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妊娠・出産に伴い失業給付の受給期間を延長するには

再就職できないため、失業給付の期間を延ばしてもらおうと考えている女性

会社勤めをしていると、時にさまざまな理由により失業を余儀なくされることがあります。そういった人が再び就職するまでの間、生活に困らないようにするための制度として失業給付(失業手当)というものがあります。妊娠や出産とこの失業給付との関係についてチェックしてみましょう。

 

失業給付の受給期間の延長とは

もともと、失業給付は失業したもののまだ働く意志があり、かつ働く能力を持っている人に対して支給される性質のものです。さらに、失業給付には受けとることのできる期間(受給期間といいます)が設定されており、それは退職した日の翌日から1年以内という定めがあります。

 

これに対し、妊娠していたり産後すぐのお母さんの場合、仮にまだ働く意志があったとしても働く能力が事実上ないとみなされてしまいます。そうなると、失業給付を受けとることができないままこの受給期間が終わってしまうことになります。

 

こうした問題点を改善するため、失業給付には特例措置が設けられており、それを利用することで受給期間を最も長い場合で4年まで延長することができるようになっています。この「4年まで延長することができる」とは、退職した日の翌日から4年間の間に失業給付をもらい終わるようにすれば大丈夫、と言い換えることもできます。

 

会社をやめた後にこの特例措置についての手続きをしておけば、生まれた子どもの育児がある程度片付いた時点で求職活動に戻ることができ、その間失業給付を受けることができるようになります。求職活動を再開した場合、延長期間はそこで終わり、再開した日から1年間の間失業給付を受けとれるようになるのです。

 

失業給付の給付額は?

では、失業給付というのはいったいどのぐらいの金額が支給されるものなのでしょうか。失業給付として支給される金額は、離職前の賃金額に加え、仕事をしていて雇用保険料を支払っていた期間の長さや年齢、どういった理由で離職するに至ったのかということによって変化します。

 

受給額は雇用保険の加入期間によって、賃金日額の5割から8割(ただし、上限額があります)を日数分もらうことができます。この日数については、自己都合退職であれば雇用保険の被保険者となっていた期間により90日から150日まで幅がある他、職場の倒産や会社都合での退職(解雇など)による場合であれば90日から最長で330日となります(就職困難者の場合、年齢により360日になることもあります)。

 

賃金日額の算定方法は、まず退職前の6ヶ月間について、給料の平均額を算出します(これには残業手当や通勤手当も含まれます)。この平均額を30で除算したものが賃金日額となります。この数字には上限額が定められており、30歳未満の場合には6,390円、30歳以上45歳未満の場合は7,100円となります。これ以上の日額があってもこの金額以上になることはありません。

 

次に、この賃金日額に給付率を乗算します。この給付率には5割から8割の幅があり、基本的に月給が高い場合ほど給付率が低くなります。この辺りはハローワークの判断です。そしてその結果に給付を受けることができる日数を乗算すれば、最終的にもらえる金額を求めることができます。

 

例として、自己都合退職の場合で4年間勤務していた人の場合、給付率が6割であると仮定すれば、月給15万円の場合賃金日額は15万円÷30=5千円となり、そこに0.6を掛け、給付日数は90となりますので、最終的には5千円×0.6×90日=27万円の支給を受けることになります。

 

対象となるのはどんな人か

妊娠・出産により仕事をやめた場合に絞ってみたときに、失業給付の受給対象となり得るのは次のような場合です。

1.職場で雇用保険に加入済みであった。

2.妊娠・出産がもとで退職し、産後に再就職したいという意志がある。

3.離職の日以前2年間に、被保険者期間(雇用保険の被保険者でありかつ賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月)が通算して12か月以上(倒産・解雇による退職の場合は6ヶ月以上)ある。

 

なお、これらの条件さえクリアしていれば、雇用形態による違いはありません。正社員、派遣社員、パートやアルバイトであっても同じく対象となります。一方、専業主婦であったり、自営業や自由業についていたお母さんや、公務員であったお母さん、仕事を辞めずに続けるような場合などは対象にはなりません。

