イライラを解消する6つの習慣
何をしても気持ちが晴れない。いつも何かにイライラしていて怒りっぽい。毎日怒りの感情に振り回されて、心も体も疲れきってしまった。たまに休息を入れても、疲れが取れにくい気もする。このような悩みを解消しようと、書籍やネット記事を読み漁った経験はないでしょうか?実はこれらの原因は、あなたの毎日の習慣にあったのです。日々の生活習慣を変えて、イライラしないあなたを手に入れていきましょう!
まずは口角を上げて笑うことから始めましょう!
目の前に鏡を用意して、自分の顔をじっくりと眺めてみてください。誰から見ても疲れたような、怒ったような表情になっているのではないでしょうか?思い返せば最近、自然と眉間にしわが寄り、口角が下がり、奥歯をぐっと噛み締めていませんか?
このような表情でいると、体の中で自律神経が乱れていきます。自律神経とは私たちの体の様々な機能を調整してくれる役割を持つ神経です。呼吸も、心臓の動きも、食べ物の消化も、汗の分泌もこの自律神経の働きによって調節され、私たちが生命活動を送るうえではまさに無視できない大切な存在と言えるでしょう。
自律神経の中でも、異なる役割を持つ二つの神経が存在します。一つは交感神経と呼ばれるもので、主に昼の時間帯に活発に働き、心拍や血圧を上昇させるなどして、人間がより活発に動けるように体の中を調節していきます。もう一つは副交感神経と呼ばれるもので、主に夜の時間帯に活発に働き、心拍や血圧を低下させ、人間がよりリラックスできるように体の中を調節していきます。
この二つの神経がバランスよく働くとき、私たちの体はベストコンディションでいられます。どちらが常に活発でいることは私たちの体に悪い影響を与えかねません。自律神経の乱れとは、このよう状態のことを示します。
さて、先に記したように怒ったような表情でいると交感神経が活発に働いて自律神経が乱れてしまいます。
血管が収縮して血流が悪くなっているので、次第に脳への血の巡りも悪くなり、何をしてもうまくいかず、さらにイライラが増すという負のループに陥る恐れもあります。もしくは最初は特に怒っていなくても、強張った表情のせいで血流が悪くなり、イライラしてくるなんていうことも起こりかねません。
緊張しているときも体の中では同様のことが起こっています。緊張で顔が強張ると交感神経が活発に働きだして血流が悪くなってしまい、呼吸が浅くなり、汗をたくさんかいてしまいます。そのような自分を見ると緊張を自覚して、余計に頭が真っ白になってしまうこともありますね。頭が真っ白になるということは脳に上手く血が巡っていないからです。
イライラしたときや緊張したときに、無理やり気分を変えようとしても効果はありません。むしろ上手く気分転換が出来ないために、焦ってしまいさらにイライラや緊張が募ってしまうかもしれません。
気分を変えるよりも先に、まずやるべきなのは表情を変えることです。表情を変えるだけで自律神経は整っていきます。よく面接やプレゼンテーションのハウ・ツー本で「笑いましょう」と書かれていますが、これは笑うことで自然と副交感神経が活発に働きだして血流が通常に戻り、リラックスできるからです。
緊張したり、イライラしたりして困ったら、まずは口角を上げて笑ってみましょう。そうすることでまずは一歩、感情に振り回されて過ごす生活から解放されるはずです。
背筋を伸ばせばイライラは収まる
お華やお茶を嗜む方々は、姿勢がよく動きも緩やかで美しいですよね。そして比較的、穏やかな人柄の方が多い印象を持ちます。これは偶然ではないかもしれません。
姿勢が良いと体の中の気道がしっかりと開き、深い呼吸をすることができるため、体の中に十分な空気を取り込むことができます。また骨や筋肉が正常の位置にあるため余計な負荷もかからずに、血液の流れもよくなります。
そうすると血液にのせて酸素や栄養素を体の中の細胞一つ一つに届けることができるようになります。脳に十分な酸素がいきわたれば、それだけで自律神経は安定して自然とイライラも解消されます。
