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忘れにくい記憶は誰でも作れる!記憶力アップの方法とは?

記憶脳

一生懸命覚えているつもりでも、すぐ忘れてしまう…。もっと記憶力があれば、成績が上がるのに…。そう感じた事はありませんか?

 

記憶力を高めたいなら、「記憶」を知る事がその第一歩です。記憶の為の脳の使い方をマスターすれば、誰でも強い記憶を作り出す事が出来ます。今回は記憶とその脳の仕組みを理解しながら、より忘れにくい記憶を作る方法を探っていきましょう。

 

記憶力とは、記憶の定着率である!

記憶は、保持時間の違いにより、長期記憶、中期記憶、短期記憶の3つに分ける事が出来ます。長期記憶とは数週間から数年にまでわたる記憶です。中期記憶は数秒から数日、長くても1か月程の記憶で、9時間経つと大半が失われてしまいます。数秒から1分程の短期記憶は、15分で90%が失われます。

 

記憶力を鍛える為には、短期記憶は中期記憶へ、中期記憶は長期記憶へと変えながら、定着させていく必要があります。記憶力が高い人は、記憶の定着率が高い人です。そして勉強とは、学習した内容を定着させる、つまり、理解する事です。

 

多くの子供達は、勉強を暗記するものと捉えています。だから、漢字や英単語、公式、重要語句、歴史上の出来事等を、必死に覚えようとします。しかし、覚えるのみで理解しようとしない為、すぐに忘れてしまうのです。内容を理解してしっかり記憶を定着させる事で、間違いなく記憶力は高まります。

 

記憶に欠かせない、ワーキングメモリの力

短期記憶の一種に、ワーキングメモリ(作業記憶)があります。ワーキングメモリとは、簡単に言えば脳内メモのようなもので、得た情報や記憶を一時的に脳内にメモして、知的作業を行います。

 

ワーキングメモリをコントロールするのは前頭葉外側部と側頭葉内側部です。前頭葉外側部とは、こめかみから、その少し上あたりに位置する脳の部位で、情報や記憶を一時保存し、さらにそれらを組み合わせたりする働きをします。また側頭葉内側部は、海馬や海馬傍回、嗅内皮質、嗅周皮質を含み、自分の持つ知識等に関係します。

 

記憶に関する実験で、ワーキングメモリが使われた例があります。まず被験者に、数枚の写真を1枚につき2秒ずつ見せて、屋外の写真なのか、室内の写真なのかを答えてもらい、その際の脳の様子を調べます。

 

30分経ってから、見せた写真の中に別の写真も加えてランダムに見せ、見た事のある写真かどうか聞きます。その結果、よりはっきりと「見た事がある」と答えた写真ほど、最初に屋外・室内を答えた時の前頭葉外側部と側頭葉内側部の働きが活発であった事が分かりました。

 

つまり、最初の写真を見た時、被験者の脳内では、写真の情報と過去の記憶がワーキングメモリ化され、そこでより深く処理された写真が長期記憶化されたという事が言えます。学力の基盤とも言えるワーキングメモリの力は、記憶力を鍛える上で欠かせないものなのです。

 

記憶の定着率を上げる方法

ワーキングメモリに負荷をかければ、記憶に残る

漢字やカタカナを使わず、平仮名だけで書かれた文章は、当然の事ながら非常に読みにくいです。内容を把握して読もうとすると、ワーキングメモリにはすんなり読めない分の負荷がかかります。しかし、ワーキングメモリの負荷がかかった方が、スムーズに読める文章よりも、記憶に残りやすいとされています。

 

普段使わないような珍しい漢字や、難しい漢字を読む時にも、ワーキングメモリに負荷がかかっています。例えば「紡錘状回(ぼうすいじょうかい)」はひらがなよりも漢字で書かれていた方が、漢字の理解にワーキングメモリへの負荷がかかるので、記憶に残りやすくなります。

 

さらに、「紡錘状回とは何か」という説明も添えられていると、紡錘状回に対する理解が進み、より記憶に残ります。

 

エピソード化して理解する

認知心理学者のバドリーという人物によって樹立されたワーキングメモリの考え方ですが、初めの頃は、画像メモリと音韻ループのみが使われているものとされていました。音韻ループとは、音や言葉から得る情報を何度も反復して覚える仕組みです。ひらがなだけの文章を読む場合には、音の反復が使われる事が多いでしょう。

