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女子校出身者の特徴

女子高生

ヒラリー・クリントン、レディー・ガガ、オノ・ヨーコ、緒方貞子…世界で活躍する女性たちには、一つの共通点があります。それは、彼女たちが「女子校の出身者」であることです。

 

共学校出身者と女子校出身者の違いとは一体何でしょうか?女子校のどのような点が、彼女たちの成功につながっているのでしょうか?女子校出身者の特徴を説明しながら、考えていきましょう。

 

女子校出身者の脳内には女手しか存在しない

例えば会議の資料づくりのために、会社の資料庫から目いっぱい荷物の詰まった大きな段ボールを、デスクの側まで運ばなければならないとします。この時、共学校出身の女性ならば、身近にいる男性職員に声をかけて手伝ってもらう、もしくは代役を願い出るでしょう。

 

しかし、女子校出身の女性にはその思考回路はありません。なぜならば彼女たちは今まで「女手」で全てを解決しており、「男手」というものに頼ったことがないからです。

 

女子校の体育祭や文化祭は、装飾やプログラムに至るまで、女性特有の細やかな気配りや工夫が見て取れて華やかです。一方でその裏では、高所作業や大工仕事、重い荷物の運搬まで、一般的に「男性の仕事」とされるような作業も、もちろん女子生徒の手で行われています。

 

考えてみれば当たり前のことですが、体育祭も文化祭もすべて男子生徒に頼ることなく、女子生徒のみで行われているのです。

 

神戸女学院の船橋中高部長は、「女子校には男らしいというセリフは聞こえても、女々しいというセリフは聞こえてこない」と言います。

 

「男性の仕事」「女性の仕事」という仕事の振り分け方を、女子校出身者はしません。だからこそ、女子校を卒業した後に、男性から「女性は軽いものを持って」と言われたりするのが、とても新鮮に感じるのです。

 

女子校では女性ではなく自分を確立させる

「女子校に通う生徒は外ではおしとやかだが、教室の中ではお行儀が悪い。男子生徒がいればもう少し態度が変わるかもしれない」ということを、女子校教員たちは口をそろえて言います。生徒の中には「寝癖をつけたまま登校しても恥ずかしくない」と言う子までいるといいます。

 

神戸女学院の船橋中高部長は、「お行儀や見た目だけの問題ではありません。常に異性がいると、異性の目を気にした振る舞いをしなければならなくなります。これは大人なら当たり前のことかもしれませんが、思春期の生徒たちに強いるのは酷です。中高時代には、自分を曝け出せるような精神の自由の方が大切です」と語っています。

 

横浜雙葉の千葉校長は「同性の友達同士であっても、まずは自分の独自性を自覚することが重要で、そこではじめて他人を尊重し、協調し合えるようになります。異性の関係でも、まずは自分の性の独自性を自覚するからこそ、自分とは違うところの多い異性として、男性を尊重し、協調し合える女性になるのではないでしょうか」と問いかけています。

 

このことについて、ほとんどの女子校の教員が同じような意見を持っています。思春期の女子生徒には、まず女性としての独自性を自覚させ、自己を深く理解させて、人間としての自分を確立させることが何より重要です。それがしっかりと築かれていることを大前提として、はじめて女性らしい振る舞いや男性との付き合い方を教えることができます。

 

さらに、男性との上手な付き合い方よりも、女性との上手な付き合い方を身につけさせることが重要だという声もあります。女性との上手な付き合い方を身につけさせることで、女性ならではの団結力や組織力を遺憾なく発揮できるようになる、と考えているからです。

 

女子校出身者が社会に進出した時に見せる、インクルーシブ・リーダーシップは女子集団の中でこそ磨かれていくのです。

 

女子校出身者を阻む男性との壁

身近に男性がいなければ、男性の生態を垣間見る機会もぐっと減ります。それゆえに共学校出身者の女性と比べて、男性を見る目が養われないという指摘は否定できません。女子校出身者で、男性とのコミュニケーションを不得手に感じている人も多いかもしれません。

 

このことについて、女子校教員たちも「女子校の生徒は、男性とのほどほどの距離感が分からない子もいる」と、苦笑いを浮かべながら話しています。女子生徒たちの行動を見ていると、時に距離が近すぎてしまったり、遠すぎてしまったり、はたまた同年代の男子生徒の幼稚性をズバッと切り捨てしまうこともあります。

 

辛酸なめ子氏の話題作である『女子校育ち』では、自立を掲げる女子校出身でキャリアを積んだ女性が、弱い男性やダメな男性とお付き合いすることが多いという指摘がされています。

 

「女子校出身者が上手く男性に敬意を示すことができない→そのような女性の感じの悪さをプライドの高い男性は疎遠する→結果的に弱い男性や自己評価の低い男性ばかりが寄ってくる」という、負のループにはまってしまうからだと書かれています。

