お酒が弱い人が、強くなることはない!肝臓を鍛えることはできない
お酒に弱い人がお酒を飲むと、すぐに顔が真っ赤になってしまったり、酔いつぶれてしまったりします。ですから、お酒に弱い人の中には、強くなるためにお酒をたくさん飲んで肝臓を鍛えようとする人もいるでしょう。しかしこれは大きな間違いです。それを知らずにお酒を飲み過ぎると、いずれ大きな病気になってしまうかもしれません。
お酒に弱い人が、肝臓を鍛えて強くなることはできるのか?
初めてお酒を飲んだ時、あなたはどうなりましたか?最初から多少飲んだくらいでは変わりがなかったという人と、少し飲んだだけで顔が赤くなったり鼓動が速くなったりしたという人がいるでしょう。
後者のタイプだった人は、その後もお酒を飲む時は十分注意する必要があります。なぜなら、初めてお酒を飲んだ時にひどく酔ってしまった人は、生まれつき持っているアルコール分解酵素が少ないタイプの人だからです。
こういう人が無理して飲み続けた結果、お酒を飲めるようになったとしても、肝臓の病気にかかってしまう確率が高まります。実際、飲酒のしすぎで肝臓を患った人の中では、始めはお酒が苦手だったけれど、飲み続けるうちに飲めるようになったという人が大多数を占めるのです。
人が持つアルコール分解酵素の数は生まれつき決まっています。つまり、お酒を飲む回数を重ねても、この酵素が増えることはないということです。最初はお酒に弱かったけれど、飲み続けていたら飲めるようになったということはあっても、お酒に強くなるということはないのです。
アルコール分解酵素が少ない人が、無理やりお酒を飲み続けてしまった結果、慢性肝炎や肝硬変になってしまうケースは少なくありません。初めてお酒を飲んだ時は、少量だったのにひどく酔ってしまったという経験をお持ちの人は、無理してお酒を飲み続けることのないようにしましょう。
お酒に弱い人は飲み過ぎ厳禁!
アルコールが体に入ると、肝臓の中でアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)が働き分解されます。すると、体にとって害のあるアセトアルデヒドに変化します。
アセトアルデヒドは肝臓に負担をかけます。ですが、このアセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ)の働きにより肝臓内で分解され、酢酸という物質に変化します。そしてさらに二酸化炭素と水とに分解されたのち、体外に排出されます。
このアセトアルデヒド脱水素酵素の量は、人によって異なります。多い人はお酒に強く、アセトアルデヒドが大量に生成されても、体に無害な物質にスムーズに代謝されて、体の外に出すことができます。ですから肝臓に負担がかかることなく、お酒を飲んでも健康でいられます。
ですが、生まれながらにアセトアルデヒド脱水素酵素が少ない人もいて、そのような人が飲酒するとアセトアルデヒドがうまく代謝されず、肝臓に残ってしまい具合が悪くなったりひどい二日酔いになったりします。
そんなお酒に弱い人が無理に飲酒を続けていると、アセトアルデヒドがどんどんたまっていき、肝臓は次第に大きな負担をかけられることになります。そうして肝臓の病気が引き起こされるのです。
残念なことに、お酒に強く毎日のように仲間と大量に飲酒している人の方が、肝臓の病気にもかからずぴんぴんしていて、お酒に弱いけれどそれに付き合って飲んでしまっている人の方が、体調を崩し大きな病気になってしまいがちだということです。
ご自身がお酒に弱いタイプだと自覚している人は、無理して飲むことのないよう十分気を付けてください。目安として、1日にビール中瓶であれば1本、缶チューハイであれば1本半、日本酒ならば1合を上限にしましょう。