 

画像メモリは、視空間的記銘メモパッドとも呼ばれており、視覚的、空間的なイメージを覚えたりコントロールしたりします。先程の紡錘状回を例に挙げれば、「ぼうすいじょうかい」と音の反復で覚えようとする音韻ループに対し、「紡錘状回」と漢字のまま目で見たイメージで覚えるのが視空間的記銘メモパッドです。

 

さらに研究が進んだ近年では、エピソード的バッファも存在するとされています。これは音韻ループの音情報、画像メモリの視覚・空間情報に、意味や内容の情報が追加されたものです。分かりやすく言えば、映像を見ているような状態です。

 

そして長期記憶に関わる、脳の中央実行系という部分が、音韻ループ・視空間的記銘メモパッド・エピソード的バッファを束ねており、ワーキングメモリのシステムとなっています。このシステムをもとに、紡錘状回を記憶する流れを改めて追ってみましょう。

 

まずは音韻ループで「ぼうすいじょうかい」を覚えようとします。これがなかなか覚えられない場合、「紡錘状回」と漢字にしてみて視覚的に捉えると覚えやくなります。これが視空間的記銘メモパッドです。さらに、紡錘状回とは何かという説明を読むと、情報が追加され記憶の定着率がより高まります。この説明が、エピソード的バッファです。

 

このような流れで記憶の定着率を上げていく事が、理解です。

 

自分が主人公になれば忘れない

そして、さらなる記憶の定着を目指す場合には、エピソード記憶として覚えるのが効果的です。物事の主旨や概念、出来事等の記憶を意味記憶と言いますが、対して、ある決まった場所や時間、特定の人物の体験や感情等の記憶を、エピソード記憶と言います。

 

例えば歴史の年号や出来事をただ暗記するよりは、大河ドラマ『真田丸』を観ながら真田幸村の生涯を追った方が記憶に残りやすいと思います。これは、ドラマを観る中で真田幸村に感情移入して、まるで自分が主人公になったような感覚になるからです。

 

何かを覚えようとする時には、自分が体験しているかのようにエピソード化した方が、記憶の定着率が上がります。もちろん、勉強においても同じです。ですが、どちらかと言うと、勉強中は音韻ループが用いられている事が多いのが事実です。

 

勉強のスケジュールが思い通りに進まないのは、スケジュールを立てる段階で「最初は教科書読んで、次は問題解いて…」というように、音韻ループに頼っているからです。これではスケジュールの全体像を把握出来ない上、優先順位も上手くつけられません。

 

また一般的に、何かを覚える方法として、男性はほとんどの場合で視空間的記銘メモパッド、女性は6割程度が音韻ループを用いていると言われています。しかし、どちらか1つに頼るよりは、両方を同時に使った方が明らかに効率的です。その為に、書く作業が必要になってきます。

 

ブランチ図で分かりやすく表す

ブランチ図をご存知でしょうか。フローチャートや魚骨法(フィッシュボーン)、KJ法、マインドマップ等、種類は多々ありますが、枝分かれした図の事で、見やすく覚えやすい形にまとめる事が出来ます。ブランチ図を使う事で、作業の全体像も見え優先順位もつけやすくなるだけでなく、物事のつながりがぱっと分かるので、理解が進みやすくなります。

 

必要な時に、必要な物事を思い出せるようになるブランチ図は、記憶の整理や呼び出しに持って来いの方法と言えます。

 

ブランチ図を作る上で鍵を握るのは、「3」です。マジカルナンバー7と言われるように、人間は平均して7桁の数字を瞬時に記憶出来るとされています。よって今までは、短期記憶には7チャンク(まとまり)程の収容力があると考えられていましたが、最近では、ワーキングメモリの容量としては、3~4チャンク程だろうという考えが出てきています。

 

ワーキングメモリで深い処理を行うには、基本的には1つのまとまりに対して3チャンクで整理するのが精一杯なのです。よって、ブランチ図を作成する時も「3」を意識します。

 

例えばノートに、関ヶ原の戦いをまとめたい場合は、ただ年号や登場人物を書き並べるだけでなく、関ヶ原の戦いという一つのチャートにします。まず、関ヶ原の戦いから、年号・人物・内容と3つに枝分かれさせ、さらに人物について、徳川家康・石田三成・小早川秀秋と3つに枝分かれさせるといった具合です。