 

女子校出身者にも恋人はできる

女子校教員たちは「今は男性との距離感が上手くつかめなくても、卒業すればなんとかなる」と楽観的な姿勢を見せています。この姿勢を後押しするような調査が行われています。

 

『明治大学で教える「婚育」の授業』(諸富祥彦著)の中で、紹介されている調査です。明治大学文学部、1~2年生の授業で異性と交際中の学生を対象にした調査で、彼女のいる男子学生、彼氏のいる共学校出身の女子学生、彼氏のいる女子校出身の女子学生の割合はいずれも約40%であったという結果が出ています。

 

女子校出身者でも大学に入れば彼氏ができるようですが、「共学校出身の女子学生と女子校出身の女子学生とでは結婚への価値観が違っている」と、諸富氏は著書の中で考察しています。

 

女子校出身者は彼氏にブランド力や経済力、学歴や家柄を重視する傾向にありますが、共学校出身者は性格や相性を重視する傾向にあります。これが世間一般で言う、「女子校出身者には男を見る目がない」という定説につながっているのかもしれません。

 

女子校育ちでもいい男は見極められる

横浜雙葉の千葉校長は「女子校育ちでもいい男は見極められる」と言っています。そもそも女性と男性は何から何まで別物の生き物です。そのような異性のペアが、お互いにお互いを同質のものであり、同じ価値観をもって接してくれるだろうと思いこむと、関係は悪化します。

 

本当の意味で理解し合うというのは、お互いの異質性を認めあい、尊重し合うことです。

 

将来お互いを尊重し、協調し合えるようなパートナーの男性と出会い結ばれるために、思春期の頃に身につけるべきは男性との上手な会話術ではありません。一人の人間として、自分とは異なる男性の性を認め、尊重し、受け入れる寛容さこそ必要なスキルです。

 

だからこそ、千葉校長は「まず子供たちは、自分自身と向き合い、生まれながらにして大切な存在であることに気づくことが大切です。そこから、人は一人一人違うこと、その違いを尊重するべきだと学ぶことが必要です。」と続けています。

 

昔とは違い、今は色々な女性がいて、それが認められる世の中になってきています。早いうちから男性の目を気にした振る舞いを身につけるよりも、自分自身を確立させる方が優先度は高いと考えられます。

 

さらに千葉校長は、骨董屋を例に出し、男性を見極める目の養い方についてアドバイスしています。本当に我が子に「男を見る目」を養わせたいのならば、まだ完成途中の同年代の男子生徒とではなく、本物の男性や一流の男性と関わる機会を増やすべきです。そうすれば骨董品と同じく、自然と本物や一流を見抜く眼力が養われるはずです。

 

女子校ではテクニックではなく、女の本質を磨く

確かに同年代の男子生徒と多くかかわれば、男性と上手く楽しく会話するテクニックを磨くことができるかもしれません。女性同士、異性同士、話す相手によって話し方や話題を変えるテクニックも身につくかもしれません。

 

そのようなテクニックがあれば、もし意中の男性をめぐって他の女性とライバル関係になった時、その戦いに打ち勝つことも出来るかもしれません。そういう意味では、女子校出身者は共学校出身者に遅れをとっていると言っても過言ではありません。

 

しかし、本当の意味で自分を理解してくれる男性に出会うのには、小手先の会話テクニックは必要ありません。むしろそのような違いの分かる男性に選ばれるためには、女子校教育でこそ磨かれた本物の品位が必要になってきます。違いのわかる者同士は、違いの分かる者同士で結ばれるのです。

 

横浜雙葉の千葉校長は「思春期の頃に、中途半端に完成された男子生徒と触れ合わせるのは、むしろ逆効果かもしれません。男子生徒の幼稚性ばかりに目がいき、男性に幻滅してしまうでしょう」と笑いながら言います。

 

女子校ではヒエラルキーに屈するリスクがない

中学校・高校には、残酷ながら外見の評価によってヒエラルキーが形成されていきます。外見のよい女子生徒が共学校に行き、それなりの人気を集めればそれは自信となり、強みになります。一方で外見に自信のない女子生徒にとっては、そのようなヒエラルキーの中では更に自分自身の価値を落としてしまいかねません。

 

中学校・高校に通う男子生徒は、女子生徒と比べてとても幼いです。外見の要素ではなく、内面から女性の人間性を評価する、という思考回路にはどうしても至らないことが多くあります。そんな男子生徒と接することで、時には、心無い一言に傷ついてしまう女子生徒もいます。

 

しかし、女子校ならばそのようなヒエラルキーに組み込まれるリスクもありません。

 

