出生前診断、着床前診断の最前線!新しい診断法で何が分かるのか?

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遺伝子検査

最近、新聞やニュースなどで出生前診断や着床前診断という言葉を耳にすることが増えてきました。字面を見ると赤ちゃんが生まれてくる前に何らかの検査や診断をするのかな、という印象を受けますが、妊娠されている方であっても詳しいことがよく分からないという方は多いのではないでしょうか。ここでは、出生前診断や着床前診断とはどういうものなのかについて説明していきたいと思います。

 

意外に頻度の多い流産

「不育症」と呼ばれる症状があります。これは、受精や受精卵の着床という点では問題が無いにも関わらず、流産したり死産になってしまうということを何度も繰り返し、出産までこぎ着けることができないような症状のことです。

 

もともと、人間はなかなか妊娠しにくい生き物で、妊娠を目的に性行為を行った場合の1ヶ月あたりの妊娠率は25%程度となっています。それだけでなく、流産する確率もわりあいに高くなっているのです。

 

妊娠した後に流産してしまう確率は一般の人の印象よりもかなり高く、12.5%にものぼります。これは全年齢を通してみたときの平均であり、40歳以上だけにしぼってみるとなんと25%になってきます。つまり、40歳以上の妊娠では4人に1人までもが流産する危険があるというわけです。このように、人間は妊娠したり出産にこぎ着けるのがたいへん難しい種だと言えます。

 

ところで、1回流産してしまう確率は12.5%程度と思ったより高いかもしれませんが、これが2回連続で流産する確率となると約2%まで下がります。「不育症」とは、このように2回連続して流産した場合を指し、2回目の流産のことを反復流産といい、3回目になると習慣流産といいます。

 

反復流産の確率は約2%ですから、50人の妊婦さんがいると1人がそれを経験するという割合になります。これが習慣流産になると、100人から150人の妊婦さんに1人という計算になってきます。こう聞くと、反復流産の確率も習慣流産の確率も意外に高いとびっくりされる方も多いのではないでしょうか。

 

流産する原因にはいろいろなものがあります。たとえば、子宮に奇形がある場合、自己免疫疾患、血液凝固障害、ホルモンの異常、甲状腺機能の異常といったものが例としてあげることができますが、原因の中でも多くを占めているのは染色体に異常が見られる場合で、流産全体の60%~70%にのぼるという調査結果もあります。

 

高齢出産で染色体異常は増加する

染色体は細胞内部の核などにあるもので、内部に遺伝情報を持っています。この遺伝情報はDNAとよばれる形で記録されており、子どもを作る際にはその遺伝情報を利用して情報を移していくことになります。子どもが親に似た特徴を持って生まれてくるのはこの染色体の働きがあるからです。

 

人間の場合、染色体は46本で構成されています。46本のうち44本までは2本で一組になっているので、1番から22番までのナンバーを割り振って見分けています。

 

2本で一組になっている正常な状態の染色体はダイソミーといいます。これに対して、染色体に問題が生じて2本で一組にならなくなってしまうことがあります。1本しかなかったり、数が増えてしまったりすることがあるのです。こうした以上のうち、3本で一組になってしまった染色体をトリソミーといいます。

 

染色体に異常があると、生まれてくる子どもにはさまざまな異常や障がい、疾患が発生します。たとえば最近よく言われるダウン症ですが、これは21番目の染色体がトリソミーになってしまっている場合に発症するもので、生まれつき心臓に問題があったり、外表異常や知的障がいなどを持って生まれてくることがあります。

 

いくつもある染色体の異常の中でもダウン症がよく知られているのは、ダウン症は比較的流産の頻度が少なく、問題は抱えているものの普通に生まれてくることができるからだと思われます。

 

染色体の異常は21番目の染色体以外にも発生します。例えば13番目や18番目の染色体にトリソミーが起きることがあります。どちらの場合も重い知的障がいや、命に関わる心臓の疾患や、消化器の疾患などが起こりやすく、多くの場合は流産したり1歳を迎えるまでに赤ちゃんが死んでしまったりします。

 

染色体の異常は、女性が妊娠適齢期であってもそれなりの頻度で起きることではありますが、女性の年齢が上がると発生頻度が上昇します。子どもを妊娠した時にダウン症となる可能性を年齢で比較してみると、女性が25歳の場合には0.1%なのに対し、35歳では0.34%と約3倍に増加するという調査があります。