 

3つでは足りない時には、優先順位をつけ、徳川家康・石田三成とその他とし、その他でまた新たなチャートを作っていく方が、ワーキングメモリの収容力を考えると最適と言えます。また、勉強のスケジュールを立てる時も、同じように3チャンクのブランチ図を使うと、全体が見やすくなり、時間の配分も簡単になります。

 

ブランチ図で見やすく覚えやすくする事で、理解しやすくなります。理解しやすくなる事で、記憶が定着しやすくなります。記憶とは、ある物事や情報そのものを覚える事ではありません。物事や情報をまとまりと考え、他の物事や情報との結びつきを持たせる事です。

 

ですから、学習した内容にまとまりがあり、それぞれのチャート同士のつながりが分かるノートこそ、理解しやすい良いノートと言えます。このつながりを手助けしてくれるのが、エピソード的バッファです。そして、このエピソードの量が、理解度を示します。やはり、記憶する為には理解が欠かせないのです。

 

チャンクとフックでつながりを意識する

学習内容をエピソードとして記憶していくには、コツがあります。チャンクとフックを利用する事です。

 

チャンクはまとまりです。「09013572468」を一気に覚えるのは難しいですが、電話番号を書く時のように090-1357-2468といくつかのまとまりで分ける事で、ぐんと覚えやすくなります。英文や古文でも、最初からいきなり訳していくよりも、関係代名詞や助詞で区切りまとまりを作ってから訳す方が、分かりやすくなります。

 

3つのまとまりのブランチ図も、暗記に用いられる語呂合わせも、要は分かりやすく記憶しやすいチャンクを作る為の手段と言う事です。

 

そしてフックとは、引っかかりです。例えばチンジャオロースという名前がなかなか思い出せない時、「ピーマンや牛肉を細切りにして」とか「あの中華料理の」とか「オイスターソースで味付けして」等、その料理の属性や材料、調理方法、味などであれば分かるという場面があると思います。このような手掛かりが、フックです。

 

チンジャオロースを音だけで覚えるのではなく、その料理名を取り巻く材料や味等の理解の情報網をフックとしてつける事で、覚えやすくなる上に、記憶を呼び出しやすくする事が出来ます。理解とフックが相乗効果を発揮するのです。

 

ローマン・ルーム法は、歴史の流れや因果関係、化学反応等の過程のように、順を追って覚えたい時に有効です。自宅の玄関から、学校や職場までの道順を思い浮かべて、道の途中にある何らかの目印(ランドマーク)と、覚えたい物を重ねていきます。引っ掛かりを増やし、それらをつなげる事でより覚えやすくなります。

 

チャンクやフックを作ってつながりを意識する事は、物事の長い過程を分かりやすくまとめ、順序を理解する為の手助けです。つまり、より理解しやすい方法にする為の工夫です。何度も述べているように、やはり、確かな理解が大切で、その為に真面目に勉強する必要があると言えます。

 

記憶は失われるものと認識する事が重要

「記憶を引き出す」という言葉をよく耳にするかと思います。記憶を脳の中に存在する物としているように聞こえますが、本来記憶とは、ニューロンとニューロンがつながって情報網と化したものが、何かのきっかけや呼び出したいと思った時に優先的に思い浮かぶようになった状態の事を言います。

 

記憶に欠かせないつながりには、それが出来るまでのステップがあります。

 

例えば、いわし・さば・かつおという言葉を、無意識にぱっと見ただけでも、数秒から数十秒程は頭に残るでしょう。これを感覚記憶と言います。対して、意識的に覚えようとして見ると、ワーキングメモリが働き短期記憶として頭に残り、感覚記憶よりは長く記憶出来ます。

 

ですが、短期記憶も、そう長く持つ記憶ではありません。またワーキングメモリの処理が深くなければ、記憶として残す事さえ出来ません。

 

なぜなら、次々と新しい記憶が更新されていく日常生活の中では、意識されない程の小さな記憶は、消去していかなければならないからです。長期記憶に変化して海馬に固定されていく記憶は、感情、報酬、注視等によりワーキングメモリに影響する部位を活発化させる短期記憶のみです。

