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難関大学への近道「名門塾」とは?鉄緑会、平岡塾、SEG、グノーブル、成増塾、研伸館を解説

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名門塾に通う生徒たち

希望する大学の受験に合格するためには、良い高校を選ぶ事も大切ですが、実のところ受験勉強においては学校よりも塾が重要といえます。自分の学習スタイルや、目指す大学の受験に強い塾を選んで学ぶ事が大切なのです。

 

数多い塾の中でも、東大をはじめとした難関大学を目指す生徒がこぞって通う、いわゆる「名門塾」では、どのような学校に通う生徒が集まり、どのような指導を受けているのでしょうか。

 

難関大学を目指す「名門塾」

東京近辺には、大学受験名門塾御三家ともいえる、名門中高一貫校の生徒が数多く通う塾があります。開成、筑駒、桜陰という東大進学に関して実績のある学校に通う生徒のみを受け入れる鉄緑会、「心に広がる数学の世界を!」をスローガンに掲げ数学の専門塾として開塾したSEG、1965年の開塾から現在まで英語専門の平岡塾の3塾です。

 

様々な名門校の生徒の中で1980年代から人づてに広まったそれらの塾は、どれも規模は大きなわけではありませんが、2017年の東大合格者数では、それぞれの塾の発表によると、鉄緑会は318名、SEGは141名、平岡塾は2015年以降の合格実績を公表していませんが、2014年の東大合格者数は169名と、どこも圧倒的な実績を挙げています。

 

こうした実績からは、それらの塾が東大をはじめとした難関大学合格のための指導方法を確立させている事がうかがえますが、そこで行われている教育指導の詳細が明かされる機会はほとんど無く、秘密結社めいた趣を感じさせます。

 

そもそも、大学受験に強い名門の中高一貫校では、受験に関しては詳細な指導をしませんでした。受験を控えた生徒たちは、先輩から伝えられた効果的な問題集や勉強法を活かすなどして、それぞれで受験勉強をしていたのです。

 

ですが、第二次ベビーブームの子供たちが大学受験を迎えると、受験の競争は激しさを増し、大学受験に詳しいプロの指導を受ける事が効率的であるという認識が広まりました。景気が良かった事もあり、名門中高一貫校の生徒の中では、大学受験に際しては学校と塾の双方に通うというやり方が定番化していきました。

 

こうした事情は、1990年代、東大合格実績において私立高校が公立高校を抑えて圧倒的に優位に立った事にも関係していました。名門塾の存在は、開成、筑駒などの進学名門校の、他の学校とは比較にならないほどの合格実績に関わっているのです。

 

平岡塾を卒業した生徒は「塾にさえ通っていれば大学合格には十分」と言います。ですがもちろん、名門塾の指導も、名門中高一貫校の生徒の基礎を固める教育力があってこそ成り立ち、難関大学に合格するに足る力を身につける事ができます。

 

日本の学力最上位層では、このように学校と塾の教育の両方の相互に与え合う影響力が、効果的に働いています。

 

東大最難関、理Ⅲ合格者の6割が通う「鉄緑会」

東大をはじめとした難関大学医学部に進学する事を目標とする生徒のための受験指導をする鉄緑会は、東大医学部や法学部の卒業生、学生が理想の教育機関を目指して設立されました。「鉄緑会」という名は、東大医学部医学科の同窓会「鉄門倶楽部」の「鉄」と、東大法学部の同窓会「緑会」の「緑」に由来したものです。

 

現在、東京代々木の本部校舎に加えて大阪にも校舎をかまえていますが、例年、本部校舎に在籍する高校3年生の半数ほどが東大合格を果たし、慶應大学医学部や他の国公立大学の医学部へ進学する生徒も多数輩出されています。これほどの実績を出すのは、進学超名門校と誉れの高い中高一貫校の中でも、開成、筑駒、灘くらいです。

 

2017年の東大理Ⅲ合格者についていえば、その6割以上が、鉄緑会の東京校か大阪校出身の生徒です。また開成や筑駒から東大理Ⅲに現役合格する生徒の多くが鉄緑会に通塾していた生徒で、その指導の影響力は計り知れないものがあります。

 

鉄緑会は「東大現役合格100%」を目標とし、さらに事業推進統括担当の吉村秀和氏は、「鉄緑会では6年間で、付け焼刃ではない、上位半分に位置して余裕をもって東大に合格できる学力を身につける事ができる」といいます。

 

