。

 

運動会が集大成【開成】

30年以上、東大合格者数ランキングNo.1の学校と聞けば、厳しい教師の元、勉強ばかりしている生徒を思いうかべるかもしれません。しかし、実際は勉強を強制されることなく自由にのびのびと生徒が学ぶことができる学校です。

 

校則もしいて言うならば、「制服着用」くらいで、決められた事に従う事よりも、状況に応じて臨機応変に対応する力を身に着ける事を目的としています。もちろん、それで過ちをおかす事もありますが、その経験を通して自分たちが守るべきことを学ぶことができるのです。

 

校名は中国の古典『易経』の中にある開物成務という言葉に由来しています。意味は、「人間性を開拓し、人としての務めを成す」です。卒業生には多くの著名人がいます。小説家の島崎藤村や脚本家の蜷川幸雄氏も同校の卒業生です。

 

開成を語るうえで外せないのが運動会です。初めて見た人はその真剣さに驚くこと間違いなしの、毎年、取材が来る人気行事です。中学校から高校までが縦割りで組み分けされ、各組、高校3年生がリーダーとなります。

 

運動会の準備は、リーダーとなる高校2年生の5月から丸1年かけて、クラス全員がそれぞれ役割を持って行われます。教師は見守るだけです。

 

騎馬戦や棒倒しの運動会に1年をかけるなんてと思うかもしれませんが、生徒1人1人が自分の長所を生かして役割を持ち、1年をかけて準備するからこそ、情熱が高まり当日の独特な熱気が生まれるのでしょう。もし、他校のように教師がしきっていたら、メディアが取材に来るほどの名物運動会にはならないでしょう。

 

運動会で開成生としてのすべてを出し切り、その後受験へと向かっていくのです。

 

自学自習を基本としていて、高校3年生で夏季・冬季講習がある教科もありますが、それ以外で補修という類の授業はありません。志望校を決めるにあたっても、学校側から志望校を押し付けられるようなことはなく、生徒の希望に沿ってくれます。

 

生徒同様に、教師も自由で、授業内容は各教師に任せられています。教師が学校に管理されていると、それが生徒にも伝わってしまい、自由な校風が守られなくなるためです。

 

男子だけという空間だからこそ、生徒も教師もありのままにやることができ、ぶつかりあうこともできるのです。開成が男子校であったからこその教育法で、長年、東大合格者ランキングの王座を守り続けているのでしょう。

 

生徒の自由を守る覚悟がある【東大寺学園】

名前の通り、東大寺が経営母体の仏教校です。1986年までは実際に東大寺境内に校舎がありました。現在の校舎もお寺を連想する門構えです。

 

しかしながら、宗教の流布を目的として設立されたわけではなく、地域の人々に学問の場を提供することを目的として始まった学校であり、宗教の授業はありません。

 

他の仏教校のイメージとは異なり、校則はありません。金色や赤色に髪を染めた生徒も見かけます。制服も元々はありましたが生徒会の要望によってなくなりました。災害時に逃げられる格好であれば良いというのが学校側の服装に対する考えです。

 

自由な学校ですが、放任主義ではありません。生徒が望むことを自由にさせるために、教師は大きな負荷を背負っています。

 

東大寺学園の修学旅行は生徒が計画を立てます。色々な事にギリギリまで挑戦させて「自分たちで、できた」という達成感を得る為です。

 

生徒に自由にさせる分、教師はあらゆる可能性を考え、いざという時に対処できるようにしていなければなりません。これがなければただの放任になってしまいます。それでは生徒の自由は守れません。生徒に徹底的につきあう覚悟が教師にあるということです。

 

同校の進学実績は、毎年60名前後が東大・京大に現役合格しています。2017年は東大が20名、京大が39名、2016年は東大が24名、京大が39名でした。

 

国公立大学への合格者数でみると2016年、2017年共に99名です。毎年の卒業人数が210名~220名ですので、半数とまではいきませんが多くの学生が国公立大学に現役で進学しています。既卒者を入れると合格者はほぼ倍近くになります。

 

この結果は受験対策に力を入れているわけではなく、日々の授業のレベルの高さの賜物だといいます。生徒には「授業についていかないといけない」と思わせるように学力データを提示したり、個別に話をすることを基本に指導しているのです。

 

又、志望校に関しては、生徒の希望を尊重します。例え、実力的に厳しいと思われる学校を希望したとしても、どうすれば合格できるか具体的に指導します。一人一人の生徒を信じ、とことんやらせてあげることで、生徒それぞれが持てる限りの力を発揮することができるのです。それが東大寺学園の教育です。

