子育て中によくある悩みの具体的な解決法!
子育て中は、本当にいろいろな悩みに遭遇します。子どもがわがままばかり言う、何かというと大泣きして困る、食が細い、人見知りが激しくて親から離れられない…。毎日何かしらの悩みにつき合っているようなものです。これらは一見難題に思えますが、解決法は必ずあります。解決のための具体的なアイデアをご紹介しましょう。
子どもがわがままを言い出したら、何はともあれ話を聞いてみよう
スーパーに行けば「あのおかし買って~!」。公園から帰ろうとすれば「まだ遊ぶ~!」。夕飯の時間には「これ嫌い!食べたくない~」…。子どもはいろいろなわがままを言うものです。毎日聞かされるとさすがにカチンときて、大声で叱ってしまうこともありますよね。
でも、これを大人同士の会話に置き換えて考えてみてください。ウインドーショッピングで見かけた素敵なワンピース。欲しくてたまらなくなり、夫に相談してみたとしましょう。「あのワンピース、いいなあ。買ってもいい?」というあなたの言葉に、「また!?服なんていっぱいあるじゃないか」と頭ごなしに夫が否定してきたら、あなたはどう思いますか?
きっと、素直に「そうよね」なんて思うことはできないでしょう。逆にむっとしてしまうのではないでしょうか。しかし、夫が「春らしくていいね。君にぴったりな感じだ。」といったん認めたうえで、「でも、今月はそんなに余裕がなかったかもしれないなあ…」と振り返らせてくれれば、それもそうだと冷静になれるかもしれませんよね。
心の病気や大きな悩みを抱えている時に相談に乗ってくれる心理カウンセラーの方々は、相談者に対して「このようにすべきだ」という忠告や進言をするわけではありません。相談者が自分の気持ちをすっかり吐き出すお手伝いをしているのです。
それでは悩みの解決にならないと思われるかもしれませんが、実は自分の心の中にあるものを全部打ち明けて、相手に理解してもらうと、それだけで自分が今置かれている状況を客観的に見られるようになり、解決法が自然と自分の中に出てくるのです。
先に述べた買い物の相談の例では、夫がこうすべき、と言うよりも、一旦受け止めてくれた時の方が、冷静に振り返ることができています。心理カウンセラーの方がやっていることと同じですね。実は、子どもに対する親のかかわりについても、同じようにすることができるのです。
子どもがわがままを言い出した時、とりあえず子どもの願いをすっかり聞き、その願いの奥にあった気持ちも全部まるごと、受け止めてあげます。するとそれだけで、子どもの心が満たされることがよくあるのです。
「そんなことしたら、子どもの要求を全て飲むことになってしまうのでは?」と心配になるかもしれませんが、そんなことはありません。どうしてそうしたかったのかな、そうすることはどんなにいいことなのかな、など、子どものわがままをもっと詳しく聞いてやるだけです。そうすると、子どもの心がすっきりして、落ち着いてくることが多いのです。
もちろんこれは、大人同士にも使える手法です。自分の伴侶が何かしらの欲求や悩みなどを打ち明けてきたとき、「こうしたいんだね」「こう思っているんだね」と、相手の言っていることをそのまま返してやるだけで、相手の心が整理されてきます。試してみてくださいね。
子どもが言うわがままを、全て叶えてあげることはできません。でも、子どもの思いを全て受け止めてあげることはできるはず。子どもの言葉をそっくりそのまま同じ形で返してあげるだけでもかまいません。そうすることで、子どもの気持ちが落ち着いてくるはずです。
子どもの「泣き」は、言葉に直して対処する!
