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東大合格者数上位10校中8校は男子校!男子校を再考しよう!

男子校の生徒

近年、共学校がメジャーになり、男子校は圧倒的に少なくなっています。しかしながら、「草食系男子」や「スイーツ男子」と言われるような男子が増殖する今日、男子校には共学校にはない、男子が男子らしく育つ環境があります。また、学力面でも、東大合格者数上位10校中8校が男子校です。改めて男子校について考えてみたいと思います。

 

現代の男子学生(児童、生徒)の状況

現代の男子はどう生きているのか

2009年にベネッセ教育総合研究所が行った「第2回子供生活実態基本調査」によると、乙女心をもった男子たちをオトメンと呼ぶ造語ができたり、優しく穏やかな男子たちを草食系と呼んだりする現象を裏付ける結果が出ています。。

 

具体的には、以下の通りです。

【小・中学生】

・仲間外れにならないよう、友達関係に気を遣う男子が増加し、女子よりも群れる傾向にある。

・疲れやすい男子や、外見を気にする男子が女子に比して増加している。

・女子は成績を親に褒められることを励みにする傾向が高まっているが、男子はそれほどでもない。

 

【高校生】

・目指す職業がある生徒が、女子は6割ほどいるが、男子は4割ほどしかいない。

・収入が多く、大きな会社で、休日が多いことが大切だと考えるのが男子の方が多い。

・将来、幸せになっていると考えるのは女子の方が多い。

 

目代大学 黒沢幸子教授は、「男女平等の考えが進み、女子は古い考えにとらわれず、ライフスタイルの選択肢が広がる一方で、男子は、昔ながらの一家の大黒柱にならなくてはならないという思いをぬぐいきれず、生きづらくなっており、その中で、男子は空気を読みながら、お互いに安心を分かち合っている」と分析しています。

 

この男子の生きづらさを緩和するために、親は子供とのコミュニケーションを考えなくてはなりません。参考にすべきは、シングルバインド・コミュニケーションという考え方で、具体的には、昔のドラマに出てきたちゃぶ台をひっくり返すようなお父さん像です。親が子供に対する自分の主張をはっきりともち、それ以外は認めない。嫌なら出ていけというようなスタンスです。

 

今の親にありがちなのは、「あなたが思うようにやったらいい」と言いながら「心配かけないで」というような抑制するメッセージも同時に伝えていることです。これは、ダブルバインド・コミュニケーションと言います。

 

表面的には自由に見えるこの状況に、過度に置かれた子供たちは、思うようにふるまうこともできず、だからと言って親にたてつくこともできず、言いようのない不自由さを感じながら生きていくことになります。

 

ちゃぶ台をひっくり返すような親であれば、子供は親の言う様にするか、それが嫌な場合は反発すればいいのです。親とぶつかり合うことで、自分を形づくり、自分の生き方を見つけていくことができます。

 

もちろん、ちゃぶ台をひっくり返す必要はありませんが、子供を取り巻く親をはじめとする大人は、子供に対しどのようなコミュニケーションをとっているかを見極めて、子供が生きやすいようにしてあげなければなりません。

 

又、近年、友達の様に仲が良い親子が増えていますが、度を過ぎて同質化している親子関係が目につきます。「仲が良い親子」と聞けば耳障りは良いですが、一歩間違えると子供の自立を妨げる恐れがあります。

 

前述ベネッセの調査結果によると、思春期といわれる小6から中2にかけて友達や学校のことを親に話す子供が増えていることが分かっています。本来、この時期は、親からの心理的な自立に向かうために、あえて親に背を向けたり、親の価値観に反抗するように心が反応する時期です。

 

その時期を経て自立に向かうはずでありますが、その時期が無い子供たちは心の発達過程が遅延してしまい、社会で生きていくことに戸惑いを感じることになるでしょう。

 

男子が草食にならざるを得ない環境

草食系と一言で言っても、皆が皆、生まれた時からそうだったのでしょうか。本当は、ライオンのような肉食の気質を持っていた子もいたのではないでしょうか。

 

幼児期の子供が接する大人の多くは女性です。「男子とはこういうもの」と分かってはいても、自分とは異なる性質を目の当たりにすると、「何でそんなに乱暴なの」「がさつなことしないで」と男子の特性を否定してしまいがちです。

 

これが教育現場等から、男子が男子らしく育つための環境が必要、男子への接し方への理解が必要等と指摘されるいわゆる「男の子問題」の背景です。

 

ライオンで生まれたはずの男子も、その特性を否定され続けると、もうあきらめて大人に素直に従い、反抗期もなく、そのまま空気のように育ち、あたかも最初から草食動物だったように周りの目には映るのです。

 

本人ですらライオンから草食動物に変わった自覚もありません。ただ「何かが違う」という漠然とした思いを持ちながら生きていかねばならないのです。

 

戦前、家族が何世代も一緒に暮らしていたり、地域のつながりが深かった時代は、父親が仕事で家にいなくても祖父や近所のおじちゃんがいました。男とは、男らしさとはということを生活の中で学んでいくことができたはずです。それが、戦後、核家族化が進み、近所づきあいも少なくなり、男子が男子らしく育つ環境が失われてしまったのです。

 

男子校は過去の事?

