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海外の男女別学の実態と日本の男子校

男子校の学生

海外では多くの国で共学に比べて男女別学の方が学力を高めるのに有効であるといった内容の研究結果が報告されています。その例をいくつか見てみると共に、日本の学校の在り方について考えてみましょう。

 

イギリスの成績上位層の8割は男女別学

イギリスの男女別学校の割合は、高校全体のおよそ6%ほどだといわれていますが、日本と同様にそのわずか数%の生徒が成績上位に君臨しています。

 

イギリスでは16歳で義務教育を修了する時にGCSE(General Certificates of secondary Education)という試験を受験します。

 

成績はAプラスからG、Uでランク付けされます。Aプラス及びAと評価された生徒の割合が多いランキングを見ると、10位以内のほとんどが男女別学校であり、中でも男子校は4校でした。トップ50まで見ても男女別学校が80%を占めて、うち男子校は15校でした。(Times Online 2009年12月1日、2010年3月24日のデータより)

 

共学化の流れにブレーキがかかる韓国

韓国では2009年に初めて、日本でいえば大学入試センター試験にあたる「大学修学能力試験」の高校別成績が公表されました。 

 

人文系高校1217校の言語、数理、外国語の点数を比較したところ、男女別学校の方が共学校より、平均点が12点から14点ほど高かったといいます。又、人文系高校の上位100校を見てみると、共学校は31校のみでした。(朝鮮日報2009年11月8日付より)

 

一般高校における共学校の割合は、2008年時点で56.1%でした。1999年は43.9%でしたので、韓国でも、日本同様に、共学校が増える傾向にあります。

 

しかしながら、共学化の流れに反する意見もあります。2009年4月18日付の東亜日報では、MRIによる研究結果から、男女の脳構造は先天的に異なることが相次いで明らかになっており、男女を同じ環境において同じ教育を行うことは意味がないとの主張が、説得力を増していると報じています。

 

韓国の大学入試では、高校の内申点が影響するのですが、共学校では女子の成績の方が良く、男子生徒が高い内申点を得られない傾向があり、男子生徒の保護者からは、共学化に反対の声が多くあがっています。

 

男女別学の方が男女の成績差が出ない

韓国と同じように、ニュージーランドでも男女別学への関心が高まっています。

 

OECD(経済協力開発機構)による、「PISA調査」(学習到達度調査)というものがあります。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの学習到達度を測定するものですが、その調査において、2006年、合計の平均点が女子が男子よりも30点高いという結果がニュージーランドで出ました。

 

オタゴ大学の研究所で、男子校、女子校、共学校に通う学生900人を対象に成績調査を行いました。その結果、中等教育を男女別学で受けている生徒では、僅差ではありますが男子生徒の方が成績優秀でした。

 

対して、共学校では、女子の方が優秀な傾向が顕著に出ていました。この研究をまとめたシェリー・ギブ氏は、「男女による成績の差は、男女別学の方が生まれないということを裏付ける結果を得た」としています。この研究は豪誌「オーストラリアン・ジャーナル・オブ・エデュケーション」で紹介されました。(ロイター通信2009年8月25日付)

 

その後2009年のPISA調査におけるOECD平均では、女子の方が合計平均点が27点高く出ました。特に読解力は全ての国で女子の方が優秀でした。それはPISA2015年度の結果も同様で、全ての国で女子の結果が上回っていました。

 

PISA調査で調査される3分野の能力は、連動しています。中でも読解力は学習に必須です。その力に、世界全体で男女の差があるということです。

 

男子は女子に劣る?

「男の子はなぜ女の子より劣るのか」という記事が、2006年2月15日付のニューズウィーク日本版に掲載されました。これはアメリカ版の「The Trouble With Boys」(2006年1月発売)という記事を訳したものです。後にボーイズクライシスと言われ、世界中に議論を巻き起こした記事です。

 

記事では、女子よりも2倍も高い確率で男子小学生は学習障害とされていたり、学校を嫌う男子高校生は1980年から約20年間で71%増加しているといった、男子が学習面において女子に苦戦しているデータが示されました。

 

そしてその原因は、連邦政府が学校における男女の機会均等を1972年に法的に定め、公立学校の男女別学を禁じた事にあるのではないかとしたのです。男女間の発達段階の差を考えずに、同じ環境で教育を受けさせたことに問題があり、また、その教育が女子向けのものになってしまったのではないかと指摘しました。

