ウイルスを寄せ付けないことで、風邪の予防対策をしよう!
風邪をひかない体をつくるためには、体の中にウイルスを入れないことが重要となります。ウイルスを入れないようにするのは、普段の生活の中でほんのちょっと意識するだけで十分です。
ウイルスによる風邪の場合、複数の症状が一度に出ますが、抗生物質は効きませんので、家で安静にしておくことが一番です。抗生物質が効くのは、風邪の中でも細菌性の風邪の場合です。ウイルスが体の中に入ってしまうと、特効薬がありませんからとても厄介です。ウイルスを体の中に入れないよう普段から気を付けておきましょう。
うがい・手洗いが風邪ウイルスの侵入を防ぐ
小さい頃、外から帰ってくると「うがいと手洗いをしなさい」と言われた経験はないですか。保育園でも子供たちが、ちゃんと自分で手を洗えるように、小さな手洗い場を設けてあります。
外から帰ってきたら、まずはうがいと手洗いで口の中と手をキレイにしましょう。大気中には埃や花粉、ウイルスや微生物など目に見えないものがたくさん飛んでいます。それらを体の中に入れないようにするには、うがいと手洗いが基本であり効果的です。
体の中に入ってしまった目に見えない化学物質やその他のアレルゲンなど、いわゆる余計な物質は「足し算」です。産まれた時から、ちょっとずつ体の中に入ってきてしまった余計なものは、体の中のあるコップにどんどん溜まっていき、コップから溢れてしまったときに発病するのです。
同じ年齢の人でも、余計なものがどれだけ体内に溜まっているかは育った環境によるため、人によって大きな差があります。
赤ちゃんでもアレルギーやアトピー性皮膚炎を発病してしまうケースがあります。これは遺伝の可能性もありますが、お母さんのお腹の中にいた時から余計な物質を溜めてしまっていた可能性もあります。
免疫システムは、体の中に「敵」とみなした相手が入ってくると、その敵を攻撃し始めます。そして、ウイルスやバクテリア以外でも、化学物質などに対しても敵と判断し動きだします。一昔前ならウイルスやバクテリアだけを相手にしていれば良かったのですが、化学物質などが登場すると仕事量が増え疲れてしまいます。
免疫システムが疲弊した状態は、普段よりも風邪をひきやすい状態になっています。免疫システムを疲れさせないためにも、うがいと手洗いで落とせる物質は落としてしまいましょう。
京都大学保健管理センターが、
・うがいをしないグループ
・水で1日3回以上うがいをするグループ
・ヨード液で1日3回以上うがいをするグループ
の3つに分けて、2カ月間調査を行いました。
ヨード液はうがい薬の事ですが、ヨード液でうがいをした場合と水でうがいをした場合とでは、予防効果に差はありませんでした。しかし、うがいをしないグループの人は、うがいをするグループの人と比べて、4割も風邪にかかりやすいという結果になったのです。
うがい薬を使わず、水でうがいするだけでも十分に風邪予防の効果があるということです。
また、うがい同様、手洗いも風邪予防の基本です。手洗いの方法が書いた絵が小学校の手洗い場や病院などに行くと貼ってありますが、あの絵を思い出してみてください。石鹸やハンドソープを手に付け、まずは手のひらから洗います。次に手の甲、指先から爪の間、指の間、親指と洗い最後に手首まで丁寧に洗います。流水でよく泡を洗い流したら終わりです。
ウイルスは手で触れる部分を経由して体の中に入ってくることもあります。インフルエンザウイルスは、例えばテーブルの上やドアノブなどで2時間以上も感染力を保っています。インフルエンザのシーズンになると学級閉鎖が起こってしまうのは、こうした理由もあります。毎日の手洗いで手を経由した感染を防ぎましょう。
風邪ウイルスの侵入を防ぐためには、鼻うがいも効果的!