 

なお、この調査によると、40歳で妊娠した場合は確率が1%を超え、45歳の場合は4.8にまで上がるという結果が出ています。

 

高齢出産で染色体異常が起きやすくなる理由は、加齢によって卵子の質が下がっていることがあげられます。卵子が老化して質が下がってくると、受精後の減数分裂にトラブルが発生し、それによって染色体の数に問題が発生してくるのです。

 

染色体に異常がある場合に流産が発生することが多いのは、自然淘汰の原理が働いているからだと考えられています。異常を抱えたまま生まれてきてもその後きちんと生きていくことができないので流産してしまうのだろうというのです。ですから、妊娠した子どもに染色体異常があって流産してしまった場合、むやみに自分を責めたり悲しんだりする必要はありません。

 

一方で、ダウン症の場合は染色体に異常があっても元気に産まれてくる場合が多いわけですが、これは流産してまで自然淘汰する必要がないということなのかもしれません。

 

出生前診断はここまできた

アメリカの企業が手がけた技術によって、妊婦さんの血液を調べると赤ちゃんがダウン症かどうかが診断できるという内容のニュースが新聞記事の見出しを飾ったことがあります。平成24年8月のことです。

 

この新しい検査はNIPT(Non-invasive Prenatal Genetic Testing、非侵襲的出生前遺伝学的検査)と呼ばれるもので、妊婦さんの血液を採取し、そこに含まれる赤ちゃんのDNAを調査することで、赤ちゃんがダウン症であるかどうかが99%の精度で分かるだけでなく、13トリソミーと18トリソミーというの染色体異常(重度の障がいを引き起こすもの)についても診断できるというものです。

 

当時、このNIPTという新しい検査は東京などの5カ所の医療機関で導入予定であると報道されましたが、最近では当時とは状況が変わっています。平成26年12月1日の時点では国内で45カ所の医療機関がこのNIPT検査を手がけるようになっています(NIPTコンソーシアムHPより)。

 

もともと、染色体の解析は1960年ごろから行われはじめ、1990年ごろには母体血清マーカーテスト(いわゆるトリプルマーカーテストないしクアトロテスト)と呼ばれる検査の手法が構築されるに至りました。この検査では、赤ちゃんにダウン症や18トリソミーが発生する確率を調べることができます。

 

こういった検査については注意しておくべき点があります。それは、あくまで染色体に異常が発生する確率が分かるという性質の検査であって、染色体の異常があるかどうかの診断を確定することのできるものではない、ということです。

 

例えば、35歳の女性が妊娠した場合に赤ちゃんがダウン症になる可能性は、平均で0.34%であることが分かっています。つまり、おおよそ295人に1人の割合で発症するわけです。この状態で母体血清マーカーテストを受けるわけですが、そうすると0.2%(1/500)であるとか、2%(1/50)であるとかいうような検査結果が出るだけなのです。その女性の赤ちゃんがまちがいなくダウン症であるとか、ダウン症でないとかいうことが分かるわけではありません。

 

こういった出生前診断については有名人が利用することで話題に上ったり議論の対象になったりすることがあります。たとえばNIPTの話が取りざたされたのと同じ平成24年には、女子プロゴルファーの東尾理子さんのケースが話題になりました。クアトロテストの結果、産まれる予定のお子さんが約1.22%(1/82)の確率でダウン症である可能性があるということが分かったとブログで発表されたからです。

 

染色体の異常は羊水検査でないと確定できない

母体血清マーカーテストやNIPT検査は、あくまで染色体の異常の確率を出すもので、診断が確定するという性質のものではありません。染色体の異常があるかどうかを確定するには、羊水検査という検査をする必要があります。

 

この羊水検査というのは、妊婦さんの子宮から赤ちゃんの細胞が混じった羊水を吸い取り、そこに含まれる染色体を調べて異常のあるなしを調べる、というやり方をするものです。この検査を行えば、ダウン症をはじめとする染色体異常についてあるかないかの確定をすることができます。

 

しかし、この羊水検査には大きな危険性があります。それは、破水して流産してしまう可能性が低くないということです。羊水検査という検査方法は妊婦さんの子宮に長い針状のものを刺し、羊水を吸い取るという侵襲的なやり方で行います。これによって、おおよそ200~300回に1回の割合で流産を招いてしまう可能性があるのです。