 

更に、脳科学が全てではないと前置きした上で、「中学校では、男性は女性より性的成熟が2年遅れる」「情報処理能力テストを5歳から18歳を対象に行ったところ、幼い頃は男女に差がないのに、思春期では女子の方が速くて正確に行い、18歳では再び差がなくなる」などとして、科学的に男女の発達の違いを述べています。

 

そして男女別学を特定の教科で取り入れたコロラド州プエブロのロンカリ中学校の例を挙げ、「内気な男子が積極的になった」「数学、英語、科学の教科で、共学クラスよりも、女子クラスと男子クラスのほうが優秀だった」として、男女別学の方が男女それぞれに利点があるとしました。

 

アメリカでは男女別学が増えている

アメリカでは、男女の学力格差を是正するために2006年法改正が行われ、公立学校でも男女別学を選択できるようになりました。

 

NASSPE(National Association For Single Sex Public Education)のホームページには、「アメリカには、2002年時点では男女別学クラスがある公立学校は10数校だけであったが、2012年には男女別学のクラス編成にしている共学校が390校、実質的に男女別学校になっているのは106校に上る」とあります。

 

この事は、「NHKスペシャル『男と女』」でも紹介されました。この番組では、「男女には能力には差がないけれども性差はある」とし、アメリカフロリダ州のウッドワードアベニュー小学校を取り上げました。

 

同小学校では、生徒自身が共学で学ぶか、別学で学ぶかを選ぶことができます。男子クラスでは、男子に合わせた授業スタイルがとられています。又、教師も命令口調であったり、生徒に競争をけしかけるようなことをしたりするといいます。

 

対して、女子クラスでは、生徒が協力する事で学習効果を高められるように導いています。仮にそこに男子が入るとすぐ問題が起こってしまうといい、共学ではできない教育です。

 

NASSPEのホームページでもウッドワードアベニュー小学校の事例が取り上げられています。
フロリダのステットソン大学の研究チームが、同小学校で4年生を男女別学クラスと共学クラスに分ける研究を試験的に3年間行いました。

 

FCAT(Florida Comprehensive Assessment Test)フロリダ理解力測定テスト)において、それぞれのクラスの成績優秀者は、男子クラスは86%、女子クラスは75%、共学クラスの男子は37%、女子が59%という結果が出ました。

 

これは、もともとはほぼ横一列だった生徒を、共学と別学クラスに分けて同じカリキュラムを受けさせた結果です。

 

更に驚くことには、同小学校は学習障害やADHDを持つ生徒も、一様に受け入れていることでも有名で、男子クラスで優秀とされた生徒の中には、共学クラスにおいて軽度発達障害と見られていた生徒も多数含まれていたというのです。

 

又、男子の持つエネルギー溢れるやんちゃな振る舞いに、男子だけのクラスだと教師が余裕を持って見守ることができるとのことで、男子クラスでは生活指導の問題が減ったという効果もありました。

 

生徒に最適な学校の在り方とは

イギリスのケンブリッジ大学の研究チームが教育における性差に関する研究結果を2005年に発表しました。その研究では、男女別学にすることによって、男子は英語と外国語で、女子は数学と化学でそれぞれ大きな効果が得られたとしていたとしました。イギリスでは、公立でも男女別学校があります。

 

また、イギリスの共学校と別学校合わせて30校を調査した教育者のグラハム・エイブル氏は「女子より男子の方が学習面における男女別学の利点が大きい」と発表しました。

 

イギリスの国立教育調査団は、2954校の高校を調査した結果を2002年に発表しました。それによると、別学校のほうが男女ともに明らかに成績が良いとしています。

 

又、女子校の生徒はあまり女性向きではないと捉えられがちな、物理や高等数学を選択する生徒が多いといいます。研究者達は、女子校では、この教科は女性らしい、男性らしいというような固定観念にあまり囚われないとしています。

 

更に1学年の人数は180人前後が効率が良く、それより少ないとコース選択の幅が狭まる恐れがあり、またそれより多いと成績が下がる傾向がありました。

 

これらの結果から公立学校は男女別学にし、1学年180人前後で教育するべきとの見解を示しました。

 

