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読者を惹きつける文章を書く秘訣!タイトルで心をつかんで、個性あふれる展開でゴールまで書こう

文章を書く

文章を書く時には、まず、タイトルで読み手を惹きつけて、そこからグイグイと面白いと思ってもらえる内容の文章を書き進めて、ゴールに到達したいものです。独自の視点で書かれている文章ほど、面白味が増します。個性的で構わないので、自分の世界観を前面に打ち出して書いていきましょう。

 

話す時は「意味」はなくても良いが、書く時には「意味」をつかみ取ろう

一般的に男性より女性の方がおしゃべり好きな人が多いと思われます。レストランやカフェで、女性のグループが近くに居合わせると、おしゃべりの内容が聞こえてくることがあります。そんな時、改めて、女性のコミュニケーション能力に感心します。

 

一人のメンバーが話しているのを、他のメンバーが静かに聞くのではなく、一人がまだしゃべり終わっていないのに、別のメンバーが話をかぶせてきます。そのメンバーが話している途中でも、さらに別のメンバーが割り込んで話をする状況になります。

 

話が完結していないのではないかと心配する必要もなく、彼女達はコミュニケーションが十分取れています。

 

話している内容は、お互いの近況報告からスタートして、夫の愚痴や、姑の愚痴をこぼして、それから、全く別の話題になったり、いろいろ話しながら、関係を深めていきます。その間の会話には、新たな発見が特にあるわけでもないですが、飽きることなく延々とおしゃべりし続けることが出来ています。

 

このような女性グループが繰り広げている会話を、文字にしてみることは可能でしょうか?または、話の中から、意味がありそうな部分だけを抜粋して、一本のエッセイを書いてみようとしたら出来るでしょうか?それは、おそらく、ほぼ読むに値しないレベルのものになってしまうはずです。

 

ここが、おしゃべりをするのと、文章を書くことの大きな違いです。文章を書くためには、おしゃべりの時のように、その時々に思いついた話題を次から次に並べていくだけでは、成り立ちません。文章を書くには、最後に書くべきこと、つまりゴールを決めておかなければなりません。

 

そのゴールに向かって書き進めていくための段取りも、揃えていかなくてはいけません。文章を書くということは、そういう特徴があります。もし、段取りも悪くて、ゴールも定まっていない文章になってしまったら、読むに堪えないものが生まれてしまうでしょう。

 

文章を書くために一番不可欠な要素は、「意味」をつかみ取る力です。「国語力」や「文章力」は二の次で構いません。「意味」をしっかりつかみ取ろうとする力を、書き手が意識出来ているかどうかが、文章の出来を大きく左右します。

 

文章が全く書けないという人は、2つに分類されます。1つ目は、薄っぺらい文章です。

 

2つ目は、文章がこんがらがっている場合です。考え方が絡まり合ってしまって、結局、何が書いてあるのか不明な文章です。しかし、この種の人の中には、頭を解きほぐしてスッキリ整理出来れば、文章レベルは驚異的に上がるかもしれません。素晴らしい書く才能を持ち合わせている場合もあります。

 

とにかく、書くという作業の前には、自分の頭の中を、まず整理することが大事です。そのために、初めは「書く」ための「段取り」を習得しましょう。

 

段取り力を身につければ、文章を書くのもスイスイいく

文章力の重要な要素として、段取り力というものが挙げられます。文章を書く際に、自分の頭の中をまず整理しなければいけません。この段取り力が備われば、文章を書くための準備の大半が済んだと言っても過言ではないでしょう。

 

初めに行うべき作業は、ネタ出しです。何か文章を書く際には、他者からもらったテーマや、自分自身が見つけ出したきっかけが存在するはずです。それらについて、何でも構わないので、頭に浮かんだことを次々とメモしていきましょう。それが書くためのネタになります。思いつくままに、紙に書き出しましょう。

 

この作業は、慣れていけば難しいものではないのですが、最初、困難だと感じる人は、相談相手を見つけて、話をしてみると良いでしょう。自分が書きたいテーマについて、他者となんやかんやと、話をしてみると、ネタ出し作業はスムーズに進みます。

 

気をつけなければいけないのが、ネタ出し作業が、普通のおしゃべりになってしまわないように、メモを隣に準備してからスタートしましょう。一人で思い悩むより、誰かと話をしていくと、「そうだ!そうだ!」とか、「忘れていたけど、思い出した」とか、書けるネタがたくさん飛び出してきそうです。