 

この確率をより分かりやすく言えば、規模の大きな医療機関では1年に1件から2件の流産が起きてしまう、と言えるかと思います。この確率をどう捉えるかは人それぞれかもしれませんが、まったく無視していい数字ではないと思います。

 

これに対しNIPT検査が取りざたされたときには、羊水検査のような侵襲性がなく、しかも99%の確率でダウン症の有無が分かると報道されました。つまり、羊水検査のような流産の危険性なく、相当高い確度で検査ができると報道されたのです。しかしこうした表現は誤解を招く可能性があります。

 

最初に報道されたときの「99%」というのは表現が完全に間違っているわけではありません。しかし、まったく正確というわけでもないのです。

 

NIPT検査では、「染色体に異常がある可能性が高いケースで検査を行った場合に」的中する確率が99%というのが正確な言い方になります。これが普通のケースもすべて入れて検査を行った場合は、陽性であるかどうかは最低49%にまで的中率が下がります。つまり、染色体の異常があるかどうかを49%~99%の間で見ることができる、と考えた方がいいかもしれません。

 

それでもNIPT検査が新しいと言われるのは、従来のマーカーテストよりは精度が上昇しているからです。

 

従来の検査では高くても12.5%~20%の精度がいいところなのですが、NIPT検査で陽性と出た場合、最低でも約1/2の精度を得ることができます。また、結果が陰性(染色体に異常がない)となった場合の的中率は99%ということになりますので、そうした点を見ても新しいと言われるだけのことはあるのでしょう。

 

このように、NIPT検査が普及することでやる必要のない羊水検査を減らすことはできるかもしれません。しかし、NIPT検査で陽性の結果となり、染色体の異常が50%以上の確率でありえるという結果が出た場合、診断を確定させるにはやはり未だに羊水検査を行わねばならないという事実は頭に留めておかねばなりません。

 

出生前診断と中絶

羊水検査を行った結果赤ちゃんの染色体に異常があった場合、両親はどうするでしょうか。中絶するという方もあるかもしれませんが、実は現在の日本の法律ではこうした理由による中絶を認めるとの記載はありません。

 

人工妊娠中絶について定めている母体保護法では、以下の2つの場合にのみ中絶を認めています。

(1) 身体的、または経済的な理由によって母体の健康が著しく阻害されるおそれがある妊娠の場合

(2) 暴行や脅迫によって抵抗・拒絶できなかった際の妊娠の場合

 

つまり、日本の法律では中絶に関する胎児条項がなく、赤ちゃんに先天的な異常があるという理由で人工中絶できるとの記載はありません。(母体保護法は、なし崩し的に形骸化していると考えられます)

 

中絶に関する法律の要件は国ごとに異なっており、たとえば英国では赤ちゃんに先天的な異常がある場合に人工中絶を行うことができると明記されています。こうした定めのある英国では、赤ちゃんがダウン症だと分かった際には中絶する人もいますし、あるいはそのまま出産する人もいるようです。

 

赤ちゃんの染色体に異常がないかを調べる検査には母体血清マーカーテスト、NIPT検査、羊水検査がありますが、これらはすべてまとめて出生前診断と呼ばれています。これらの他にも、筋ジストロフィー症という遺伝病を発見できる絨毛検査というものもあります。絨毛検査とは、胎盤から絨毛とよばれる組織を採り、それを検査するというものです。

 

いま日本では、出生前診断にはどんなものがあるのかを説明するかどうかは医師や医療機関に任された格好になっています。このため、出生前診断について積極的に説明する医療機関もあればそうでないところもあり、医療機関によってばらつきが見られるようです。

 

出生前診断には限界もありますし、またリスクもゼロではありません。このため、出生前診断を利用したいという場合、医師への質問、産科のカウンセリング、書籍などからその診断がどういった目的で行われるものなのか、そしてどういった結果が得られるのか、どんなふうに検査が進むのか、検査によるリスクはないのか、といったことをきちんと調べてから臨むようにすべきです。

 

特に羊水検査は流産する危険性と隣り合わせですので、受けるかどうかは慎重に考えた方がいいでしょう。ちなみに羊水検査をあえて受けた理由を調べて見ると、1番多いのは染色体異常、2番目は遺伝となっています。これは、親のどちらかが染色体や遺伝的に異常を持っていたり、前に産んだ子供に染色体の異常があったという場合などが該当します。