 

この教育をするには、教師に余裕がなくてはなりません。同校は9割以上が専任教師で、1人の教師の担当コマ数が比較的少ないため、教師が楽しんで指導する事ができるのです。

 

又、同校は保護者からの信頼も厚く、それがあるからこそ大胆な学校運営ができているといいます。

 

家族のような寮生活【ラ・サール】

ラ・サール会は、約80か国で約1000校の学校を運営している世界屈指の教育団体です。

日本では、寮制の進学校として有名ですが、設立当初は寮制ではなく、ましてや進学校をめざしていたわけでもありませんでした。

 

フランシスコザビエル来朝400年祭の記念事業の一つとして、ゆかりの地である鹿児島に学校を設立しました。その後、地元の優秀な生徒や教師が集まり、卒業生が各界で活躍するようになりました。その結果、遠方からも進学希望者が増え、必然的に学生寮が設置されたのです。

 

寮生は、学校だけでなく生活のほとんどを男子だけで過ごすことになります。中学生は1部屋に8人、高校生になると個室になります。朝は休日も7時20分に点呼があり、消灯は中学生が23時、高校生は24時です。毎日、義務自習という時間があります。多くの学生は高校3年生になると、近隣で下宿するようです。

 

普通の中高生と比べて厳しい生活の様にも思えますが、小言を言う親もいなくて、同年代の男子だけで過ごすことができる精神的自由は大きいです。

 

逆に言えば、親にとっては淋しさもあるでしょう。生徒は寮に慣れていくにつれて家に電話する事も減っていきます。更にはだんだんと、長期休暇時の帰省を億劫がる生徒もでてくるといいます。

 

だから必然的にどんなお母さんでも子離れすることができます。中学・高校という思春期の男子教育において、母親からの自立を課題に挙げる学校は多くありますが、同校ではその心配はありません。

 

かといって家族関係がうまくいかないわけではありません。離れるからこそ、家族の大切さ、有り難さを感じる事が出来ているといいます。

 

男だらけの生活の中では、ケンカもありますが、教師が時には親になったり、兄になったりしながら生徒を受け止めてくれます。「ファミリー・スピリット」を教育の根本にしているのです。

 

寮生活は細かい規則で縛られている印象を受けますが、ラ・サールは自由な校風です。一昔前、まだ鹿児島のほとんどの学校で男子は丸刈りと決められていた時代も、ラ・サール生は自由に長髪にできました。

 

卒業後は、生徒はバラバラになりますが、卒業10周年などの節目ごとに、母校に集い当時の担任の授業を受けるという伝統があります。寝食を共にした仲間の結束の強さを感じます。

 

独自の教育と圧倒的自由【麻布】

自由を謳う学校は多いですが、その中でも特に自由なのが麻布かもしれません。校則らしいものもなく生徒手帳すらもありません。服装や髪形も自由です。休み時間になれば、校外に買い物に行ったり昼食をとりに行ったりする生徒もいます。

 

「男子御三家」と呼ばれる学校の一つではあるものの、校舎も汚く、騒がしいです。麻布は江戸時代の若衆宿のようだという人もいます。親御さんにとっては、息子を入学させるのを戸惑うかもしれませんが入学させたならば腹をくくって見守るしかないのです。

 

麻布の創始者、江原素六は、幕臣として戊辰戦争を戦い、又、武士の倫理観を基本としながらも、キリスト教と出会うことで独自の倫理観を築いた人物です。中学1年時の行時として、江原氏の墓前祭に参加します。生徒は江原氏の伝記や資料館を通して建学の精神を学びます。

 

又、麻布には第1次・2次学園紛争という歴史があります。文化祭に機動隊が出動したり、校長室を生徒が占拠したり、中学校では学校ロックアウトが行われ逮捕者も出ました。その様子を中学1年生は先輩方から伝えられ、今の麻布の自由がある理由を学びます。

 

この中1で学んだ建学の精神と自由の重みを、それからの学校生活において体感し体に刻み込んでいくのです。運動会や文化祭等のイベントは、全て生徒が主体となって行われます。

 

教師が果たすべき役割は生徒に刺激を与え、生徒自身が自己展開できるようにすることというのが麻布の教育の考え方です。教師よりも先輩、同級生から学ぶことが多いのではと話す教師もいます。

 

戦後の学制改編後、東大合格者数ランキングトップ10に入り続けているのは麻布だけです。かといって受験対策の明け暮れているわけではありません。進学指導は、OBによる進路ガイダンスや、学内の模試結果と過去の大学進学状況データを生徒に渡すことくらいだといいます。