ACER(The Australian Council for Educational Research オーストラリア教育研究審議会)が27万人の生徒を対象に行った調査によると、男女別学で過ごした生徒の方が、20%前後成績が良く、学習を楽しく感じ、生活態度も良く、学校への信頼も高いと報告されました。

 

「12歳から16歳という年齢は、様々な発達段階の男女差が大きく、共学では対処しきれない」としています。

 

OFSTED(the British Office for Standards in Education 英国教育水準局)が、男女別学も含む800の公立校を対象に行った調査によると、社会経済的背景(家庭の所得と親の学歴を合成した指標)と成績の相関関係はなく、それよりも共学か別学かとの相関関係が強いという結果が出ています。そして、男女別学の生徒の方が、学習に対して積極的という結果になっています。

 

男女別学の効果

ワシントン州シアトルにあるサーグッド・マーシャル小学校は、生活指導での問題を解決する狙いから、2000年に共学クラスから男女別クラス編成に切り替えました。

 

その結果、生活指導の問題が減っただけでなく、学力にも大きな効果がありました。ワシントンの学力考査で、男子の成績が下位10%〜30%だったのが73%に上昇し、読解力も平均が下位20%から66%へ、記述力も下位20%から53%まで上がったのです、

 

カナダのモントリオールのある高校では、男女別クラスにしたところ、不登校は20%から7%に減り、卒業テストの合格率が65%から80%に上昇しました。

 

イギリスのエセックスにあるフェアハースト高校は、カリキュラムと教師は共通のままで男女別の2つの学園に編成し直しました。その結果、3年後の学力考査において、男子が26%、女子が22%成績が上がりました。

 

イギリスのマンチェスター大学の研究チームは、5つの公立学校の生徒を男女別学と共学にわけて、後に言語能力のテストを行いました。共学クラスの男子生徒の合格率が33%だったのに対し、男子クラスの合格率は68%でした。同じく共学クラスの女子の合格率は48%だったのに対して、女子クラスの生徒は89%だったという報告もあります。

 

有効な教育法は男女で違う

男女別学というのは、単に男女の教室を分けているだけということではありません。これまで紹介した数々の成功事例に関係する教師の多くは、男女別の教育トレーニングを受けています。

 

前述したNASSPEの代表のレナード・サックス氏は「女子には励まして自信を持たせること、男子は自分の現状を把握させ、もっと上手くできるようけしかけること」が男女それぞれに関わる上で、最も異なるポイントだと言います。

 

また、「男女は脳の構造も違うので、それぞれに応じた教授法がある。男女では、ものの見え方や聞こえ方すらも異なる」とも主張します。

 

女子クラスで教師が大声で怒鳴るというようなことが必要ないのは、女子が聴力に優れているからだといいます。対して、女子に丁度いい声音は男子には眠気を誘う声に聞こえてしまうのです。注意欠陥障害とされてしまう男子が多いのはそれが原因でないかともサックス氏はいいます。

 

目で見たものを脳へ伝える経路や視覚の構造にも男女で差があり、赤、オレンジ、ベージュなどを好むのが女子に対して、黒、灰色、銀などを使いたがる男子の差はそこにあるといいます。

 

男子は動くものに関心を持ち位置関係を把握する能力に長けているのに対して、女子は視覚を通して色彩や質感を感じ取ることが得意です。それも視覚情報の伝達経路が異なる為です。

 

記憶力に関しては、女子は言葉を音の連続としてとらえて記憶するのを得意として、男子は視覚的に画像で記憶する方が向いているとされます。ですので、男子には、図解が並べられた板書の方が覚えやすく、女子には言葉で説明を加えながら板書する教授法が効果的だという事です。

 

こういった男女の脳構造の異なりが原因と考えられる問題は、サックス氏の「男の子の脳、女の子の脳」(草思社)や、世界的に有名な「話を聞かない男、地図が読めない女」(アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ著、主婦の友社)に詳しく書かれています。

 

「女の子脳・男の子脳」(NHK出版)の著者で脳科学者のリーズ・エリオット氏は、脳の構造の違いで性差があるというサックス氏らの説に反論する研究者の1人です。しかし彼女も性差はあるとしていて、対立点は、先天的な脳構造の異なりが性差に関与しているかという点です。

 

彼女は決定的に男女別学を推進する根拠はないとしていますが、「学校が男子にとって過ごしにくい場所になってきていて、今すぐ対処が必要。男子に有効な教授法を理解したうえで教師や保護者は男子に教育するべき」という点ではサックス氏らと同一意見です。