 

羊水検査を受ける理由の3番目には高齢出産が来ますが、実感としてはこうした理由が最も多いように感じられるという医師もいます。

 

生む権利・中絶する権利

羊水検査などの出生前診断で赤ちゃんに染色体の異常が見つかると、ほとんどの場合は人工中絶することを選択されるようです。

 

また、人工中絶せずにそのまま生むという決断をする場合でも、たとえば不育症や不妊症の治療をずっとやってこられてやっと妊娠できたといったような事情があることが多く、生むのか中絶するのかについてはひどく悩んだ上での決断、というようなことが多いようです。

 

障がいを持っているからといって命を勝手に奪っていいのかといったような視点はあると思いますが、出生前診断自体を行うことはあっても良いのではないかと考えられます。というのも、致死的な症状を引き起こすような染色体の異常を調べるには、今のところ羊水検査以外に方法がないからです。

 

出生前診断の技術そのものと、出生前診断をして分かった事実をもとに、生むのか中絶するのかを考えるのは別物です。

 

出生前診断の結果をもとにした中絶という行為については、賛否両論があるかと思います。

 

賛成の立場としては、赤ちゃんの両親の間にきちんとした理解が形成され、お互いに合意ができている場合に限りますが、生む権利も中絶をする権利もあるというものがあるでしょう。赤ちゃんは誰のものでもなくそれを生む両親のものですので、周囲や医師などがとやかくいうものではないという考え方です。

 

一方、反対の立場として、赤ちゃんの立場に立った見方もあります。その場合は、中絶とは赤ちゃんの命を絶つ行為ですから、いわば殺人と同じ行為という見解です。さらには現代日本のように少子化が進行しているなか、毎年20万件近くに上っている人工中絶という事実を考えれば、安易な中絶は認められるべきではないという意見もあるかもしれません。

 

いずれの立場に立つのも人それぞれかと思いますが、女性の妊娠・出産にまつわる知識を正確に持つことにより、より安全に、より確実に妊娠・出産にいたることができるというのは論を待たないかと思います。

 

女性の年齢と妊娠・出産の関係や、不妊症の治療やその有効性について、正しい知識を知ることによって、望む人が元気いっぱいの赤ちゃんを産めるようになって欲しいと思います。

 

着床前診断とその問題点

妊娠した後に赤ちゃんが生まれる前に遺伝子に異常がないかどうかを検査することを出生前診断といいますが、一方で着床前診断といった検査も存在します。

 

着床前診断とは、採卵した卵子と精子で体外受精を行い、受精が成立して受精卵となった時に細胞を取って、染色体や遺伝子に異常がないかを検査するという手法です。これを行うことにより、先天的な異常であったり病気の有無といったものを診断することができます。

 

この検査を行って特に問題が無かった場合には受精卵を女性の体に戻し、着床すれば妊娠が成立します。問題があった場合には、その受精卵は廃棄されることになります。

 

ヨーロッパ諸国など、宗教上の理由などから人工中絶が禁止されている国では、この着床前診断の技術が発展を遂げています。人工中絶は胎児すなわち人間の命を絶つものだから認められないが、着床前であれば受精卵にすぎないので宗教上の問題はない、といった立場に立ったものです。

 

とはいえ、この着床前診断についても反対する意見もないわけではありません。着床前とはいっても、受精卵にも命はあってそれを絶つことは人間の命を絶つのと同じである、という主張もやはりあるのです。

 

着床前診断はおおまかに2つのタイプの検査に分けることができます。1つは着床前遺伝子診断(PGD)と呼ばれるもので、もう1つは着床前遺伝子スクリーニング(PGS)とよばれるものです。

 

着床前遺伝子診断は、特定の遺伝子異常の有無を診断するためのものです。日本では重い遺伝病を有する夫婦が子どもを作る場合に限って、臨床研究の一環としてのみ実施されています。日本では2004年に慶応大で初めて行われ、そのときには以前筋ジストロフィーの子どもを出産した両親に対して行われました。

 

着床前遺伝子スクリーニングは、染色体の異常を調べて異常のあるものを事前に除く目的で行われるものです。「スクリーニング」とは「よりわけ、選別」といった意味の言葉で、検査の時点で性別も判明しますから、男女産み分けにも利用することもできます。

