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肩こりの原因はモヤモヤ血管!肩こりを解消する「用手圧迫」の方法

肩こり

肩こりにお悩みではないですか?

 

毎日お仕事を頑張っているお父さん、子育てに奮闘しているお母さん、最近では受験や塾と小さい頃からの勉強、ゲームやスマホの長時間使用などの影響で子どもの肩こりも増えています。国民病と言われるだけあり、多くの人が肩こりに悩んでいると思います。

 

実はここ数年の最新の医学研究で、肩こりの新たな原因が解明されたのです。今までマッサージや整体など、いろいろ試したけど効果なしという方には朗報になるかもしれません。 

 

肩こりの原因「モヤモヤ血管」

2012年に衝撃的な論文※1が発表されました。肩こりなどの慢性痛(長引く痛み)の原因はモヤモヤ血管であり、そのモヤモヤ血管のできる原因を解明したものです。

※1:Pathological neoangiogenesis depends on oxidative stress regulation by ATM.

 

この論文は、「Nature Medicine」という医学研究の成果を載せる権威ある学術誌に掲載されました。また、臨床での成果も出ており、モヤモヤ血管を撃退する治療※2をして痛みが取れた人も多数存在します。

※2:現在モヤモヤ血管に対する治療法を行っている医療機関は、上記論文作成者奥野氏が勤務する江戸川病院のみですが、いくつかの医療機関が年内に導入を検討中。(自分でできる方法も後述します)

 

モヤモヤ血管とは何なのでしょうか?

 

そもそも血管には

・生理的血管・・・生きるのに役立つ正常血管

・病的血管・・・その名の通り、病気を発生・悪化させてしまう異常血管

の2種類があり、モヤモヤ血管とは病的血管のことです。モヤモヤ血管発見者の奥野氏に聞いたわけではないですが、見た目がモヤモヤとしているため「モヤモヤ血管」と分かりやすくネーミングしたと思われます。

肩のモヤモヤ血管と正常血管

 

こちらの画像の方が分かりやすいかもしれません。

手のモヤモヤ血管と正常血管

 

このように、モヤモヤした(ぐちゃぐちゃした)血管が、肩こりなどの慢性痛の場所には存在するのですが、モヤモヤ血管はレントゲンやMRIには映らないため、今まで気付かず検査されてこなかったのです。

 

血管は「酸素や栄養を運ぶ良い組織」というのが今までの医学の考えでしたが、実際には痛みのある場所には、ろくでもない役に立たない血管ができて痛みの原因になっているのです。

 

つまり、肩こりの場所にはモヤモヤ血管があり、これを撃退させると肩こりも解消するというわけです。

 

肩こりを「用手圧迫」で解消!

では、肩こりの原因となっているモヤモヤ血管を撃退する方法を早速説明していきたいと思います。「モヤモヤ血管のある場所が痛くなる理由」や「モヤモヤ血管ができる原因」については後ほどご説明します。

 

モヤモヤ血管の見つけ方

まず、モヤモヤ血管がどこにあるかを見つけないと撃退はできません。モヤモヤ血管を見つける方法は以下の通りです。

① 指で押すと痛みが痛みが発生する、もしくは元々ある痛みが強くなる、という場所にはモヤモヤ血管が存在する。(圧痛の有る場所)

② じっとしていても痛い場所にはモヤモヤ血管が存在する。

③ モヤモヤ血管の痛みは、「ジンジン」「ズキズキ」「チクチク」「ズーン(重い)」・・・という感じ方。

 

注1)圧痛がない、じっとしていても痛くないからといってモヤモヤ血管が無いとは限りません。但しこの場合は、素人が自分でモヤモヤ血管を探すのは不可能です。

圧痛、痛みの有無とモヤモヤ血管

 

注2)「ジンジン」「チクチク」という痛みの場合、「神経障害性疼痛」という神経の痛みと考えられている場合が多いのですが、モヤモヤ血管の発見者である奥野氏によれば、このような痛みの分類学も近い将来見直される可能性があると考えているようです。

 

以上①~③の痛みの出方、感じ方を参考に探してみてください。

モヤモヤ血管を探す男女

 

ここで注意点として、「肩こり」と言うといわゆる肩(鎖骨の上の筋肉周辺)が痛いと思っている人が結構います。その部分も痛いと思いますが、実際に押して探してみると背中の部分にかけても痛い場所(圧痛のある場所)があることがあります。

背中

 

肩こりというネーミングと、肩と背中は場所的に近いので、総じて“肩”と思い込んでしまっている場合がありますので注意が必要です。モヤモヤ血管の発見者である奥野氏の臨床経験によれば、肩こりの原因の多くは、首~肩~背中の場所にできたモヤモヤ血管とのことです。首、肩、背中、全体的に探っていきましょう。

首、肩、背中

 

首や肩は指で押せますが、背中部分は手が届かない、届いても力が入らないという人が多いと思います。その場合は、傘の柄で押すなど工夫してください。

傘の柄で背中を押す人

 

あと、こちらの方が便利ですが、「背中のツボ押しツール」が100円ショップなどで売られています。こちらの方がピンポイントでモヤモヤ血管の場所を探せるので便利です。(モヤモヤ血管撃退にも使えますので、1つ持っておいても良いかも)

背中のツボ押しツール

 

モヤモヤ血管を「用手圧迫」で撃退!