 

延長の手続きはどうすればいいか

退職後に受給期間を延長する申請ができるのは、少々ややこしい言い方ですが、退職した日の翌日から30日経過後の、さらに翌日から1ヶ月間です。

 

分かりにくいので具体例をあげれば、退職日が7月15日であるとすれば、退職した日の翌日は7月16日、そこから30日経過後の、さらに翌日は8月15日になります。従って、8月15日から9月14日までの1ヶ月以内に延長の申請を行う必要があることになります。この期間を逃してしまうと手続き自体ができなくなりかねませんので注意しましょう。なるべく早めに手続きをしておいた方が無難です。

 

手続きの流れとしては、まず職場を退職するときに「雇用保険被保険者離職票」という書類を受けとります。この書類は失業保険に関する手続きの際には必ず必要になる大事なものですので、忘れずに受けとって大事に持っておいて下さい。

 

次に、上記の延長申請可能期間に入ったら、ハローワークに行って延長申請をします。この時に必要となるのは、雇用保険被保険者離職票、印鑑(ネーム印は不可)、母子手帳などです。体調の問題などで自分ではいけない場合、代理人による申請や郵送による申請も可能です。退職してから30日が経っていなくても書類受付はしてもらえるというところもありますので、まずはハローワークに確認した上で手続きを進めるといいでしょう。

 

子どもが産まれた後に子育てが軌道に乗り、働くことができるような状況になったら、ハローワークに必要となる書類を出した上で求職の申し込みをし、延長していた失業給付を受けとるための申請も合わせて行います。手続きをした日にすぐにもらえるわけではなく、7日間の待機期間があります。それを過ぎると支給が始まります。

 

なお、手続きをした日から1週間から2週間後に、失業給付の受給に関する説明会が開催されます。この説明会には必ず出席する必要がありますので注意してください。

 

失業給付の受給が始まると、以後給付日数が終わるまでの間、4週間に1度認定日という日が設定されます。この認定日には、その時点でまだ失業した状態であることを確認し、まだ働く意志があって就職活動を継続しているという報告をする必要があります。それによって認定を受けると、おおよそ1週間ほど後に失業日数ぶんの給付金が口座に入金されることになります。

 

失業給付について、ここはどうなる?

■失業給付には課税されるのか?

失業給付の給付金は非課税となります。出産育児手当金や出産手当金、育児休業給付金など、妊娠や出産に関わる給付金はすべて非課税のものとなります。所得税も住民税もかからないので心配することはありません。

 

■子どもがいる場合、預け先がないと給付は受けられないのか?

子どもの預け先がなければ給付は受けられない、と明確に記した規定はありません。しかしながら、子どもの預け先がないということは働く能力に問題があるとみなされ、給付金を受けとるための条件を満たせていない、と判断されてしまいかねません。

 

このため、子どもの預け先がまだ見つかっていない場合、現在預け先を探して活動中であるということをきちんと伝えるようにしましょう。自分の両親などに預けることにしても構いませんが、どこに預けることにしたのかを証明することを求められることもあります。

 

■失業給付をもらうと夫の健康保険に入れないと聞いたがどうなのか?

職場を退職した後に収入がなくなれば、一般的には配偶者の扶養になることになります。しかし、失業給付を受給している間は扶養に入ることが認められていませんので、支給を受けている間は国民健康保険や国民年金に入る必要があります。

 

■失業給付の受け取り中に2人目を授かった場合は?