 

また彼女は「男女が発達期に互いに距離を置き、保護される時期を作る事はよいかもしれないという考えには説得力がある」と自身の著書の中に記しています。

 

男女別学は、固定観念にとらわれにくい

勉強だけでなく、男女別学の利点が人格形成面にもあるとする研究結果があります。

 

1986年、ミシガン大学がカトリックの男女別学校と共学校の卒業生を対象に調査をおこなったところ、読解や記述、数学の科目で共学の男子生徒よりも別学の男子生徒の方が優秀でした。又、女子の場合は科学と読解において、別学の女子生徒が共学の女子生徒を上回りました。

 

研究チームはこの結果を受けて、「できるかできないかの固定観念に、別学出身の女子生徒はとらわれにくい」としました。

 

13歳~14歳の生徒が好む教科を調査したあるイギリスの研究者は、別学の生徒は共学の生徒に比べて、教科に対しての男子らしい・女子らしいといった偏見がなく、男子でも演劇が好きだったり、女子でも科学を好んだりする生徒が多いといいます。

 

又、2003年にバージニア大学が「性別による固定観念は男女別学だと打ち崩しやすいが、共学だと強化される」という研究結果を発表しました。

 

これらの研究結果により、男女別学は学習意欲を高める事に加え、男子らしい女子らしいといった固定観念に打ち勝ちやすいことを意味しています。

 

男女別学校と共学校の両方で指導経験がある海外の教師は、「共学校の男子は歌おうともしないが、男子校では合唱は人気だ。又、演劇の授業では、共学の男子は恥ずかしがるが、男子校の生徒は堂々と演技する」といいます。

 

日本の男子校教師も、「芸術など、一見女子っぽいと思われることを得意とする男子が、男子校だと周りを気にせずとことん追求できる」といいます。

 

男女別学は、学習への意欲も高まり自信をもちやすい

『エデュケーショナル・ホライゾン』の2009年夏号に「男女別学クラスの成功」という記事が載っており、男女別学による成功事例が数多く紹介されています。

 

例として、ノースカロライナ州・アシュビルにあるカロライナ・デイ・スクールは6年制、と7年制の主要科目を2004年に別学化しました。

 

その4年後、成果として「教師との師弟関係が強化され、生徒間でも信頼と仲間意識が促進された」「男女の学習法の違いを理解しその違いを支える指導に集中できる「生徒の感情的または社会的重圧に直接的に働きかけができる」「教師が活力に満ちて、アイディアを出して思慮深く実践するようになる」といったことを挙げています。

 

男女別学にすることで、学力向上や生活指導面での改善だけでなく、生徒の学習意欲を高め、学習にふさわしい環境づくりができるようなることを表しています。

 

前述のミシガン大学の調査でも、「男女別学は学習意欲や、学問への前向きなとらえ方、又自分の能力への自信が共学に比べて高まりやすい」と報告しています。更に、「別学で学んだ生徒は男女共に一流大学に進む割合が高く、より高度な教育に進もうとする割合も高い」としています。

 

日本での男子校の利点

海外の例を見てきましたが、日本ではどうなのでしょうか。日本の男子校の教師や保護者、生徒が挙げる男子校の利点をいくつか見てみましょう。

・女子の目を気にせずに、堂々とバカな事も出来てのびのびと過ごすことができる。

・男子の発達段階にあわせて学習指導がなされている、

・男子に合わせた行事ができるし、ギリギリまで挑戦することができる

・異性についての疑問や憧れも臆することなく議論できる。

・息子とのコミュニケーションに悩む母親へのサポート体制がある

等があります。

 

上記は、男子のみに特化した教育を長年追求した上でできあがった環境であります。その結果、難関大学合格者ランキング上位に名前が挙がる学校が多く、各界で活躍する人材を輩出し続けています。

 

2011年に東京私立男子校に通う保護者・生徒1万人を対象に行われたアンケート調査では、学校生活に充実感を得ている生徒が75%にのぼり、保護者の90%以上が男子校に進学したことに満足しているという結果が出ました。

 

どんな生徒が男子校向きか

しかしながらそれだけで、男子校なら大丈夫だと決めてかかるのはどうでしょうか。親として、自分の子供の特性をよく考えた上で、もちろん本人の希望も考慮したうえで志望校を決めなくてなりません。