 

授業内容は教師に任せられている部分が大きく、独自の教材が大半を占めます。生徒が興味を持ちそうな部分を細かく教えるスタンスの教師が多数です。

 

成績や志望校でクラス分けをすることはありませんが、高校2、3年生では、特定の教科で、それぞれが必要な授業を選択して受講します。

 

教養総合と呼ばれる授業が、高校1、2年生を対象に行われます。選択制で、討論や実技を中心としたゼミ形式です

 

又、中学1年生の生活科学の授業で、生活者の視点で社会を推察する授業を行ったり、高校1年生の生活総合では、障害者施設を訪問したり、幼稚園で保育実習を行ったりします。これからの時代を生きる生徒に必要な授業であると考えます。

 

麻布の歴史に基づいた教育を根本としながらも、時代に応じた柔軟な教育を行っています。それが、昔も今も変わらず各界に活躍する人材を輩出することにつながっているのでしょう。

 

授業は15時まで【駒場東邦】

男子校の中では、新しい方に入る学校でありながら、既に立派な大学進学実績を築いているのが、イギリスのパブリックスクールをモデルとして設立された駒場東邦です。

 

次世代のリーダーの育成を掲げるこの学校では、中学入学時に保護者に対して塾等には通わせないようにお願いするといいます。

 

それまでの塾の指導を基に勉強していた習慣から離れ、自分1人で試行錯誤しながら勉強していけるようにするためです。

 

この学校のユニークなルールとして、「15時以降は原則として授業を行わない、そして17時半まで部活をする」というのがあります。そのため、中学1年生はほとんどが部活動を行なっており、その多くが運動部です。勉強だけできれば良いというのではなく、部活にも熱中するよう指導しています。

 

部活動によって、生徒の縦横のつながりもできます。先輩たちの後輩の面倒見が良いこともこの学校の特徴の1つになっています。

 

自主性を重んじてはいますが、校則がないわけではありません。例えば携帯電話は、中学校では電源を切ること、高校では授業中に鳴らないようにと指導しています。服装にもルールはありますし、遅刻は厳しく指導されます。

 

同校では、家庭の教育レベルが高く、大事に育てられてきた生徒が多数です。それにより苦労するのが、母親から自立させることだといいます。

 

あえて、母親には学校に来てもらう機会を多く持ち、学校を理解してもらえるようにして、又、PTA活動を活発にすることによって親同士のつながりを築いてもらうよう努めています。

 

又、各界にOB会があり、OBの愛校心が強いことも特徴のひとつです。

 

OBの支援、保護者からの信頼、そして生徒の縦横のつながり、これらの絆で成り立っている教育なのです。

 

新しい紳士の育成【海城】

リベラルでフェアな精神を持った新しい紳士、それが海城の教育が目指す男子像です。元は海軍予備校として設立された同校ですが、1992年から始まった改革により、上記の目標が掲げられました。

 

なんでもありの自由至上主義ではなく、公正(フェアネス)を前提とした自由主義(リベラリズム)であるべきという考えです。

 

新しい紳士とは、同校のホームページの古賀喜博理事長挨拶によると、『「フェアーな精神」で物事を判断し、「思いやりの心」で人に接する。「民主主義を守る意思を強く持ち、「明確に意思を伝える能力に溢れている。」人間としての品格を身につけた、未来の地球のリーダー』ということです。

 

改革の途中で、伝統行事に加え、新しい行事が2つ組み込まれました。

 

1つは「プロジェクトアドベンチャー」というもので、アスレチックのような立木や丸太を使った活動の中で、生徒同士がチームとなり課題をクリアしていく体験学習です。これによってコミュニケーション能力やコラボレーション能力が身につくといいます。

 

もう1つは「ドラマエデュケーション」です。演劇の手法を用いて体験的におこなわれるものです。小説等のある場面を演じ、役割を入れ替えたり、お互いを批評したりしながら、想像力や対話的コミュニケーション方法を学ぶことができます。

 

この流れを受けて、意味づけが変わった伝統行事があります。

 

中学1年生の夏にある遠泳合宿です。海城名物で、以前は根性を試したり全体主義的な協調を強制するイメージが持たれていました。それを、縦横の隊列を守りながら遠泳することでコミュニケーション能力を鍛える事、またそれぞれの泳力を調和するコラボレーション能力を鍛える事という位置づけに直しました。

 