モヤモヤ血管の場所が見つかりましたら、撃退して肩こりを解消しましょう。自分でできる方法として、「用手圧迫」という方法が効果的です。

 

用手圧迫(ようしゅあっぱく)?

 

医学用語ですが、漢字そのままの意味で「手を用いて圧迫する」という治療法です。つまり、指で押すわけです。

手の指

 

単純なことですが、慢性痛は「圧迫して治る」という性質があります。モヤモヤ血管のある場所(圧痛の有る場所)を10秒前後圧迫することにより、モヤモヤ血管への流れを一時的に遮断することができます。モヤモヤ血管は、様々な刺激に弱いという性質があり、普段と違う環境にさらされることで、速やかに減少するのです。

 

■用手圧迫の注意点

強さは、指の爪の色が白くなるぐらい強めに押す(左手を右手の指で押してみると分かりますが、結構強めです)

少なくとも10秒の間、一定の力で押し続ける(持続的に圧迫する)

1つの場所に関して、1回10秒1日3回

 

時間が短いと用手圧迫と言うよりマッサージに近くなり、モヤモヤ血管の流れを逆に助長させてしまいます。自分で数えるのではなく、時計を見ながらやった方が良いと思います。10秒というと短いと思いがちですが、意外に長いもので、自分で数えると半分(5秒)も経っていないこともあります。

時計

 

また、たくさんやればやるほど効くというわけではないので、やり過ぎはNGです。

 

背中部分の用手圧迫は、指では困難と思いますので、モヤモヤ血管を探したときと同じく、「傘の柄」や「背中のツボ押しツール」などを活用した方が良いでしょう。

傘の柄、背中のツボ押しツールによる用手圧迫

 

これらのツールを使う場合は、ツールとは逆方向(抵抗する方向)に身体を引くと無理なく効果的に圧を加えることが可能です。

傘の柄、背中のツボ押しツールによる用手圧迫のコツ

 

中途半端なマッサージはNG

肩こりなどの慢性痛のある場所にマッサージを行う場合は十分な注意が必要です。痛みのある場所に中途半端なマッサージをすると、痛みが逆に強くなることがあります。特に入浴中に痛い場所をマッサージは絶対NGです。というのも、モヤモヤ血管の流れを助長してしまうからです。

 

むろん全てのマッサージがダメと言っているわけではありません。マッサージという言葉は、範囲が広く様々な手法を包含します。プロ中のプロのマッサージ師には、痛みの場所やツボなどをミリ単位でアプローチしていく人もいます。実際、評判の良いマッサージ屋さんが存在するのも事実です。

 

ただし、疲労物質が減るなどマッサージの効果は信じられていますが、科学的な研究では否定的な結果※3も発表されています。

※3:Physiological, psychological and performance effects of massage therapy in sport: a review of the literature.

 

いずれにしても、素人の一般の人が、自分で揉んだりするのは、痛みを長引かせているだけかもしれません。日常的にマッサージが習慣になっている人は、一度意識してやめてみてはいかがでしょうか。

 

モヤモヤ血管のある場所が痛くなる理由

モヤモヤ血管のメカニズムなど理屈的な部分を説明して行きたいと思います。モヤモヤ血管のある場所が痛くなる理由は以下の3点です。

・モヤモヤ血管から炎症細胞が漏れ出す

・モヤモヤ血管の周りに裸の神経繊維が増える

・モヤモヤ血管が増えると低酸素状態になる

 

これらのどれか1つ、もしくは2つ以上の複合的理由で痛くなっています。以下詳しく見ていきましょう。

 

モヤモヤ血管から炎症細胞が漏れ出す

以下の図は、正常血管とモヤモヤ血管にインクを流して、血管の外に漏れるかどうかを実験したものです。正常血管はインクを外に漏らさないのに、モヤモヤ血管はインクを漏らしています。

正常血管とモヤモヤ血管のインク実験

 

血管内を通っている白血球という細胞をご存じかと思いますが、白血球の一部が炎症細胞というものに該当します。赤血球は血管内を高速で流れていますが、白血球は壁に沿ってコロコロと転がるようにゆっくり流れて、血管から出ていく場所を探しています。

 

そして、上図の通り、白血球がモヤモヤ血管を流れると外に出て行ってしまいます。従って、モヤモヤ血管からは炎症細胞(白血球の一部)も出て行くことになります。炎症細胞からは痛み物質が発生すると考えられていますので、モヤモヤ血管のある場所が痛くなるわけです。

 

モヤモヤ血管の周りに裸の神経繊維が増える

身体の基本原則の1つに「血管と神経のカップリング」というものがあります。これは、「血管と神経は一緒になって増える」というものです。つまり、血管が増えると神経繊維もすぐそばに一緒に増えるわけです。

 