 

実際にはどんな生徒が男子校に向いているのでしょうか。

 

小学生時代から、女子が怖い、苦手だと感じる男子は、男子校がむいているかもしれません。引っ込み思案な生徒が共学校に行くと、女子に威圧されて教室の隅で縮こまってしまい、自信を失ってしまう可能性があります。

 

女子に人気のない生徒が共学校に進学すると、惨めな経験をして女子への苦手意識を深めてしまうこともありますし、女子と仲のいい男子に対して劣等感を抱いてしまうことも考えられます。

 

どうしても中高生の頃は、人間性よりも外見のカッコよさや運動神経がいいなど、表面的な部分でモテる・モテないが左右されがちです。人間性に優れていてもパッとしない内気な男子の良さに気づいてくれる女子は少ないのが現実です。

 

しかし、大事な事は、成人した時に異性と上手にコミュニケーションをとることができるかどうかです。ですので、中高生の間は異性に判断される環境には身を置かずに、人間性で異性を選ぶようになる大学生のころから勝負するという考えでも良いでしょう。もちろんこれは女子も同じです。

 

小学生時代に、泣かせるつもりはないのに女子を泣かせてしまうような威勢の良すぎる男子も男子校の方が向いています。女子の為に気を遣ったり我慢したりの繰り返しは、欲求不満の原因にもなり得ます。

 

有り余るほどのエネルギーを持っていることは、将来大きなことをやり遂げる力を持っているという証かもしれません。押える必要のない環境で思う存分発散させてあげることが必要です。

 

仮に息子さんがカッコ良くてスポーツもできるというなら、共学校に行って男女から好かれる人気者にもなれるでしょうし、男子校に行ってとことんバカをするという事もできるでしょう。

 

ピッタリ合う学校を見つけるには

男子校と一口に言っても色々な学校があります。親がまずすべきことは、子供にどのような男性になってほしいのか、その為にはどんな勉強をしなければならないか等を考えて、子供と話し合う事です。

 

もちろんそれは共学校でも同じことが言えますが、ただ進学実績や偏差値だけを比べても我が子に合うかどうかはわかりません。

 

子供の未来の姿が見えてきたら、各学校からのメッセージや建学の精神、重視されている教育等と照らし合わせてみればだんだんと志望校を絞ることができるでしょう。

 

学校説明会では校長先生の話に注目しましょう。校長先生自身が、次代を担う男子の教育に対して明確なビジョンを持ちそれを周りに伝えるコミュニケーション能力を持っているか、論理性に欠けていて精神論を振りかざしていないか、他の教職員を委縮させたりしていないか、思いがけない質問にも冷静に対応できているだろうか…等です。

 

どんな聞こえのいいカリキュラムを並べていても、司る校長先生に素質が無ければ、その学校で多くの事は得られないでしょう。

 

又、1から10まで全て学校側が決めて、教えてくれるような学校では、社会に出た時に必要な自分で考え、試行錯誤しながら解決する力が身につきません。そんな学校は進学実績は伸びるかもしれませんが、社会人として活躍して有名になるような生徒は育たずにいずれ廃れてしまうと考えられます。

 

日本の学校の在り方

平成29年度の全国の高校に占める男子校の割合は2.22%で、その多くは難関私学です。いわば、男子校は日本では限られた男子だけが入学できる学校なのです。

 

全てにおいて男子校が共学校より良いというわけではありませんが、男子に特化した教育環境がもたらす効果にもっと関心を持ってもいいと思います。

 

男子だけで学ぶということが多様性の時代にそぐわないと男子校を否定する考えこそが、教育の多様性を損なう事につながるでしょう。

 

今日、生活習慣や礼儀作法といった、昔は各家庭で行われていた躾の範疇までを、学校に任せようとする親が多いといいます。男女別学について話し合うと必ず問題視される異性とのコミュニケーション問題も、かつては3世帯、4世帯という家族の中や地域の中で自然と身についていったものです。

 

家庭や社会の在り方が変化して、対応できなくなった教育は全て学校でしなければならないのでしょうか、もしくは別に新たな場所を創るべきなのでしょうか。共学がいいのか男女別がいいのかというこの問題を、もっと広い視点で、日本全体の問題として考えていくべきです。

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