うがいといえば、口の中に水を入れて上を向いて「ガラガラガラ〜っぺ」で吐き出す、という方を思い出す人が多いでしょう。「ガラガラ〜っぺ」の方は、口うがいといいます。
口うがい以外に何うがいがあるのかというと、鼻うがいというものがあります。鼻洗浄とも言われていますが、名前の通り鼻の中を洗浄水で洗います。鼻うがいの場合、口うがいと同じように普通の水道水でうがいすると、痛みや不快感を感じるだけでなく、鼻の粘膜に傷がつき、そこからばい菌が入ってしまう可能性もあります。
洗浄水と言っても生理食塩水なので、自宅で作ることもできますし、ドラッグストアなどでも購入できます。最近では鼻うがいの専用キットなども発売されていて、鼻うがいも手軽に試せるようになってきました。
市販の鼻うがいのキットではなく、洗面器などを使用して行う場合、洗面器に顔を近づけて、片方の鼻の穴を押さえて、空いている方の鼻の穴から洗浄液を吸い込みます。吸った洗浄液は吸った方の鼻の穴から出します。反対の鼻も同じ要領で行います。3回くらい繰り返したら、静かに鼻をかみます。
鼻うがいは、鼻の奥までキレイにウイルスや花粉などを洗浄することができますので、風邪予防だけではなくアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎にも効果があります。鼻うがいに慣れてくると、鼻うがい後にスッキリするので何度もやりたくなる人もいますが、鼻うがいは一日一回までにしましょう。
鼻の粘膜はデリケートな部分ですので、日に何度も繰り返し鼻うがいをしていると、かえって傷つけてしまいます。
鼻うがいの際に使用する生理食塩水は、1ℓの水に食塩を8〜9gを入れてかき混ぜると完成ですが、水道水よりはミネラルウォーターを、常温の水よりはぬるま湯を使用するとより鼻の粘膜を刺激せずに鼻うがいができます。
化粧のパフは、こまめに洗わないと、ウイルスや菌をまき散らすことになる
女性は毎日メイクをするという方も多いかと思いますが、メイクで使用するパフやブラシなどは定期的に洗っていますか?こまめに取り替えたり、洗っていないと、パフやブラシに発生しているウイルスや雑菌などを顔中に塗ることになってしまいます。
汚れたパフなどを使い続けていると、肌にも良くありませんが、風邪予防の観点からもよくありません。菌が心配だという方は、洗ったあとに消毒液に漬ければ安心です。
また、よく女性は「顔がテカる」といいますが、顔がテカテカして見えるのは皮脂のせいです。皮脂は本来、皮膚を乾燥や雑菌の繁殖などから守るという役割をしています。ウイルスや雑菌などを顔の皮脂にくっつけて、体の中に入るのを防いでいるのです。
顔の皮脂をとる為に「あぶらとり紙」を利用する方もいますが、元々皮膚を乾燥や雑菌から守る為にでる皮脂ですので、あぶらとり紙で皮脂をとり過ぎると余計に皮脂が出るようになってしまいます。化粧直しの際にあぶらとり紙を使用する時には、やりすぎないように気をつけてください。
インフルエンザウイルスの予防法
毎年流行しているのがインフルエンザです。インフルエンザは風邪と違い、比較的短時間で38度以上の高熱が出ますから、びっくりしますし全身の倦怠感もあり辛いです。言うまでもなく、インフルエンザになる原因はインフルエンザウイルスに感染してしまうからです。
逆に考えると、インフルエンザウイルスが体の中に入ってくるのを防げれば、インフルエンザになることはありません。インフルエンザウイルスに感染しないようにするには、
インフルエンザが流行する時期に、人の多いところに出掛けないこと、マスクを着用すること、家に帰って来たらうがい・手洗いなどをしっかりと行うこと、これが大切です。
どうしても人の多いところに出掛けなければならない場合、マスクを着用しましょう。マスクは市販されている使い捨てのマスクで十分です。むしろガーゼ製のマスクだと織り目が粗いので、一般に市販されている不織布製のマスクの方がウイルスの侵入を防いでくれます。
インフルエンザに感染しない為には、インフルエンザウイルスを「埃」だと思えば対策がしやすくなります。埃を吸い込まない為にマスクを着用し、埃が体に着かないようにコートや手袋を着用する。帰ってきたら部屋の中に埃を持ち込まない様に玄関で手袋やコートは脱ぎ、うがいと手洗いで埃を落とす。