2011年には、高校での生徒募集を止め、代わりに中学1年生で30名の帰国生を受け入れる事にしました。異文化を体験した生徒と共に生活することで、世界の多様な価値観を持つ人々と共に生きる事ができる人物の育成するためです。

 

相談室の存在が生徒を支えてくれる【芝】

東京タワーの近くに位置した、浄土宗東京支校を前身とする仏教校で、遵法自治を校則としています。遵法は全世界や宇宙の法、永遠の真理などに逆らわずに生きること、自治は自主・自立の態度で自分を治めることを意味します。

 

同校では、まだ不登校や登校拒否などの言葉が一般的でない頃から、相談室が設置されていました。心の教育が大切だという考えからです。心理カウンセラーの資格をもった専任教員が複数いて、外部のサポート体制もあります。

 

それにより、いじめ問題の対応も早く「芝温泉」と呼ばれる程の暖かな校風です。相談室では、学校への疑問や、世の中への不満、更には保護者からの相談にも対応しています。生徒が楽しく学校生活を送るためには、生徒が学校や教師を信用できることが必要不可欠です。その為に相談室の果たす役割は大きいといいます。

 

なんと進路指導の主体も相談室になっています。「自己発見シート」というものを使って10年後の自分を考え、進路を見出すというユニークな進路指導を行っています。

 

又、同校は行事や校外学習が他校に比べて豊富です。中学1年生では生物観察、荒川30キロウォーキング、臨海学校などが行われます。中学2年生と高校1年生の夏季校外学習ではラフティングやキャンプなど、修学旅行は中学3年生と高校2年生で行きます。

 

各行事は学年ごとの担当教員で計画・実施されるので、学年ごとに特色が違い毎回違う行事が開催されているといいます。

 

進学実績は安定していますが、受験対策よりも人間教育に重きを置いているといいます。それが表れていることの1つに「すべての教科が主要教科」という考え方があります。

 

音楽の授業ではバイオリンの弾き方を全員が学び、技術の授業ではかんなを研ぎ、家庭課では調理実習で使用するエプロンを作ることから始めます。昔ながらの男らしさではなく、新しい男子教育に取り組んでいます。

 

多くの学校でも課題となっている、母子分離の問題において、同校では「手を離して抱きしめる気持ちで見守ってほしい」と話しています。

 

やる気スイッチを押してくれる【桐朋】

軍人師弟の教育目的で設立された学校でしたが、戦後、東京理科大学学長の務台理作氏が校長となり、自主性を養い個性を伸長するヒューマニズムに立つ教育の理念を掲げ桐朋学園として第二の出発をしました。

 

自然に恵まれた武蔵野にあり、雑木林も含めて23000坪という広大な敷地を持っています。

 

卒業生が記した卒業文集には、生徒のやりたいことを認めてくれる、生徒を大人として扱ってくれるというような表現が多く見られます。

 

規則を強制するのではなく、何か問題があればその都度、生徒に規則を決めさせるという風習があります。生徒同士で話し合いをして、教師が間に入らなくても最後には決まるといいます。制服は中学生のみで高校生になると自由になります。

 

桐朋は、系列の小学校から入ってくる生徒もいれば、中学受験、高校受験で入ってくる生徒もいて、他の進学校に比べ学力にバラつきがあります。しかしながら、高校3年生までは文理別のクラス編成をせずに、バラバラな中で学び、多様性を身につけることに重きをおいています。

 

受験対策の面からみると、効率が悪そうですが、桐朋ではそんなことなど問題にならないほど、生徒にやる気を出させる仕掛けがたくさんといいます。1度やる気スイッチさえ押されれば、後は生徒が自ら動き目標を達成するのです。

 

40年以上前は大学受験の指導を重点的にしていましたが、それに疑問を持った教師が通常の授業を充実させることに力を入れるようにしたところ、進学実績が伸びたという経緯があり、それから生徒の自主性を大事にするようになったといいます。

 

生徒のやる気スイッチを押す仕掛けの1つとして行事が挙げられます。遠足や修学旅行の企画を生徒が行い、行事を通して人としての成長を促すのが桐朋のやり方です。

 

ふだんの授業の中でも、発達段階に応じて多種多様な刺激を与えて自分はどうしたいのか、どの道に進むべきなのかという事を考えるように仕向けています。

 

教師は「このやり方は男子だけだからこそやりやすい」といいます。長年の経験から、この時期にはこの刺激を与えればどういう結果になるという事が、だいたい予測がつくそうです。

 