男子らしく育つ環境を得るために、男子校に入るという手段を唱える声があります。

 

しかしながら、男子校の数は減少の一途をたどっています。文部科学省「平成28年度学校基本調査」によると、男子校の数は112校と、女子校の311校の36%程度です。全体の高校数からすると男子校はわずか2.27%にしか満たないのが現状です。実際、身の回りに男子校出身者の知人がいないという人も少なくないでしょう。

 

これは当たり前のことではありません。戦前までは、思春期の男女が別の場所で学ぶことが一般的でした。小学校は共学でしたが、その後は男子は旧制中学及び高校に進学し、女子は高等小学校や女学校等に進みました。

 

更に遡れば、江戸時代でも、「若衆宿」という男子のみが集まり修行する場所がありました。女子は女子のみで「娘宿」と呼ばれる場所に行き、その期間を経て初めて一人前になります。元々は、思春期は男女別で過ごすことが、成人する過程において必要と考えられてきたということです。

 

共学の学校が増えたのは、戦後、GHQの命令により多くの旧制中学校・高校が女子校と合併し、共学化したためです。更には、少子化が共学化に拍車をかけました。生徒が入ってこなければ学校は存続できません。男子校や女子校は共学化することで、入学対象を増やしました。

 

共学化は人気のない学校だけが踏み切ったわけではありません。2001年以降、早稲田実業学校中東部・高等部、明治大学付属明治高等学校・中学校など、人気の学校も相次いで共学化しました。男女別学校から共学校へと変わり、人気が急上昇する学校も多くあり、「共学ブーム」という言葉が生まれるほどでした。

 

こうして、男女別校は年々少なくなり、共学の学校がスタンダードとされていますが、果たしてそれで良いのでしょうか。男女別学の方が圧倒的な歴史を持っています。欧米では、共学より男女別学における利点が取り上げられ、学校の在り方に変化が出ています。

 

宮城県では、2007年から2010年にかけて、元々あった公立男子校が全て共学化されました。その際、一律共学化を進める県教育委員会に、男女別校か共学校は県民が自由に選べるべきだと、各校の卒業生等が反対運動を起こしました。それに対して、教育委員会側は「男女共学が自然である」とし、結果的に、一律共学化されたのです。

 

男子が生きにくいと言われ、草食化する男子が増え続ける現代、男女共学が本当に自然なのでしょうか。今一度、長い歴史をもつ男子校について考えてみるべきではないでしょうか。

 

男子校は東大に入りやすい?

2017年の東大合格者数高校別ランキングを見ると、上位10校のうち8校が男子校です。2016年を見てみても、7校が男子校です。東大以外の難関国立大の合格者数を見てみても、男子校出身者数が4分の1近くにのぼります。一方、前述の通り、全国の高校数に対する男子校の数はわずか2.27%です。

 

東大やその他難関大学への入学者が多いから、男子校がいいというわけではありませんが、学校を評価する上で、これだけの数字が出るという事は学力面での大きなポイントになります。東大に入るような生徒を育てているというと、ただひたすら勉強だけさせていると考える人もいるでしょうが、ただ勉強しているだけではダメなのです。

 

論理的に考えるという事ができないと、東大の入試は突破できません。教科書の知識や解法はもちろん必要ですが、それらを使い自分なりに考える事ができないといけません。

 

論理的に考える事は、日頃から行っていないとできません。東大や他の難関大学に多数の生徒が合格できるということは、学校で生徒自身に考えさせるという教育がなされているということです。

 

どの道で生きていきたいのか、そのためにどの大学に行くべきか、そしてその大学に入るためにどうしたらいいのかを、生徒自身で考え、自らやる気になるように導いているところがほとんどです。

 

たとえ東大に入学できる成績の生徒でも、自分が生きたい道に進むためには別の私大に行く生徒もいます。「いい大学に入ればいい」という考えではなく、大学卒業後を見据えて学ぶ姿勢を身に着けさせています。そうして育てられた生徒は、社会人になっても、自己実現に向けて努力することができ、民・官・学に必要とされる人材になるのです。

