facebook Twitter Google+ はてなブログ feedly

牛乳をたくさん飲んでいるのに骨の弱い現代っ子

Pocket
LINEで送る

牛乳を飲む子供

体に何か不調があるとき、私たちはすぐに「何の栄養が足りないのか」「何を多く食べれば改善するのか」と考えがちです。しかし、身体を健康に保つには、栄養を摂りさえすればよいということはないのです。最近の子どもの骨を例に見ていきましょう。

 

牛乳をたくさん飲めば子どもの骨は丈夫になる?

最近の子どもは、骨が弱いと言われています。お子さんの骨を丈夫にするために、何をしたらいいかと問われたら、あなたはどう答えますか?

 

「牛乳をたくさん飲ませてカルシウムを摂らせる」と答える人が多いようで、それほど「牛乳=カルシウム」というイメージは、私たちに強く定着しているのがうかがえます。

 

しかし、本当に牛乳さえ飲めば骨が強くなるのでしょうか?結論から言えば、牛乳を飲むことだけでは子どもたちの骨の弱さの問題は解決できません。その証拠に、牛乳を飲むことがそれほど一般的ではなかった昔の子どもたちが、すぐに骨折をしてしまうほど骨が弱かったかと言うと、決してそんなことはありません。

 

誤解されないよう言っておきますが、骨を丈夫にするためにカルシウムは必要不可欠です。しかしカルシウムを摂ってさえいれば骨が強くなるかと言うと、そうではないということです。今の子どもたちに足りないこと、それは、日光に十分に当たることです。

 

私たちが体内でカルシウムを作ろうとするとき、ビタミンDが欠かせません。そして、私たちの体にとって必要なビタミンDのほとんどが、日光に当たることによって体内に生成されるのです。

 

今の子どもたちは、昔に比べて日光に当たる機会が減っています。昔は学校が終わったらすぐに友達と外に出て、日が落ちるまで遊んでいたものです。しかし最近の子どもたちは、習い事や塾などで、放課後遊ぶ時間が少なくなってきています。放課後の時間はたくさんある子どもも、一緒に遊ぶ友達がいないのでは外で遊ぼうという気持ちにはなれないでしょう。

 

それに、ゲームを持っている子どもがとても増えてきていますから、外で体を動かして遊ぶよりも、屋内でゲームをやる方に魅力を感じる子どもが多いようです。そういうわけで、子どもたちは昔よりも、日光に当たる時間がぐんと減ってしまったのです。そうなると、ビタミンDが不足しがちになり、いくら牛乳を飲んでもカルシウムが体内で形成されずに終わってしまうのです。

 

牛乳が苦手な子どももたくさんいますが、牛乳は飲めなくてもチーズやヨーグルトは好き、という子どもは多いのではないでしょうか。ですから、牛乳及び乳製品は、昔の子どもよりもずっとたくさん摂っているはずなのです。それでも子どもの骨は丈夫になっていかない理由は、日光浴不足にあったというわけです。牛乳を飲みさえすれば骨が丈夫になるというわけではないのです。

 

カルシウムをたくさん摂っているけど骨の病気になる

最近、子どもたちの中でくる病が多くなってきているという報告があります。くる病は、足などの骨が曲がり次第に変形していって、最悪、歩行することが難しくなってしまうこともある病気です。これは、ビタミンD不足によって引き起こされると考えられています。ビタミンDが足りないと、カルシウムが体内にきちんと吸収されないからです。

 

ビタミンDが不足しているならそれを多く含む食べ物を食べればよいのではないかと思うかもしれませんが、実は、食べ物からだけでは足りないのです。体に必要なビタミンDを摂るには、日光に当たることが欠かせないのです。

 

人間は、日光に当たることで、体内にビタミンDが形成されます。ところが、最近は紫外線による害を気にして日に当たらないようにしたり、日焼け止めクリームなどを塗って紫外線を防いだりすることが多いのが現状です。親になれば、子どもに当たる紫外線も気になりますから、自分同様に子どもにも気を配ることでしょう。

 

こういった理由から、幼い子どもは日照不足となり、結果、ビタミンDが足りなくなってしまって、くる病が増えてきているということなのです。

 

子どもの骨折が増えてきていることについても同様です。カルシウムさえ摂れば骨が丈夫になるわけではなく、カルシウムを摂りつつ、日光にも適度に当たってビタミンDも形成させ、運動も心がける。そのように子どもの生活を総合的に考えていかなければ、子どもの骨は丈夫になりません。

 

骨が弱いなら牛乳を飲んでカルシウムを摂ればよいと考えてしまいがちなのは、栄養をバランスよく摂ることがいかに大切かということを、ずっと教えられてきたからではないでしょうか。栄養さえ摂れば健康になれるというわけではないということを、これからの私たちは今まで以上に深く理解しなければなりません。

 

紫外線とビタミンDとの深い関係

紫外線とビタミンDの関係について、少し詳しく見てみましょう。その前に、まずはビタミンDの働きについてご説明します。

 

ビタミンDは、私たちが食べ物によって摂取したカルシウムを、きちんと体内に吸収されるように働く栄養素です。カルシウムを意識してたくさん摂っていたとしても、ビタミンDが足りないと、結果的にカルシウムの足りない体になってしまうのです。

 