又、教師が自由であり、6学年がそれぞれに新しい挑戦を試みる事が出来ます。その中で、良くなかったものは改まり、うまくいったものは残って、桐朋の教育ができているのです。

 

受験勉強よりも今やりたいことをやる【城北】

 

同校は伝統的に教師と生徒の絆が強く、卒業生と食事に行くことも多く、卒業生が企画したイベントに招待されることもあるそうです。師弟関係にあった教育者と実業家が設立したという歴史に基づいているのかもしれません。

 

城北の生徒は、「バカな事」と周りに言われるようなことをするのが好きな生徒が多いといいます。毎年の文化祭でも、様々なイベントが企画されています。ある年では、人間イスでギネス更新を狙い、テレビ局も取材にきて大騒ぎとなったこともありました。

 

「10代の多感な男子には、男同士の横のつながりが必要です。そんな馬鹿な事をということも真面目に突き進めることが男子の魅力です。どんなにくだらないことでもいいので、それを皆で目指して一つになるという経験をすることが大事」と教師はいいます。

 

又、部活動も盛んで、多くの進学校が高2で部活を引退しますが、城北ではほとんどの部活動生が高3の秋まで部活を行います。

 

「受験のために今やりたいことをあきらめることはない」という指導方針です。中には辞める生徒もいるようですが、それを責めるような生徒はいません。部活を辞めても、頑張っている仲間の試合の応援に行く生徒も多いそうです。

 

そうして、受験間際まで部活に汗を流していても、現役で大学進学を果たす生徒が多数います。毎年のようにヒーローが誕生し、今となってはそれが伝統にもなっています。

 

部活に熱中するように、受験勉強にも夢中になる力を持っている生徒が多く、又、塾はいらないと標榜できるほど、学校だけで十分な受験対策を行っているという事です。

 

伝統を重んじる【巣鴨】

硬教育をモットーに1910年に創設された私塾が始まりの学校です。

 

硬教育という言葉から「硬派」とうイメージが強い同校ですが、実際はそうではありません。そもそも硬教育の原点は、創設当時に、アメリカから入ってきたソフト・エデュケーション(軟教育)という思想から考えられたのです。

 

それは子供にわかりやすくかみ砕いて初等教育はおこなうべきだというという考えです。対して、中等教育では、生徒が自ら努力することも必要だということで、硬教育を掲げたのです。硬教育とは努力主義、自らの力で自己を追及する事を意味します。

 

巣鴨は、2011年の大学受験において、東大合格者数が前年から14名増という大躍進をとげました。要因を教師に問うと、「特別な事はしていない、やるべきことをやっただけ」と言います。

 

また、「難関大学に合格させたければ、ただ勉強だけをやらせればいいのかもしれませんがそれは教育ではない」とはっきり言います。

 

強歩大会や、ふんどし姿での遠泳大会、1週間にも及ぶ剣道寒稽古など、ザ・男子校という感じの厳しい伝統行事が続けられています。驚くことに、合宿になると平日でも50名以上のOBが駆けつけてサポートしています。

 

生徒、特に中学1年生は、行事を通して巣鴨の伝統を感じ、自分も後輩にこの伝統を伝えなければならないと思うのです。

 

我慢を強いる事が、苦行に耐えさせる教育ではありません。利益などの目の前の目標にとらわれるのではなく、その先に高潔な人生が待っていることを示すことが大事です。そうでなければ、伝統行事といってもただの体力づくりのようなものになってしまいます。

 

又、制服は勝手に着崩してはならないと指導しています。制服は個人のものではなく伝統に属しているという考えからで、伝統への敬意をもって着こなさなければならないからです。

 

学習面でも生活面でも独自の指導法【本郷】

教育方針は文武両道、自学自習、生活習慣の確立です。

 

中学1年生は原則全員部活に参加しなければなりません。高校でも多くの生徒が部活動をしています。ただ、活動時間については、中学生で週3回1日2時間まで、高校生で週5回1日3時間までと制限しなければなりません。

 

その限られた活動時間の中でも、中学ラグビー部は2017年、東京都大会で春秋連覇を果たし、9月の全国大会でも6位入賞しています。その他にも優秀な成績を残している部活動はいくつもあります。

 

高校になると柔道か剣道が必修となり、卒業までに段位の取得を目標としています。

 

学業面では「本郷数学基礎学力検定試験」という独自の数学検定を行って、成績優秀者を表彰しています。又、中学入学時に、中学校3年分の英単語データが入ったUSBを配り、それをもとに「本郷英単語基礎学力試験」を行っています。独自の取り組みにより、自学自習を促しています。