 

そして、固定された記憶、つまり必要な記憶は、一か月程度で海馬に頼らずに呼び出す事が出来るようになり、必要でない記憶は消去されていきます。このような過程で、記憶は定着していきます。

 

記憶力を鍛える上で重要なのは、記憶は失われていくものであると、認識する事です。

 

記憶が失われてしまうまでの期間はどれくらいなのか、どれくらいの量が失われるのか、記憶しやすい、あるいは記憶しにくいのはどのような内容なのか、といった自分の記憶の傾向を細かく把握する事も必要です。自分の覚え方・忘れ方に合わせて、効率的に復習をする事で、記憶を上手く定着させていく事が出来ます。

 

記憶の傾向に合わせた予習・復習の方法

実際に、子供の記憶の傾向をチェックしてみると良いでしょう。記憶は、まず頭に情報を入れる、次にその情報を保持する、そして、保持している情報を引き出すという3段階に分かれます。この繰り返しにより、記憶力は高まります。「入れる」「保持する」「引き出す」のどれが苦手なのかによって、予習・復習のタイミングやポイントは違ってきます。

 

①頭に入れる事が苦手なら、タイミングをみて繰り返す!

英単語や漢字は10回以上書かないと覚えられなかったり、覚えたとしてもすぐ忘れたりする傾向がある場合は、覚える方法を工夫しましょう。

 

授業を受けて覚えたつもりになっている内容も、そのまま何もしなければ時間と共に忘れてしまう中期記憶です。中期記憶は9時間程でそのほとんどを忘れてしまうと言われているので、そのタイミングで復習する習慣をつけると、だんだんと忘れる量を減らす事が出来ます。

 

そろそろ忘れそうという時間を自分で把握し、そのタイミングで再び入れる作業を行います。何度も繰り返すうちに記憶の定着率がアップし、その記憶を保持したり引き出したりする事も容易になります。問題集に繰り返し取り組む事も入れる作業です。何度も問題を解く事で、解き方を記憶します。

 

②記憶を保持するのが苦手な場合は、簡単な復習が効果的!

昼休みが終わる頃には、午前中の授業内容を覚えていなかったり、テストが終わった瞬間、どんな問題が出されていたか忘れたりする事が多い場合には、忘れた頃にもう一度覚え直しましょう。

 

今日の授業を帰宅してすぐ復習したとしても、3日後には半分も頭に残っていないでしょう。記憶保持の為には、そのタイミングでもう一度復習する必要があります。そしてまた1か月もすれば半分忘れてしまいますから、そこでまた復習して覚え直します。

 

③覚えた内容を引き出す事が苦手なら、フックを利用する!

覚えたつもりの公式や単語なのに、テストになると出て来なくて、答え合わせの時になって、「あーそうだった!」と悔しい思いをした経験があるでしょう。このような傾向がある子供は、普段の会話の中でも、あれ、それ、これ等の単語を使う事が多いです。

 

このような傾向がある場合には、授業をエピソード化して、フックを付けてみましょう。復習する時に、その日の授業を映像として再生するようにイメージしたり、先生が話していた内容を思い出したりして、授業中の記憶を一度引き出してから入れるという作業を繰り返す事で、様々なきっかけにより記憶を引き出す事が出来るようになります。

 

また、記憶の保持時間を考慮して、予習は早くても前日に行うようにしましょう。そして、授業を受けている時は、先生の話に頷いてみるのも、記憶定着の為の一つの方法です。

 

全ての場合で言える事ですが、復習はざっと簡単に済ませるようにする事が大切です。復習に時間をかけると、継続するのが難しいからです。その為には、勉強している時点で、復習する時の事を考えた工夫をしておくと良いでしょう。覚えたい内容が一目で分かるようにノートにまとめたり、ブランチ図を使ったりするとスムーズに復習出来ます。

 

復習を簡単に出来るようにしておけば、ちょっとした隙間時間を有効活用する事も出来ます。例えば学校では、通学時間や休み時間、自宅では、トイレや入浴中、観たいテレビ番組が始まるまでの時間等、隙間時間は意外と沢山あります。

 

記憶の定着率アップには、脳のドーパミン神経系の働きも関係します。基本的な予習、授業、復習を誠心誠意行う事でドーパミン神経系を活発化させ、脳を勉強に夢中にさせる事が大切です。

 

今すぐ始められる記憶力アップ習慣

とにかく頷く!

