骨盤を閉める、開く、どちらが健康に良いのか?
骨盤が開いていると太るとか、骨盤を整えると痩せるという話を聞いたことはありませんか?必ずしも間違いではありませんが、骨盤をいつも閉めていれば痩せるのだと考えるのは早計です。それどころか、不健康な体になってしまう恐れもあります。どういうことなのか見ていきましょう。
骨盤の仕組み
骨盤は閉めた方が良いのか、開いた方が良いのかの前に、骨盤の仕組みについてまず説明します。骨盤は2種類の骨で形成されています。それは仙骨と寛骨(腸骨、恥骨、坐骨の総称)です(仙骨、寛骨、尾骨の3種類で骨盤という場合もあります)。仙骨は逆三角形をした骨で、それを中心として寛骨が左右に1つずつあるという形になっています。
仙骨と腸骨とが接している部分には3ミリメートルほどの隙間があり、この部分を仙腸関節と呼んでいます。この仙腸関節がわずかに動くことで、クッションのように腰にかけられる衝撃を和らげたり、体の重心を保ったりしています。そしてインナーマッスルの一つである腸腰筋が、骨盤を周囲から包み込み、支える働きを担っています。
骨盤は開閉するのが普通
30年ほど前までは、骨盤がずれるとか動くなどということは知られていませんでした。しかし近年、腸骨は仙骨の上を滑るような動きをし、わずかに閉じたり開いたりするということが知られるようになりました。
骨盤はずっと動かずにいるわけではありません。起床する時には閉じている骨盤が、夜就寝する時に向かって少しずつ開いていきます。さらに、2週間という時間をかけてゆっくりと閉まったり閉じたりするということも分かっています。
また、女性の骨盤は生理周期とも動きを合わせています。月経の日から閉まり始め、排卵日からは再び開き始めます。では男性の骨盤は動かないのかというとそうではなく、やはり2週間ほどのスパンで開いたり閉じたりの繰り返しがあります。
骨盤がスムーズに開閉することが健康な状態
骨盤がいつも開いた状態になっていると、体の外に出さなければならない水分や老廃物が腸の中にとどまったままになります。そうなると下半身の血流が滞り、冷え性になったり肥満になったりします。
ダイエットしたい方がそんな話を聞けば、骨盤はいつも閉めていなければと思ってしまうでしょう。しかしそれは間違いです。骨盤を閉めっぱなしでいると体にいろいろな悪影響をもたらします。
骨盤がいつも閉まっている状態とは、常に緊張状態ということになります。前述の通り、通常なら就寝の頃には骨盤が開いていくものです。それが閉じっぱなしになっていてはリラックスできず、ぐっすりと深く眠ることができなくなります。いつも緊張状態であるために、イライラしてしまったりすぐに怒ってしまったりするようにもなりますし、食欲がわかなくなることもあります。
つまり健康な体になるには、骨盤は開きっぱなしでも閉じっぱなしでもダメだということです。開くべき時には開き、閉じるべき時には閉じるという動きが円滑に行われる骨盤こそ、手に入れるべき状態だと言えるでしょう。
更新日:2019/11/29|公開日:2017/07/25|タグ:骨盤