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知らぬ間にネット依存になる子供たち

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ネット依存

インターネットの登場で、人間社会は短期間に大きな変貌を遂げました。特に、通信速度の高速化とモバイル機器の進化の速さは、インターネットの普及に大きく貢献し、現代に生きる我々はその恩恵を最大限に受けています。しかし、急速な変化は往々にしてひずみを生みだすものです。「ネット依存」はそのひずみの1つと言えます。

 

「ネット依存」という言葉は、もはや我々の日常において珍しいものではなくなりつつあります。特に子供のネット依存は社会問題となって久しいです。一度陥ってしまうと、容易に抜け出せないこの「ひずみ」は、本人すら気付かぬうちに、子供たちを深い闇に取り込んでしまいます。いつ、どうやって、子供たちはネットの世界にはまり込んでいくのでしょう。

 

親がネット依存に気付くとき

子供のネット既存は、非常に気付きづらいものです。

 

朝起きて来ない、学校に行きたがらない、成績が落ちた、遅刻が増えたなど、「子供の様子がおかしい」と親が気付くタイミングは、こういった目に見える異常が現れた時です。それでも最初はネット利用との関係を疑わないことが多く、初期対応を誤ってしまい、事態を悪くしがちになります。

 

子供の様子がおかしいと気付いても、「うちの子に限って」という思い込みや、いじめなど他にも思い当たる原因があるとなかなかネットのせいだとは思い当たりません。また、元々ネットの利用を制限したりしていて、「うちはそういうことには対応済みだ」という自信があると、かえってネット依存という言葉には思い至らないものです。

 

ただ、いくら時間制限しようとも、親は留守がちで目の届かない時間が長かったり、そうでなくとも夜中にこっそりパソコンを利用することもできますから、実のところ、さほど有効な防衛手段ではありません。どれだけ手を尽くしても、子供たちのネット利用を完全に管理できるはずがないのです。

 

ネット利用と不調とを関連付けて考えられるようになってようやく、子供がSNSに異常にはまっていたり、オンラインゲームにとんでもない課金をするようになっていたりという事実が判明し、我が子がネット依存に陥っていることに気づくのです。けれども、ここまでくると大抵は、かなり重度なものになっていて対応が難しくなります。

 

ネット依存がもたらす苦しみ

重度のネット依存に陥っていて、なおかつ本人がそれを自覚していなかったり、回復を望んでいなかったりする場合、家庭の中だけでできることは限られています。母親が必死に説得やネットアクセスの制限を試みても、本人の気持ちを変えられない限り効果は薄く、他の家族の協力が得られなければ、今度は母親が家族の中で孤立してしまう可能性もあります。

 

また、ネット依存になった原因がどこにあるかによっても、家庭内での対処が難しくなります。特に、家族や家庭内での立場に原因がある場合、かえって本人の反発を招くこともあります。必死に対処しようとしている母親が、逆に追い詰められてしまう可能性もあります。

 

一方、本人に自覚があり、回復を望んでいる場合は状況が少し違います。親に叱られ、自分もやめたいのにやめられないという辛さ、苦しみはあっても、救いを求める先があれば、ただ「話を聞いてもらう」というだけでも効果が見られることもあるのです。

 

分かってもらえる、同じように苦しんでいる人がいると思うことで、気持ちが救われるのかも知れません。

 

年齢が上になるとネット依存からの脱却は難しい

高校や大学でネット依存になってしまうと、タイミング的にも資質的にも、人生に大きな影を落とす結果を生みがちになります。大学受験や就職という人生の大きな節目ともいえる時期に、ネットに多大な時間を取られて他に何もできなくなってしまいますし、10代も後半になると、親や周囲の大人の言うことを簡単には聞かなくなってしまうからです。

 

親に何を言われても耳を傾けないどころか、頑なに背を向けて、なおさらネットの世界にのめり込む可能性もあります。大学受験や就職を控えていると分かっていても、それはネットから離れる動機にはならず、かえってストレスとなって事態を悪化させる原因になることすらあります。

 

大学生ともなると、一人暮らしをしていることもあるでしょう。誰にも何も言われることなく朝から晩まで部屋の中に引きこもり、ネットはやりたい放題という環境では、ネット依存からの脱却は更に難しくなります。ネットをやめたくてもどうしたら良いか分からず、1人で苦しんでいる子供も多いのです。

 

ネット依存への入り口?ゲームとSNS

ネット依存に陥るきっかけとしてよく上がるのが、オンラインゲームとSNSです。この2つは全く違うようでいて、ネットを介した「つながり」に固執するようになるという、似た性質を持っています。「つながり」そのものは決して悪いものではないだけに、抜け出しにくくなる理由になっています。

 

ゲームからオンラインゲームへ

インターネットと繋がることによって、ゲームの世界は爆発的な進化を遂げました。基本的な分類としては、オンラインゲーム、ソーシャルゲーム、コンシューマーゲームの3つと言われていましたが、ゲーム会社によっては独自の呼び方をすることもあるので、全てをすっきり分類することはできなくなっています。