 

合格者実績ランキングの注意点

大学合格者数実績ランキングで学校を評価する場合は、1年だけでなく2年間の平均値で見る事が大事です。現役合格者が多数出た次の年は浪人生が少数となり、逆に現役合格者が少数の次の年は浪人生が多数となるからです。ですので、去年はA校が上で、今年はB校が上だというような単純な比較は意味がありません。

 

又、実績数ランキングでは単純に1学年の人数が多い方が有利となりますので、合格者数を卒業生数で割った合格率のランキングの方が参考になるといえます。又、地域性もあります。関西の進学校であれば、京都大学を希望する生徒が増えますので、東大と京大を合算した合格者ランキングであれば更に順位は変わります。

 

毎年約3000人が東大に合格しますが、そのなかの約1000人は関東からの受験生といわれています。つまり、関東にある公立・私立の学校が、この1000枚の合格切符をかけて争っているのです。かつて東京では都立の進学校が多くの切符を手にしていましたが、私立の進学校に逆転された経緯があります。

 

神奈川でもその現象が起こりました。埼玉はこれまで公立高校が力を持っていて、私立が奪える切符があったので「栄東」や「開智」等の私立進学校が、近年、大躍進しています。言い換えれば、私立が上位を独占している東京や神奈川では、学校が試行錯誤を重ねても大躍進を起こすのは難しく、東大合格者を増やすのは困難なのです。

 

中学受験を左右する偏差値

次に男子校に入るための中学入試について見てみましょう。中学入試を考えるうえで誰もが参考にするのが偏差値表です。本来、偏差値とは、同じ試験を受けた生徒の中で自分がどのくらいの順位にいるかを表すものです。50を平均としていますので、偏差値が50より上なら平均以上の成績となります。

 

その偏差値を、各模試センターが、学校につけて一覧表にしています。模試を受けた受験者の偏差値を把握し、実際入試の合否と照らし合わせ、偏差値55であればA中学校に80%の確率で合格している、偏差値52であれば50%の確率になるというようなデータをつくり、合格率別結果偏差値表としているのです。

 

例えば、上記A中学校であれば、「合格率80%の偏差値表」の偏差値55の欄に記載されるわけです。

 

勘違いしてはいけないのが、偏差値が必ずしもその学校の実力をあらわしているわけではないということです。何か受験者を引き付ける要素、例えば校舎が新しくなるとか、難関校への進学生徒数が増えたとか、そういうことがあればその年の受験者数は増えて、翌年の結果偏差値は高くなります。

 

また、模試ごとに受験者の学力は違うので、同じA中学校であっても模試の運営会社によって偏差値が変わります。2017年麻布の合格率80%の結果偏差値は、日能研では68、四谷大塚では67、サピックスでは60になっています。

 

近年、中学受験では1校が行う入試回数が3、4回ということも珍しくありません。そのため偏差値表が複雑になっています。ここで注意したいのが、実際の偏差値よりも高くなる学校が出てくることです。

 

中学受験では毎年2月1日の午前中に人気校の試験が実施されることが多くなっています。そこで例えば人気ベスト3のA校、B校、C校の3校のうち、B校が別の日に試験をした場合、今まで、どれか1校を選ばなければならなかったのが、2校の受験(例えば、A校とB校)が可能になります。

 

そうすると別日のB校には、今まで分散されていた優秀な生徒が集まるわけですから、難易度も上がり、他の2校より偏差値が高くなります。

 

本来は、同じような実力の学校でも、「2月1日午前」以外の日程の方が偏差値が高くなる傾向にあります。又、入試回数が増えれば更に上がります。同一校の試験でも、2月1日午前の試験より、別日の2回目、3回目が偏差値が高い傾向にあります。

 

このように言うと、学校側が偏差値を操っているようにも見えますが、各校はより良い生徒に入学してもらうために試行錯誤して入試回数、入試日を決めています。ですので、偏差値だけにとらわれず、各学校を評価することが大切と言えます。

 

男子校はお得?

