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口内炎がなかなか治らない場合は、別の病気を疑ってみよう!

口内炎

口内炎がなかなか治らない場合、それは口内炎ではないかもしれません。一般的な口内炎である「アフタ性口内炎」は放っておいても治りますが、それ以外の場合は病院での診察が必要となります。

 

具体的には、以下の項目に1つでも当てはまる場合は、病院で診察してもらってください。

・口内炎が口の中にたくさんできた

・水ぶくれが破れて口内炎になった

・口内炎の斑点が急に広がりはじめた

・皮膚の発疹など全身症状がある

・2週間以上たっても治らない

 

口内炎と間違えやすい別の病気には、どのようなものがあるのかいくつか見ていきたいと思います。

 

天疱瘡

天疱瘡とはどんな病気?

天疱瘡とは、全身の皮膚・口の中の粘膜等に、びらん(皮膚や粘膜の欠損)や水疱(水ぶくれ)ができる病気で、厚生労働省の指定難病となっています。

 

天疱瘡ができる場所は様々ですが、口の中にできた場合、口内炎と間違えやすいです。口内炎と思って治療せずに放置すると、症状がひどくなり、身体の他の範囲にも広がってきます。背中など他の場所に、びらんや水疱ができて、口内炎とは違うと気付く人も多いようです。

天疱瘡

 

天疱瘡の原因

天疱瘡は、自己免疫疾患です。つまり、免疫(抗体)が自分自身を攻撃することが原因です。私たちの身体は、抗体の働きにより、外部の細菌やウイルスから身体を守っています(つまり免疫機能が正常に働いています)。しかし、何らかのきっかけで自分を攻撃する抗体ができてしまうことがあります。

抗体

 

皮膚や粘膜は、デスモグレインというタンパク質で、細胞同士がくっついています。つまり、デスモグレインが接着剤の役割をしているため、皮膚表面は通常なめらかになっています。

 

しかし、デスモグレインを攻撃する抗体が量産されると、接着機能が弱くなるため、びらんや水疱ができてしまいます。デスモグレインを攻撃する抗体が、なぜできるのかについては、現在詳しくは分かっていません。

 

天疱瘡の発症割合

天疱瘡の患者は日本全国で、約5500人※1です。日本人口を約1億3000万人とすれば、発症割合は約0.00423%で、1万人あたり0.423人の発症となります。

※1:厚生労働省「平成25年度衛生行政報告例」より、天疱瘡の特定疾患医療受給者数

 

天疱瘡の治療法

天疱瘡の疑いがある場合は、皮膚科を受診してください。

ステロイド剤を内服するのが主な治療法です。効果が無い場合は、免疫抑制剤や血液から抗体取り除く方法などが用いられます。

医者の診察

 

ベーチェット病

ベーチェット病とはどんな病気?

ベーチェット病とは、口の中の粘膜、皮膚、外陰部、眼の4箇所の炎症を主として、全身に炎症ができる病気で、厚生労働省の指定難病となっています。口の中の粘膜にできた炎症は、口内炎と間違えやすいです。

ベーチェット病

 

ベーチェット病は、医学的には「慢性再発性の全身性炎症性疾患」とされています。つまり、炎症が長く持続する慢性炎症ではなく、急性の炎症が繰り返し繰り返し発症し、つなげて見ると長く持続しているといった病気です。

 

日本~中国~中近東~地中海沿岸のシルクロード地域に多く発症していることから、シルクロード病とも呼ばれています。

シルクロード

 

ベーチェット病の原因

ベーチェット病の原因は、現時点では不明です。

最も有力な仮説は、何かしらの遺伝要因に何かしらの環境要因(細菌やウイルス等)が重なることで、白血球などの免疫システムが異常に活性化して、炎症が発症すると考えられています。

ベーチェット病発症のメカニズム

 

遺伝要因として有力な説は、HLA-B51です。HLAとは白血球の血液型で、この血液型がB51という意味です。HLAが何型かでかかりやすい病気というのが分かっており、HLA-B51の人は、そうでない人に比べてベーチェット病に9.3倍かかりやすいのが分かっています。

HLAの型 病名 かかりやすさ
HLA-A2 バセドウ病 2倍
HLA-B39 全身性エリテマトーデス 6.3倍
HLA-B51 ベーチェット病 9.3倍
HLA-B52 高安動脈炎 3.2倍
HLA-B54 糖尿病Ⅰ型 4.8倍
HLA-Cw6 尋常性乾癬 1.7倍
HLA-DR2 潰瘍性大腸炎 4.5倍
HLA-DRw53 橋本病 4.5倍

(HLAの型とかかりやすい病気(一例)/ 出典:公益財団法人HLA研究所)

 

ただし、HLA-B51だからといってベーチェット病になるとは限りません。上で説明の通り、遺伝要因に外部要因が重なることでなると考えられており、実際HLA-B51の人でもベーチェット病でない人もいます。

 

シルクロード地域に患者が集中していることから、環境要因が関与している可能性は高く、環境要因の代表としては細菌やウイルス等が考えられますが、その中でも口腔内の細菌の状態が関係している説が有力です。

細菌

 

ベーチェット病の発症割合

ベーチェット病の患者は日本全国で、約19147人※2です。日本人口を約1億3000万人とすれば、発症割合は約0.015%で、1万人あたり1.5人の発症となります。

※2:厚生労働省「平成25年度衛生行政報告例」より、ベーチェット病の特定疾患医療受給者数

 

ベーチェット病の治療法

ベーチェット病の疑いがある場合は、皮膚科を受診してください。

ベーチェット病は、身体の様々な場所に炎症ができるため症状が多様になります。単一の治療法はなく、各々の患者さんの症状を診察・検査して治療方針を確立させます。

医者の診察

 

白血病

白血病とはどんな病気?

