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携帯電話の影響を受ける子どもたち

スマホ

最近になって爆発的に普及した携帯電話(スマホ)は、今や子どもたちの間では必須のアイテムになってきています。携帯電話は電話やメール以外にもさまざまな機能を有しており、中でもインターネットに自由に接続できることが子どもたちに与えている影響は大きなものがあります。

 

ケータイを通じた人間関係

携帯電話の爆発的な普及によって、携帯電話が持つ独自の機能からデコメ、着うた、ケータイ小説などよりスタートして今やさまざまな文化が生まれてきています。そしてそうした文化の担い手の中心にいるのが女子高生です。そうした流行はケータイサイトのブログから始まり、今はFacebook、Twitter、LINEなどのSNSにシフトしてきています。

 

高校生たちは自分のことを記したプロフを作ったり、自分の画像をネット上にアップしたり、絵文字その他の独特の表現技法を使って毎日あったことや感じたことなどを書き記してお互いにやりとりし合っているようです。

 

女子高生がどんなふうに携帯電話を使っているかの調査では、昔はその大半がメールであるという結果が出ていますが、平成17年にパケット定額サービスが導入されてからはブログ、SNSなどメール以外のインターネットを利用という方向に移っています。

 

高校生たちは互いの投稿を読みあい、自分の思いを綴ります。メールなどもあわせて利用し、自分の友達がどんなことを今考えていて、そして何に悩んでいるのかを把握して互いの人間関係に役立て、あるいは自分はこんなことをがんばっているということを発信し合って互いを常に気にしているといいます。

 

子どもと携帯電話の実情

平成21年に文科省が発表した「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」によれば、小学生から高校生のうち自身のものとして専用の携帯電話を所持している割合は、小6では24.7%、中2は45.9%、高2は95.9%となっており、携帯電話が子どもたちにとって必須のものとなってきていることがうかがえます。(現在はさらに所持率は上がっていると考えられます)

 

子どもたちが携帯電話のどんなコンテンツを使用しているかを調べたところ、インターネット、メール、ゲームがほとんどといった結果となり、ニュースの閲覧や勉強に使うといった回答はほとんどありませんでした。

 

親の方は英語学習、ニュースの閲覧などに使って欲しいと考えているという調査結果がありますので、親世代の認識と子どもたちの認識の間に違いがあるということが明らかになった格好です。

 

助長されるストレス回避傾向

携帯電話が爆発的に普及したことにより、子どもたちの間では友達数を増やしたいという欲求が高まっています。ある調査によれば、女子高生の6割以上は携帯電話に100人以上の「友達」が登録されているといいます。

 

子どもたちはメールやチャット(LINE等)などを使って挨拶をしあい、テストの前になると起こしあいをするなど、1日あたり数十通ものやりとりすることもそんなにめずらしくはありません。友達になるのも割と気楽で、互いに番号やメアドを交換し合ったらもう友達、といった具合です。

 

そのように膨大になってくる「友達」は細かくグループ単位に分けています。「クラブ」「バイト」「仲良し」「塾」といった具合です。何か問題がありそうだなと思ったら即座に着信拒否に設定してしまいますし、友人は場合によって使い分けるといいます。なにかを相談できる友達、服を一緒に買いに行く友達、といった感じです。

 

子どもたちのこうした友だちづきあいからは、人間関係のストレスを避ける傾向が透けて見えてきます。いい面だけを見るので「友達」は増えやすい一方、あまり突っ込んだつきあいにならないために関係は表層だけのものになりやすい傾向があります。ある友達とぎくしゃくしたら他の友達にしゃべり、感じたストレスをはき出す逃げ道をすぐに求めるため、人間関係から生じるストレスを我慢できないのです。

 

このようなストレス回避傾向は、楽しいことにしか興味を示さないであるとか、フリーター志向であるとか、約束をキャンセルするのも電話一本ですませたり、退職届をメールで出しておしまいにしたりといったケータイ世代の特徴的な社会傾向になっているとも考えられます。

 

携帯で失われる常識やモラル

携帯にはまる思春期の子どもたちは、それまでの時期とは打って変わって自分というものを意識し、自分を確認したり他人に働きかけをしたりといったことをよくするような時期にさしかかっています。

 

こうした時期の子どもたちにとって、携帯はよく知らない相手でも簡単に友達にすることができ、親や大人にそれを知られることもないという強力な個人用ツールなのです。このためTVなどよりも強く影響を受け、携帯電話利用に固執するようになっていきます。

 

とはいえ、気軽に利用できるぶん携帯を通したWebの利用には問題点や危険性も指摘されています。子どもたちが簡単にアクセスできるところに、猥褻なコンテンツや危険なコンテンツが満載されている状態だからです。

 

暴力、自殺、薬物といった危険な情報も簡単に利用できますし、出会い系や売春といった問題コンテンツもあります。Web上に自分の個人情報をよく考えずに載せてしまってトラブルになるケースや、詐欺にあうなど犯罪に巻き込まれるケースも増えてきています。

 

それ以外にも、携帯電話を忘れた場合、遅刻してでも取りに戻るであるとか、携帯電話を持っているから門限がないとか、授業中でも平気でメールをやりとりするといったように、一般常識やモラルに欠けるような行動を取る子どもも増えてきています。

 

携帯電話の利用によって問題が発生しても、子どもは話しても理解してくれないからと親に話さなくなってきているといいます。親と子ども世代とでは携帯電話の利用の仕方が全く異なる事情も相まって、子どもの携帯電話利用を制限しようとしても料金的な側面からのみとなっているというのが実際のところです。

 

どの子どもも持っているから、であるとか、持たせてあると便利だから、といったような安易な考え方で子どもの携帯電話利用に接するのではなく、親は子どもたちが携帯電話をどんなふうに何に利用しているのかを把握することが必要でしょう。また、人間関係をどのように構築すればいいのか、あるいは一般常識や社会のルールといったものもこれまで以上にきちんと教えていかなければならなくなっているといえます。

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