埃を吸い込んだり、洋服に付けない様にするにはどうしたらいいか考えると、インフルエンザウイルスを吸い込んだり、洋服に付けない様にするにはどうしたらいいかと考えているのと同じなのです。
寒くなると昔の人たちはストーブを出してきて、ストーブの上にやかんを乗せていました。やかんを乗せるのは、ストーブで部屋が乾燥してしまうのを防ぐ為です。インフルエンザウイルスにもこの「ストーブの上のやかん」は効果的です。
インフルエンザウイルスの天敵は湿度です。もし、家の中にインフルエンザウイルスが入って来てしまっても、湿度が高いと長くは生きられません。これは風邪予防にも有効です。
適度な湿度がインフルエンザや風邪のウイルスから守ってくれますので、乾燥する時期は加湿器を使うようにしましょう。加湿器に湿度計が付いているタイプでしたら、湿度が50%以上だとインフルエンザウイルスの約97%が死滅しますので、湿度を50%以上に保ちましょう。
最近では色々な機能のついた加湿器が出ていますが、湿度が60%を超えるとカビが生えてしまう可能性がありますので、部屋の広さにあったものを選びましょう。旅先などでホテルなどの宿泊施設に加湿器がない場合は、バスタブにお湯をはって、お風呂のドアを開けっ放しにしたり、タオルを濡らしてベッドの近くに干したりして湿度を確保しましょう。
風邪とインフルエンザウイルスの違い
風邪もインフルエンザも空気が乾燥してくる寒いシーズンに流行するので、なんとなく同じようなイメージを持っている人も多いかもしれません。少し重めの風邪と軽めのインフルエンザだと確かに区別しづらいものです。しかし、風邪とインフルエンザでは全く違います。
まず、インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染してしまった状態です。風邪は風邪症候群と呼ばれ、喉の痛みや鼻水・鼻づまり、咳、発熱などの症状を伴う病気の総称です。インフルエンザに感染すると突然38度~40度近い高熱が出る他に、頭痛や全身の倦怠感などが代表的な症状です。
風邪は、こじらせてしまうと肺炎になってしまい、肺炎は命を落とす可能性もあるため注意が必要です。インフルエンザは、乳幼児や妊婦の死亡率が高いので、小さいお子さんや妊婦のいるご家庭は特に注意してください。
突然高熱が出たらまずはインフルエンザを疑い、病院へ行きましょう。病院でインフルエンザの診断が出来るのは発熱してから12時間以上経過してからです。それより前に検査を受けても、体の中のインフルエンザウイルスがある一定量に達していないと陰性の結果が出てしまいます。
例えば、夜の22時を過ぎて発熱した場合は、翌日の午前10時以降に病院へ行くといいでしょう。
夏でもインフルエンザに注意が必要
インフルエンザウイルスは乾燥を好みますので流行するのはだいたい毎年11月以降、1月~3月にかけてピークを迎えます。しかし、最近ではエアコンの登場で一年を通してウイルスに感染するリスクが高まっています。
夏でもエアコンで快適に過ごせる反面、機密性の高い室内でエアコンによって乾燥している状態は、エアコンが登場する以前よりウイルスに感染する可能性が高くなっています。
ジメジメとした梅雨の時期は嫌なものですが、この湿気はウイルスも嫌がるのです。そうはいっても、ここ数年の猛暑はエアコンなしで乗り越えるのは難しくなってきています。エアコンを使用しないことを推奨しているわけではなく、冬以外のシーズンでも風邪やインフルエンザについて注意が必要ということです。
風邪やインフルエンザにかからないようにする為には、免疫力を高めておくことが重要です。免疫力が高いと風邪もひきにくいですし、インフルエンザも発症しません。インフルエンザウイルスが侵入しても、全ての人が高熱を出すわけではないのです。
免疫力を上げるには、普段の日常生活の習慣が大切です。無理や無茶をしないように心がける事、なるべくストレスを感じないような環境をつくる事、栄養バランスのいい食事を摂る事です。
しかし、どんなに注意していても、絶対にインフルエンザにかからないわけではありません。もし体調を崩し、インフルエンザかも知れないと思ったら、すぐに病院へ行きましょう。
インフルエンザだということが分かれば、タミフルなどインフルエンザウイルスの増殖を防ぐような薬もありますので、重症化するのを防ぐことができます。
更新日:2023/05/31|公開日:2018/01/05|タグ:風邪