 

オンラインゲームは、PCを使ってネット上で遊ぶゲームです。とにかく画像が美しいものやリアルなものが多く、内容も作りこまれたものが増えました。ネット上で、全世界の人たちと同時にプレイすることも可能です。仲間同士でチャットはもちろん、音声で話したりしながらゲームを進められるのも、ゲームに深入りする要因になっています。

 

RPG形式のものにはMMORPGやMORPGなどがあり、絶大な人気があります。シューティングゲームも、プレイヤーの視点で遊ぶことができ、よりリアルに、よりゲーム世界に没頭しやすいものに人気が集まります。RPGもシューティングでも、新しい作品が次々と発表され、人気ランキングは常に激しく上下しています。

 

ソーシャルゲームはSNS上で配信されているゲームの総称です。SNSを介して遊べるので、PCがなくてもスマホで十分楽しめます。パズルゲームや育成系など複雑な操作をせずに遊べるものが多く、また、SNSでのつながりがそのままゲーム内でのつながりに応用でき、友達と助け合ったり話し合ったりしながらプレイすることが可能です。

 

コンシューマーゲームはニンテンドーWii、ソニーのプレイステーションに代表される家庭用ゲーム機です。ポータブルタイプならばニンテンドーDSやPSPなどが有名です。コンソールゲームとも呼ばれます。ただし、今はネットに接続して遊べるものが多くなり、オンラインゲームとの違いは無くなりつつあります。

 

PC、スマホ、各種ゲーム機器からiPadなどのタブレット型モバイルまで、オンラインゲームを楽しめる機器は多彩になりました。かつてはゲームしかできなかった専用ゲーム機器もどんどん性能を進化させ、簡単なPCやスマホ程度の機能を備えています。いつでもどこでも、同じクオリティでゲームが楽しめるようになっているのです。

 

SNSからソーシャルメディアへ

日記やブログ、写真などを公開し、チャット機能やメッセージ送信機能で他の人々と交流できるのがSNSです。代表的なものというとFacebookやミクシーが挙げられますが、20代、30代に人気のInstagramも登録数を急激に伸ばしています。こちらは画像の公開をメインにしており、「インスタ映え」という言葉もよく聞かれるようになりました。

 

中高生を含む10代には、どちらかというと日記やブログなど長文をアップするよりも、チャットなど、短文でやりとりすることに重きを置いたタイプが好まれ、LINEやTwitterは不動の人気を誇っています。更に、動画の配信や視聴が自由にできる動画配信サイトやアプリも人気です。これらはSNSとあわせて「ソーシャルメディア」と呼ばれています。

 

引きこもるだけではなくなったネット依存

ネット依存というと、家の中に引きこもって、PCにかじりついているというイメージかもしれません。ネット依存が原因のいわゆる「引きこもり」です。このタイプのネット依存は、不登校、不就労などに陥るばかりでなく、家族に対する暴言や暴行も問題となります。見るからに重度と分かりますが、近年は「引きこもらない」ネット依存も増えています。

 

「引きこもらない」ネット依存は、モバイル機器の発達とともに増加してきました。特にスマホの普及は、引きこもらなくても、いつでもどこでもネットにアクセスできる環境を子供たちに提供しました。常にスマホを手放さず、少しでも時間があればすぐにソーシャルメディアをチェックしたりするのが、このタイプです。

 

「引きこもらない」ネット依存は、すぐに不登校になるわけでもなく、一見普通に社会生活や学校生活を送っているように見えます。スマホの役割は情報検索から音楽視聴、果ては時計までと多岐にわたるので、それが病的なものであるかどうかが分かりません。したがって、気付いた時には既に睡眠や学業、仕事にも重度の影響が出始めていることもあります。

 

「歩きスマホ」は安全上の問題を指摘されていますが、これも結局のところ、スマホから一瞬たりとも目を離せないから、やってしまうことです。危ないと言われてもつい、「歩きスマホ」をしてしまう人は、仕事中、勉強中にも同じようにスマホを気にしており、無自覚のうちに効率を落としていることが多いのです。

 

SNSアプリと「ながらスマホ」で陥るネット依存

ネット依存が社会問題として取り沙汰されていた当初、オンラインゲームによる「ネトゲ依存」と並んで、SNSでのトラブルや、チャットのやめ時が分からなくて抜け出せないという悩みを訴える人はいましたが、大抵は大人でした。けれども今は、スマホの普及によって、同じような悩みを子供たちから聞くようになっています。

 

スマホを持っていない中高生は、今や稀な存在です。「平成28年度情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査(内閣府)」によれば、10代の子供たちのうち7割以上がスマホを利用しており、タブレットについても3割が利用していると回答しています。

 