カルシウムが非常に少ない状態になると、けいれん症状などが起こる危険性が高まります。それを防ぐために、私たちの体は、カルシウムをわが身の骨から供給しようとします。そうなると骨は非常にもろくなり、折れやすくなったり曲がるなどの変形を起こしたりします。このような症状を、子どもの場合はくる病、大人の場合は骨軟化症と呼びます。

 

そういうわけで、ビタミンDというのは私たちの体にとってなくてはならないとても大切なものなのです。ではそのビタミンDを食べ物からたくさん摂ればよいのかというと、そうはいかないのです。

 

生物たちは太古の昔、水中から陸にあがって生きるために、骨を強くする必要がありました。陸地では重力が働きますので、それに負けない体でないと生きていけなかったのです。カルシウムをたくさん吸収させて強い骨を作るために、ビタミンDがそれまで以上に必要になったというわけです。

 

そうなると、食べ物からビタミンDを摂取するだけでは足りません。そこで生き物たちは、紫外線に当たることによって体内でビタミンDを作ることができるよう進化したのです。生物たちの体内には、7デヒドロコレステロールという動物性のコレステロールがたくさんあるのですが、この物質が紫外線に当たると、体内にビタミンDが生成されるのです。

 

このような理由から、私たちはビタミンDの必要量を食べ物からだけではなく、紫外線に当たることによっても得なければならないというわけです。事実、私たちの体では、ビタミンD必要量の半分以上は、紫外線なしには得ることができないほどなのです。

 

ビタミンD不足になりがちな現代人

食べ物からいくらカルシウムを摂取しても、ビタミンDがなければきちんと体にカルシウムが吸収されません。ですから、ビタミンDが不足しないように、私たちは気をつけなければなりません。

 

ビタミンDにはほかにも、大切な役割があります。現在研究中ではありますが、がんや感染症、糖尿病などを防ぐ働きがあるのではないかとも言われています。ますますビタミンDは、私たちの健康にとって欠かすことのできないものだということになりますね。

 

そんな大切なビタミンDは、紫外線に当たらないと必要量が得られませんが、最近は紫外線の有害性についても強く警告されているため、紫外線をブロックしようと心がけている方が多くなっています。ちなみに、SPF30の日焼け止めをしているとビタミンDはほとんど生成されません(何もしていない時のビタミンDの生成量を100%とすると5%以下になります)。

 

ただでさえ、私たちアジア人は欧米人に比べて肌の色が濃い目なので、紫外線によるビタミンDの生成が少なくなりがちです。それに加え、紫外線を防ぎすぎてしまうと、完全にビタミンDは不足してしまいます。

 

このことは大人にだけ言えることではありません。最近若い女性は特に紫外線に当たらないよう気をつけている傾向があります。すると、妊娠中にお母さん自身がビタミンD不足になってしまっており、そうなると生まれてくる赤ちゃんも骨が弱くなってしまうのです。それに、お母さんたちは赤ちゃんにも直接日光を当てないように気をつけたり、赤ちゃん用の日焼け止めを塗ったりして、気を配っているケースが多いように見受けられます。

 

また、母乳で育てるという考え方が主流になっている今の時代、ビタミンDが少ない母乳だけでは赤ちゃんのビタミンD不足が心配になってきます。さらに、アレルギーで食べられないものがあるとその食べ物に含まれているはずのビタミンDが摂れなくなり、アレルギーの子どもが増えている今、子どもの体のビタミンDは不足しがちなのです。

 

事実、近頃は骨の変形やビタミンD不足によるけいれんによって病院に来る子どもたちがとても増えてきています。

 

ビタミンD不足を防ぐにはどのくらい紫外線に当たればいいか

骨を丈夫にするためのビタミンDをきちんと体内に作るには、日光に当たらなければなりません。しかし日光に含まれる紫外線は私たちにとって有害物質とも言えます。ですから、日光に当たりすぎるのも良くないと言わざるを得ません。

 

では、一日にどれくらい日に当たれば、必要量のビタミンDが生成されるのでしょうか。実は、これをはっきりと述べることは不可能です。なぜなら、紫外線量は住む場所によっても、当たる時間によっても、もちろん季節によっても違いますし、私たちの肌の色も、みんな微妙に違うからです。

 

それを理解していただいた上で、紫外線によるビタミンD生成のために、どのくらい日光に当たればよいのかを計算すると以下のようになります。ちなみに、一般的な日本人の皮膚タイプの場合の数値です。

 

・時期は真夏、場所は都心、時間は正午、天気は晴れ(少し雲あり)。この条件下なら、顔と両腕に日焼け止めを塗らずに3分間、外出をする必要がある。

・時期は真冬、場所と時間及び天気は真夏の場合と同じ。この条件下なら、顔と両手に日焼け止めを塗らずに50分間、外出をする必要がある。

(出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」)

 

なお、これは1日に必要なビタミンDの最低量(10μg)を生成するとした計算です(1日に必要なビタミンDは10~25μgです)。言うまでもなく上記条件で毎日日光に当たる必要があります。

 

もしもどうしても日光に当たることができないのであれば、ビタミンDをサプリメントから取るという方法も考えられます。ご自分の生活に合わせて、上手に利用するとよいでしょう。

Pocket
LINEで送る

このページの先頭へ