東京校には中1の春入学にのみ適応される指定校制度があり、対象校の生徒は試験を受けずに入塾する事ができ、指定校以外の生徒は入塾テストの結果のうえで、入塾を認められます。それ以降、欠員が出た際には入塾の機会はありますが、そのテストは非常に難しく、高校から開成や筑駒に入学する生徒も、そのテストを受けなくてはなりません。

 

指定校は開成、筑駒、桜陰、麻布など、東大合格実績の高い13校で、指定校以外の巣鴨や渋渋などの名門校から通うのは、入塾テストをかいくぐった生徒たちです。

 

鉄緑会会長の冨田賢太郎氏は、「学校には様々な生徒がいるが、その中でも特に意欲のある生徒が鉄緑会に集まる」といいます。

 

鉄緑会は指定校制度や厳しい入塾テストによって少数精鋭の生徒を集め、さらに、少人数指導を受けられるレギュラークラスのA~Cクラスは1クラス15名ほど、 大人数クラスのオープンクラスであるDクラスも1クラス30名ほどと、徹底して少人数を保ち、指導が行き渡るようにしています。

 

また講師も中心となるのは東大卒の専任講師であり、他の講師もほとんど全員が東大生や東大の大学院の学生、またその卒業生で、特に多いのは東大でも最難関の理Ⅲや文Ⅰの学生です。

 

設立時、東大の卒業生や学生が、理想の教育機関を目指すものとした事を受け継ぎ、今でも後輩を指導するように受験生に指導をするスタイルです。1回の授業は3時間というのが原則ですが、理解が至らなかった部分のある生徒や、余力や意欲のある生徒に対しては居残りの個人指導もしっかりと行われ、東大現役合格を目指します。

 

東大に余裕をもって合格できる学力を身につけるために、6年一貫でたてられたカリキュラムや教材がしっかりと用意され、中高一貫校で起こりがちな、途中での失速といった事が無いようにしています。

 

名門校ばかりに通う生徒がみなそれぞれ刺激となって切磋琢磨し、また良い仲間ともなって、その教室の中では、学校外でも優秀な生徒が数多くいる事実に向き合えるのです。

 

吉村氏は「日本を背負って立つ人を育てたい」と述べ、実際、医学や行政、法曹などの界隈には、鉄緑会に関わる結びつきが存在しています。

 

本物の英語を教え続ける英語専門塾「平岡塾」

1965年の創設以来、英語一筋で教え続けるのが、平岡塾です。東大を受験する生徒の合格率は8割ほどを維持する、名門英語塾です。

 

通常の塾のようなスタイルではなく、平岡塾では寺子屋のように、じゅうたんを敷いた大広間にローテーブルを並べ、生徒たちは床に座って講義を受けます。「他人に迷惑をかけない限り最大の自由を与える」という当初からの考えがあり、テーブルには教科書やノートだけでなく、飲み物やおにぎりなども広げられ、教室の中はゆったりとした空気です。

 

そうした自由な面は、麻布や筑駒などの名門校の校風にも似ていますが、その分、何事も主体的な判断と行動を求められ、人のせいにはしてはなりません。宿題をしてこなかったという事で怒られもしませんし、宿題をしなかった生徒は授業の中であてられる事もありません。その時間は他の大勢の生徒にとっては無駄になってしまうからです。

 

遅刻や欠席の連絡も求められず、その代わり、それによって抜けた部分をどう補うかを自分で考えるという事が重要であるとされます。

 

指定校制度も入塾テストもなく、簡単に入る事ができますが、全てが自主性に任されているため、自己管理を怠ると続ける事が難しくなります。毎年中学1年生で入学する生徒が400名ほどいますが、6年間通い続ける事ができるのは100名ほどです。

 

平岡塾の生徒は、母語である日本語を鍛えながら、基本の繰り返しによって英語の型を身につける、というやり方で英語を学びます。「本物の英語力を身につけていれば、受験の英語は難しいものではない。『英語が喋れる』だけにとどまらず、『品位ある英語で語り合える』英語力を目指す」という事を理念としています。

 

平岡塾代表の大町慎浩氏は「一生使える、海外でビジネスマンや研究者とも語り合える、『折り目正しい英語』を養いたい」といい、受験勉強を意識するのは高校3年生の間だけといいます。

 

数十年に及び教材もほとんど変えておらず、中1で入学すると最初に『ドン・キホーテ』を読み、『80日間世界一周』などの名作に中学のうちに取り組み、高校生になればデカルトやオーウェルなどの作品を読みこなせるように学習していきます。

