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読書感想文を、基本からほんの少しレベルアップさせたい時の書き方

読書

普段は意識することもあまりないものですが、日本語というのはとても豊かで繊細な言語です。言葉や文法にほんの少しの間違いがあれば、意味が通じなくなることもありますし、ほんの少しの工夫があれば、逆に驚くほど豊かな表現ができてしまいます。読書感想文を書く時には、やはりそれなりの文章力や表現力を身につけておきたいものです。

 

自分の読書感想文に適した文体を考える

同じ事を書いても、文章の文体次第で読み手が受ける印象が変わってしまうのが、日本語の面白いところであり、難しいところでもあります。中でも語尾や一人称の選択は、ほんの少し変えただけで全体の印象を変えてしまうものですから、おろそかにはできません。

 

語尾の中でも代表的なのは「である調」と「です・ます調」の二つです。どちらにも一長一短、向き不向きがありますから、それぞれの特性をよく知った上で、誰に読ませるのか、どう読まれたいかを考えて決めるとよいでしょう。

 

まず、「である調」について。こちらは断定的な感じがし、文章も簡潔にしやすいので論点をはっきりさせやすいという利点があります。論文やレポートなどの論理性や簡潔性が必要な物には、こちらの方が向いています。読む人に「できる」印象を与えたい時にも有効ですが、ともすると単なる「上から目線」とも取られかねないので要注意です。

 

一方、「です・ます調」は柔らかく丁寧な印象で、何を書くにも使いやすい、汎用性の高い文体と言えます。柔らかく、丁寧な印象を与えたい時には、こちらの方が向いています。優しく説得したい時にも良いでしょう。ただ、丁寧な分、メリハリに欠けがちで、ともするとポイントがあやふやになってしまうという危険性があります。

 

読書感想文の場合は、「です・ます調」「である調」のどちらでも構いません。ただし、どちらかに決めたなら、最後まで統一し、二種類の語尾を混在させないことです。時折、わざと混在させることもありますが、それはかなりの高等テクニックです。読書感想文だけでなく、作文、小論文などを書く時は、語尾は必ず統一しておきましょう。

 

語尾以外でも、一人称(自分、私、僕)の使い方で印象は変わります。これもまた、文中では統一しておいた方がよいものですから、自分が使いたい、最適だと思うものを選んだら、ぶれずに最後まで書くようにしましょう。英語ならば「I」で済んでしまうのに、と思うかも知れませんが、これもまた、日本語の豊かさ故の悩みと思って下さい。

 

「書き方」以前に「姿勢」を正す

読書感想文に限ったことではありませんが、文章を書く時に一番やってはならないことがあります。それは、他人をむやみに傷つけることです。読書感想文の場合は、本をただ、けなしたり貶めたりするようなことは、最大のNGです。

 

そんな事を言ったって、つまらなかったんだから、と言うかも知れません。けれども、それをそのまま書いては、ただの感情の発散でしかありません。読書感想文の内容を本の著者が目にすることは、普通はありませんが、だから許される、というものでは決してありません。

 

相手の反論を想定しない、それどころか、相手が反論できないことを見越した批判は、ただの陰口と同じです。乱暴な言葉、相手を貶める言い方もまた同じで、相手を傷つけることはあっても、人の心に響くものではありません。言葉が持つ力の正しい使い方も、読書感想文の課題を通じて学んで欲しいことの1つです。

 

読書感想文を書き終えたら推敲は必須

作文が苦手、読書感想文なんか憂鬱以外の何者でもない、という人は大抵、書いたものを見直そう、という気にはなれないものです。けれど、ここでもう少し我慢して、一度だけでも見直してみましょう。読書感想文はずっと良くなるし、つまらないミスもしなくて済みます。

 

見直すタイミングは、書いてすぐではなく、少し間を置いた方が良いでしょう。完全に読み手の気持ちになれるくらい冷静になった頭で、じっくりと見直して下さい。

 

おかしな文章はないですか?ただの批判で終わっていませんか?物足りないと感じるところはありませんか?独りよがりな表現はありませんか?じっくり読んで、最後の仕上げに入りましょう。

 

単純なミスを見逃さない

見つけないと確実に減点、そうでなくてもモッタイナイ、と思われるミスの代表格は、誤字脱字です。PCで書いたものならミスタッチや誤変換は付き物ですし、手書きでも、後から見ると自分でも不思議なほどの誤字があったりしますので、気をつけた方がよいでしょう。

