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母乳はどうやって出るようになるのか?

母乳を飲む赤ちゃん

赤ちゃんを母乳で育てたいと考えるとき、お母さんが一番心配になるのが、はたして自分はきちんと母乳が出るのかということかと思います。この点について専門家は、稀に問題があって母乳が出ない人はいるものの、ほとんどの人は母乳のみで自分の赤ちゃんを育てることができるといいます。ここでは、赤ちゃんが生まれてから母乳がどうやって出るようになるのかについて見ていきたいと思います。

 

母乳が出る仕組みを知ろう

赤ちゃんを出産して胎盤が娩出されると、胎盤が分泌していたエストロゲンと呼ばれるホルモンがお母さんの体内で減少します。母乳を分泌する乳腺は、血液の中のプロラクチンと呼ばれるホルモン濃度が高くなると刺激され母乳を出すようになるのですが、エストロゲンはプロラクチンが乳腺を刺激するのを妨げる役割を果たしています。

 

このため、エストロゲンが減少することで乳腺がプロラクチンによる刺激を受けやすい状態となります。

 

この状態にあるときに、赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うと、それが刺激となってお母さんの脳下垂体からプロラクチンが放出されます。また、同時にオキシトシンと呼ばれるホルモンも分泌されます。乳腺細胞はプロラクチンによって母乳を作り、周辺の組織がオキシトシンによって収縮することで母乳が送り出されることになります。

 

母乳はこのような仕組みで分泌されることになるわけですが、量的にもきちんと出るようになるまでには分娩後2日ないし3日ほどの時間が必要となります。この時間の間に、お母さんの体は分娩による疲労をとり、体内におけるホルモンバランスの変化に対応し、母乳を分泌できる状態になるための準備を行うのです。

 

母乳育児のために重要なこと

このような母乳分泌の仕組みをきちんと理解した上で、適切な指導を受けることができれば、ほとんどのケースにおいて母乳のみで赤ちゃんを育てられることができます。しかし、そう聞かされても今ひとつ信じきれないといった感想を抱く女性も多いかと思います。

 

これに対し、WHOやunicefでは、母乳による育児がうまくいくためのポイントとして「母乳育児成功のための10カ条」というものを打ち出しました。それをより実践的に分かりやすくまとめたものとして、次の「母乳育児成功のための必要条件(山内の3.5箇条)」と呼ばれるものがあります。

 

【母乳育児成功のための必要条件(山内の3.5箇条)】

 1.出産から30分以内に初回授乳をさせること

 2.出産から24時間以内に7回以上の授乳をさせること(初回授乳は含まない)

 3.出産直後から、母子同室にすること

 3.5.陣痛開始とともに乳管開通操作を始めて、乳管のつまりを取ること

 

母乳がうまく出ないのではないかと心配になるお母さんもいるかと思いますが、この3.5箇条を是非実践してみてください。

 

なお、先ほども紹介したとおり、分娩から2日~3日の間はお母さんの体は母乳を出すための準備をしている期間にあたるため、思ったように母乳が出ないものです。

 

しかし、この期間であっても、赤ちゃんはおっぱいをしきりにせがみ、乳首を吸ってもあまり出ないために大声で泣くかと思います。そうなると、お母さんとしては、赤ちゃんが体調を崩してしまってどうにかなってしまうのではないか、などと心配になるものです。

 

しかし、特に心配はありません。赤ちゃんは生まれた時点で、お母さんの母乳が出るようになるまでの3日間、自分の体内にあるものだけで生きていくことができるだけのものを持って生まれてきます。そのため、この期間にあまり母乳が出なくても大丈夫なのです。

 

むしろ、このあまり母乳が出ない3日間がその後の授乳をスムースに進めるために非常に重要でなのです。母乳が思うように出ないあまり粉ミルクを与えてしまったりする人が多く、それが母乳育児を行う上で一つ目の大きな障害になります。

 

また、何度も繰り返しますがこの時期には母乳は思うように分泌されません。この時期に赤ちゃんが乳首に吸い付くという刺激を受けることで、お母さんの体は母乳の分泌に必要なプロラクチンというホルモンを作り始めるからです。

 

母乳が出ないからといって、この時期に赤ちゃんに乳首を吸わせないでいると、このホルモンの放出水準が下がってしまうこともあるので、母乳が出なくとも赤ちゃんに乳首を吸ってもらうことは非常に重要なのです。

 

また、この時期にお母さんの乳首を吸うことは、赤ちゃんの側にとっても非常に重要な意味を持ちます。生後間もない赤ちゃんは、出産のストレスなどによってかなり覚醒した状態になっていますが、そのときにお母さんのおっぱいを体全体を使って認識し、覚えるという作業を行っているのです。

 

ですから、たとえ母乳が出なかったとしても、この時期に何度もおっぱいに吸い付かせることには大きな意味があるのです。

 

さまざまな医療機関で母乳の出がよくなるようにと乳房マッサージのようなケアが行われていますが、実はこれだけでは母乳が出るわけではないのです。マッサージをすることで、オキシトシンが放出されるようになるという効果は確かにあります。しかし、オキシトシンだけでは母乳が送り出しやすくなるだけで、プロラクチンがなければ母乳が作られることはないのです。

 

あまり焦ってマッサージをしすぎたせいで、かえって乳腺を傷めてしまったというようなこともあります。マッサージだけでなく、「山内の3.5箇条」にあるように早い時期から授乳を開始することが一番大切なのです。

 

そしてそれを可能にするためには、これも「山内の3.5箇条」にあるように早い段階から母子同室の環境にあることが重要になってきます。「山内の3.5箇条」の1~3は、分娩直後からお母さんと赤ちゃんとの共同作業によってなされていくものなのです。

 

また、「山内の3.5箇条」の3.5番目にあるように、母乳が分泌されないのではなく、単純に乳管が詰まってしまっていることが原因で母乳が出ないケースも意外に多いです。医療機関で乳管開通操作(乳首を引っ張る、ねじる、ひねるなどして、乳輪のあたりから乳頭方向へ母乳を搾り出す感じで乳房をしぼるようなマッサージ)をするだけで出るようになることが多いのです。

 

こうしたマッサージは簡単にできるため、出産が間近に迫った妊娠後期になると妊婦さんにやってもらうといった医療機関も増えてきています。このように、母乳を出すためにはさまざまな工夫をする余地があるのです。

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