人と話をしていて、「へぇー」と驚いたり、「うんうん」と感心したりした会話ほど、その内容が記憶に残っていた経験はないでしょうか。記憶に理解が欠かせないのと同じくらい、心の躍動も必要です。躍動は脳のエネルギー源で、興味のある事や大好きな物、逆に大嫌いな物は、強く記憶に残ります。

 

つまり、「うんうん」等の頷きと記憶は相関関係にあると言えます。授業中の先生の話をすぐ忘れてしまう子供には、例え内容が良く分からなくても、「へぇー」とか「うんうん」と頷いてみる事を提案してみると良いでしょう。

 

長期記憶が固定される場所である海馬の手前には、偏桃体があります。偏桃体は、短期記憶として得た記憶を、感情の面から、長期記憶化するかどうかの判断を下します。

 

基本的には、近づいていいのか離れた方がいいのかが判断基準となっています。これは生き物であれば当たり前の事で、例えば、食べたらお腹を壊したような物は、覚えておかないと命に関わりますし、安全な食べ物や美味しいと感じた物は覚えておいた方が、次回も安心して選ぶ事が出来ます。

 

人間における判断基準は、主に好きか嫌いかです。腹側線条体の側坐核という部位が、偏桃体と海馬からのドーパミンの分泌を認識すると、行動を増強したり、削除したりします。つまり偏桃体が高揚し活発化すると、記憶効率が強まるという事です。

 

ですから勉強に関しても、覚えたい事は、「へぇー」と感心するような心躍る気持ちで覚えると、より強く記憶出来ます。多少無理があっても、「化学反応式を覚えたい!」「三平方の定理を覚えたい!」とウキウキした勢いで思い込む事が、記憶の定着率アップのポイントです。

 

さらに、そこに理解も加わって、理解した学習内容を1つの物語のようにつなげる事が出来ると、より心が躍動します。確かな理解によって勉強中に心の躍動を味わう事で、偏桃体が活発化し、海馬での記憶定着を促します。そしてこれが繰り返されると、満足感も生まれます。この流れこそが、勉強に夢中になる神髄です。

 

躍動ポイント別の記憶方法

心が躍動するポイントや理解の方法は、子供によりそれぞれです。大きく分けて、

・耳からの情報が影響しやすい聴覚タイプ

・目からの情報が影響しやすい視覚タイプ

・身体感覚が理解や躍動と結びつく身体感覚タイプ

の3つがあります。どのタイプに当てはまるかによって効果的な記憶方法も異なります。

 

①聴覚タイプは、感情を込めた言葉を聞いて記憶する!

例えば、「徳川家康」という名前1つでも、ただ平たく徳川家康と言うのと、歌舞伎役者の台詞のようにアクセントを入れたり感情を込めたりして言うのとでは、印象が全く変わってきます。

 

聞こえた言葉を処理するのは左脳のウェルニッケ野などですが、感情のある言葉に共感すると、右脳のウェルニッケ相同野が活発化します。聴覚タイプの場合、この仕組みを利用して、効率的に記憶する事が出来ます。授業中、重要な部分は感情を込めて解説してくれる先生は多いと思います。共感しながら聞く事で、記憶効果もアップします。

 

また、CDから流れてくる英文をひたすら聞くような音韻ループや、学校で先生が重要事項をまとめて話しているのを聞くのも、聴覚タイプには有効です。

 

②視覚タイプは、画像や映像を上手に利用して記憶する!

そもそも、人間の脳はその7割が視覚情報の処理に使われています。視覚タイプの人は尚更、目から得る情報に頼って記憶するので、図を使ってノートをまとめたり、図表が多用された参考書を選んだりすると記憶効率が上がります。

 

また、映像化されたイメージを利用すれば、エピソード的バッファによってワーキングメモリの深い処理も出来るようになります。これは、視覚タイプだけでなく、聴覚タイプにも身体感覚タイプにも同じ事が言えます。

 

③身体感覚タイプは、体感して記憶する!

