男の子はヒーローごっこで相手の痛みを知る
いつの時代も男の子に人気なのは、かっこいい正義のヒーローです。しかし「ヒーローに憧れるのは分かるけど、戦いごっこばかりして乱暴な子供になってしまいそう…」と心配する親御さんも少なくありません。でも心配はいりません。ヒーローごっこは親がきちんとコツを知っていれば、相手の痛みが分かる子供に育てられる遊びなのです。
ヒーローごっこにはルールが必要
幼い男の子はヒーローになりきって遊ぶのが大好きです。役になりきりすぎて、適役の親を相手に、手加減もせず思い切り攻撃し始めるのもよくあることです。子供とはいえ思い切り叩いたり蹴ったりされれば、大人でも痛くて大変ですよね。それに、遊びにふさわしい力加減も知ってほしいものです。
しかし何しろ子供はヒーローそのものになりきっています。親が演じるのは敵であり、その敵は「痛いよ~」と言っていても、まだ生きているのだから攻撃の手を休めるわけにはいきません。親の方は痛みですっかり現実世界に戻っていても、子供は違うのです。こんな時は現実世界からもう一度、空想の世界に戻ってみるとよいでしょう。
つまり、ヒーローにやられた適役になりきって「やられた…」と言ってばったり倒れ込むのです。子供によっては、倒れた敵に向かってさらに攻撃を続けることもありますが、その時は現実世界にいったん戻って「ヒーローって、敵が倒れてしまった後もまだ攻撃し続けるの?降参した相手でも?」と尋ね、子供に考えさせましょう。
子供が思うよりも早く親がやられたふりをすると「早くやられすぎ!」と言って怒るかもしれません。そんな時は「○○くん、すごく強いんだもの。あっという間に倒されちゃったんだよ」と子供の強さを認めてやりつつ、ヒーローごっこをするにあたって守らせたいルールについて話しましょう。
そのルールとは、
・戦いごっこを長く続けたいなら、相手が痛がるほど強い攻撃をしてはいけない
・相手の首から上には攻撃をしない。この場所には、傷つくと大変なことになる部分がたくさんある
・自分も相手も楽しく遊ぶために、きちんと力加減をしながらヒーローごっこをする
というようなものです。ヒーローごっこをさせるなら、きちんとルールを教えることが必要不可欠です。
ヒーローごっこで子供に相手の痛みを知ってもらうには
幼い子供は、自分の痛みは感じられても相手の痛みには無頓着なものです。ですから、ヒーローごっこの際に相手が痛くないように攻撃してねと言っても、分かりにくい時があります。そのような場合は、子供にも敵役をさせるとよいでしょう。
最初はやりたがらないと思いますが、そこは言葉かけ次第です。「○○っていう怪獣はね、すごく強いんだよ。ヒーローを倒しちゃったこともあるんだ。ヒーローにはできない技もいっぱいできるんだよ。やってみたくない?」などと上手に誘ってみてください。自分がやられる側に立つことで、攻撃される者の痛みを知ることができます。
ヒーローごっこをしていない時でも、男の子は時々、わけもなくお母さんを叩いたり蹴ったりしてくることがあります。そんな時「痛いな~」と言いつつもされるがままになってしまうことがありませんか?
その対応の仕方はおすすめできません。もしも相手が親ではなく友達だったとしたら、「痛い」と言っているのに叩き続ける子供に育ってしまうかもしれないからです。相手が大けがをする可能性だってあります。
子供が親に向かって理由もなく攻撃してきたときには、きちんと子供の目を見て真剣な表情で「痛いからやめて」と言って、叩こうとする子供の手をしっかりと押さえましょう。
そうすることで子供は「今くらいの強さで叩くと、相手は痛いんだ。やってはいけないことなんだ」と理解することができます。すると友達が相手であっても、手加減しながらヒーローごっこを楽しむことができるようになるのです。
更新日:2019/11/29|公開日:2017/02/15|タグ:ごっこ遊び