女子特有の集団形成の仕方

中学校・高校時代を、同性しかいない特殊な環境で過ごすことは、生徒自身の個性が磨かれることはもちろん、学力が向上したり、素行が良くなったりするというメリットがたくさんあります。これは女子校だけでなく、同じく同性同士の集団教育を行う男子校にも言えることです。

 

ただ、学校内の集団形成の行われ方についてだけは、同じ同性同士の集団であっても、女子校と男子校では全く異なります。

 

男子生徒たちは、異性がいないことで、一つの大きな集団を形成し、人間関係を固定化しません。一方で女子生徒たちは、異性がいないことで、より小さな集団を形成し、人間関係を固定化しようとします。

 

この女子の小集団形成の傾向こそが、「女子校には陰湿ないじめがある」といった偏見をもたらしているのかもしれません。人間関係が固定化されればされるほど、「仲間はずれ」や「敵対意識」は生まれやすくなってしまうのを、誰もが経験上常識として知っています。

 

女子校での人間関係は見えやすい

女子校の教職員によれば、女子校には共学と異なるほどの陰湿ないじめ等は見られないといいます。それは、この女子の集団形成の特徴を上手く捉え、適切な時期に教員たちがフォローに入ることができているからだと考えられます。

 

女子校には女子しかいないため、小集団がいくつも形成され、固定化された人間関係が築かれています。これは人間関係が広がりにくいといったデメリットを多分に含みますが、一方で集団内での不和にいち早く気づけるといったメリットもあります。

 

これが共学校であれば、男子生徒が女子生徒の形成した小集団内を行き来し、集団の枠組みを緩め、風通しをよくする役割を果たします。そうすることで大きなゆるい集団となり、クラス全体の団結力はあがるかもしれませんが、女子同士の細やかな異変に気づきにくくなり、フォローが遅れてしまいます。

 

女子だけだからこそ、教員からもクラス内の細かな人間関係まで見えやすく、指導がしやすいのです。

 

女子校だからできるいじめ対策

女子校のクラス担任として重要なのは、クラス内の集団構成の異変にいち早く気づくことだと、女子校の教員は口を揃えて言います。例えば班分けや移動教室で、いつもとは別の組み合わせになっていたらそれは要注意です。

 

人間関係の異常を示すサインは、日常の至る所にちりばめられており、女子校では担任だけでなく他の教員も、意識を張り巡らせています。特にお昼休みの行動には目が離せません。

 

もしクラス内で、人間関係に異常があったら、まずは干渉せず生徒の動向を見守るようにするのが鉄則です。そしてもし一線を超えるような行動があったら、教員が生徒の行動を「見ている・気づいている」というサインを送ります。

 

実際は生徒たちも自分たちの行動が「意地悪」だと認識しているため、すぐにその行動を改めます。

 

また、当事者同士で解決できない問題ならば、クラス全体に問題の事実をオープンにする手もあります。

 

普段は小集団ごとにお互いに干渉しないのが暗黙のルールとなっており、女子生徒は他の集団のいざこざに首を突っ込もうとはしません。しかし一度クラス全体に公になってしまえば、「放っておけない」と思う女性特有のやさしさが垣間見え、解決に向けて動きがあるのです。

 

集団を崩すための女子校での工夫

集団形成をするからこそ人間関係の異常に気がつきやすい一方で、別集団に属する個人同士を結び付けにくいのが女子校の特徴です。同じクラスにいても、所属する集団が違えば普段全く話さない生徒同士も出てきます。

 

これが共学校であれば、男子生徒が上手く間に入り、小集団同士を結び付ける橋渡しの役目を果たします。男子生徒は人間関係を固定せず、大きな集団としてクラスを団結させる傾向を持っているからです。

 

しかし、男子生徒がいない女子校ではその効能は期待できません。だからこそ、女子校の教員たちは各々に工夫して、生徒たちの人間関係を広げる工夫をしています。

 

例えば豊島岡の岸本教員は、クラスに出来上がった人間関係をシャッフルするために、クラス活動において様々な班分けを取り入れています。時には好きな者同士で組ませたり、くじ引きで決めたり、担任が予め決めておいたり、色んな生徒同士を組ませ、交流させることでクラス内の仲を深めるのです。

 

クラーク横浜青葉キャンパスでも、同様の取り組みを行っています。週30コマのうち、10コマは集団ワークの時間を取り入れて、集団メンバーを入れ替えています。生徒たちからメンバーのことで不平不満が出ても、変更は許されません。

 

栗原キャンパス長は、「ぶつかり合いながら、お互い認め合う過程を学び、たくましさを身に着けてほしい。お互い認め合えなくても割り切って付き合うことも学んでほしい」と語っています。

 

