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痛風に関するあなたの常識は間違っているかも?

痛風

「風が吹いただけでも痛い」ということから名づけられた「痛風」。突然、足指が腫れて我慢できないくらいの激痛が走る病気です。昔からある病気ですが、痛風についての誤った知識を持っている人が少なくありません。あなたの持っている痛風に関するその常識、本当に正しいのでしょうか?

 

若くても、ぜいたくをしていなくても痛風になる!

「痛風って、中年の男の人がなるものでしょ?」「ぜいたく病と言われるくらいだから、ぜいたくな食事をしている人がなるんじゃない?」そう思っていませんか?実は、そうとも言えないのです。

 

昔は確かに痛風患者は40代~50代の人が多かったのですが、次第に若年化してきています。今は、早い人では20代で痛風にかかる人もいますし、初めての痛風発作は30代が一番多いと言われています。若いから大丈夫というのは間違いだということです。

 

痛風は男性の方がなりやすいというのは本当のことです。痛風患者全体における男性の割合は98%。痛風患者100人の中に女性は1人か2人しかいないということになります。

 

これは、女性ホルモンに関係しています。女性ホルモンは、痛風の原因である尿酸の排出をよくする働きがあるため、女性の体は尿酸を蓄積しにくくなっており、痛風になりにくいというわけです。ただし、女性も更年期の頃になると女性ホルモンの分泌が少なくなりますから、そうなると痛風にならないとは言えなくなります。

 

また、痛風が「ぜいたく病」だったのは昔の話です。痛風の原因と言われるプリン体を多く含む食品はレバー類やエビ、白子などで、これらは昔ぜいたく品だったために「ぜいたく病」と呼ばれていたのです。(プリン体とは尿酸の原料です。プリン体は体内で分解され尿酸になります)

 

しかし今では、これらの食品を誰でも普通に食べられるくらい豊かになったので、痛風は「ぜいたく病」というよりも「現代病」と言えます。ぜいたくな食事をしていないから痛風にはならないとは言えないわけです。

 

どうして痛風になるの?

プリン体を多く摂取すると痛風になるというのは、多くの人がご存知のことでしょう。プリン体は魚の干物類や煮干し、レバー類、納豆、エビ、白子、ビールなどに多く含まれています。

プリン体を多く含む食品 プリン体量(mg/100g)
クロレラ 3183
ビール酵母 2996
煮干し 746
かつお節 493
ローヤルゼリー 403
アンコウ肝 399
干し椎茸 380
鶏レバー 312
マイワシ干物 306
イサキ白子 306
豚レバー 285
大正エビ 273
マアジ(干物) 246
オキアミ 226
牛レバー 220
カツオ 211
マイワシ 210
サンマ(干物) 209

 

では、プリン体がなぜ痛風を引き起こすのでしょう。プリン体は、人体の細胞内の核に存在しており、細胞が新陳代謝によって生まれ変わる時に使われます。そのプリン体が肝臓で分解されると尿酸になります。体の中でできてしまった尿酸は、腎臓で処理されて老廃物となり、排尿することで体外に出されます。

 

しかし、過剰に食べたり飲んだりしたために尿酸が体内でたくさん作られてしまったり、腎臓の機能が低下したりすると、尿酸が体外にうまく排出されず、血液中に残ってしまいます。その尿酸が足指の関節にたまってくると、針で刺されたかのような激痛を伴う痛風発作を起こすのです。

 

健康に良いはずの食べ物が痛風の原因に?

痛風を予防したり改善したりするには、プリン体を多く含む食品を控えて尿酸を体内にためないようにすることです。前述したとおり、かつて痛風は「ぜいたく病」と呼ばれていたために、質素な食生活をすればプリン体を控えられると思いがちですが、実はそうとも言えません。

 

プリン体が多く含まれている食品には、煮干しやかつお節、干しシイタケや魚の干物、納豆など、一見ヘルシーに感じられるものもたくさんあります。私たち日本人が普通に生活していたら痛風になってしまうと言っても過言ではないほどです。

 

痛風の予兆を見るには、尿酸値を調べるとよいでしょう。尿酸値とは、血中の尿酸濃度を表すものです。1デシリットルあたり7.0㎎までであれば正常です。それを超えると注意が必要で、8.0㎎超になるとかなり危険な状態です。

 

また、尿酸値が正常値以上になった状態を「高尿酸血症」と言います。数年間高尿酸血症のままだと痛風発作が起きる可能性が大きいため、毎年の健康診断では忘れずに尿酸値のチェックをするよう心がけましょう。

 

「健康のために3食和食にして、だしはかつお節や煮干しでしっかりと摂り、干し魚や納豆を主菜に…という生活をしていたら痛風になった」ということになると残念ですよね。そうならないためにも、尿酸値が高いという自覚がある人は、食品に含まれるプリン体の量を意識しながら、食生活を考えていくようにしましょう。

 

ビールは控えた方が良いが、ビール以外のお酒でも痛風になる

「プリン体オフ」という発泡酒があるくらいですから、「ビールと言えばプリン体」という認識は多くの人が持っているでしょう。

 

確かにビールはプリン体を多く含む飲料です。日本酒100ccの中にプリン体は1.2~1.5㎎入っており、ウイスキーの場合は0.1㎎、焼酎になると0㎎です。それに対してビールの場合は3.3~8.4㎎も入っています。ビールがずば抜けてプリン体をたくさん含んでいるということがよくお分かりいただけるでしょう。

 

プリン体を多く摂取しすぎると、それが分解されてできる尿酸も増えてしまいます。すると尿酸を尿と一緒に体外に排出しきれなくなり、痛風を起こしてしまいます。ですから痛風を防ぐためには、プリン体を多く含むビールを飲むのを控えたほうがよいでしょう。

 

「痛風が心配だからビールはやめています。その代わり焼酎だったら平気ですよね?」と思う人もいるでしょう。しかし現在は、痛風要望のためにはビールだけでなく酒類全て摂り過ぎないようにするのが一般的です。日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインでも、「どんな種類の酒でもたくさん飲み過ぎるのはやめましょう」となっています。

 

というのも、アルコールは私たちの体の中で分解されると乳酸を作るのですが、乳酸は体内の尿酸が排出されるのを邪魔する働きがあるのです。焼酎自体には確かにプリン体はほとんど含まれていませんが、たくさん飲めばやはり尿酸値が高まっていくという結果になります。

 

特にお酒が大好きな人は、このことをしっかり理解して、ほどほどに飲むように心がけましょう。

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