約半数が東大進学!灘校が最強の秘密に迫る

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灘校

灘中学・高校(兵庫県神戸市)は、東大に学年の約半数が進学する国内有数の中高一貫の進学校です。卒業生は、ノーベル賞研究者、起業家、実業家など多方面で活躍する人材を多数輩出しています。昨日2月10日が灘高校の入試であったということもあり、今回、灘校が最強校である秘密に迫ってみたいと思います。

 

灘校は受験界では別格と言われている

東大の合格者数で言えば、開成高校が33年連続首位をキープしていますが、

・開成高校の1学年の生徒数は400人で、東大合格者数は158人

・灘校の1学年の生徒数は220人で、東大合格者数は104人

となっています(※数字は平成26年度東大入試)。

 

つまり、灘校は約半数が東大に合格していることになります。
しかし、受験関係者が「別格」と言っているのは、その中身なのです。近年では、平成25年度入試の灘校の進学実績は、受験関係者の間では1つの伝説になっています。

 

大学入試で最難関は、東大理Ⅲ(医学部)で定員は100人、その次は京大医学部で定員は104人ですが、各々27人、24人の合格者で他校と大差を示しました(※数字は平成25年度入試)。

東大理Ⅲ、京大医の灘校生率

つまり、

・東大合格者は、学年の約半数

・東大理Ⅲ(医学部)、京大医学部合格者は、学年の約1/4

・東大理Ⅲ(医学部)の1/4以上、京大医学部の約1/4は灘校生が占める

となります。

 

灘校生が伸びる理由

灘校は、なぜこのような驚異的な実績を出すことができるのでしょうか?

 

灘校生の保護者からよく聞かれる質問の1つに、「灘校に合格したはいいが、下の方の成績で入って、ついて行けるのか心配」というものがあるらしいのです。これに対して、大森教頭は次のように答えています。

 

・中学入学時の成績と高校卒業時の成績を比較した分布図を毎年作成しているが、トップで入学してトップで卒業する子、下位で入学して下位で卒業する子も一部いるが、全体的には分布はばらけている。

 

つまり、入学時の成績は関係なく、入学後の環境、本人の心構え等が大きく影響していると推察できます。心構えに関しては個人各々の問題ですので、灘校独自の環境について見ていきたいと思います。

 

自由、自主の校風

世界史の授業の様子を見てみたいと思います。

「今日は27日だから7の倍数で当てていこうか」

「えー」「なんで7やねん」と教室内が一瞬ざわざわ

灘校授業風景

 

授業の雰囲気は、進学校にしては意外に緩く、

・先生の言葉を漏らさずにノートに書く生徒

・後で別の教科の勉強をしている生徒

・寝ている生徒

など様々です。

 

授業中に別教科の勉強をしたり、寝ていても先生は注意しません。和田校長曰く「教員が生徒を管理しようとすれば息苦しくなる」。

 

校則は最低限で制服も廃止しています。和田校長は、服装についての考えを次のように語っています。

・自由といっても何をしてもOKということではない。自由を保って行くには、各自が枠を守る必要がある。つまり自立心が必要になってくる。

・例えば、本校は制服などないが、通学して勉強しに来るわけだから、それに相応しい服装をする必要がある。制服だとメンドウはないが、私服は季節感はあっているか、色合わせなど各自で考える必要がある。保護者の方には、「子どもが明日着ていく服を用意しないでください」と言っている。自立心を育てるには、服装を自分で考えることも大切なのである。

 

部活動の入退会も自由になっています。生徒の90%以上が何かしらの部活に入部しており、1/3は文化部、体育部を兼務しています。文化部を3つ4つ掛け持ちしている生徒もいます。

生徒のやりたいようにやらせているので、例えば、ブラスバンド部は以前は普通のブラバンでしたが、部員がエレキやドラムをやり出し、いつの間にか普通のバンドに変わっていたほどです。普通なら学校が注意するのかもしれませんが、生徒がやりたいならやらせる、それが灘校スタイルです。

 

担任持ち上がり制の学年団

授業は、土曜に正規の授業はなく月曜から金曜の32時間、週2回7時間となっています。私立の進学校にしてはかなり少なめのコマ数ですが、それでも中高6年のうち5年間で高校範囲のカリキュラムは全て終えています。土曜は、いろいろな行事、定期試験、土曜講座※1などを行っています。(※1:灘校OBに取り組んでいる最先端の話、今の職業を選択した理由などを授業形式で行う講座)

 

授業計画(カリキュラム)は、各教科の教員7~8人で「学年団」を結成し作成します。作成だけではなく実行も同じメンバーで行います。つまり、ある学年の担当が学年団で、学年団というチームで担任をしているわけです。従って6年間ずっと同じ担任(担任チーム)というシステムです。

 

教科の指導に関しては、毎年学年団によって考えられています。例えば、普通の学校では、今年の高校1年生の授業と去年の高校1年生の授業の内容にそれほど大差はないですが、灘校では生徒の個性やカラーで教員がやりやすい方法で工夫するので、毎年変わってくる仕組みになっています。

 