 

自分が思いついたことだけでなく、相手が思いついてくれた意見もしっかり頂いて、細かくメモしておきましょう。いくつかの意見が出てきたら、キーワードを決めると良いでしょう。登場してきたワードをグループ化してみるとまとめやすいでしょう。

 

最重要キーワードに印をつけたり、関係性のあるワードをつないでみたり、工夫してみましょう。

 

次は、文章の構造を組み立てていきます。1番目に書くこと、2番目に書くこと、3番目に書くことと、順番を決めて、メモにそれを追記しましょう。

 

たくさんのワードの列挙から始まったメモも、順番が決まり、最重要キーワードが決まり、整理されていくことにより、それぞれのワードの「際立ち力」に変化がついてきます。そこまでメモが完成したら、書き出しは難なくスタート出来ます。やる気もそれに伴って出てくるものです。

 

文章を書き始める前に、最後の一文を決めておこう

それでは、ここから一番大事な段取りの話をします。それは、「最後の文章を決定する」ことです。まだ、文章を一文字も書いていないのに、結論になる文章を決めてしまうことは、早すぎないかと思うかもしれませんが、大丈夫です。最後の一文が、初めに決定していると、安心して書き始めることが出来ます。

 

小学校や中学校時代に、読書感想文や作文などを書いた時、ゴールを予想しないで書くことが多かったのではないでしょうか?そのせいで、結論に何を書こうかと、迷いが出て来てしまうことがあります。きちんとゴールを見定めてから書き始めると、そうなりません。

 

長い文章を書く際に、書いている自分自身でさえ、いろいろなことを書いていくうちに、最終的に何を言いたかったのかという結論を忘れてしまうことがあります。初めに、最後の一文を決定しておけば、その一文目指して、締めくくりの文章の流れに持っていくことが出来るはずです。

 

文章の途中で、脱線しかけても、また、本筋に戻って来て、元の路線で書き進めていけるでしょう。ゴールが見えていれば、安心感も生まれます。

 

では、最後の一文にふさわしくないこと、気をつけるべきことは何でしょうか?平凡過ぎる結論は、面白くありません。道徳的なものになりがちですが、そうすると、予想出来てしまうし、何の変哲もない文章になってしまいます。読者はそれを求めていません。

 

例を挙げると、会社で火事が起こった時の避難訓練を行う際の重要ポイントについての文章を書くとしましょう。

 

火災が発生したら、避難する人は、決められた避難場所へ適切な避難ルートを通って速やかに避難しなければいけません。各部署の災害担当者が、日頃から避難場所や、避難ルートの周知を徹底していることが求められます。

 

避難訓練当日も、避難ルートの的確な案内や、誘導を行い、避難場所に集合したら、各メンバーが全員無事に避難出来たか点呼を取らなければいけません。

 

避難だけでなく、火災を食い止めるために、消火器を使用しての消火活動、防火扉の開閉、消防署への緊急連絡など、その時々でやるべきことを一人では出来ないので、各人の役割を決めて分担して、スムーズな連携プレーが欠かせません。

 

このような検討した内容を踏まえて、この文章の最後の一文となる結論を決定しました。「やっぱりチームワークが大事だと思いました。」

 

文章の結論に、この最後の一文を読まされた時、どのように受け止めますか?まとまりがあって良いなあと、感じたら、センスがありません。これは、一番やってはいけない平凡な結論です。「これで良いな」と感じた人は、自分の感性をもっと研ぎ澄ます必要があります。

 

平凡なありふれた結論は、今は求めていません。文章の結論は、あなたにしか書けないような自分自身の発見や認識を、取り込んだような新しいものを目指して欲しいと思います。

 

言い方一つで平凡さの脱却は可能

文章の結論が平凡にならないためには、どのようにすれば良いのでしょうか?同じ内容の文章でも、表現方法を変えるだけで、見違えるほど、斬新な文章に生まれ変わることが出来ます。

 

もし仮に、「結論として、チームワークが大事であることを説きたい」と考えている場合、「チームワークが大事だと思いました。」を全く別の言い回しにするべきです。その方法として、別のキーワードを取り入れることです。そうするだけでも、平凡だったものが少し変わってきます。