受給期間を延長することにより、受給できる期間を最も長い場合で3年間伸ばすことができ、もともとの1年間を加えると4年まで延長できるわけですが、求職活動を再開した後に受給期間を再び延ばすことはできません。雇用保険被保険者離職票1枚につき、失業給付の受給期間延長が可能なのは1回までとされているからです。

 

失業給付は、求職活動を再開した後は1年間のうちに給付を受けとり終わらなければなりません。仮にこの1年間のうちに90日ぶんを受けとるつもりで求職活動をしていたとして、例えば60日ぶんを受けとったところで2人目を出産し、もう一度求職活動をはじめて残り30日ぶんを受給しようというのはかなり難しいのではないかと思われます。

 

女性が働きやすい社会のために――出産後の女性に役立つ再就職支援制度

昔とは違い、最近では女性が働きやすい社会を目指していろいろな制度が整備されてきています。結婚や出産を機に職場を退職して家庭に入り、育児などが一段落して再就職できる余裕が生まれた女性のために、それをサポートしてくれる制度もあります。

 

教育訓練給付制度

教育訓練給付とは、働いている人や離職者が厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を自費で受講し修了した場合、その教育訓練施設に支払った経費の一部を支給してもらえる制度です。

 

■給付を受けられる人

初回であれば、雇用保険の被保険者であった期間が1年以上あれば給付を受けられます。2回目以降は2年以上被保険者であった必要があります。

 

■給付される金額

支払った経費(何らかの割引制度がある場合にはその適用後の金額)のうちの20%相当額。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円が上限となります。また、4千円を超えない場合は支給されません。この経費の中には、試験などの受験料や教材費、交通費、器材の購入費などは含まれません。

 

■給付される対象

厚生労働大臣が指定する教育訓練講座である必要があります。情報処理や簿記などの他、語学やファイナンシャルプランナー、インテリアデザイナーなどといったものもあります。実際に通学する必要があるものの他に、通信教育により受講できるものも存在します。詳しくはハローワークや教育訓練給付制度のHPなどで調べることができます。

 

■手続きのやり方

該当する講座の受講が修了した後1ヶ月以内に、ハローワークに対して支給申請書や教育訓練施設に支払った経費を証明する領収書などを添えて提出するか郵送して申請を行います。郵送する場合は簡易書留にする必要があります。申請期間が過ぎてしまっていた場合給付を受けられなくなってしまいますが、2年以内であれば再申請が可能となっています。

 

再就職手当

再就職手当とは、失業給付の受給者の早期の再就職を促すことを目的に作られた制度で、失業給付を受給中に早期に再就職できた場合に手当が支給されるというものです。再就職が早ければ早いほど給付率が上がります。

 

■給付を受けられる人

支給を受けるには次の要件をすべて満たしている必要があります。

1.就職日前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が3分の1以上あること。

2.離職した前の職場に再び就職したものでないこと。

3.過去3年以内の就職について、再就職手当の支給を受けたことがないこと。

4.1年を超えて勤務することが確実であるなど、安定した職についたこと。

5.妊娠や出産など自己都合による退職であった場合、求職申込み後、待期期間満了後1ヶ月以内に、ハローワークの紹介によって就職したものであること(1ヶ月経った後であれば他の紹介でも構いません)。

 

■給付される金額

所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は支給残日数の50%を、あるいは、所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は支給残日数の60%を、それぞれ基本手当日額(上限あり)に乗算した金額が支給されます。

 

■手続きのやり方

就職した日の翌日から1ヶ月以内に本人、代理人、ないし郵送によりハローワークに支給申請書を提出します。受理されれば1週間以内に支給されることになります。

 

就業手当

再就職手当とは、失業給付を受給中に早期に再就職できた場合に手当が支給されるというものです。再就職手当とは異なり、派遣社員、臨時社員、パート、アルバイトなどの非正規型の仕事に就いた人が対象となります。

 

■給付を受けられる人

支給を受けるには次の要件をすべて満たしている必要があります。

1.就職日前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が3分の1以上、かつ45日以上あること。

2.離職した前の職場に再び雇用されたものでないこと。

3.派遣社員、臨時社員、パート、アルバイトなど安定した職以外についたこと。

 

■給付される金額

支給額は、「就業日×30%×基本手当日額」であり、支給額の上限は1日につき1,747円となります。また、もともとの受給期間を超過して支給を受けることはできません。

 

■手続きのやり方

「就業手当支給申請書」に、受給資格者証と就業の事実を証明できる書面(給与明細など)を添付し、失業給付の認定日(4週に1回)に、ハローワークにて申請を行います。認められれば1週間程度で支給されることになります。

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