 

日本産科婦人科学会では、着床前遺伝子スクリーニングを基本的に禁止するという立場を取っていますが、それに反対する声もまた存在します。

 

兵庫県には、学会の指針に反することは知った上で着床前遺伝子スクリーニングを行い、その結果を公表している産婦人科の医師がいます。この医師はウェブサイトにおいて着床前遺伝子スクリーニングのことを習慣流産や不妊に悩まされている人が子どもを得るためのものとして紹介しています。

 

確かに、染色体に問題がある場合、受精卵が着床してもその後97%という高確率で流産ないし死産してしまうという事実はあります。このため、着床前遺伝子スクリーニングを行うことによって赤ちゃんとしてきちんと育つ可能性のあるものだけを母体に戻せると言っているわけです。

 

そのように聞くとなるほどそれなら何も問題は無いのではと考えてしまいますが、ヨーロッパで着床前遺伝子スクリーニングを行った研究結果を見る限り、受精卵をよりわけて「きちんと育つ可能性のある」ものを子宮に戻した場合であっても、流産率も妊娠率もよくはなっていないというのが実際のところのようです。

 

また、今後生殖医療の技術が進歩し、流産率が減ったとしてもどれだけ意味があるのかという点も見逃せません。というのも、流産率が減るというのは流産してしまうような問題のある受精卵をきちんと選別することができるようになるというだけのことであって、妊娠率の改善には必ずしもつながらないからです。

 

こういった技術を使おうという方たちはとにかく子どもを授かりたいのであり、妊娠率が良くならないのでは技術が上がっても意味が無いわけです。

 

ここで忘れてはならないのは、子どもに障がいが起きるのは何も染色体や遺伝子に異常にある場合に限ったものではない、ということです。それはあくまで確率の問題であり、ある程度の割合で必ず起きてくるものなのです。

 

心臓に奇形があるという重症の障がいから、指が一本多いというようなわりあい軽症の障がいまですべて含めて考えたとき、何らかの障がいを抱えた子どもは全体の2.5%~4.5%ほども存在すると言われています。

 

分かりやすく言えば、22人~40人赤ちゃんがいるとそのうち1人は生まれながらになにがしかの異常を持っているということになります。1年間に200回お産をする病院であれば、1年間に5人から9人には異常があることになります。

 

また、近頃日本ではダウン症を持つ方々が自分がダウン症であることを公にしたうえで社会のあちこちに進出するようになっています。中には芸術の分野ですばらしい才能を示すような方もいて、ダウン症を持っていたら生きていけないのか、と社会に問いかけているかのようです。

 

ダウン症は何かひどい病気のような印象をお持ちの方もあるかもしれませんが、他の染色体異常のように流産にまで至ることはありません。我々はもしかするとダウン症は異常や障がいではなく、その人の個性であると捉えるような多様性を持った視点を持つようにすべきなのかもしれません。

 

目に見える障がいや疾患を持たず、遺伝的に自分は問題ないと思っている方は多いと思いますが、実際には何らかの遺伝上の異常を持っている場合が多くあります。単にその異常が目に見える形で出なかったというだけなのです。

 

着床前遺伝子スクリーニングは、検査を行った時点で性別も判明することから、男女産み分けにも利用することもできる技術です。人間の男女の性別は染色体が決定していますので、受精卵を調べた時点でそれが男性になるか女性になるかは分かるのです。

 

日本では着床前診断によって男女を産み分けること自体が禁止されていますが、そもそもそれが禁止されていなかったり、禁止はされていても罰則がないような国もあります。このため、男女の産み分けを目的として海外に渡航し、スクリーニングを行って産み分けをするような人も現実に存在します。

 

たとえば2012年7月の読売新聞に、タイに渡航して着床前診断を受けて男女を産み分けている日本人が急速に増えているという記事が掲載されたことがあります。それによると、90組もの夫婦が男女産み分けを目的としてタイに渡航したとされています。

 

男女の産み分けを選択した夫婦の間には何か切羽詰まった理由があったのかもしれませんが、普通に子宮に戻した場合にちゃんと赤ちゃんまで発育できる胚を、性別が望みと違っていたからという理由だけで廃棄してしまうことには果たして問題は無いのでしょうか。

 

着床前診断は、このような倫理上の問題も引き起こしかねない技術であることもまた忘れてはならないのです。

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