 

「チームワークが大事」ということを「別の言葉」で言い直せるか考えてみて下さい。ここで意識すべきことは、平凡さの払拭です。「チームワーク」という概念を別の言葉にならないか考えましょう。

 

自分の経験をもとに、学生時代に身をもって体験したチームワークが良い状態や、あるいは、チームワークが悪くて困ったことなどを思い出しましょう。

 

高校時代の部活動で、バレーボールをしていた時、チームワークがとても良くて、試合に勝った経験が蘇りました。また、ある時は、チームメンバーが怪我をして欠場したことで、チームワークがバラバラになってしまい、大切な試合で敗戦してしまった苦い思い出もありました。

 

その当時のことを、出来るだけ細かく思い返して、別の言葉が当てはまらないか、考えてみて下さい。そこで、あの時、「うまくみんなが一つになれたのは、けん玉みたいな感じだったなあ」と思ったとします。

 

「けん玉というのは、いろんな技がありますが、どんな技でも玉が空中に浮かんで、予定していた皿やけん先に玉がきちんと来ることが、成功になります。一瞬ではありますが、この緊張感の後に成功を手に入れたことは、チームワークがうまくいっている状態と類似しています。」

 

チームの一人一人のメンバーが、それぞれのポジションで決められたその時々での最高の動きをしていかなければなりません。チームには、「けん玉センス」ってものが必要だと、自分独自の考えを思いついたとしましょう。

 

チームワークとけん玉のイメージを重ね合わせる人は、そういるものではありません。誰の真似をしたのでもなく、独自の斬新な発想です。このように、せっかく言葉を置き換えることに成功したのですから、文章の結論となる最後の一文は、「一番大切なのは、けん玉感覚である。」と断定してしまいましょう。

 

これは、さすがに思い切りすぎて、ためらってしまうかもしれませんが、これくらいが良いのです。この一文には、平凡さはみじんも感じられません。独自の感覚を獲得出来ました。

 

イメージは大事にして下さい。かけ離れたと思えるものでも、その2つを結びつけることが出来ます。そうすることで、新しい意味が生まれます。

 

つかみが大事!タイトルは疑問文がお勧め

ゴールとなる最後の一文が決まっていれば、その次に準備すべき段取りは、スタートを決めることです。文章を書くスタートと言えば、タイトルをつけることです。

 

タイトルだけ見て、その文章を読むか読まないかが決まる場合も多いでしょう。短いタイトルに、読者の心を一気にわしづかみにするくらいの強いインパクトが欲しいものです。そのためのコツとして、ゴールに対する疑問文の形を用いることがお勧めです。

 

例えば、「避難訓練を成功させる決め手はけん玉感覚か?」というタイトルをつけたとしましょう。避難訓練の成功とけん玉というワードは、普通に考えたら、似ても似つかない単語で、関連性がなさそうに思えますが、読者にとっては、この2語がどこでつながっていくのだろうという興味が湧いてきます。

 

読者はタイトルだけを見て、自分なりに想像するでしょうが、結果が気になります。タイトルに惹きつけられているのです。タイトルが疑問文の形になっていると、その文章は、最後の一文のゴールに向かって、その疑問に答えるための謎解きをしていけば良いのです。

 

『論語と算盤』という渋沢栄一の代表作があります。『論語』とは、儒教の始祖である孔子の有名な語録です。「算盤」とは、「願いましては・・・」と、計算をする昔からある道具であるそろばんのことで、商人の象徴ともいえるものです。この2語の単語の距離は、はるか遠くてかけ離れているように思います。

 

しかし、渋沢栄一は、『論語』の教えを実業に生かそうと試みました。この関連がなさそうに思える2つの事柄を、彼は人生を賭けてつなげようとしました。そして、成功を収めたのです。それゆえに、著作のタイトルも『論語と算盤』というそのものにしたのでしょう。

 

2つの距離のある単語がセットになって表示されていると、読者としては、そこでまず「なぜ?」と疑問を抱き、惹きつけられてしまいます。そういうタイトルは、タイトル自体が強いと言って良いでしょう。タイトルで、多くの人の注意を惹くことは、とても重要です。

 

タイトルで提示した距離のある2つのものを、次は文章の中で、徐々に距離を縮めていくように努めます。そうすると、読者は、だんだん、その文章に説得力を感じることでしょう。