 

日本では今、英語教育について議論が起こっていますが、平岡塾による『日本の「ダメ英語」を叩きなおす』という本に、平岡塾の姿勢がはっきりと記されています。

 

「まず日本語力を鍛え、日本語を介して英語を学び、論理的に考えて英語の基本を蓄える。英語によって発信する主張は日本語で獲得し蓄積したもので、英語を学ぶ時も使う時も、母語たる日本語の力は必須である。また外国語を習得するために大切なのは、その言語の型を身につける事であり、型を定着させるためには基本を繰り返す事が重要。」という姿勢です。

 

さらに「日本人が英語が下手なのは日本語が下手だからであるという指摘があるように、外国語を学ぶための一番の近道は、母語である日本語の基礎を固め、言語能力を養う事である。」とも述べています。

 

中学受験を乗り越えて高い日本語力を得た名門中高一貫校生にとっては、この理念は相性が良いのです。

 

平岡塾の生徒は、高校卒業時にTOEICで970点以上を出し、進学においてもハーバード大学やコロンビア大学などのアメリカの名門大学に進む事も稀ではありません。卒業生には、オックスフォード大学やケンブリッジ大学で教鞭を執る教授や、世界的な学術誌「ネイチャー」に英語の論文を掲載される大学教授、海外の渉外弁護士なども含まれています。

 

将来まで役立つ数学を教える数学中心の塾「SEG」

数学専門塾として始まったSEGの名前の由来は「Scientific Education Group(科学的教育グループ)」の略です。代表の古川昭夫氏が「文化としての数学を教えたい」として、1981年に創立しました。

 

「数学Extremeコース」という独自のカリキュラムを受ける生徒を中心として、日本数学オリンピックの本戦に出場するような生徒も多く通塾しています。

 

「数学エクストリーム」は、数学を単なる教科としてではなく、研究の対象として扱います。1つの問題に対してあらゆる数学的実験を行ったうえで、自分たちで解法を探っていくなどする、数学を特に好む生徒が受講するコースで、そうしたやり方がSEGの特色であるといえます。

 

古川氏は「受験勉強とアカデミックな興味とのバランスが大切」とし、高校2年生までは受験勉強を意識せず、先々も役立つ内容について指導する事を基本とします。中学生のうちはすぐに成績や点数を伸ばす事は求めず、後から理解が進みやすいように基礎を固めるような学習が基本となります。

 

そうした指導のうえで例年東大に3桁の合格者を出しており、その考え方は、名門中高一貫校とも共通しています。

 

愛知の全寮制私立中高一貫校の海陽学園では、2006年の開校から2011年度まで、SEGからの派遣講師が、高1までの平常の数学授業を受け持っていました。海陽の1期生は2012年の大学受験において13人もの東大合格者を出し、その実績にSEGの指導力が関わっている事は疑いようがありません。

 

SEGは「今のうちから本物の英語を身につけておけば良い」という古川氏の考えにより、英語のクラスを2000年に開講しました。生徒それぞれのレベルに見合った英語の原書を読む「多読」と、ネイティブスピーカーによる発言を英語に縛った授業を基本とし、中学1年から英語を始めた生徒が、中学3年の夏にTOEIC850点を取る事もあるほどです。

 

他にも高校生を対象とした化学や物理、生物の講座もあります。指定校制度はなく、入塾テストも9割前後は合格できるものです。

 

「学問を楽しいと思ってほしい。面白い事をやりたいから、つまらない事もやらなくては、という気持ちが湧く」という考えのもとにあるのがSEGの指導です。

 

つながり合った知識を求める「グノーブル」

グノーブルは2006年7月に、代表の中山伸幸氏によって「知の力を活かせる人に」をスローガンとして発足しました。「Gnoble」とは、知を意味する「Gno」と力を意味する「-ble」を合わせた造語で、「o」には「人と人とのつながり」「知識のつながり」といった意味が込められています。

 

「知識のつながり」とは、あらゆる知識が有機的につながった事を指し、グノーブルではそうした生きた知識を獲得するという理念を大切にしています。

 

指定校制度などはありませんが、開成や筑駒、麻布、桜陰などの名門中高一貫校から生徒が通い、2017年のグノーブルの合格実績発表によると、東大合格者数は99名、国公立、慶應の医学部の合格者数は55名にのぼります。

 

校舎は新宿に3つ、渋谷に2つ、お茶の水にも校舎を構え、合わせて6つの校舎があります。

 