 

生活面では、本郷独自の生活記録表を用いて、生徒自身で日々の生活を自己管理しています。これにより、自分を振り返り、先をイメージすることで時間を有効活用する習慣が身につきます。

 

本郷では、身だしなみを整える、時間を守る、挨拶をする等について厳しく指導していますが、出来ていないからと言って厳しく注意するようなことはしません。生徒が自ら気づくように仕向け、気づくまで待つというスタンスです。

 

本郷が理想とする男性像は、勉強熱心、好奇心旺盛、母校を愛し地域を大事にすること、広い交友関係を持つこと、活発であることの5つを兼ね揃えていることだといいます。

 

教師は、「中高生は、やんちゃな男子が大人の男性への変貌を遂げる時期であるので未来の彼らを思い浮かべながら接することが大事」と言います。

 

サッカーが強く礼儀正しい【暁星】

サッカーで有名な学校で、高校サッカー部は全国大会にも幾度となく出場する強豪です。しかしながら入試にサッカー枠はありません。学力試験で集まった生徒で作られたチームで強豪と呼ばれるのは珍しいことです。同校にとってサッカーは1つの文化になっていて、年に1度、中学1年~高校2年生合同でのサッカー大会が開かれる程です。

 

東京都内の男子校では唯一のカトリック校で、120年以上の歴史を持つ伝統校でもあります。1学年は約180人程度で家庭的な雰囲気がある学校です。

 

規律は厳しく、特に通学時のマナーについては、本を読んだりイヤホンをして歩かない、横に広がらない、公共交通機関では鞄は身体の前に抱えて持つ等、細かく指導されています。他にも、学内での携帯電話は禁止で、制服のボタンホックは全て留めなければなりません。

 

そのためか、礼儀正しく、外面がいい生徒たちだと教師は話します。又、外国語教育に重きを置き、英語のみならずフランス語も必修です。

 

丁寧な教育【濁協】

椿山荘や東京カテドラル等に囲まれる都会的な場所にある、1883年創立の伝統校で、濁逸学協会学校が前身の西洋を思わす校風が特徴の学校です。

 

生徒たちは自らを都会的だと意識しているといいます。又、濁協生が社会に出れば優等生になれると言い伝えられ、それを汚さない行動を自ら心がける文化があります。

 

丁寧に育てる事が濁協のやり方で、それがよく表れているのが「濁協手帳」です。毎日の予定や学習時間、実際に行った宿題などを書き込み、時間を管理させて、週に一度回収し教師がコメントをつけます。細かい規律を押し付けるよりも、お互いを理解することにより自立を促します。

 

カリキュラムは男子の特性に合わせて組まれています。例えば、英語は苦手とする男子が多いので、独自の副教材を開発し、やる気アップのための行事まで行うといいます。男子を伸ばすためには、男子の特性を熟知していることが必要なのです。

 

ヤングジェントルマン【京華】

1897年創立の伝統校ではありますが、新しい男子教育を行い、次代を担う「ネバーダイ」な「ヤングジェントルマン」の育成をめざしています。早々に、詰襟の制服からスーツ型へと移行したことにもそれが表れています。

 

同系列である京華女子中・高等学校とは隣接していて、一部の部活動では3校合同で男女が混ざって活動しています。

 

近年は、口下手でおとなしい男子が多い傾向にあり、コミュニケーション能力を育てる事に重きを置き、グループコミュニケーションと呼ばれるプログラムを行っています。グループに分かれ議論を行い、ワークシートに結論をまとめていくものです。

 

その中に「エコグラム」という生徒の心理状態を把握するのに有用な、性格分析ツールが入っています。それを分析したところ、京華生は他人に優しく、気遣いをする傾向が、一般の中高生と比較して強いそうです。

 

また、中学1、2年生の時は幼さがあるが、高校3年生にもなると自分への厳しさを持つようになるというような事もわかるといいます。

 

大学受験対策においては、中学2年生から習熟度別クラス編成を行い、生徒それぞれの力に合わせた教育を行っています。

 

同校は、「サンデー毎日」が2016年10月2日号の誌内で、305の学習塾の塾長に行った「塾イチオシ」の中間一貫校アンケートにおいて、9項目中4項目で1位をとりました。中でも、「面倒見が良い」「入学時の偏差値に比べ大学合格実績が高い」という2つの項目では7年連続で1位を獲得しています。

 

入学時に比べて卒業時の偏差値が高く、スロースタータータイプの生徒たちが、自分のペースで力を伸ばしていける学校です。

 

