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赤ちゃんはどうやって「声」を得て「話す」ようになるのか?

話す赤ちゃん

赤ちゃんははじめは言葉とは言えないような声しかたてられなかったものが、成長するにつれてだんだんと言葉を話せるようになっていきます。学校で教わるわけでもないのに自然に言葉を身につけていくわけですが、ここにはどういったメカニズムが働いているのでしょうか。

 

言葉の練習――まずは笑い声から

こういうと意外に感じられる方もあるかもしれませんが、赤ちゃんは生まれてから3ヶ月ほど経つまでは声を立てて笑うことができません。3ヶ月になる赤ちゃんの体をくすぐると「はっはっは」と笑い声を立てますが、それより幼い赤ちゃんをくすぐってやっても、鼻から息が抜けるだけで「はっはっは」と発音できないのです。

 

「はっはっは」というのはおよそ言葉には見えないかもしれませんが、いくつかの音節で構成されているだけでなく、母音と子音が組み合わさって構成されていることからみれば言葉の要件を満たしています。そういった意味では、笑い声を立てられるようになるということは言葉を話すための準備が整ったといえます。

 

赤ちゃんの喉や口の構造

3ヶ月未満の赤ちゃんが「はっはっは」という笑い声を立てられないのにはきちんとした理由があります。それは、人間が言葉を発するために使う喉や口といった器官が、大人とは違う構造をしているからです。

 

人間の大人の場合、声を出すためにはまず吸った息を吐いて、声帯をふるわせることによって音を出します。それだけでは声としては小さいので、これを胸・鼻・喉・口・頭などを使って共鳴させ、音を増幅させて「声」にしています。人間の喉や口の構造では、この時の空気の流れが口の方に流れやすくなっているため、この「共鳴」を無理なくできる様な形になっています。

 

チンパンジーなどのサルの喉・口は、そういうふうにはなっていません。人間の大人であれば喉の空間は口の奥にあって大きく開いているのですが、これが口の空間よりも高い位置にあって狭いため、肺からの空気が鼻の方に抜けやすい構造になっています。こうなると母音をうまく発音できないのです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんの喉の構造を見ると、人間の大人のものよりもサルの構造に近いことが分かります。「軟口蓋」と呼ばれる部分の終わりが喉の奥まで垂れ下がっているため、口よりも鼻の方に空気が流れやすい構造になっているのです。

新生児と成人の喉の構造

 

このため、赤ちゃんはお母さんのおっぱいを飲みながら鼻から声を出すことができます(人間の大人は食事しながら声は出せません)。この点はサルも同じで、食事をしながらであっても天敵の接近に気づいたときに仲間に警告を発することができます。

 

このように、生まれたばかりのころはどちらかといえばサルの構造に近い赤ちゃんの喉ですが、3ヶ月頃から急速な発達を遂げます。周囲にある骨が成長し、気管の先に当たる部分が沈み込むとともに、喉の空間が広がります。そうすることで大人と同じような構造に変化し、声帯の振動を共鳴させることが可能になり、ようやく「はっはっは」という笑い声をはじめとするいろいろな声を出せるようになっていきます。

 

日々のやりとりのすべてが練習

赤ちゃんの喉の構造が変化し、より「言葉」に近い発生ができるようになってくると、お母さんをはじめとする大人はそれを可愛らしい声だと認識します。そうすると、より愛情のこもった応答を赤ちゃんに向かって返すことになります。赤ちゃんはそうした愛情を感じ取ってうれしいと感じ、もっとそれを感じたいと思うためにさまざまな声をたて笑い声を上げるようになるのです。

 

最初のうちは、赤ちゃんはまだ息を吐くためのコツがつかめておらず、あまり長い笑い声を立てることができません。一度に息を吐ききってしまうためです。しかし毎日笑い声を立てることで「訓練」を積み、だんだんと息を切って出すというコツをつかんでいきます。

 

それにより、長い笑い声を立てることができるようになり、次いで素早い笑い声を立てることができるようになります。そうやって、喉や口をうまく使って素早くテンポよく息を切ることができるようになっていくのです。

 

素早く息を切って長く声を出すというのは人間が話すときにはなくてはならない運動ですので、赤ちゃんは笑い声をたてながらそのための訓練を日々積んでいるということができます。そしてこうした「自主トレ」は生まれてから9ヶ月目ぐらいまで続きます。そしてそのころになると、今まで耳にしてきた大人の声をまねしてより五十音に近いような「声」を出し始めるというわけです。

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