 

普通の誤字だけではなく、登場人物の名前などでも間違いはよくあります。武(たけし)を猛と書いていたり、酷い時には登場人物の名前を全く逆に書いてしまう事もあります。本の中に出てきた数字を使った時は、それもチェックしておきましょう。

 

意味が通らない文はないか

文章の中身もしっかりと見ておきましょう。一文の主語と述語がきちんと呼応しているか、助詞の使い方が間違っていないかは、改めて読んでみないと気づかないことがあります。特に助詞は、ほんのひと文字間違えただけで、真逆の意味になってしまうこともありますから要注意です。

 

一文があまりにも長い時には、主語と述語の関係性が曖昧になって、結局何が言いたいのか分からなくなってしまいがちですから、これもしっかりチェックしましょう。原稿用紙なら3行以上にわたるような文章の時は、できれば一旦、切るようにした方が無難でしょう。あれこれ盛り込みすぎて、主語と述語を離しすぎないように注意して下さい。

 

読点の位置も確認する

文中の「、」読点の位置が良くないと、文章のリズムは何となく悪くなるものです。文章を書きなれていれば、ごく自然に打てるものではありますが、慣れていなければどこで打つべきか、だけで延々と悩むこともあるでしょう。

 

読点には、どこで打て、という決まりは特にないものです。だからこそ悩む人は悩むのですが、これは要するに自分が読んで、読みやすいところに打てば良い、ということと考えて下さい。声に出して読んでみるのもよいでしょう。一気に読む人はあまりいないでしょうから、息継ぎした所が、自分にとってベストな読点の位置になります。

 

読書感想文は、もっと良くなる

読み返し、推敲していくうちに、うーん、と思うことがあったなら、それはもう一つ上の段階に進めるチャンスです。ひと通りミスや読みにくい箇所を修正し終えたら、今度は少しレベルアップすることを考えてみましょう。これもまた、推敲作業の一環であり、読書感想文を更に良いものへと磨き上げる工程です。

 

書き出しや構成を見直す

読書感想文に限らず、書き出しの文章は大切なものです。読み返してみて、書き出しの一文やそれに連なる最初の段落がしっくりこなかったら、少し工夫してみましょう。書き出しの一文を書き直すのはもちろん、前後の文章を入れ替えたり、場合によっては段落ごと前後させてみると、スッキリすることもあります。

 

入れ替えや修正をした時には、全体との整合性が失われていないか、文章の意味が通らなくなっていないかを、もう一度チェックしておきましょう。書き直したことで新たな誤字脱字が出ていたり、文章の意味が通らなくなってしまったりしていることも、よくあるからです。PCで作成している場合は、特に慎重に見直して下さい。

 

簡単に「強調」してみる

会話している時には簡単で、文章では難しいことの1つが、「強調」です。ある程度は文の構造や助詞でカバーできますが、全ての文章で使える方法ではありません。キーワードとなる言葉や、自分の気持ちなどを簡単に際だたせたい時には、カギかっこを使うという方法もあります。

 

ただし、これは言うまでもないことですが、カギかっこの中身が長すぎたり、カギかっこがあまりにもあちこちにあると、強調にならなくなってしまいます。中身は単語レベルで、カギかっこに入れた引用文がそばにある場合は、普通のカギかっこではなく、他の二重カギかっこ『』や山カッコ<>を使った方が分かりやすくなります。

 

カギかっこの種類に制限や決まりは特にありません。ただし、適当に使ってしまうと読みにくくなってしまいます。引用文にカギかっこ、強調したい気持ちには山カッコ、キーワードには二重カギかっこ、など、自分なりのルールを決めておくと良いでしょう。

 

接続詞は最小限に

接続詞にも少し注意を向けましょう。同じ接続詞を繰り返し使っていないか、そもそも接続詞の数が多すぎないかをチェックして下さい。文章を書き慣れている人でも、うっかりすると連続して使いがちなのが、「なので」や「そして」、「けれども」「しかし」などです。

 

特に順接の接続詞「なので」「そして」「だから」は、不要なことも多いです。こういった接続詞はできる限り使わず、ここぞと言う時だけ使うようにすると、文章のテンポは格段に良くなります。試しに接続詞を全て抜いて読んでみると、本当に必要な接続詞はどれかが見えてきます。

