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語りかけ育児で子どもの能力を伸ばそう

語りかけ育児

「語りかけ育児」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。イギリスで生まれた育児方法で、静かな環境で1日30分間だけ、お母さんが赤ちゃんの興味を示すことに沿って遊んだり語りかけたりするというやり方です。どんな内容なのか、またどういった効果が見込まれるのかについて紹介してみたいと思います。

 

語りかけ育児が子どもの才能を大きく引き出す

語りかけ育児はイギリスのサリー・ウォード氏によって提唱され、子どもの精神と知能の発達にたいへんな効果があるということで、政府にも推奨された育児プログラムです。日本国内においても、平成13年に書籍が出版され、以後子どもを持つ母親や育児関係者などの注目を集めています。

 

語りかけ育児はもともと言語に遅れがみられたり障害があったりする子供たちのコミュニケーション能力を育てるために考えられたやり方です。このやり方をすることで、子どものコミュニケーション能力が大幅に向上し、また知能指数も向上するという効果を得ることができます。

 

この手法の特徴としては、赤ちゃんとのコミュニケーション方法を月齢に応じて細かく紹介している点が上げられます。0歳から4歳まで、赤ちゃんにどうやって語りかければいいのかを教えてくれているのです。

 

そうした語りかけを行う際には、赤ちゃんの気が散らないように静かな環境で、赤ちゃんの興味にあわせて産まれた直後から数多く話しかけることが重要だとされています。また、話しかける際の文章は短めにし、ゆっくりと大きな声で話すようにします。話す言葉としては擬音語や繰り返し言葉を多用したり、喃語を使ったりする形になります。

 

一方で注意せねばならない点として、無理にしゃべらせようといろいろと工夫をするのは良くないとされています。例えばむやみに何かを答えさせようとしたり、言い直させたり、真似させたり、注意を無理に引くようなことをするといったようなことです。

 

語りかけ育児の効果は実験によって確認されています。研究は、言語発達が遅れ気味である生後10ヶ月の子どもたち140人を集め、条件が均等になるように配慮しつつ語りかけ育児を行う側のグループと行わない側のグループに分け、どういった影響が及ぶかを長期にわたって観察するというやり方で行われました。

 

語りかけ育児の対象となったグループでは、3歳の時点で言語発達の遅れが全ケースで通常のレベルにまで向上し、中には4歳半程度の結果を出すようなケースもみられたといいます。これに対し、語りかけ育児を行わない側のグループでは8割以上のケースで言語発達の遅れがみられるままだったという結果が出たのです。

 

この子どもたちを更に追跡調査したところ、7歳の時点で言語発達に遅れがあったのは、語りかけ育児を行った側のグループでは4件に対し行わない側のグループでは20件に達したほか、知能テストや学力テストでも有意な差が生まれ、情緒面や行動の面でも同じような差が見られたということです。

 

「語りかけ」によって子どもに何が起きるのか

語りかけ育児で行うのは割合に単純な内容で、特別難しいことは特に行わないわけですが、それを行うことによって子どもに何が起きるのでしょうか。

 

ごく幼い赤ちゃんはまだ周囲の人たちが発する言葉の意味が分かりませんが、それでも語りかけをされることによって、自分がその人から興味を向けられているということを感じ取ることができますし、赤ちゃんが語りかける人を見てくれるとうれしく思う、という意味合いを受け取ります。

 

赤ちゃんが仕草や身動きをしたり、何か音を立てたときに周囲から語りかけを受け続けることで、赤ちゃんは自分が何かをしたことによって他の人が反応をするという感覚を得、それは赤ちゃんの主体性や自己肯定感を育てることにつながります。そしてそれを下敷きに意欲が芽生え、言語能力を伸ばすきっかけになるのです。

 

一方、赤ちゃんの早期教育などは赤ちゃんにしゃべらせるための工夫をいろいろとするものなのですが、こうした工夫は時に思わぬ問題を引き起こすことがあります。確かにそうした工夫をされることによって言葉を覚えるような場合もありますが、赤ちゃん本人がトライ&エラーすることで何ごとかに気づいていくというプロセスが無くなってしまうほか、指示されたとおりにきちんとできたか、という感覚に常につきまとわれ、自己肯定感を築けなくなってしまうかもしれないのです。

 

さらには、赤ちゃんが興味を向けたものに合わせて周囲が語りかけをし、注意を無理に引くようなことをしないというのも重要な要素となります。具体的には、赤ちゃんが花をじっと見つめているのに気づいたら、それをフォローするように「お花だね」と語りかけるようにし、無理矢理注意を引くようなことをしないことが大事なのです。

 

こうしたやり方は「ジョイント・アテンション」と言われています。相手と視線を共有し、気持ちを共有し、会話の方向性を同じにする、というやり方です。赤ちゃんが注意を向けたものに対し親が語りかけを通じて反応を示すことで、赤ちゃんは自分の気持ちが伝わったという達成感を感じたり喜びを感じたりし、それによって親に信頼感を育むことになります。

 

そしてその信頼感がコミュニケーション力を磨くベースになっていくのです。また、そうやって注意を向け集中しているときに聞いた音はより覚えやすくなるという面もあります。

 

語りかけ育児に見られる考え方は、発達障害などで言葉の発達が遅れている子どものためにアメリカのコロラド大学で開発されたINREAL(Inter Reactive Learning and communication)アプローチに通じるものがあります。

 

INREALアプローチでは、大人が子どものしていることを真似たり、子どもがやっていることを大人が代わりに述べたり、大人が感じている気持ちを言葉にしてみせたり、子どもの言葉の間違いをごく自然に言い直したり、といったことを行います。これらはどれも子どもを取り巻く言語環境を整理し、言語の発達を促すやり方となっています。

 

語りかけ育児がどうして赤ちゃんの言語の発達にいい影響を及ぼすのか、その科学的な根拠はまだはっきり示されていません。いわば、昔から行われてきた育児に関する知恵を万人向けにマニュアル化したものだともいえます。

 

昔の親よりも現代の親は直感的なコミュニケーション能力が衰えてきている傾向があるとも言われています。そういった点から見ても、こうした語りかけ育児の実践には大きな意義があるといえます。語りかけ育児をするのは何もお母さんである必要はなく、周囲の大人の誰でも構いません。1日30分だけでも、それが無理ならより短い時間でも構いませんので、子どもへの語りかけを行ってみてはどうでしょうか。

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