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運動によって脳が活性化する

野球

最近運動不足の子どもが増え、子どもの肥満や生活習慣病の危険が言われるようになってきています。子ども時代の運動不足はこうした体の問題だけでなく集中力といった精神的な面にも影響していることが最近分かってきました。

 

運動が子どもの集中力を上げる

40年ほど前から、信州大学、松本短期大学、諏訪東京理科大学の共同で、子どもに運動が好きになってもらうことで脳や精神を健康に発達させるための研究が行われています。

 

この研究では日頃生活している中での体の動きではあまり使うことのない筋肉を、跳躍、懸垂、支持といった運動を通して鍛えるのを目的にしていますが、普通のやり方ではなくそれを子どもに興味を持ってもらえるような形で行えるようにプログラムされているのが特徴的です。

 

この運動プログラムを長野県内の保育所その他で利用し始めたところ、子どもたちが落ち着いて行動するようになってきたといった声が聞かれるようになったため、子どもの脳と体全体の運動の関連性に焦点を当てた研究が現在行われています。

 

実験は子どもたちを2つのグループに分けて比較対照する形で行われました。第一のグループには毎日20分間本を読み聞かせ、第二のグループには1週間に1回、1時間の間運動プログラムを利用した指導を行います。そしてそれを10ヶ月の間続けた後、子どもたちに誤反応を見るテストを行いました。

 

このテストでは、「GO/NO-GO課題」と呼ばれる集中力を見るためのものが利用されました。子どもたちにゴム製の球を握ったり握らなかったりするように指示して、誤った反応をした率を見るのです。

 

テストの結果、10ヶ月間毎日読み聞かせをした第一グループに比べて運動をしていた第二グループのほうが誤反応率が著しく低下したということが分かりました。同じ実験を注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもたちに行った結果を見ても、注意力や衝動を抑える力があるという結果が得られたといいます。

 

小学校入学前にこのプログラムで運動を行っていた子どもに対する大がかりな追跡調査も始まっており、追跡調査においても同じような結果が出ていることが分かってきています。これにより、子どもに運動をさせることでもたらされる集中力の持続は長い期間効果が続くことが分かってきました。

 

なぜ運動によって集中力が上がるのか

アメリカのクレイマー博士は、高齢者にウォーキングをしてもらうと注意力を見るためのテストの成績が上がるということを証明しました。このように、運動によって脳が活性化されるという関係性が見えてきます。

 

運動をすることによって活性化する度合いが高いのは脳の前頭葉です。例えば自転車こぎ、腕の筋トレ、股関節のストレッチといったような運動をし、会話が難しくなるほどの運動量をこなしている際に前頭葉がほぼ全域にわたって強い活動をすることが確かめられています。

 

人間の前頭葉には「46野」と呼ばれている部位が存在します。この46野にはものごとを決断する、ものごとを理解する、何かをしようとする意欲といった精神的な活動に関連する機能がある他、「GO/NO-GO課題」において「~しない」という「NO-GO」の指示に従うときに電位が見られることが分かっています。

 

「NO-GO」の指示に従うときに見られるこの電位は何かをするという行動に積極的にブレーキをかける際に見られるもので、これが集中力に関連していると見られています。

 

46野に見られるこの抑制のための機能がよく機能する子どもの場合、授業中に歩き回ったりおしゃべりをしたりするような誘惑も上手に抑制できることが分かっています。

 

このように、運動をすることで前頭葉にある脳神経ネットワークの抑制機能が鍛えられ、それと神経の興奮とがうまく均衡を保つことで集中力が出るのではないかとされています。

 

集中力を高めるには人とのコミュニケーションも大事

運動以外にも、百ます計算・音読・咀嚼といったやり方でも子どもの集中力を高めることができるということが分かってきています。しかし、こういったやり方は運動とは異なり、他の人との関わりやコミュニケーションを促進するという側面に欠けがちです。

 

運動では、それを他の人に見せたいであるとか、他の人と一緒に運動をしたいといった欲求が刺激されます。そうすることで、子どもたちの間でコミュニケーションが促進されるのです。

 

それによって子どもたちの間に人間関係が構築されれば、そこからも抑制する力が生まれてきます。それだけでなく何かをやり遂げる達成感や何かを使用という意欲といったものも培われます。こうしたことがトータル的に子どもの集中力の上昇に寄与しているのではないかと言われています。

 

40年前と最近では、子どもたちの生活スタイルは大きく変わってきています。TVやゲームといった動きのない遊びをする子どもが増加し、運動をはじめとするような群れて行う遊びをする子どもはめっきり減っています。それによって培われるはずの人間関係もまた希薄になっています。こうしたことが子どもの落ち着きのなさや集中力のなさを助長し、キレる子どもを増やしているのではないかと考えられます。

 

「GO/NO-GO課題」による集中力のテストで見えてくる傾向は日本に限ったことではなく、中国やアメリカなどといった海外の子どもたちに同じテストを行った場合でも、運動する時間が少ない子どもほどNO-GO課題で間違ってしまうという傾向があるそうです。

 

また、アメリカで行われた研究によれば、幼いときにTVを見る時間が長かった子どもは7歳になった時点で注意散漫になる傾向があり、そうした傾向はTVの視聴時間の長さと関連が見られるという結果が出ています。

 

このように、子どもの運動不足は、肥満や生活習慣病といった肉体面での問題以外にも脳や精神といった側面にも悪影響を与えるとして警告を発する研究者もいるのです。

 

こうしたことから、学校で朝一にまず10分ほどを使って子どもたちを運動させることが脳にとっても準備体操につながり、授業中に子どもたちがもっと集中できるのではないか、とする提案も上がってきています。

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