 

「けれども」「しかし」などの逆接の接続詞も、連続して使うと分かりにくくなる上、文章が長くなりすぎてしまりがなくなります。連続して使ってしまった場合は、文章の構造を変えるなどして一つにまとめてみましょう。これがうまく出来ると、文章がぐっとスッキリします。

 

体言止めに挑戦する

文の最後を名詞で締める体言止めも、文章のテンポを良くし、かつ、余韻を残して言葉そのものを印象に残す効果があります。体言止めを使った場合とそうでない場合の2例を比べてみてください。

 

1.冬の大三角は、シリウス、ベテルギウス、プロキオンの3つの星から構成されます。

2.シリウス、ベテルギウス、プロキオンの3つの星から成る、冬の大三角。

 

1は体言止めを使わない素の文章です。これでも文章としておかしくはありませんが、2の方は、それだけで冬の大三角という言葉が強調され、目の前に冬の大三角が輝いているような、臨場感が出てくると思いませんか?

 

体言止めは、少しかっこよく強調したい時などにも便利な方法ではありますが、これも多用すれば逆効果になりますから、ここぞと言う時にだけ、使ってみて下さい。

 

表現力が磨かれる「書き方」とは?

普段、生活の中で使う言葉の数は、あまり多くはありません。直接話をする時には、言葉以外にも表情や声の様子など、様々な情報が会話を補ってくれているので、そもそも必要がないからです。LINEなどでも、友達など、普段のコミュニケーションが密な相手であれば、言葉で伝えるべき内容は必然的に減っていきます。

 

だからこそ、読書感想文を書く時には、言葉をたくさん使ってみましょう。「使えない」のと、「使わない」のでは、雲泥の差がありますから、日常会話では使わなくても、使える言葉は増やしておくに越したことはありません。そのためにはまず、日常会話では頼りがちな、曖昧な形容詞を使わないようにしてみましょう。

 

曖昧な形容詞というのは、言い換えれば主観的な形容詞、ということです。「ドアを開けると、かわいい犬が迎えてくれた」という文章を読んでも、それだけではその光景を正しく伝えることはできません。思い浮かぶ犬の姿も皆ばらばらです。それでは、「かわいい」を具体的な表現に置き換えてみるとどうなるでしょうか。

 

例えば、「ドアを開けたら、小さな犬が私を迎えてくれた。くりっとした目をきらきらさせて、息を切らしながらこちらを見上げている。茶色い背中はぴょこぴょことはねて、今にも飛びつかんばかりだ」と、「かわいい」と思った光景、理由を細かく描写すると、漠然としていた光景が、一気に具体的なものになり、説得力も出てきます。

 

「かわいい」だけでなく、「すごい」「おいしい」「きれい」なども、この曖昧な形容詞にあたります。見つけたら、全部ではなくても良いですから、具体的な表現に書き直してみましょう。全部ではなくて構いません、大切だと思った部分だけでも、具体的かつ丁寧な描写をしてみて下さい。

 

迷ったら、何故、何を「かわいい」「すごい」と思ったのかを細かに描写してみると良いでしょう。言葉だけで全てを伝えきる力というのは、これから先、必ず必要になってくるものですから、是非、訓練だと思ってやってみて欲しいものです。

 

読書感想文に使ってみたい身体の慣用句

身体と心は密接につながっています。目には見えるような変化ではなくとも、気持ちは身体の感覚に影響を及ぼすことは、誰もが体験を通じて知っていることでしょう。これを言葉で表現したものが、身体の慣用句というものです。

 

とても共感しやすい感覚なので、どの言語にもそういった語句は存在するようですが、日本語には特にたくさんの身体の慣用句が存在します。「身を切られるような辛さ」「悲しみに胸が潰されるような気がした」「身の毛もよだつ恐ろしさ」など、わき上がる感情を、身体の感覚で表現する言葉がそれに当たります。

 

悲しい時に胸が痛いと感じたり、怖い時に身の毛がよだったり(鳥肌が立つ)などは、大抵の人に共通する感覚であり、経験です。そのため、こういった身体の慣用句を使うと、言葉にはしにくい感情がより具体的に伝えられるようになります。普段はあまり使わない言葉かも知れませんが、1つ2つ使ってみると、表現の幅がぐんと広がってくるでしょう。

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