子どもの泣き声は、どうしてこうも大人の心を落ち着かなくさせるのでしょう。自分の願望がなかなか聞き入れてもらえない時に、子どもはよく泣きながら訴えてきます。泣けば何でもうまくいくと思わせたくはありませんが、あまりにも泣かれるとこちらの方が根負けすることも、よくありますよね。
子どもが自分の要求を押し通そうとして泣いている時、「もう、仕方ないわね」とその要求をすぐに飲んでしまうのは、「甘やかし」であり、おすすめできません。でも、泣いている子どもを十分に甘えさせるのは、逆に大事なことなのです。甘やかしと、甘えさせることとは全く別物です。詳しくご説明しましょう。
子どもがまるで王様のようになり、子どもの欲求を全て大人が叶えてやってしまうことは、甘やかしです。これに対し、子どもの欲求を叶えるのではなく、子どもが言っていることや思っていることをしっかりと聞き、受容してあげるのが甘えさせるということです。
幼い子どもが、理論づけながら自分の欲求を大人に伝えることなど、無理な話です。それどころか、自分の気持ちを言葉に表すことすら難しい時があります。だから、そのような時に子どもは泣くのです。それ以外に自分の気持ちを表す方法がないのです。
それなのに、「泣いたって思い通りにはならないのよ!」などと叱られてしまっては、子どもは全ての方法を失ってしまい、自分の気持ちを伝えようとすること自体をやめてしまうでしょう。子どもは泣くという手段をとってまで、自分の気持ちを伝えようとしているのです。ですからそんな時は、何が言いたくて泣いているかということを知ろうとしてください。
子どもの様子から心のうちを想像し、「こうしたいと思っているんだね」「嫌な気持ちなんだね」などと、言葉にして返してあげるのです。これが、甘えさせるということなのです。十分に甘えさせてあげると、子どもは次第に、泣くという方法から、言葉で伝えるという方法をとろうとしてきます。
たくさん甘えさせてあげれば、子どもは自分の思いをきちんと相手に伝えようとする子どもになっていきます。子どもが泣くことで伝えたかったことを、親が言葉に直して返してあげれば、言葉による伝え方を学ぶことができるのです。
赤ちゃん言葉には赤ちゃん言葉で返してOK!
話し始めたばかりの子どもは、まだ言葉が拙く、いわゆる赤ちゃん言葉で話します。「ブーブー(車)」「あんよ(足、または歩く)」「くっく(くつ)」「~でちゅ(です)」などなど。赤ちゃんがそのように話すのはいいのですが、大人はそれに対して同じように赤ちゃん言葉で返すべきか、正しい言葉で返すべきかは、悩むところです。
赤ちゃんである相手にわかりやすいように、赤ちゃん言葉で返すべき、という意見もありますし、正しい言葉で返した方が正確な日本語を早いうちから覚えることができる、という意見もあります。
なるべく幼いうちから、正確な日本語を覚えさせたいと思うなら、赤ちゃんに対しても正しい言葉で話すのが確かに効果的かもしれません。しかし幼い子どもができるだけ早く正確な日本語を習得することは、本当に大事なことかというと、疑問を感じます。
幼い子どもが、拙いながらも一生懸命話しているなら、もっと正確な日本語を覚えさせようとするよりも、子ども自身が「聞いてもらえた!わかってもらえた!」とうれしく思えるようにするほうが、優先されるべきではないでしょうか。
正確な日本語でなくてもいいから、「あなたの言っていること、ちゃんとわかったよ」と反応してあげることの方が、重要なことに思えます。一生懸命話しているのに、「それは間違っている。正しい言い方はこうだよ」などと指摘ばかりされていれば、話そうという気持ちがしぼんでしまいます。
「ブーブーきた!」と赤ちゃんが話したなら、「そうだね、ブーブーきたね」と、おんなじ赤ちゃん言葉で返してあげれば、子どもは自分の言葉が相手に伝わったという安心感を覚え、これからもどんどん話したいと思うことでしょう。
正しい日本語も教えたいと思うなら、赤ちゃん言葉を一度受け止めて、その上で付け加えるようにさりげなく正しい言い方で話してみてはどうでしょうか。例えば、「ブーブーきたの?ああ、そうだね、車が来たね」などというように。
話し始めたばかりの子どもには、まずは「相手がわかってくれた」という安心感を与えたいですし、話す意欲を育てたいものです。赤ちゃん言葉には赤ちゃん言葉で返してあげたうえで、正確な日本語を付け加えて返事をしてあげれば、少しずつ正しい言葉も覚えていくことでしょう。
小食な子どもにも勉強をしない子どもにも有効なアプローチ
我が子の食の細さに悩んでいる親御さんたちも多いようです。子どもがお腹一杯だからと残そうとすると、親御さんたちはきっと「もう少し食べないとだめよ」というように頑張らせることでしょう。きちんと栄養が摂れなければ、健康な体になれないと、子どもを心配するからこそ、何とか食べさせたいと思うのですね。