姿勢を変えるだけで、と思うかもしれません。ですが、騙されたと思って、一度イライラしたときに自分の姿勢を確認してみてください。きっと猫背気味で座っているか、前かがみで忙しく歩いていることでしょう。もしかしたら血流が悪くなりすぎて、肩こりにも苦しんでいるかもしれません。
難しいことはありません。背筋を伸ばすだけ、それだけです。イライラして陰鬱な気分になったときは、ぜひ試してみてください。これが習慣化するころには、イライラの頻度もぐっと少なくなっているはずです。
ため息をついても幸せは逃げない
深いため息をついた後、周りの人から「ため息をつくと幸せが逃げるよ」と指摘されたことはありませんか?マイナスのイメージがあるため息も、自律神経の安定を考えると、実はよい作用をもたらします。
深いため息をついて空気をたくさん吐き出すと、今度は自然とより多くの空気を吸収します。そうすることでたくさんの酸素を体の中に取り込むことができ、自律神経は安定して血流がよくなります。
ため息をつくことでイライラしない体になって気分よく過ごせるならば、案外ため息も悪くないですよね。
ため息のほかにも、呼吸の仕方を少し意識して生活するだけでイライラを解消することができます。具体的には、3秒息を吸って、その倍の6秒をかけて長く息を吐きます。これを3分間続けてみましょう。
ゆっくり息を吐くと胸腔に圧力がかかり、圧力による刺激が副交感神経にまで届くことで、副交感神経は働きを活発化させてくれるのです。副交感神経が活発に働けば、交感神経の活動は次第に収まり自律神経はまた安定した状態になります。
息をするときに、背筋を伸ばして上を向くように心がけると、より多くの酸素を取り込むことができて血液の巡りもよくなるので、イライラ解消には効果的です。また口呼吸よりも鼻呼吸の方が、汚れを吸い込むこともなく、口内の乾燥も防げるのでよいでしょう。
最近では女性を中心に、ヨガやピラティスといったゆっくりとした動作と呼吸を組み合わせたエクササイズが人気です。ゆっくりとした動作もまた副交感神経の働きを格段に向上させます。
日中慌ただしく働いて交感神経が活発に働きすぎた日には、1日の終わりにヨガやピラティスで副交感神経を向上させて、自律神経を安定させる習慣をつけるのも、イライラ解消に役立つ良い習慣です。
やけ食いとやけ酒はイライラ解消には逆効果
ストレスが溜まると、やけ食い、やけ酒に走る人は多いのではないでしょうか。暴飲暴食は体の健康を損なうだけでなく、私たちをよりイライラしやすい体に作り替えていることを知っておいてください。
暴飲暴食をすると、体の中では血糖値が急激に上がります。そしてその上がった血糖値をより早く通常に戻すために、インスリンが分泌されて血糖値は急降下します。自律神経は急激な体の変化に弱いため、暴飲暴食によって乱れてしまいます。自律神経が乱れると小さなことでも気に障り、イライラしやすくなってしまうのです。
1980年代にアメリカで行われた研究によれば、砂糖の過剰摂取はイライラを誘引する可能性があると指摘されています。またビタミンや鉄分、カルシウム、葉酸といった重要な栄養素の欠乏もイライラの誘因に関係します。現代人が昔に比べてキレやすくなってしまった要因もまた、偏食や暴飲暴食にあるのかもしれません。
さらにアルコールは適度の摂取ならば副交感神経の働きを助けますが、過度に摂取することで交感神経の働きを助けて体を興奮状態にしてしまい、脳の抑制機能を取り払い、感情をむき出しにしてしまします。過度なアルコール摂取は翌日にも二日酔いという形で影響を及ぼし、自律神経を乱し続けます。
睡眠と自律神経は一心同体
睡眠と自律神経の関係については有名なので、一度は聞いたことがあるのかもしれません。質のよい睡眠をとるためには交感神経の働きを抑制し、副交感神経を活発させなければなりません。そのために睡眠の2,3時間前は交感神経の働きを上げるようなことを極力避けなくてはなりません。