例えば地理の勉強の場合は、地図上のその場所に自分がいるかのようにイメージしたり、理科なら、実際に虫や植物を触ってみたりと、楽しみながら体感する感覚によって理解度が上がります。

 

子供の脳は、勉強中には記憶を処理する部位が活発化し、運動中には体を動かす処理をする部位が活発化しています。勉強中でも軽い運動をしてみる事で、両方の部位を働かせる事が出来、記憶効率が上がります。同時に、勉強の合間に体を動かすと良い気分転換にもなります。

 

分かりやすいノートを意識する

少し前になりますが、「東大合格生のノートはかならず美しい」という本が話題になりました。そこで当時、東大生がノートをとっている時の脳活動の様子を調査する実験が行われました。

 

実験の内容としては、実際に本に登場した東大院生に、塾講師の英語の授業を何種類か受けてもらい、1回目はいつも通り真剣に美しくノートをとり、2回目は板書だけを単純に写し、3回目は板書と先生の説明をパソコンに入力するよう指示し、それぞれの脳活動の様子を調べるものです。

 

当然ですが、一番脳が活性化したのは、1回目の美しいノートをとった時という結果でした。板書と同時に口頭の説明も書いていく作業は、授業内容を脳に蓄積しながらペンを動かす必要があり、記憶と理解に関わる部位が非常に活性化して働きます。

 

2回目の板書だけの時は、授業の内容は理解出来ても、記憶に関わる部位はほとんど働いていませんでした。

 

そして3回目のパソコン入力では、ノートの取り方としては1回目と同じである上に、ペンを動かす負担もなくなって楽な割には、理解と記憶に関わる部位の両方とも活性化しないという結果でした。

 

この結果をさらに詳しく見ると、1回目と2回目には、ブローカ野とウェルニッケ野が活発化していたという共通点がありました。

 

ブローカ野とは、文法的に言葉を作ったり、発話に関わる言語中枢で、ウェルニッケ野は、話された言葉を理解する働きをします。3回目の時も、パソコンに入力する際に先生の言葉を頭の中で反復しているので、かすかですが働いています。

 

この実験により、ノートをとる作業の裏には、頭の中での言葉の反復があるだろうという事が分かりました。言葉を反復する事が、授業内容を記憶する手助けになります。

 

そしてもう1つ、美しいノートをとる時の脳活動において、注目すべきポイントがあります。それは、前頭前野外側部と頭頂連合野の活動です。前頭前野外側部はブローカ野のやや上に位置し、ワーキングメモリに関わります。頭頂連合野は、受動的に受け取る情報やワーキングメモリの処理、空間認識に関わる部位です。

 

この事から、美しいノートをとる時は、先生の言葉を頭の中で反復しつつ、ノートにいかに分かりやすくまとめるか、その空間配置のバランスを考慮して書いているという事が考えられます。

 

この点が、単純に板書を写す場合やパソコン入力の場合と異なる部分で、どうすればより分かりやすく、より見やすくまとめられるかを頭で考える事がワーキングメモリの深い処理へとつながり、記憶の定着率を上げているのです。

 

ノートをとる時には、板書だけでなく、自分で聞いた先生の言葉や自分なりの表現を加えながら、より分かりやすくまとめようと意識する事が、記憶効率アップにとって重要なポイントと言えます。

 

睡眠時間を一定にする

テレビや雑誌等で、「脳は寝ている間に記憶する!」といった情報を見た事はないでしょうか。実はこれは実際の研究でも立証されつつあり、睡眠は記憶にとって非常に重要である事が分かっています。

 

また、目を閉じるだけでも、疑似睡眠的な役割をなす為、記憶の整理に有効です。授業や勉強の後、目を閉じて覚えたい内容を頭の中で繰り返します。覚えようと意識しなくても、頭に思い浮かべる事でワーキングメモリが働くきっかけになります。

 

睡眠不足で物事をなかなか覚えられなかったり思い出せなかったりした経験もあるでしょう。睡眠の質が低かったり睡眠時間がばらばらだったりすると、疲労の積み重ねによる集中力や意欲の低下はもちろん、記憶にも悪影響を及ぼします。ドーパミンをはじめセロトニンやコルチゾール等のホルモン分泌が乱れ、前頭葉の働きも鈍くなる為です。

 

記憶の為だけでなく、休養の為、意欲や集中力維持の為にも、勉強と睡眠はセットと考え、毎日同じ時間に睡眠をとるよう心掛けましょう。

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