 

関連性がなく、つながるはずがないと思われた2つのものが、最後にはつながっていきます。読者は、「あっ、そうやって2つはつながったのか!」と、納得してくれるでしょう。

 

「つかみが大事だ」と、漫才などのお笑いではよく言われますが、文章を書く際も、同じことが言えます。例を挙げると、先に述べた『論語と算盤』というような強いタイトルの場合は、それだけで読者の心をガッチリとキャッチ出来ます。

 

読者の気持ちになれば、「『論語と算盤』がどうなるの?何?」と、よく分からないまま、クレーンのようなもので空中にヒョイと吊り上げられた気分になるはずです。そして、「どこに連れて行かれるのかな?」とドキドキしながら期待していると思います。

 

文章を書く人は、タイトルでガッチリつかんだ読者の気持ちを、上手に目標のゴール地点まで連れて行ってあげることが重要です。最初のつかみで空中に吊り上げた読者を、「どこに連れて行かれるのかな?」と楽しませながら、最終目標地点で、丁寧に降ろしてあげましょう。

 

最後の一文のゴールで、「最後に、話がきちんとつながってスッキリしたな。納得出来た。」と、安心させてあげることが大事です。

 

最初のつかみが良い感じに出来ても、吊り上げられた読者が、最後まで吊り上げられたままの状態で終わってしまうと、「この話、宙に浮いていて着地点が見えない」と、不快感を与えてしまいます。

 

最初に、つかみは上々だと、期待してもらえただけでもましですが、最終的にゴールにオチのない文章には、読み手は、良い印象を持ってくれません。もちろん評価も低くなります。

 

3つの通過地点を設定して、ゴールまで速く書き進める

最後の一文となるゴールの結論は、既に決定済です。スタート地点のタイトルも決めました。さあ、その次は、何の段取りが必要になってくるでしょうか?スタートとゴールの間に、通過地点を3つ決めましょう。

 

最初にネタ出しをしたと思いますが、その時、「これは大事だ」と要チェックしておいたワードの中から、3つ選択します。そして、その3語を、スタートとゴールをつなぐ通過地点に配置していきましょう。

 

初めに「1つ目がこれでね」と、説明されると、最初は、「えー!」というような反応をするかもしれません。けれども、「2つ目がこれでね」となって、その時の反応は「へぇ」に変わり、最後に「結局、3つ目がこれなんです」と言うと、「ほう!」と、納得がいき、説得出来ています。

 

3つの重要ワードを選択したのは、人は、このような三段構えの組み立てに遭遇すると、大体は「へぇ」と納得するからです。その三段構えの論法に適した数を通過地点に置きましょう。

 

最後の一文、ゴール地点は決定済なので、そこまでの文章の流れは、それほど気にしなくても大丈夫です。スタートしてからゴールするまでの三段階は、軽い気持ちで進んで行きましょう。こじつけがましくても、多少のことは気にしないで大丈夫です。

 

「最終ゴールは決まっている」と、自信を持って、どんどん攻めの姿勢で書き進めていく練習をしましょう。迷わず、書いていくことで、文章を書くことが、とびきり速くなります。速く書けるということは、とても重要です。

 

国民的な作家ともなれば、一言一言にすさまじい量の意味を含ませて、綿密に計画した文章を一文ずつ書いていかなければならないので、速く書くことは出来ないかもしれませんが、とりあえずエッセイを書いてみようという普通の人は、まず、スピードを重視しましょう。

 

書くスピードを落とさないためにも、スタートとゴールを、あらかじめ決定してから走り出すことが必要です。

 

自分の認識を明確に打ち出そう

日本人は、昔からはっきりと自分の意思を表現するのが苦手な民族でした。昔の文学には、思っていることの全てを言ってしまうのではなく、読み手に想像してもらおうという文化がありました。

 

その古いスタイルから初めて脱却したのが、杉田玄白の『解体新書』と言えるのではないでしょうか。これが著される以前には、日本人は、人体解剖を行ったことがありませんでした。

 

人間の内臓についても、外側からしか見ることは出来ないので、「ああじゃないかな」、「こうじゃないかな」と、考えてはいたものの、妄想ばかりが先行して、もちろん、治療法も分りません。

 

