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赤ちゃんが言葉を理解するのはいつごろ?

赤ちゃんが言葉を理解

人間を特徴づけるものといえば「言葉」の使用ですが、赤ちゃんはいつごろから言葉を聞き分けることができるのか、さまざまな方面で研究が進んでいます。赤ちゃんが言葉をいつごろから理解し始めるのか、少しくわしく見てみましょう。

 

生まれてすぐの赤ちゃんでも……

脳の機能を調べるための検査方法に「光トポグラフィー法」というやり方があります。近赤外光を用いて大脳皮質の血流量を調べ、どの部分が活発に活動しているのかということを調べることができるもので、日立製作所によって開発されました。脳の血流について調べる方法にはこのほかにも「fMRI法」などがありますが、そうしたものに比べて光トポグラフィー法はより安全であるとされています。

 

この光トポグラフィー法を利用して、フランス国立科学研究センターでは赤ちゃんの言語の認知について研究が行われています。その研究によって、赤ちゃんは生まれた時点ですでに脳の中に言語を認識できる機能を持っており、生後間もない時期でも言語を聞き分けることができる能力を持っているということがわかってきました。

 

フランス国立科学研究センターでは、光トポグラフィー法を用いて産まれて5日以内の赤ちゃん12名の大脳皮質の血流量を調べ、言葉を聞いたときと安静にしているときでどのような差が生まれるかを調べました。

 

言葉を聞かせる時間は1回あたり15秒で、安静にする時間を20秒ほど挟んで言葉を聞かせる、という形で10回ほど行う、というものです。実験の結果、言葉を聞いたときには血流量が増え、安静にしているときにはほとんど変わらない、ということが分かりました。つまり、産まれて5日しか経っていない赤ちゃんでさえ、言葉に対して脳が反応を示しているということが分かったのです。

 

また、行動学的な観点からの実験も行われています。「非栄養吸引法」と呼ばれる、赤ちゃんにイミテーションの乳首を吸わせる実験で、どれぐらい頻繁に吸ったか、ということによって反応の度合いを見る実験です。

 

それによると、フランス人の親から産まれた赤ちゃんは、産まれてからまだ4日目にもかかわらず、フランス語を聞かせるとよく乳首に吸い付き、外国語を聞かせると吸い付く度合いが少なくなった、というのです。

 

つまり、産まれて間もない赤ちゃんでも母国語とそうでない言語を分けて認識することができている、ということが見えてきます。そして、ある言語を聞いたときにそれが母国語なのかそうでないのかを分けて認識する際には、大脳皮質が関係しているということも見えてきたと言えるのです。

 

複数の言語が使われる環境では

フランス国立科学研究センターでは、光トポグラフィー法を利用することで、人間がどうやって言葉を獲得していくかということを見据えた研究が行われています。赤ちゃんがどのようにして言語を身につけるかの過程が分かれば、例えば障害者に言語を教える際に応用が期待できるほか、外国語を学ぶ時の学問的な基礎にも関連してくる可能性があるためです。

 

より具体的には、日本のように単一言語の環境にある赤ちゃんと、フランスのように複数言語の環境にある赤ちゃんとにはどのような差が見られるのか、ということを調べています。

 

日本は単一言語の環境にあるのでそれが普通のように感じがちですが、世界の他の国ではそういった環境はむしろ珍しく、社会で複数の言語が使われたり、ともすれば両親が違う言語を話すような環境で育つこともよくあります。

 

そういった環境で育つ赤ちゃんは生まれてからずっと言わばバイリンガルな環境で育つわけですが、そういう環境で育った赤ちゃんは複数の言語を特に支障なく使えるようになります。そして、そのスピードは単一言語の環境の赤ちゃんが単一の言語を習得するのとほとんど変わりません。光トポグラフィー法で両者の脳の働きの違いを研究すれば、言語の獲得へのプロセスが見えてくるかもしれないのです。

 

こうした研究を踏まえて見えてくるのは、母国語の他の外国語をネイティヴレベルでマスターしようとする場合、なるべく早い時期から始める方がいいということです。人間が赤ちゃんのころに持っている言語習得のための能力はすばらしいものがありますが、それは年齢とともに次第に衰えてしまうものだからです。

 

とはいえ、日本のように単一言語の環境しか周囲にない場合、仮に赤ちゃんのころに複数言語の環境において育てたとしても、最終的には単一言語の環境しか与えられないことになります。そうしたところではそういう環境に即した外国語の教育方法といったものを別途研究しない限り、外国語を習得するための方法論を確立するのは困難を伴うということが言えるでしょう。

 

そういった点から見ても、赤ちゃんがどの時期にさしかかったらどういった刺激をかけるようにすると言語の獲得に有効であるのか、という研究は大きな意味合いを持つということになります。

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