この学年団というシステムは、生活指導に関してもメリットが大きいのです。通常の1クラス1人の担任の場合、先生と生徒で相性が合わないと細かいトラブルが発生しやすく対応も遅れがちになりますが、7~8人のチーム担任制なので、そのような心配もなくなります。灘校は個性のある尖った生徒が多数入学してくるらしいのですが、担任持ち上がり制によって、生徒が各々の個性を尊重するようになり、先生も含めて学年が一家族のようになるそうです。

 

進学校というと、周りはライバルでギスギスした関係ではないかというイメージを持っている人も多いと思いますが、灘校に関しては全く逆です。今までどんなに優秀だった生徒も、灘校に入ると自分にはかなわないものを持っている生徒が周りにたくさんいることになります。何か聞かれたときに教えないなどというのが、小さなことと理解していきます。お互いが教えあい切磋琢磨する環境が自然にできるため、生徒同士は皆仲がいいのが現実です。

 

論理力重視の方針

オドロキの事実として、灘中学、灘高校ともに入試に「社会」がありません。

 

灘校が求める生徒は論理的な思考ができる生徒です。

そのため入試でも知識偏重型ではなく、てきぱき問題を処理する能力、与えられた時間でじっくり考える能力を重視しています。受験と言えば暗記で勝負という風潮もありますが、灘校入試では通用しないというわけです。

 

灘校に入ってからも論理力を徹底的に鍛える方針となっています。

例えば、中学から幾何学を専門的に学んでいきます。幾何学と言えば図形問題ですが、図形問題に必要となる論理力をベースにした想像力を養うことが目的です。中1で週2時間、中2で週1時間、幾何学の授業を取り入れています。

 

天才テストと呼ばれている幾何学のテストが存在します。

これは空間認識能力を磨くための灘校独自の取り組みで、図形(多面体)の見取図や展開図の一部を見て、頂点、辺、面の数などを当てるテストです。正多面体であればそれほど難しくはないのですが、ねじれや角切りといった変形多面体も出題されるので難易度は相当高いテストです。すぐに解答が頭に浮かぶ生徒もいれば、「あーでもないこーでもない」と地道に考える生徒もいるようです。つまり、ある程度訓練すれば身につけることができるスキルなわけです。

 

この天才テストについて、灘校出身のOBは次のように語っています。

・見た物を頭の中でひっくり返したり、全体の形を予想したりすることが習慣になった。
(三井淳平氏 / 東大でレゴ部を創設、レゴ社認定の「プロビルダー」に世界で13人目、日本人初で選ばれる)

・見方を変えることで見えてくるものもある。粘り強く考え抜くことの大切さを学んだ。
(清水克洋氏 / クリムゾンフットボールクラブ(ヴィッセル神戸の運営会社)前社長)

・基本を徹底的に勉強すれば、分厚い受験参考書はいらない。
(佐渡島庸平氏 / 「ドラゴン桜」編集者、コルク社長)

 

論理力を重視し、それを更に伸ばす取り組みの一部を紹介しましたが、このような方針は数字にも表れています。理系離れということで理系へ進む生徒が減少している昨今ですが、灘校では理系選択者が3/4、医学部進学は4割というオドロキの数字が出ています。

 

とりあえず東大から世界へ

灘校に入ったら半数は東大ですから、今までは「志望校は、とりあえず東大」というのが灘校生の意識でした。しかし今変わり始めています。国際ディベート大会の個人部門で優勝した楠正宏氏は、灘校からハーバード大学(アメリカ)へ進学しました。「政治学をやりたかった。ハーバード大は奨学金制度が充実していて負担が高くない」とハーバード大学への進学理由を語っています。

 

グローバル人材の育成に関して、和田校長は次のように語っています。

・最近何かと話題になるグローバル人材の育成だが、英語を話せるだけではダメで日本人としての素養を持つことが重要である。例えば、英国人はシェークスピアを引用して話をするケースがあるが、日本人が枕草子や源氏物語を引用できるだろうか?日本人としてのいろんな教養を身につけなければ話にならない。

・高校1年生で英国研修に有志で参加することを実施しているが、「英語が話せる=グローバル人材」ではない。大学に入ると専門ができるのでなかなか素養を身につける時間が取れない。中高の6年間で、全教科を通じて、学校全体で日本人の素養を身につけた人材を育てていく。

 

グローバル化をにらみ、灘校では真のグローバル人材の育成を実施し、最強から更なるステップアップを進めているようです。

 

まとめ

■灘校は以下の通り最強校である。

・東大合格者は、学年の約半数

・東大理Ⅲ(医学部)、京大医学部合格者は、学年の約1/4

・東大理Ⅲ(医学部)の1/4以上、京大医学部の約1/4は灘校生が占める

 

■灘校生が伸びる理由は以下の通り。

・自由、自主の校風

・担任持ち上がり制の学年団による各学年の個性・カラーにあった指導・対応

・論理力を徹底的に鍛えるカリキュラム

 

■グローバル化をにらみ、真のグローバル人材育成を実施している。海外大学へ進学する生徒も出てきている。

この記事は、灘校ホームページ、灘校入試説明会などを参考に取りまとめました。
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