赤ちゃんが言葉の意味を理解するまで

Pocket
LINEで送る

ボールを理解する赤ちゃん

赤ちゃんは身体の成長に伴って生後3ヶ月目ぐらいから笑い声を上げはじめ、それを通してさまざまな音を出すためのトレーニングを積み始めます。そして生後12ヶ月前後ぐらいから、それまでに周囲から耳にして覚えた言葉を自分から話してみようとし始めます。

 

しかし、話し始めた直後の赤ちゃんはまだ自分が口にしている言葉の意味を理解するところまでいっていません。では、赤ちゃんはどうやって言葉の意味を理解するようになるのでしょうか?

 

子どもが英語を学ぶときとは違う

英語を学び始めた子どもに、例えば“This is a hat.”(これはぼうしです)という文章を教えたとします。そうすると、子どもは“hat”という単語が「ぼうし」にあたると理解し、“This is a hat.”を何度も繰り返し口にして英語を学んでいきます。

 

この時勉強している子どもの頭には、すでに「ぼうし」という言葉についての意味や概念といったものが構築され終わっており、それを英語の“hat”という音に結びつけるということをしていることになります。

 

一方、赤ちゃんが言葉の意味を理解するときのプロセスはこれとは異なっています。赤ちゃんの頭には「ぼうし」という言葉についての意味や概念がまだできあがっていないからです。帽子を示されて「これはぼうしよ」と言われたとしても、赤ちゃんにしてみれば自分の周りに無数にあるさまざまな「もの」のうちの「これ」が「ぼうし」というものなんだ、ということが分かったに過ぎません。

 

仮に赤ちゃんが初めて見た帽子が黄色い帽子だったとしたら、赤ちゃんは「ぼうしとは黄色いものだ」と理解してしまうかもしれません。このため、次に茶色の帽子を見せても、それを帽子とは認識しないかもしれないのです。

 

赤ちゃんが言葉を理解する過程では、ある対象が持っているさまざまな特徴や属性を取捨選択し、対象がある言葉にあてはまるものであるということを関連づけるという難易度の高い作業を行っています。

 

「ぼうし」とよばれている「これ」の特徴や属性を自分なりに取捨選択し、それによって「あれ」も「ぼうし」だ、ということを理解できるようになっていきます。しかも赤ちゃんは、こうした特徴や属性の取捨選択を、学校の勉強のような形ではなく体当たりで行っています。

 

例として赤ちゃんに「ボール」を手渡し、「これはボールよ」と教えたとしましょう。赤ちゃんはボールをぼんやりと眺めて、「丸い」「つやつや」「赤い」といったことを認識します。次に手で触れてみて、「つるつる」「手のひらサイズ」ということを認識し、振ってみて「音が出ない」ことを知り、匂いをかいだりなめたりして「ゴムの臭い」がすることに気づきます。そして投げると「ぽんぽん弾んで転がる」ことを発見し、今度はその様子をじっと見つめて「転がり方」であったり「転がるときの音」などを覚えます。

 

赤ちゃんはこういった形で、「ボール」というのはこういうものだということを認識し覚えます。さきほど「体当たりで」といったのは、このように五感を総動員し、身体の動作をも用いて認識し覚えるということです。赤ちゃんはある対象と言葉について、こうやって特徴や属性を取捨選択して言葉を覚えていくのです。

 

周囲の状況や大人の様子も合わせて見ている

このようにして赤ちゃんが言葉を覚えているということを明らかにした実験に、東京電機大学で行われた実験があります。

 

まず、透明なガラスでできたたまご型の物体を用意します。そして、赤ちゃんに対して示しながら、架空の名前である「ムタ」という言葉を教えます。その後で、赤ちゃんに透明なガラスでできた四角錐と、黄色く着色されたプラスチック製のたまご型の物体を見せ、「どっちがムタ?」と聞いてその反応を見ます。

 

「ムタ」という言葉を教えるときに、親がガラスのたまごを目の前に持ってきてすかし見ながら「これはムタよ」と教えた場合、赤ちゃんはガラスの四角錐を「ムタ」だと指摘します。ところが、「ムタ」という言葉を教えるときに、親がガラスのたまごをころころと転がしながら教えたときには、赤ちゃんは黄色いたまごを「ムタ」だと指摘します。

 

こうした実験から見えてくるのは、赤ちゃんが言葉を覚える時には、ただものを見て音を聞いているのだけではなく、周囲の大人が言葉を教えているときの様子や対象のものをどう扱っているか、といったようなことまで見て言葉を覚えようとしているということです。そのようにしながら赤ちゃんは特徴や属性を取捨選択し、自分でも身振り手振りをしたり自分をオーバーラップさせたりしながら言葉を獲得していっているというわけです。

 

このようにして赤ちゃんが一般的な言葉の意味を理解し覚えるのは、おおよそ1歳半から3歳の間に行われます。生まれてから約3年ほどもかけて言葉を使えるようになるわけです。

Pocket
LINEで送る

先輩ママさん5万人調査!育児期(4ヶ月以上ベビー)に買ったものランキング

このページの先頭へ