独自の講座が充実【聖光学院】

カトリックの男子校として、キリスト教教育修士会が母体となり1958年に創立されました。有名なシンガーソングライターの小田和正氏の出身校であり、「マイホームタウン」という楽曲の中で、学院時代の思い出が歌われています。

 

カトリック系ということで、規律を重んじる校風と言われますが、堅苦しい雰囲気が立ち込めているわけではありません。勉強だけでなくスポーツに打ち込む生徒も多く、周囲に女子校が多いので、デートしている生徒の姿を見かける事も珍しくありません。

 

昔は男子校といえばバンカラな印象でしたが、これからの男子校はそれだけではやっていけないのではないのでしょうか。

 

同校では昔から続く中学生でのキャンプ合宿や高校での登山キャンプなど、心身を鍛える行事も必要だが、それに加えて創造力や知的好奇心を育むための情操教育が必要だといいます。

 

その考えから独自のユニークな講座が行われています。そのうちの一つが「聖光塾」と呼ばれるもので、生きる力を育むための体験的な学習を大切にしていて、学年も関係ない自由参加の講座です。

 

又、「選択芸術講座」とよばれるものでは、絵画、陶芸、声楽等の講座があり、国際社会で活躍できる国際人としての豊かな感性を育むことを目的としています。

 

同校は東大合格者ランキングでここ数年、神奈川県トップの座を守っていますが、必ずしも受験指導に力を注いでいるわけではなく、どちらかというと教養学習に重きをおいています。

 

男子は理想が高いのでロマンに訴えかけていくこと、そして瞬発力には長けているが持続力は乏しいので、常に訴え続ける事が必要だといいます。

 

2011年に、同校では生徒80名が震災の被災地に行きボランティア活動を行いました。

 

大きなリスクを伴う決断でしたが、校長である工藤氏は「私学であり、男子校だからこそできた決断でした。次代を担う若者を育てることは、画一的で、効率を追求したような教育ではできません。そこに私学の存在意義があり、中でも男子校にはダイナミズムが必要」といいます。

 

優しさと厳しさの調和【浅野】

1920年に旧制中学として始まりました。当時は夜を徹して国家や進路を語り合う生徒が大勢いたようです。1980年代からは大学受験に重きを置き、今では神奈川男子御三家の1校です。宗教系や大規模校が目立つ神奈川の男子校において、旧制中学の面影を残す独自の校風があります。

 

敷地は広く、森林公園かと見まがうほどの恵まれた環境にあります。

 

以前は豪傑な生徒が多かったですが、今はスマートな生徒が多いといいます。進学先も、早稲田や明治、法政に進む生徒が多かったですが、90年代にはいると、青学、上智、慶応等に進む生徒が増えています。

 

同校は男子がもてあますほどのエネルギーを思いっきり発散できる場所だといいます。中学1、2年生の部活入部率は100%に近く、部活の活動時間の制限はありません。体育祭ではヘッドキャップを着用するほど激しくぶつかり合い、林間学校や山登りの行事も多く実施されます。

 

勉強に関してもハードな面はあり、中学生は毎日90~120分ほどの宿題が与えられ、理解度も都度チェックし、理解できていない生徒には補修や追試を課します。

 

制服は決まっていて、バックも指定です。髪形は軽薄なものはNGだといいます。学校とプライベートをわけるように指導しています。

 

「九転十起」が校訓にあり、教師は生徒の失敗にはとことん付き合うといいます。

 

やんちゃな男子を見守ることと、厳しく指導する事、両方が丁度よく行われている学校です。

 

幅広い分野で活躍【栄光学園】

1学年180人ほどの少人数な学校でありながらも、東大合格者も輩出し、更には国際化学オリンピックや国際物理オリンピックでメダリストも出しています。

 

1947年にイエズス会により設立されました。外国人神父が教師だったこともあり、実用英語には長けていて、高円宮杯全日本中学英語弁論大会では幾度となく入賞を果たし、高校生では英語ディベート大会の世界大会に出場した生徒もいます。

 

伝統的なものに、2限と3限の間に行われる「中間体操」というユニークな習慣があります。上半身裸になり、軽い運動を行います。気分転換と自己を磨くねらいがあります。又、授業の始まりと終わりには瞑目を行い、教室の清掃は自分たちで放課後に行います。

 

長く続いている行事には、キャンプや、「歩く大会」等、心身を鍛えるための行事もあります。

 