鴎友では、中学一年生が始まって数日間は授業をせず、オリエンテーションなどでまず生徒が自己開示できる場を設定しています。授業が始まってからも、始めのうちは三日に一回は席替えをし、人間関係の早期の固定化を防いでいます。さらに昼休みには教員主導で集団を作らせ、話題を提供してランチを取るような工夫もしています。

 

西川校長は「集団を作りたがるのが女子の特徴であり、いいところでもあります。でも同じ生徒同士だけで固まってしまうのは望ましくありません。だから時々教員が入り、人間関係をシャッフルしてしまい、六年間かけて集団を広げていくようにしています。生徒には大きな集団の中で自分の居場所を見つけられるようになってほしい」と語っています。

 

女子校では、生徒たちの中で集団が形成され、人間関係が早々と固定化されやすいという特徴があります。教員がこの集団をいかに崩し、生徒同士の人間関係を広げていけるかが、女子校の運営の一つのキーポイントになってきます。これは同じく男女別学校である男子校ではみられない、女子校の特徴です。

 

女子校出身者がつまずく3つのポイント

女子校出身者が社会に進出したときにつまずきやすいポイントは、大きく3つ挙げられます。

 

まず1つ目は、社会に出て男性への過度な期待に裏切られることです。必ずしも、全てにおいて完璧な、尊敬できる男性と出会えるとは限りません。これは仕事のパートナーについても、生活のパートナーについても共通したことが言えます。

 

そんな時、学生の頃のようにバッサリと関係を断つわけにはいけません。どんな男性とも適切な距離を持って接することができる、社会人としての「女子力」が試されます。

 

2つ目は、思春期に同性とばかり生活しているため、兄弟や恋人でもいない限り、女子校出身者は思春期の男子と触れ合うことなく、大人になってしまう可能性があります。もし仮に親となり、息子を育てることになった時、思春期を迎える息子との接し方に戸惑うことがあるかもしれません。

 

最後の3つ目は、男性に対して対抗意識を強く持ちすぎてしまうことです。「男になんて負けてたまるか!」と考えてしまうのは危険です。女子校生活が充実するあまり、男性の必要性を感じず、結婚願望が低くなってしまう傾向もあるようです。

 

しかし、これら3つはどれも社会に出てから、書籍や周りの人間との交流から学び、経験し、克服できるポイントです。女子校出身者は、共学校出身の女性よりも上記のことでつまずくことがあるかもしれません。その一方で、女子校出身者には即席では身につけられない、一流の品格が備わっていることを忘れてはいけません。

 

時代は変わり、社会はゆっくりではありますが、男女差がなくなりつつあります。若い世代に行けば行くほど、その傾向は強くなります。中学校・高校の限られた時間の中で全てを学び取ることはできません。女子校で学べることを優先するべきか、共学校で学べることを優先するべきか、各々が考えて選択する必要があります。

 

女子校から生まれ続けるパイオニア

「女の子らしく、女性らしくしなさい」という言葉は、かつて最前に立って世に出ようとする女性たちにとっては、ある種の足かせのように響いたかもしれません。しかし、今時代は変わりつつあり、「女性らしさ」という言葉は前向きなものとして捉え直されてきています。

 

特に女子校において、「女性らしさ」を前向きに捉える風潮は高まっています。「女性らしさ」を無理に押し付けなくても、自然と女子は女性らしくなるという認識を、多くの女子校の教員が持っています。

 

豊島岡の小美野教諭は、男子校出身で男子校での教員経験もあります。そのような経験を経て女子校で教壇に立ったことから、女子生徒の指導に最初は戸惑いましたが、女子校であれ男子校であれ、生徒を一人の人間として見てあげるだけで十分だと気づいたと言います。

 

そうすることで女子生徒は自然と女性らしく、男子生徒は自然と男性らしく育っていくと語ります。

 

千葉大学教育学部の明石教授は、鴎友の教員を対象にジェンダー意識に関する調査を行いました。その結果鴎友の教員は、世間一般的なジェンダー意識をほとんど持ち合わせていないことが分かりました。女子生徒としてではなく、1人の人間、生徒として指導にあたっている結果です。

 

豊島岡の小美野教諭の証言や、明石教授の調査の結果から考えられるように、男女別学の教員たちは「女子だから」「男子だから」という意識で生徒たちを見ていません。生徒一人一人の人間性を見て、日々指導にあたっています。

 

そのような教育環境で育った生徒たちは、通年のジェンダー意識に囚われることなく、のびのびと思春期の間に自分と向き合い、自分らしさを身につけていきます。だからこそ、重要な局面で「自分」に合った人生の選択をし、パイオニアとして社会に進出することができるのです。

 

歴代の女性パイオニアたちの多くが女子校出身であることも偶然ではありません。改めて女子校の教育環境を考えると、納得がいきます。

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