モヤモヤ血管と一緒になって増えた神経繊維から、痛み信号が脳に送られているのではないかと考えられています。(モヤモヤ血管と一緒に増えた神経繊維の存在については、複数の論文が発表されています)

 

神経繊維には以下の2種類があります。

・ミエリンという脂肪組織に包まれている神経繊維

・裸の神経線維

 

ミエリンで包まれている神経繊維は、脳への伝達速度が速く、一瞬の痛みとして感じます。一方、裸の神経繊維は、じわじわと継続的に痛み信号を脳に送ります。「ジンジン」「ズキズキ」「チクチク」「ズーン(重い)」・・・といった痛みは、裸の神経繊維からの痛みの感じ方です。

 

用手圧迫でモヤモヤ血管の流れを遮断すると痛みが楽になることから、モヤモヤ血管に血液が流れることで、周りの裸の神経繊維から継続的に痛み信号が脳に送られているのではないかと考えられています。

 

モヤモヤ血管が増えると低酸素状態になる

酸素を運ぶ血管があるのに低酸素?と思われた方もいるかと思いますが、実際モヤモヤ血管ができている場所を調べると低酸素状態になっているのが実証※4されています。

※4:High intratendinous lactate levels in painful chronic Achilles tendinosis. An investigation using microdialysis technique.

 

モヤモヤ血管があると低酸素になる理由は2つあります。1つは、ぐちゃぐちゃしているモヤモヤ血管は、酸素や栄養を届けるパイプの役割として機能しない、というものです。そして、「盗み取り現象」と言われている2つ目の理由が特に重大です。

 

血管の重要な目的の1つに「酸素や栄養を全身に届ける」ということが挙げられます。ところが、モヤモヤ血管があるとモヤモヤ血管が血液を奪い、正常な血管(毛細血管)に血液が流れなくなります。つまり、正常な血管(毛細血管)が低酸素状態になるわけです。

正常な血管と盗み取り現象が起きた血管

 

募金詐欺というのが以前ありましたが、募金の目的である難民や災害地域にお金が行かず、悪い人が搾取するというものですが、これと同じようなことが血管で起きているわけです。

 

そして、低酸素状態になると、痛み原因である乳酸などの物質が作られるため、痛みが発生します。

 

モヤモヤ血管ができる原因

肩こりの痛みの原因となるモヤモヤ血管ですが、全く役に立たず痛いだけなので、できればできて欲しくないですよね。では、なぜモヤモヤ血管ができるのでしょうか?

 

まず、1つ目は加齢です。

 

そもそも血管は、どこにでもできるわけではありません。例えば、軟骨の中には血管がありません。これは軟骨が「血管を作らないで信号(物質)」を出しているためです。これと同様に、人は「モヤモヤ血管を作らないで信号」を常に出しています。

 

ところが、40代、50代になると、「モヤモヤ血管を作らないで信号」が弱くなる・無くなるといったことが起きてしまうのです。

50代男性

 

加齢の他にも、悪い姿勢、継続的な負担、高カロリーの食事などにより、モヤモヤ血管が作られることが解明されています。

 

つまり、いわゆる肩こりなどの慢性痛の原因と一般的に言われているものはモヤモヤ血管ができる原因と考えられています。むろん全てに関して調査した研究結果があるわけではないですが、慢性痛の場所にはモヤモヤ血管が存在することから、慢性痛を引き起こす原因はモヤモヤ血管を作ると考えられています。

モヤモヤ血管の原因

 

それでも肩こりにまだ悩まされるかも?

とても評判のマッサージ屋さんに行っても肩こり全く解消しなかった。ゴッドハンドどころかヤブじゃないの?・・・という経験のある方も多いのではないでしょうか?

肩のマッサージ

 

この場合、実際治っている人もいるわけなので、そのマッサージ師さんがヤブではなく、そのマッサージで解消できる原因とは違う原因で肩こりになっている(もしくはそれも原因だけど別の原因も関与して複合的原因で肩こりになっている)と考えられます。

肩こりの原因MECE分解図-1

 

モヤモヤ血管は、最新の研究で解明された肩こりの有力な原因です。

肩こりの原因MECE分解図-2

 

ただし、これで肩こりに悩まされることがなくなる人もいますが、そうでない人も残念ながら出てくる可能性も残っています。

 

そもそも肩こりの原因は解明されていません。原因が解明され、治療法が確立している病気は、治療法が1つか2つしかありません(に限定されます)。一方、治療法がたくさんある病気というのは、原因が解明されていないために仮説や憶測でいろんな治療法が存在するのです。つまり病気への理解が進歩しておらず、治療法が確立していないわけです。

 

肩こりの治療法を挙げなさいと言われると、マッサージ、整体、鍼、ストレッチ、湿布、飲み薬、・・・、まだまだありますがたくさん出てきます。これは決定的な理論や治療法が確立されていないことを示しています。

 

今までマッサージや整体などいろいろ試したけど効果なしという方は、モヤモヤ血管の撃退(用手圧迫)をまずは試してみてください。それでも解明されていない別の原因が存在するなど、限界が存在する可能性も0ではありません。

肩こりの原因MECE分解図-3

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