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超低出生体重児と母乳のかかわり

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超低出生体重児

出生時に体重が2,500g未満の新生児のことを「低出生体重児」といいますが、その中でも出生体重1,000g未満の場合を「超低出生体重児」といいます。近年、この超低出生体重児に対して、早めに授乳を与え始めることで、メリットが得られることが分かってきました。どういったメリットがあるのでしょうか。

 

発育面でメリットが見られた早期授乳

超低出生体重児はかつて超未熟児などといわれていたこともあり、主な原因としては早産による場合と、子宮内での体重増加が悪い子宮内発育制限による場合とがあります。

 

以前は生命維持も難しいようなケースであったわけですが、医療技術の発達によって命を長らえることができるようになったばかりか、成長後に問題を残すようなこともなく健康に育つことができるケースも増えてきています。

 

以前は、超低出生体重児に対して栄養を与える時にはブドウ糖を輸液するという形式で行われており、母乳を与えるのは呼吸に問題が無くなってからというのが普通でした。しかし近年になって、超低出生体重児に対して早めに母乳を与えることで、疾病を予防できたり、体の発育がよくなるといった効果が見られることが分かってきました。

 

これまでは、超低出生体重児に対して早めに母乳を与えてしまうと、それが元で壊死性腸炎を起こしてしまい、赤ちゃんの腸全体が壊死してしまうことが懸念されていました。未熟な状態の赤ちゃんの腸がお母さんの母乳を消化できずに、そうしたことが起きるのではないかと考えられていたのです。

 

しかし、研究が進んだことにより、母乳を遅く与えたとしても壊死性腸炎が起きるということが分かったほか、呼吸が安定するまで待って与えるようにすると、母乳を受け付けなくなることもあるということが分かってきました。

 

むしろ、できるだけ母乳を与えたほうが予防につながるとさえいわれるようになってきています。このほか、早い時期から母乳を与えるようにすると、赤ちゃんの肉体的な成長が早まるということも分かってきています。

 

赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる間は羊水に包まれた状態でいるわけですが、その際羊水を飲んでいます。そして腸の蠕動作用によって飲んだ羊水を消化管のほうに送るということを繰り返しています。

 

分娩で外界に出た後もこうした蠕動作用は働いていますが、分娩直後に母乳を飲み始めないとこの作用は弱まってしまいます。逆に分娩直後に授乳すると、こうした蠕動作用はさらに活発になるのです。

 

こうしたことから、超低出生体重児であっても、早いうちから母乳を飲ませて口からの栄養摂取ができるようになると、それ以降の発育に大きく変化が出ると考えられるようになってきました。

 

超低出生体重児のうち早めに授乳を開始した場合と、そうではなかった場合について比べてみたところ、もともとの出産予定日に達したときの体重で実に290グラムもの違いが見られたという研究結果があります。入院に要した日数についても差は顕著で、早めに授乳を開始したケースでの平均が42日だったのに対し、そうではなかったケースでは59日に及んだというデータもあります。

 

また、早めに授乳を開始した赤ちゃんは体が大きくなる速度も早く、頭囲増加率では一日あたりで0.02cmの差が見られるという結果が出ています。頭囲増加率が大きいということは、それだけ早く脳が成長しているということを示しています。つまり知能の発達に大きく影響している、ということがいえるのです。

 

早期授乳のリスク

超低出生体重児に対して早めに母乳を与えることにはこういったメリットが認められることが分かってきましたが、そのためには24時間以内に母乳を与える必要があります。

 

しかし、超低出生体重児の場合には母乳が満足に出ないことが多いため、その時間内に母乳をあげるのは難しいといわざるを得ません。そうした時に取られる対応に「もらい乳」(赤ちゃんに別の女性の母乳を与えること)があります。

 

もらい乳をする際には、与える母乳について肝炎、後天性免疫不全症候群、成人性白血病といったウイルス由来の疾患がないかどうかを調べた上で行われています。このためこうした既知のウイルス疾患に感染するリスクはほとんどないといっていいわけですが、未知の疾患がないとは断言できません。

 

そういった意味では、もらい乳は輸血と同じように捉えるべきだといえるでしょう。しかし、そうしたリスクを考慮に入れた上でも、もらい乳で得られるメリットのほうがかなり大きいと考えられています。

 

超低出生体重児に対して早めに母乳を与えることによる壊死性腸炎の有無についても研究が進んでおり、それによれば早めの授乳が直接の原因となった壊死性腸炎は見られないということが分かってきました。

 

また、超低出生体重児に見られやすい胆汁うっ滞(胆汁の流れが阻害されて肝臓にたまり、肝臓の機能が下がる疾患)も、早めの授乳をしたケースではしなかったケースの1/8にしか見られなかったなど、やはり早期の授乳にはメリットがあるという結論が得られています。

 

このように超低出生体重児に対して早めに母乳を与えることは赤ちゃんにとって大きなメリットがあるのに加え、早産などで未熟な赤ちゃんを産んでしまったと自分を責めがちなお母さんの心のケアという意味でも大きな意義を持っています。

 

今後は、もらい乳をなくしていくこと、つまり、母乳が早く出るようにするための研究を通してできるだけ早くお母さん自身の母乳を与えることへの研究が待たれている段階だといえるでしょう。

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