宗教校としての人間教育により、人生にはお金や地位だけではなく、別の価値があるものがあると真剣に考える生徒が多いといいます。

 

正統派の伝統校【成城・攻玉社・鎌倉学園】

立派な男子こそが社会や国家を築くことができるということを意味する「哲夫成城」という言葉が由来の成城高校は1885年、軍人志望の少年の養成の為に創立されました。

 

男子校でよく実施されている、臨海学校や林間学校は成城が大正時代に初めて実施しました。臨海学校は今も中学校1年生を対象に林間学校は中学校2年生を対象に行われています。

 

男子の教育は1度言えばいう事を聞いてくれる女子に比べて時間も手間もかかると教師は言います。「ルールで縛りつけるのではなく、状況に応じて人間味あふれる対応をしている」そうです。正統派でありながらも、のびのびした雰囲気もある伝統校です。

 

成城よりも古い歴史を持つ、攻玉社は江戸時代1863年に創立されました。伝統校らしく、耐久歩行大会や林間学校など、心身を鍛える行事があります。

 

進学実績も高く、都内のみならず神奈川からも志望者が多い人気校です。校舎もリニューアルが終わってまだ10年も経過していないので、男子校としては非常に清潔な環境です。

 

生徒はシティボーイ系が多く、校則も生徒に歩み寄ったものになり以前ほど厳しくないといいます。

 

そして神奈川県の伝統校といえば、1885年に建長寺が師弟教育目的で創立した宗学林を前身とする鎌倉学園です。現在も隣接する建長寺で年に数回、坐禅教室を行っています。ちなみにサザンオールスターズの桑田佳祐氏の出身校でもあります。

 

自治の精神を養うことを目指して発足した生徒会によって、球技大会や学園祭は運営されます。情操教育に重きをおき、林間学校等の体験行事が多く取り入れられています。

 

硬式野球部等では上下関係が厳しく、後輩は校内でも先輩に立ち止って挨拶します。

かといって窮屈な学校ではなく、勉強やファッション、スポーツ等、それぞれ幅広く取り組んでいるといいます。生徒は心優しく気配り上手な生徒が多いといいます。

 

人格教育に力を入れる【明法・日本学園】

吉田茂元首相や作家の永井荷風が卒業した日本学園、1885年に東京英語学校として創立されたのが同校の始まりです。

 

男子の発達段階に合わせて考えられた「創発学プログラム」というオリジナルの教育法があります。課外活動や体験学習の中で調査・研究・取材・まとめを行い、「創造する力」を身につけ、それらを表現、発表する「発信する力」を養うというものです。

 

上記プログラムの集大成として、中学3年生では15年後の自分が就いていたいと思う職業について調べ、論文を書き上げます。

 

自分の未来を思い描くことで、学習意欲も高まり進学実績を伸ばすことにもつながることでしょう。

 

のどかな雰囲気をかもしだしている明法は、東京ドーム約1.2倍という広大な敷地でありながら、1学年150人程度の小規模校です。生徒たちの服装や髪形は周りに不快感を与えず高校生らしいものを、と指導しています。ルールを押し付けるよりも、社会に出た時に周りと信頼関係を築くために自分で判断する力を養うことを目的としているのです。

 

明法では、本物に触れる教育を大切にしていて、中でも音楽ではオーケストラの授業を取り入れ、少人数に分かれ各楽器を練習し、中2の文化祭には学年でのオーケストラ演奏が可能になるといいます。

 

最初は持ち方すらわからなかった楽器を皆で演奏し、満員の観客の前で、学年が一つとなる一体感を得る事は生徒にとって大きな宝物になるでしょう。

 

※明法高等学校は、2019年4月より男女共学化する予定です。中学校は男子校のままです。

 

注目の学校【佼成学園・横浜】

1954年に立正佼成会によって創立された佼成学園では、授業を始める前に黙想を行って集中力を高めています。学習合宿を行ったり、学内に自習室を設けたり、学習環境を整備しています。

 

教師による何気ない一言が生徒の人生に影響を与えたり、やる気を引き出すことがあるという考えから、生徒とは話をすることを大事にしています。

 

横浜は、松坂大輔投手の出身校として知られています。神奈川県大会で高校硬式野球部が準決勝まで進むと、全校生徒で応援に行くのが伝統です。

 

2010年度に6ヵ年一貫コースがリニューアルされ、一貫コース高校棟ができました。又、現役大学生がアシスタントをする補修システムを始めました。

 

※横浜高校3カ年コースは2020年4月より男女共学化する予定です。中高一貫コースは男子校のままです。

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