それに引き換え、イタリアのレオナルド・ダ=ヴィンチは、もっと前に、隠れてこっそりといくつもの遺体を解剖していたようです。そういう行為があったからこそ、あの有名な「モナリザ」を描くことが出来ました。解剖経験豊富なレオナルド・ダ=ヴィンチは、人体の内側の構造も詳しく知っていました。

 

人間の筋肉のつき方や、骨の構造、それぞれの内臓の位置も分っていたからこそ、彼の描く絵は、ふくよかであり、写実的なのでしょう。あのモナリザの微笑みは、人体構造を知っていたから描けたのです。

 

日本人は、『解体新書』が出る前までは、人体を解剖して構造を明らかにすることを、ずっと避けていました。それは、医学的なことだけでなく、文化的にも、薄暗いところで、明確な結果がないまま、ぼやっとしたものを美とする風潮がありました。

 

分かりやすいのが、俳句です。五七五のたった17文字で完結しなければいけません。「最後まで言わない方が良い。その先の言わない部分は、読み手が推し量るものだ」というのが、日本人の気質でありました。

 

しかし、この俳句のように、最後の結論は読み手任せにしていると、俳句でない普通の文章を書く際にも、はっきりと結論を述べることをしなくなっていきます。自分の思いは何だったのか、何が言いたかったのかが、よく分からなくなっているのです。

 

この昔の日本文化の体質を受け継いだままでは、良い文章は書けません。また、現代の日本人は、「言いたいことはあるけれど、それを曖昧にしている」のではなく、「言いたいこと自体がなくなってしまった」状態です。

 

だから、何かしらコメントを求められた場合、皆同じような感想になってしまったり、何も答えることが出来なかったりという事態が発生します。メッセージ性の強い、インパクトのあるコメントをしたいものです。

 

このような昔からの日本人の忌まわしい体質を克服するために、何からすれば良いでしょうか?初めに、自分自身の認識を解剖してしまいましょう。ネタ出し、重要ワード選択、結論決定です。この部分が手間と思うかもしれませんが、この手間が「私の言いたいことは、結局はこれだ!」と、はっきりと認識出来ます。

 

ここまで出来れば、準備万端です。スタートとゴールも決めて、3つの通過地点を配置します。これで、スピード感あふれる文章が書けるはずです。

 

小中学校の国語で、作文を書く時は、「起承転結」の構成が基本だと教わった人が多いと思います。物語を書く時には、「起承転結」が適していますが、ここでは、その構成は忘れましょう。

 

「起承転結」は、もともと中国の詩の形から来ているスタイルです。形式美としても、ストーリーの変化の仕方としても、合理性が大変高いのは評価出来ます。しかし、私達が一つの文章を起承転結で書こうとすると、考えが硬くなってしまいます。

 

私達は、今、実用的な文章を書こうとしているので、格好をつけなくて良いのです。形式にとらわれず、柔軟にいきましょう。ゴールに向かって、どんどん進んで行く文章を書いてみましょう。とにかくゴールだけ見て、集中して進めば良いのです。

 

その目指すべきゴールに向かう文章を書くために、「タイトルを工夫すること」が非常に重要なのです。

 

「引用ノート」を活用!どこに惹かれたのかメモしておこう

文章を書く準備として、日々のネタを収集した「ネタ帳」を作っていくことは良いことです。それとは別に、「どこかで引用したい」と思ったものをすぐに書き込むための「引用ノート」を作ることもお勧めです。

 

トルストイの作品に、『文読む月日』というものがあります。この本は、トルストイ自身の著述ではありません。トルストイが様々な書物から引用した文章を、自分なりにまとめた書物となっています。「これは後世に伝えたい」、「これは引用したい」などと、感じた文章をまとめたものです。

 

このトルストイのように、私達も「引用ノート」を作って、文章を書く時に活用出来るようにすると良いでしょう。引用したい文章をメモするだけではなく、引用箇所の横に、これを引用した理由を添えておくと、実際に文章を書く時に、使いやすいと思います。

 

堅苦しく考える必要はありません。自分が読んだ本や、読んだ記事の中で、気になるものが出てきたら、その部分を書き出します。それだけで終わらず、その文章の「どこに惹かれたのか」その理由を簡単な文章で書いておけば良いのです。気になった文章には、必ず何か理由があって目にとまって、惹かれたに違いありません。