その気持ちはわかりますが、泣いて嫌がる子どもに、無理やりにでも食べさせようとしたり、厳しく叱りつけたり、「食べないと遊びには連れていきません!」」と脅迫したりするのは、いかがなものかと思います。こんなことを続けていては、ますます食べるのが嫌になってしまうのではないでしょうか。
私たち大人にしてみても、いつもいつも同じ量だけ食べられるわけではありません。どうも食欲がないから今日は軽めにしておきたい、という日もありますよね。大人ですらそうなのですから、子どもにたくさん食べられない日があっても当然なのです。
小食なお子さんに対しては、思い切って、最初に盛り付ける量をごく少なくしてみてはいかがでしょうか。これくらいなら残さず食べてくれるかも、というくらいの量に。そして予想通り食べきることができたら、「すごいじゃない!今日は残さずみんな食べたんだね!」と、思い切りほめてあげましょう。
これを続ければ、毎日残さず食べきれたという事実が積み重なり、自信につながるでしょう。そうなったら、頃合を見計らって少しずつ、盛り付ける量を多くしていくのです。時間はかかっても、最終的にはきちんと最後まで食べられるようになっていくことでしょう。
もう一つ、親御さんたちを悩ませがちなことに、「うちの子は全然勉強をしない…」ということが挙げられるでしょう。でも、こんな時にも、小食な子どもに対するアプローチと同じようにすることで、だんだんと勉強するようになるのです。
幼い子どもというのは、こちらが何もしなくても、だんだんと文字や数字など、勉強に対して興味をもち始めます。「これはなんて書いてあるの?」「1+1ってどういうこと?」という風に。ところが、小学生になって、勉強が「やらなければならないこと」になってくると、次第に勉強するのが嫌になってくるのです。
ただでさえ嫌になりつつあるのに、親から「遊んでばかりいて!きちんと勉強しなきゃダメでしょ!」と叱られてしまっては、勉強が嫌だという気持ちがますます膨らんでいってしまいます。
勉強嫌いの子どもに勉強を強いても、やるようにはなりません。小食な子どもには食べきれる量の食事を与えることから始めるように、勉強嫌いな子どもにはほんの少しの量の、しかも難易度の低い勉強を、まずはやらせてみるのです。そしてできた時には、思い切りほめてあげましょう。
わずかな量でも勉強するようになったら、少しずつ量を増やしたり、難易度を高めていったりしていきましょう。こうしていけば、だんだんと勉強が苦ではなくなってくるはずです。
小食な子どもに対しても、勉強が嫌いな子どもに対しても、アプローチの仕方は同じです。親がどれだけ強く言ってもダメならば、ちょっと一呼吸おいて作戦変更!到達目標のレベルを下げて取り組ませればよいのです。そこから少しずつあがっていけば、回り道のようでも確実に食べられるようになっていくし、勉強していくようになっていきます。
人見知りが激しくても心配なし!無理に直そうとすると逆効果に…
子どもが1歳くらいになるとよくあるのが、人見知りですね。ほとんどない子もいれば、長く続く子もあり、子どもによって人見知りの度合いはいろいろです。それでも永遠に続くことはないので、ご安心を。
そもそも人見知りというのはどうして起こるのでしょうか。それは、子どもが認知面で成長したからです。始めて見る人に対して「この人は知らない人」と認識し、「気をつけなければ」と判断しているのです。自分の周囲にいる人を見て、状況を知り、どうするべきかを判断することができるようになってきていると言えます。それだけ成長したということです。
人見知りをし始めたら、子どもの成長を喜んでいいくらいです。ですから、人見知りを何とかして直そうとしなくてよいのです。親が焦って無理やり自分から子どもを引き離し、他の人の方へ押しやるようなことをしてしまっては、子どもはむしろもっと親に強くくっついて、他の人を拒むようになるでしょう。
「知らない人に会うと、お母さんは僕を引き離そうとする」と子どもが認識してしまっては、他者を避ける気持ちがより強くなってしまうのです。これでは余計人見知りに拍車をかけてしまいますね。
ですから、子どもが他の人を見て人見知りをしたら、「大丈夫だよ、一緒にいるからね」と、子どもをひとまず安心させてあげましょう。その上で、子どもがほんのわずかでも親と離れることができたり、親や家族以外の人と対応できたりしたら、その時には思い切りほめてあげるのです。
そして、親のところに再びやってきた子どもをしっかりと抱きしめて、再び安心感を持たせてあげましょう。そうすることで子どもは、「知らない人のそばに行っても、お父さんもお母さんもずっと僕と一緒にいてくれるんだ」と認識するようになります。