2月1日午前中は、難関男子校の試験がこぞって行われます。偏差値表のトップは男子校がほとんどです。日能研の2017年結果偏差値80の一覧(結果R4)を見てみると、偏差値60以上にランクインしている共学校は「渋谷教育渋谷」と「早稲田実業」だけです。

 

男子校・共学校の両者が入り乱れてくるのは55前後からです。男子伝統校とされる学校もこのあたりに位置しています。例えば、「城北」は52、「巣鴨」は50です。

 

2017年の東大合格者数を見ると、城北は16名、巣鴨は12名です。同じ程度の偏差値で、この人数の東大合格者を出している共学校はありません。例えば、偏差値52の「法政大学中学高等」、53の「中央大付属」、共に2017年東大合格者は0名です。少し偏差値をあげて、58の「広尾学園」でも6名です。

 

東大合格者の数から考えると、城北や巣鴨の偏差値は低いように感じるかもしれません。これは男子人気校の入試日・時間が重なるため、男子校を志願する成績上位者が散らばってしまうのが原因です。又、同時に男子校を望まない成績上位者は、希少な共学上位校に集まり、共学上位校の偏差値が上がってしまいます。

 

つまり、偏差値が変わらないならば、男子校の方が東大合格者を多く輩出するような充実した教育環境であると考えられます。ちなみに、城北は2月2日に2回目、2月4日に3回目の試験を行っており、偏差値は55、59と高くなっていきますが、大学合格実績の点から見れば、それでもお得と言えるでしょう。

 

伝統男子校の強さと激化する大学受験

2000年前後あたりから、新しい試みを取り入れた新興校や、キャリア志向の女性が増えたことに対応したカリキュラムを組んだ女子校らが、優秀な生徒を集めることに成功し、東大合格者の上位校も変動しました。その中で男子伝統校の中には、「伝統」にこだわるがために新しい流れに乗れず、ランキングの上位から消えた高校もあります。

 

やはり、東大合格者が出ると、成績の良い生徒が集まりやすくなり、更に難関大学への進学率が伸びて学校運営が安定します。ですから、新興校は東大合格者を1人でも出したいと試行錯誤しているのです。しかしながら、それは安易ではありません。前述の通り、上位が難関私立で飽和している東京や神奈川では、東大の切符を1枚手に入れるのですら至難の業なのです。

 

そんな中、男子伝統校の巣鴨には注目すべきデータがあります。ここ数年は少し低迷しているものの、東大合格者数が2010年:16名、2011年:30名、2012年:41名と、2年連続10名以上伸ばした実績があります。

 

又、巣鴨程大きく伸びてはいませんが、城北も2009年:15名、2010年:20名、2011年:26名と、連続して合格者数が増えたことがあります。

 

どう対策をしたのかと問うと、両者ともに「特別なことはしていない」といいます。「東大に入学させるための教育しているわけではないが、生徒や保護者が難関大学への進学実績を求めるのであれば、大きく変えずとも少しテコ入れすれば結果は出せる」ということを証明したといえます。

 

これが、トライ&エラーで毎年指導方針を変える新興校との違いで、伝統校の真の実力といえるでしょう。有名男子校のほとんどは伝統校で、カリキュラム等だけでなく、長年にわたって積み上げられてきた独特の雰囲気が、生徒に与える効果は計り知れないものがあります。

 

伝統校がその実力を元に、伝統だけにとらわれない時代にあった進学指導をすれば、5年前の巣鴨のような実績を上げることは他の学校でも起こり得るでしょう。

 

その一方で、ここ数年の学校改革を経て、実績を伸ばしている共学校も増えています。又、東京では公立の中間一貫校が進学校として名乗りを上げて来ています。「都立小石川」は2012年の第1期卒業生には東大合格者はいなかったものの、年々、実績を上げ、2016年、2017年は共に14名の合格者が出ています。

 

東大をはじめとする難関大学入試は、更に競争が激しくなるでしょう。いくら伝統的教育の強みがあると言っても、それだけでは男子伝統校も対抗してはいけないでしょう。

 

高校名で採用が左右される

大学卒業後の就職試験についても見ていきましょう。近年、企業が求める人材のハードルが上がり、人事担当者は少しでも優秀な学生を獲得しようとしています。就職試験において重要な項目の一つが学歴ですが、その際、大学だけでなく、出身高校も判断基準になると口を揃えます。

 

人間の人格形成において、10代をどのようにすごしてきたかは重要なポイントになるからです。又、中・高における人間関係の絆は強いので、名門校出身者であれば、優秀な人々と交流を持っていて、社会に出た後もいい刺激を得るだろうと考えられるからです。

 

中学受験をしたかどうかを尋ねる企業もあります。中学受験をした生徒は、「家庭教育がしっかりされていて、地頭が良い」人が多い傾向にあるからです。又、ある病院の院長は、「人間教育がきちんとされている高校の出身者を採用する」とも言っています。

 

就職において、名門高校出身者であるということが、大きな価値を持っているいるのが現状ですが、「名門」と挙げられる学校の多くが男子校なのは注目すべきことかと思います。

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