魚の焦げには発がん性がある?
「魚の焦げを食べるとがんになるよ」と言われ、焦げを丁寧に取ってから食べるよう教えられた人も多いのではないでしょうか。しかし、今はその常識も変わってきています。
焦げががんになると言われた理由
昭和51年の大手新聞会社の記事で、「焼き魚の焦げに発がん性の疑いあり」といった内容のものがあり、人々に大きなショックを与えました。それは、国立がんセンターによる実験結果を受けた記事でした。
その実験で、魚を焼いて焦げができると、たんぱく質のもとになるアミノ酸が変化し発がん性物質ができ、その発がん性物質をマウスに食べさせたところ肝臓がんになったとの結果が出たのです。
確かに実験からするとそのような結果になりました。しかしマウスに起こった結果を即人間に当てはめられるわけではありません。この実験では、濃縮した発がん物質を使用し、その上とてもたくさんの量をマウスに与えていました。つまり、焦げが発がん性を持つこと自体は、まだ実験によって明らかになったわけではないのです。
魚の焦げ、どれくらい食べたらがんになる?
一時期は、魚の焦げに発がん性物質があるとして、食卓で焼き魚を出さなくなったり、焼いたとしても焦げた皮はきちんと残したりする家庭が多くなりました。
しかし、その話の原因となった実験はマウスで行ったものです。その実験を人間に当てはめると、60㎏くらいの体重の人間であれば真っ黒焦げになった100トンの魚を毎日食べるという計算になります。100トンの魚はどれくらいかというと、いわしならだいたい92万匹です。
魚でなくても、お米のお焦げやパンの焦げなども同様の量になります。
現実に人間がこんな状況になることは、ありませんよね。ですから、マウスで起こった結果を、すぐに人間に当てはめることは現実的ではないと言えます。
以上のことから、今では魚の焦げががんを誘発するとは考えられないということで一般的になっています。もちろん進んで焦げを食べる必要はありませんが、必要以上に気にすることもないということですね。
更新日:2019/11/29|公開日:2016/11/19|タグ:発がん性