白血病とは、血液の癌です。骨髄で血液細胞が作られる時に変異し、癌化した細胞(白血病細胞)になり増殖します。正常な血液細胞が減少するため、感染症、貧血、出血などの症状が現れます。感染症の1つとして、口内炎が発症する場合があります。

白血病

 

白血病の原因

白血病は、遺伝子異常の起きた血液細胞の1つが、ゆっくり増殖することで発症します。ただし、遺伝子異常がなぜ起きるのかについては、現在詳しくは分かっていません。

正常な血液と白血病の血液

 

放射線被曝、ベンゼンやトルエン、一部の化学物質、HTLVウイルスなどは、遺伝子異常を起こす要因と考えられていますが、これらが原因で遺伝子異常が起こるのはほんの一部で、その他の遺伝子異常の原因は不明です。

 

白血病の発症割合

2011年に白血病を発症した人は、12269人※3です。ただし、これは年間の罹患数です。現在日本国内に白血病患者が何人存在するかという発症率は不明です。

※3:国立がん研究センター「がん登録・統計」より、最新の2011年の白血病罹患者数

 

白血病の治療法

白血病の疑いがある場合は、血液内科を受診してください。

抗がん剤による薬物療法が基本となり、造血幹細胞の移植(強力な抗がん剤などで白血病細胞を死滅させ、正常な細胞を移植)を行うこともあります。

医者の診察

 

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とはどんな病気?

悪性リンパ腫とは、血液の癌です。白血球の中に存在するリンパ球が変異し、癌化した細胞になり増殖します。

 

リンパ系の組織は全身に存在するため、全身で症状が現れる可能性がありますが、主にはリンパ節の多い場所(首、脇下等)に、腫れやしこりが発生します。悪性リンパ腫になると免疫力が低下するため、口内炎が発症することがあります。

 

悪性リンパ腫の原因

悪性リンパ腫の原因は、現時点では不明です。

有力な仮説としては、細胞内の染色体異常により、染色体内の癌遺伝子が活性化して、リンパ球が癌化すると考えられています。また、細菌やウイルスの感染が原因とする説も有力になってきています。

 

悪性リンパ腫の発症割合

2011年に悪性リンパ腫を発症した人は、24778人※4です。ただし、これは年間の罹患数です。現在日本国内に悪性リンパ腫患者が何人存在するかという発症率は不明です。

※4:国立がん研究センター「がん登録・統計」より、最新の2011年の悪性リンパ腫罹患者数

 

悪性リンパ腫の治療法

悪性リンパ腫の疑いがある場合は、血液内科を受診してください。

抗がん剤や癌に効く人工抗体などによる薬物療法、放射線療法、造血幹細胞の移植などの治療法があります。

医者の診察

 

口腔癌

口腔癌とはどんな病気?

口腔癌とは、字の通り、口の中にできる癌です。口の中の場所により、舌癌、口腔底癌、歯肉癌、頬粘膜癌、・・・といくつか種類があります。できる場所も口内炎と同じ口腔内で、初めのうちは見た目も口内炎との区別が付かないものが多いです。

口腔癌

 

口腔癌の原因

口腔癌の原因は、たばこ、お酒、口腔内の不衛生、虫歯の放置などですが、最大の原因は「たばこ」です。たばこには、発癌性物質や有害物質が多数含まれており、煙の通り道である口腔内は影響を受けやすい環境にあります。

喫煙している人

 

口腔癌の発症割合

2011年に口腔癌(咽頭癌含む)を発症した人は、15716人※5です。ただし、これは年間の罹患数です。現在日本国内に口腔癌患者が何人存在するかという発症率は不明です。

※5:国立がん研究センター「がん登録・統計」より、最新の2011年の口腔・咽頭癌罹患者数

 

口腔癌の治療法

口腔癌の疑いがある場合は、口腔外科を受診してください。

抗がん剤による薬物療法、放射線療法などもありますが、手術をするケースが多いようです。

医者の診察

 

以上、口内炎と間違えやすい病気や口内炎を伴う病気をいくつか見てきましたが、他にも挙げ出すと切りがないほどたくさんあります。お母さん方はご存じかと思いますが、「ペルパンギーナ」、「手足口病」、「ヘルペス性歯肉炎」なども口内炎と間違えやすい病気です。

 

一般的な口内炎である「アフタ性口内炎」以外は、病院で診察が必要です。口内炎が2週間以上治らない、口内炎が口の中にたくさんできた、皮膚の発疹など口腔内以外の症状があるなど、気になる場合はまずは歯医者さんに相談しましょう。

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