 

引用文と自身のエピソードやインスピレーションを結びつけることが出来ます。例を挙げると、ある小説を読んで、「自分の高校時代の部活で、スランプに陥りなかなか立ち直れなかった苦しかった出来事を思い出した」と、メモしておくと、その小説の引用文に、どうして自分は惹かれたのかが鮮明に分かります。

 

エピソードは、過去のものです。インスピレーショは、自分が感じ取った新たな考えです。きっと、本を読んだ時に、あなたが出会った一節と一気に結びつくのです。普通はつながらないと思われる2つのものが、あなたの中ではつながるということも起こり得るのです。

 

例えば、元SMAPの中居正広さんは、解散してしまいましたが、超人気アイドルグループSMAPのリーダーとして、歌手であり、ドラマや映画に出演する俳優であり、バラエティ番組の司会者であり、スポーツキャスターという仕事では、オリンピックのメインキャスターにも抜擢されています。

 

ジャニーズ事務所の後輩グループのKis-My-Ft2の後ろの4人を、舞祭組という新しい派生ユニットを結成させたり、その楽曲を提供したり、その舞祭組のプロデュースを手掛けていました。

 

そんな多面性を持つ中居正広さんのイメージが、「スマートスピーカー(AIスピーカー)」すなわち無線通信接続機能と音声操作のアシスタント機能を持つスピーカーで、人工知能も備えているという多面性と重なったとしましょう。

 

他の人にはつながらないかもしれないですが、あなたにとっては、頭の中で、この2つがつながったのです。本来、つながると思わないものが、その瞬間につながったのです。こうなったら、文章はもう出来たようなものです。

 

2つのものがつながっただけで、文章が出来たと言えないだろうと、疑っているかもしれませんが、文章を書くことは、ネタがあり、それを組み立て、定めたゴールに向かって段取りを組んで突き進んでいくことです。

 

よって、つながっていないものをつなげるということを、文章によって説明が出来たら、文章は完成が目前と言ってしまっても過言ではないはずです。

 

審査員の立場から受賞出来る文章のポイントを知っておく

文章を書いて、その文章が何かの審査に応募したり、試験の課題だったりする場合、そこには、その文章を読んで審査してくれる選考委員が存在します。その審査員の立場になって、どんな文章が好まれるかを考えてみましょう。

 

審査員は、たくさんの数の応募があるものを一度に読まなければいけない場面では、限られた時間の中で受賞者を選ぶためには、ゆっくり読んでいくわけにもいかず、スピードを上げて読むしかありません。

 

その際に、競争倍率が10倍であれば、10人中9人は落選となるわけです。そんな時の読む基準は、「目を惹かないものはやめておこう」となります。

 

真っ先に「不合格」決定になる応募作品は、日本人にありがちな紋切り型の平凡過ぎるコメントを書いているものです。例えば、「これからも頑張りますので応援よろしくお願いします」や「一生懸命頑張りますのでよろしくお願い致します」などの種類のコメントです。

 

これは、読み手の胸に響くものがありません。多くの文章の中では、これらのコメントがある文章は、たとえ言っていることは悪くなかったとしても、完全に埋没してしまいます。そうならないようには、審査員が見ているのは、自分らしく自分の言葉でアピールする強さを備えているかにつきます。

 

ここで言う「自分の言葉」とは、文章を書く人が、新しく造語しろというわけではありません。間違えないようにして下さい。言葉というものは、組み合わせから出来ているものです。

 

「自分の言葉とは何だろう?」と考えた際に、大事なことは、『論語と算盤』のように、読み手が「どうして、これとそれが、この人の中ではつながっているのだろうか?」とビックリするような組み合わせを生み出すことなのです。

 

こういった組み合わせの巧みさが、「認識の面白さ」となり、それを読み手に納得してもらえるように説明していくという文章の醍醐味になるでしょう。

 

懸賞論文などでは、賞をもらいやすい論文とそうでないものには、くっきり差があるそうです。その差というのは、見せ方の差です。中身の差ではないのです。審査員が賞を出してたくなるポイントは、一体何なのでしょう?