グノーブルの講師が心がけ、生徒に約束するのは、「知的な磁力」と「正しい方向を示すコンパス」という、生徒にとっての「2つの磁力」を備え持つ存在になる姿勢です。

 

「知的な磁力」とは、生徒がこの先生についていきたい、信頼できる、授業が楽しいと感じ、勉強に対して面白みや充足感を得ながら、意欲を持って取り組める、マグネットのような力の事です。

 

「正しい方向を示すコンパス」は、生徒たちが目標とする大学に合格して活躍できるよう支え、相談相手となり、生徒1人1人についてきちんと理解してともに進んでいく、指針のような存在になる力の事です。

 

「大学受験グノーブル」の他にも、2013年の夏には、中学受験のための「中学受験グノーブル」や、「個別指導グノリンク」を開校し、同10月には「英会話グノキッズ」も開校しています。

 

プロの講師と開かれた入り口が魅力の「成増塾」

成増塾は、東大、早稲田、慶応、また医学部などの難関大学を目標とする現役高校生を指導する塾として、1996年に東京都板橋区の成増で創立しました。

 

「入塾時点では成績が芳しくなくとも、本人にやる気があれば驚くほどの速さで成績を伸ばす事もしばしばある」という方針で、入塾時の学力テストの点数が悪くても、入塾を断る事はしません。指定校制もなく、進学名門校ではない、2、3番手の高校からも生徒が通い、そうした生徒の中からも東大などの難関校に合格者を出しています。

 

2008年から2014年の成増塾の合格実績では、東大、医学部、早慶上智、難関国立私立大学への合格率は平均で76.4%と高い水準をキープしており、それは徹底した少人数制の指導のたまものといえます。

 

設立以来、「教える人数は、講師が完全に把握できる範囲にとどめる」という指針で、1クラスの人数はほとんどが10名前後で、最大でも20名と決まっています。

 

授業で教える範囲の問題を事前に生徒に解くように指示し、授業開始前に答案を回収する事で、生徒がどの程度理解しているのかを把握して授業をする講師も多くいます。また授業は「間違った時こそ記憶に残る」というスタンスで、次々生徒に発問しながら進めます。

 

講師はみなプロの講師で、アルバイトの学生講師はいません。うまく受験を切り抜けた優秀な大学生には、自分が受験生だった時の経験を活かし、それだけで指導する傾向が見受けられるためです。一方プロの塾講師は、その長年の経験に基づき、あらゆるタイプの生徒に対して、またその目指す大学それぞれに合わせた指導が可能なのです。

 

そうした優秀な指導のできる講師を集めるために、待遇は惜しみません。講師の実力ややる気が給与を左右し、年収1000万円の若手講師もいるほどです。

 

灘校生の御用達、授業スタイルが豊富な「研伸館」

研伸館は阪神地区を中心として展開しており、1978年に現役高校生を対象とした大学受験指導塾として開校し、1993年には中高一貫校に通う生徒を対象とする中学生課程が開かれました。校舎は近畿地方に9校舎と、他にも個別指導部門の研伸館プライベートスクールの校舎が6校舎あります。

 

灘校生が数多く通う塾としても知られ、2017年の研伸館発表の合格実績は、東大40名、京大86名、大阪大85名、神戸大91名です。

 

「余裕で、難関大学へ」という標語を掲げており、授業の進度が早い事が特徴です。英語と数学の特に進みの早いクラスでは、中学2年生時点で高校の授業で扱う範囲を学習しています。ですが、もちろん生徒それぞれ学習進度や理解度は異なっていますし、中途入塾の生徒もいるため、進度の様々なクラスが多数用意されています。

 

ほとんどが専任講師で、特徴的な「VODシステム」という、授業を高画質のカメラで撮影し、後から視聴できるようにする仕組みがあるため、欠席時の補完についても心配がありません。教育界で注目されている、予習をして授業にのぞむのではなく、まず授業をし、それから復習する事で理解を深める「反転授業」も採用しています。

 

また映像授業が中心の「研伸館SAT」という講座もあり、この講座では生徒がそれぞれ都合の良いタイミングで通塾し、それぞれの進度に合った映像授業で学習を進める事ができます。理解の及ばない部分などについてコーチングスタッフと呼ばれる指導員に質問する時間も設けられています。

 

奈良の有名進学校の西大和学園では、2013年度から、放課後の教室で研伸館の講師が指導する授業を受ける事ができるようになっています。

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