更に別の調査では、スマホを所有する高校生の7割以上が、1日のうち2時間以上をスマホによるネット利用に費やしているという調査結果も出ています(平成28年青少年のインターネット利用環境調査)。PCと違い、スマホは自分の部屋でもリビングでも使えますし、防水仕様のケースを使えば入浴中でも使え、所謂「ながら使用」に適しているからでしょう。

 

簡単に連絡がとれ、画像や動画もすぐに共有できるSNSは、勉強にも利用されています。板書も書き写すより画像で残す子供もいますし、休んでいる友達にノート代わりに送ることもできます。調べ物や分からない問題を解くために、SNSで友達と協力することもあるようです。SNSで「つながっている」ことが良い方向に作用するケースの1つと言えます。

 

スマホやSNSを道具としてうまく使えている子供にとっては、友達との連絡や、趣味の出会いや知識を広げる手段として、SNSはとても便利なアイテムです。けれども、そうでない子供は、常に「つながっている」状態に苦しめられることもあります。SNSでの友達の発言やグループの様子が気になって仕方なくなってしまうタイプの子供です。

 

暇さえあればSNSをチェックしないと落ち着かなくなり、当然ながら他のことがおろそかになったり、睡眠時間を削られたりします。明らかに、単なるおしゃべりの域を超えていますが、子供たちにとっては友達付き合いの一環です。そのため、たとえ自分で異常であると気付いたとしても、抜け出すのは難しいのです。

 

ネット依存を自覚していても抜け出せない

2013年に厚労省が発表した「全国の中高生のうち51万8千人がネットの病的利用者と疑われる」という調査結果は、中高生のネット依存について行われた初の全国調査結果として、当時の社会に衝撃を与えました。けれども、スマホの所持率が急激に伸びた今となっては、ネット依存、スマホ依存の中高生はもっと増えていると思われます。

 

更に言えば、アンケートという調査方法では、無自覚な該当者は個々の項目にかかりにくくなるものですから、調査当時でも、潜在的な該当者はもっと多かったことでしょう。実際、自分がネット依存だと言う人でも、この調査ではネット依存と判断されないケースがあったくらいです。

 

自分がネット依存、スマホ依存かも知れないと思っている子供でも、そこから抜け出そう、抜け出さなければと考えることはあまりありません。やりすぎだな、くらいは思っていても、それが自分に及ぼしている影響については考えることがないのです。寝不足だとか、成績が落ちたからまずいかなと思う程度です。

 

総務省の調査によれば、10代のスマホによるネット利用時間におけるトップ3はソーシャルメディアの利用、動画サイトの視聴や投稿、そしてオンラインゲームです(平成28年情報通信メディアと情報行動に関する調査)。中でもソーシャルメディアの利用時間は群を抜いており、平日ですら1時間近くが費やされています。

 

家の中でもTwitterやLINEに夢中で、傍にいる家族には見向きもしない姿に親が不安を感じていても、子供たちからすれば「気の合う友達としゃべっているだけ」であって、普通のことなのです。ただ単に、目の前にいる親や家族がどう感じているかということに、思いが及ばないというだけです。

 

親から見れば、スマホに夢中になる姿は異様なものかも知れません。けれども、もし自分が子供の頃にスマホがあったらどうだったかを、考えてみて下さい。変わったのは道具や環境であり、子供たちというわけではないのです。どうか一方的に叱ることなく、子供たちの思いや立場をよく聞いてから、解決方法を一緒に探ってみて下さい。

 

ネット依存は心地よい?

ネット依存になるきっかけの1つとしてよく挙げられるのが、現実での挫折です。解決が難しそうな問題に日常生活でぶつかった時、そこで解決せずにネットの世界に逃げ込んでしまうと、元の日常に戻るのがどんどん難しくなってしまうのです。

 

ネットの中でのコミュニケーションは一見、気楽なものに見えます。都合の悪い相手と関係を断つのも簡単ですし、ネットの中だけの知り合いならば、自分に都合の良い話ばかりをして気を紛らわすこともできます。自分を偽ることだってできます。居心地良く過ごせるネットの中に埋没してしまう気持ちは、誰でも分かることでしょう。

 

けれども、ネットで気分良く過ごしている間に、現実の問題が解決しているということはまずありません。大抵が時間の経過とともに悪化し、取り返しがつかなくなっており、時折現実に戻ったとしても、再び打ちのめされてネットの世界に戻ってしまうのです。この行ったり来たりを繰り返すうちに、現実の問題に立ち向かう力はどんどん失われていきます。

 

いくらネットの世界で癒されても、現実に降りかかってくる問題を解決する能力や気力は養われません。かえって辛い現実に対面する気力は失われてしまいます。できる限り早いうちに勇気と気力を奮い起こし、問題を解決することが必要です。もし、子供たちが自ら動こうとしたことに気づいたら、是非その時こそ力を貸してあげて欲しいと思います。

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