 

認識しておくべきことは、論文は「報告書」と「企画書」が一緒になったものということです。まず、審査員は要旨のクリアさで論文の価値を推し量っています。だらだらとならないように、要旨は、試みと狙い、そしてその結果をクリアに書くというのがポイントになります。

 

論文審査では、因果関係が明確に書かれているものほど、審査員の心をつかみやすいそうです。例えば、「このような試みを実施した結果、○○小学校1年生全員が縄跳びを飛べるようになりました」のようなものです。内容には、化学実験のような再現性を求めています。

 

さらには、オリジナリティです。提示した試みが、いかに独自性があるかを問われます。研究・実践の内容的には、感心出来る部分が多くても、「あれもこれもやりました。その結果は、こんな感じでした」などのぼんやりした論文になってしまうと、受賞にはほど遠いでしょう。

 

化学実験のようなクリアさ、そして、分かりやすい結果の説得力、これが、受賞出来るか出来ないかのポイントになります。

 

2種類の独自の視点の発見方法をマスターしよう

個人が持っている独自のものの見方こそが、「認識の面白さ」になります。そうは言っても、「独自のものの見方なんて考えつかなさそうだ」と不安になる人もいるかもしれませんが、大丈夫です。

 

独自の視点の見つけ方には、2種類あります。前述の通り、1つ目は、「本来、異質であると思われる2つのものの間に、共通点を見出すこと」です。2つ目は、「もともと同質であると思われる複数のものの間に、差異を見出すこと」です。

 

自分自身がどう思うのか、他の人と意見が違っていて良いのです。「私にとっては、これとそれがつながっている」とか、「あれとそれは類似しているようだけど、実はここの点が違っている」というような見方が、人それぞれ出来るはずです。それが、あなた独自の視点なのです。このような独自の視点を盛り込んで、文章を書いていけば良いのです。

 

まず、目標とすべきは、「目のつけどころが良い」文章を書くことです。「異質のもの」と思われがちな2つの事柄に対して、「何か通じ合うもの」を発見することが出来たら、あなた独自の視点がそこに生まれたということになります。それこそが、「目のつけどころが良い」と言えます。

 

また、「もともと同質であると思われる複数のものの間に、差異を見出す」方法は、その「差異を見つける基準」が独自の視点になってくるでしょう。私達は、差異を見つける基準を備えていなければ、全てのものが同じに見えてしまいます。

 

分かりやすいように、例を挙げると、人気女性アイドルグループの「AKB48」は、それ以前の女性アイドルグループと何が違うのでしょうか?「AKB48」と「モーニング娘。」の2つについて考えてみましょう。2つのグループは似ていると思っている人も多いでしょうが、よく知っている人は、「全然違う」と断言出来るようです。

 

アイドル通の人の話では、モーニング娘。は、聞こえが良くないかもしれませんが、キャバクラ嬢のようなもので、「少しだけプロっぽい」グループと言います。

 

AKB48は、「学校のクラスに存在しそうなタイプ」で、「学校で2、3番目に可愛らしい娘を集めた」グループと言います。プロ集団になり過ぎず、高校選抜くらいの素人っぽさをわざと残しながら、「ダンスもプロのようにシャープになりすぎない方が良い」という立場をとっています。

 

そのため、AKB48のメンバーの中には、もともとダンスをやっていて踊りが上手すぎると、逆に、素人っぽく矯正されてしまうこともあるらしいです。AKB48が維持し続けたいスタンスを突き通すために、そういうところは徹底しているようです。このようなコンセプトの違いが、モーニング娘。とAKB48では、大きく異なっているのです。

 

このようなコンセプトの違いが存在したことについて、気がつかなかった人にとっては、2つの女性アイドルグループは、同じようなグループに見えてしまいます。けれども、このコンセプトの違いを理解出来た人は、それぞれのグループは、全く異質のグループと認識されるのでしょう。

 

ここに示したように、2つについての差異が示されることで、初めて2つのものが明確に見えてくることがあります。そうやって2つのもの、あるいは複数のものを判別する基準となるのが、独自の視点です。

 

無理矢理でも個性のある文章は面白い

2つの異なるものについて、共通点を発見し、そのつながりを文章にすることをお勧めしてきました。その際のアイディアのつなげ方も、人それぞれの個性が現れてきて、面白いです。

 

例えば、あなたが、映画の『スターウォーズ』の映画評を書くことにし、それを書くための引用出来る材料集めに本屋さんに出かけたとしましょう。その本屋さんで、あなたが見つけたのが、紫式部の『源氏物語』でした。