こういうことを少しずつ繰り返していけば、徐々に人見知りは少なくなっていくでしょう。人見知りをしたということは、子どもが成長した証しだと思って、何とか直さなければと必死にならないでください。やり方さえ間違わなければ、子どもの人見知りはいつかなくなっていきます。
子どもが嘘をついた!そんな時もあわてず対処する方法とは
純粋無垢なはずの幼い子どもが嘘をついてしまうと、親としては「どうしよう」と心を揺さぶられるようです。「どうして人をだますような子になってしまったのだろう、どうしたら素直な子になってくれるのだろう」と、いろいろと頭を悩ますことでしょう。
こんな時はひとまず落ち着いて。考えてみれば、嘘をつけるようになったということは、それだけ賢くなったということなのです。自分がこういうことをしたから、自分にとって良くない状況になりそうで、そうなったらきっと怒られる、そう考えられるようになったのです。
怒られたくない、だから今置かれている状況を存在しないものにしたい、そう考えて嘘をつくというわけです。このような思考回路がなければ、嘘をつく必要性も感じないはずなのですから、嘘をつくことができたというのは、子どもが成長した印と言えるでしょう。
ただし、嘘をついたという事実があるにもかかわらず、子どもはたいてい、嘘を言ったとは思っていないものです。ですから、親が「そんなの嘘でしょ!嘘を言っちゃいけないのよ!」と責めたとしても、子どもは「嘘なんか言っていないもん、本当だもん!」と言い、結果的にまた嘘をついてしまう事態へと発展してしまうのです。
そして残念なことに、親から叱られれば叱られるほど、自分は嘘をついていないと押し通すものなのです。これでは押し問答になってしまいますね。
こんな時、まずは子どもに、自分が嘘をついているということを気づかせてあげる必要があります。それには、そもそも何から始まったのかというところから丁寧に、説明していきましょう。その時に、つじつまが合わないところがあってもそこで叱らずに、「それは何か変よね」と、子どもと視線を合わせて言うのです。きっと子どもは素直に頷くでしょう。
子どもが嘘を認めた時、「やっぱり嘘をついていたのね!」と怒りはじめないように注意してください。嘘を認めるのは難しいことなのに、子どもはきちんと認めたのです。「嘘を認めたら怒られた」という経験を積んでしまっては、嘘をついても決して認めないようになってしまいますよ。
子どもが嘘をついたと正直に話したら、「よく本当のことを言ってくれたね」とほめてあげましょう。その上で、なぜ嘘をついてしまったのかを親子で考えていくのです。
子どもの嘘にはこのような手順で、丁寧に対応していきましょう。繰り返すうちに、つい嘘をついてしまった時でも、後からちゃんと本当のことを言える子どもになっていきます。さらに成長すれば、やってしまったことに対して嘘を言ったとしても、何にもならないということに気づいていくでしょう。そうなれば、嘘をつくこと自体が減っていくのです。
子どもの病気を親は治せない…けれどこれだけはやれるはず!
小さい子どもほど、よく病気にかかります。高熱にうなされることもあるでしょう。つらくて泣いてしまうこともあるでしょう。そんな時の親の心のうちは、本当に心配で、辛いものであるはずです。
自分は何にもしてやれない…と力のなさを恨めしく思うことでしょう。でも「何にもしてやれない」わけでは決してありません!
具合の悪い時、子どもは親にどうしてほしいと思っているか、おわかりですか?きっと、お医者さんのようにこの病気を治して、なんて思っていません。どうしてほしいかというと、「つらいよ」「苦しいよ」という自分の思いを、親に受け止めてもらいたいのです。ただ単純に、親に甘えたいというわけです。
ということは、親がやってあげられることといえば、隣に寝そべり優しく体をトントンと叩いて眠らせてあげたり、背中をさすってあげたり、「苦しいね、つらいよね」と共感の言葉を口にしてあげたりすることでしょう。そうすれば、気持ちの面で少しは楽になるはずです。
「カゼばいきんがママにうつればいいのにね。痛いのがママに飛んでくればいいのにね」というように、できるなら自分が身代わりになりたいと思った気持ちを、そのまま伝えてもいいですね。子どもの心配な気持ちが軽くなり、親の愛が身に沁みるように思えるでしょう。
親がどうにかできるものでもないから、と、病気の子どもを放っておいてよいわけではありません。だって、そばに付き添ったり、体に触れたり、子どもの気持ちを汲んだりすることはできるのですから。
子どもが病気になった時の話をしてきましたが、もちろん、もっと成長してから子どもが壁にぶつかって苦しい思いをしている時にも、同じことが言えます。直接何とかしてやることはできないかもしれませんが、そばで見守ったり、励ましの言葉をかけたり、話を聞いてやることこそが、親にできることなのです。