眠る前にテレビやスマートフォン、パソコンなどの明るい画面を見ることはやめましょう。またカフェインの入った飲み物やアルコールを飲むこと、熱いお風呂にはいることも交感神経を刺激してしまいます。
そして更には、布団の中で1日を振り返ることも場合によっては避けたほうがいいことかもしれません。なぜならば、その日起こった嫌なことを思い出してイライラすることも、楽しかったことを思い出して興奮することも交感神経を刺激してしまいかねないからです。
自律神経には日内変動と呼ばれる仕組みが存在します。日中は交感神経が優位になりやすく、夜間は副交感神経が優位になりやすくなっています。私たちの体は、この日内変動によって、交感神経から副交感神経へと優位性が移ったときに睡眠を求めるのです。
睡眠に入ってから最初の3時間は副交感神経が優位になり、深い眠りであるノンレム睡眠の状態となります。そしてその後交感神経が優位となり、浅い眠りであるレム睡眠の状態へと移り、この繰り返しを一晩で4~5回行うといわれています。
自律神経のバランスが乱れている人は、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできません。そうすると当然ノンレム睡眠とレム睡眠の繰り返しも上手に出来ず、良い睡眠をとることができないでしょう。
良い睡眠をとるためには、自律神経を乱さないこと、日内変動の周期を乱さないことが大切です。部屋の電気を暗くする、お風呂では39℃~40℃のぬるめのお湯に15分程度つかる、軽めのストレッチをする、などといった寝る前の簡単な工夫で副交感神経の優位性が高まり眠りにつけるようになります。
もう少し長期的なスパンで工夫するなら、週末にだらだら寝ないこと、朝起きたら日の光をしっかり浴びること、日中は適度に体を動かしておくことも、自律神経や日内変動の周期を安置させるのには効果的です。
睡眠不足が解消されると、寝坊の心配も解消されて、余裕をもって1日を過ごすことができます。それはイライラを解消する第一歩です。
その日1日を心穏やかに過ごせたのなら、交感神経は日中も過剰に働くことなく、夜になれば緩やかに副交感神経へと優位性を移して質の良い睡眠をもたらします。このように睡眠と自律神経の双方のバランスが整えば整うほどに、イライラは解消されていくのです。
イライラは呟いた分、自分に返ってくる
花粉症の苦しみを体験したことがある方は、その苦しみの重さから、一度は「花粉なんてこの世から消えてなくなってしまえ!」と声に出してしまったことがあるのではないでしょうか。
毎年花粉の時期になると、鼻水やくしゃみ、目のかゆみや風邪の症状に似た倦怠感に襲われ、とても気分の良いものではありませんね。
花粉症のことを考えただけで腹が立つ!という人も中にはいるかもしれません。花粉症でなくても、嫌なことを考えるだけで私たちの自律神経は乱れてしまいます。
更にイライラを呟いても交感神経の働きが活発化して、血管が収縮してしまい、血流も悪くなります。その結果アレルギー症状はさらに悪化していき、イライラも倍増します。まさに負の連鎖です。
よくイライラは発散したほうがいいと聞きますが、自律神経の乱れを考えると、決してそんなことはありません。
発散した直後は気分がすっきりしていいかもしれませんが、発散することで乱れてしまった自律神経はなかなか収まらず、今度は本当に些細なことでもイライラしやすい状態となってしまいます。
人や物にイライラをぶつけるのはもっと好ましくありません。イライラをぶつけると、直接ぶつけられた人はもちろん、その場にいる周囲の人の自律神経も乱れてしまいます。
自律神経が乱れた人たちの間には緊迫感が生まれてしまい、それによってイライラを発散して解消したと思っている本人も、また更に自律神経を乱すのです。
イライラを呟いて表に出すと、様々な余波を生み、最終的には何倍にもなって自分に返ってきます。このことを忘れないようにして、イライラを感じた時にもぐっとこらえるように心がけましょう。
そうすれば交感神経の高ぶりは一瞬で済み、すぐに副交感神経が優位に働いて自律神経のバランスを保てるようになります。