 

それを知った友達は、「『スターウォーズ』を評論するために選んだ本が『源氏物語』っておかしくないですか?その選択ないよね?間違ってない?無理あり過ぎ!」と、言うかもしれません。けれども、あなたは、そんな友達の言葉にもめげずに、つながるはずがないと思われる2つに共通点を発見して、文章にまとめていこうとします。

 

もともと、かけ離れた存在に思われる2つのものを、半ば無理矢理つなげようとするわけですから、そこには摩擦が生じます。それも「ギギギーッ」と音が鳴りそうなぐらいの大きな摩擦です。そんな摩擦が感じされる文章を、読み手は受け入れてくれるのでしょうか?

 

実は、読み手には、そんな無理矢理感がある文章は、割と爽快に感じられるものなのです。読み手の予想をくつがえし、びっくりさせてくれる驚きに快感すら覚えるのです。そもそも、個性というのは、ある種の「無理」や「歪み」と言っても良いでしょう。

 

理路整然と、全くの無理や歪みのないものは、面白みに欠けるでしょう。「この場面で、なぜこれを!」と、想像していなかった驚きの展開を見ることが出来れば、その人独自の個性や歪みが、「味があるなぁ」とか、「摩擦が発生してますけど」と、ウケる人には非常に好まれます。

 

私達の社会の中では、仕事によって強い個性を尊重し、求められたりする分野もあります。マスコミや広告業界で能力を高く買われる人材は、役所や銀行が求める人物と基礎的な能力は同等でも、そこに付加する味付けが異なってきます。

 

就職活動をしている学生の話で、銀行に面接に行って、「あなたは、マスコミに行った方が良いのでは」と言われたり、その逆で、「マスコミは無理かな」と言われる学生もいるようです。基礎的な能力は変わりなくても、その上の味付け次第によって、他者からの印象は大きく異なってきます。

 

想像力を膨らませ、どんどん妄想しよう!アイディアの連鎖を生み出そう

自分が見聞きした実際の経験だけでなく、想像を膨らませて、どんどん妄想していき、その妄想を文章としてまとめていくと、想像力を向上させる面白い練習になります。発想が次々に途切れることなく、つながっていく想像力の羽ばたきは、脳に大きな快感を与えます。その快感を得ることで、どんどん文章が書きたくなっていきます。

 

想像力からの羽ばたきが生む快感を知ることは、とても重要です。この快感を味わうことで、想像力(創造力)豊かな文章を書く原動力になるからです。その快感を知れば、文章を書くことが苦手と思わなくなるでしょう。

 

文章に想像力が盛り込まれることによって、その人のカラーが如実に表現されてくるでしょう。春風亭昇太師匠の落語に「花粉寿司」という演目があります。「もし仮に、寿司職人が花粉症だったら」という噺です。

 

寿司職人が極度の花粉症で、何をやってもクッシュンクッシュンとなって、いっこうに寿司が握れません。そのシチュエーションが面白いので、職人が寿司を頑張って握ろうとすればするほど、おかしくなるという爆笑必死の創作落語です。

 

昇太師匠は、この噺を、「花粉症になって困る職業は何だろうか?」と考えたところから作り上げたのだそうです。「寿司屋は、絶対困るはずだ」と思いついたら、そこから、次々に妄想を膨らませていったようです。そして、一つの物語のような展開が完成したのです。

 

昇太師匠は、「花粉症」と「寿司職人」という2つのものから、ズレた状況を設定して、自分の想像力をかき立てて、刺激したのです。これは、素晴らしく想像力が発揮された例です。

 

書くという作業は、自分を新たに広げていかなくては出来ない作業です。何かを書いていく際に、想像力を発揮して、それで「世界が広がった」と実感出来るでしょう。書くことにより、「自分を掘り下げる」場合もあるでしょうが、自分に気づき、広げていきましょう。

 

文章を書き進めていくうちに、いろいろなアイディアが浮かんできます。さらに、そのアイディアがメキメキと膨らみ、つながって、広がっていきます。「おやおや、こっちにもつながる話だな、なるほど、良い感じになってきたぞ」と、書きながらノッてきます。このようなアイディアの連鎖が、結果として、自分自身の世界観になるのです。

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