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出産に関してかかる費用

出産費用

子供の出産にはまとまったお金が必要です。妊婦健診を受けるための費用や、出産のための入院費、出産そのものにかかる費用、ベビー用品やお祝いのお返しなどなど……。最近では少子化に対する施策の一環として、親の費用負担を肩代わりする制度などが設けられ、費用面でサポートを受けられるようになってきています。では実際にどんな場面でどれぐらい費用がかかるものなのでしょうか。

 

妊婦健診にはこれだけかかる

妊娠してから出産までの期間について健康を維持し、健やかな赤ちゃんを産むために重要となってくるのが妊婦健診(妊婦健康診査)です。

 

妊婦健診はお腹の中の赤ちゃんの成長をチェックするためのもので定期的に受ける必要があり、国は最低でも5回、可能ならば14回の受診が望ましいという方針を出しています(妊娠していることがわかった時期や妊娠の進み方によって必要な回数には個人差が出ます)。費用としては初診料の他、健診費用、超音波診断料などがかかってきます。

 

妊娠や出産は病気ではないため、特にトラブルが起きなければ健康保険の適用を受けることはできません。このため、妊婦健診に関する費用はすべて自己負担となります。1回につきおおよそ3千円~5千円、検査項目が増えた場合は1万円を超えることもあり、これは妊婦さんにとってはかなりの負担になってしまいます。最近になって、妊婦さんにかかるこのような金銭的負担を少しでも減らすべく検診費の公費助成が広がりを見せつつあります。

 

もともとは、妊婦健診の公費助成については自治体にもよりますが2回~5回程度が無料となるような形が多かったわけですが、平成20年の前半ごろから無料で受診できる回数を増やす自治体が増え始めています。

 

例えば東京都の自治体はかなり早い段階から14回の受診をすべて無料で受けられる受診票を配布していたわけですが、今ではたいていの自治体に同じような制度が広がっています。もっとも、こうした公費助成は自治体によって内容がさまざまですので、居住地の自治体が発行する情報誌や広報、ホームページなどで常に最新の情報をチェックするようにすべきでしょう。

 

たとえば、妊婦健診の際に超音波による検査を行った場合、検査内容にもよりますが検診費が数千円上乗せされることになります。自治体によっては、この超音波検査で上乗せされる金額についても公費助成するところがあり、そうした自治体はだんだんと増えてきています。

 

助成の仕方もさまざまで、通常行う健診とは別立てで検査費用を助成してくれる自治体もあれば、ある時期の健診については上乗せされるという形式を取っている自治体もあります。さらには35歳以上の場合に限る、といったように、年齢制限が課されているようなところもありますので、利用する前にしっかりチェックしておくことが必要です。

 

妊婦健診についての疑問あれこれ

妊婦健診の公費助成は自治体によってさまざまな形式があります。よくある疑問点について見てみましょう。

 

■検診費の助成はどんな形で行われるのか?

検診費の公費助成は、健診受診票(名称は助成券、受診券、補助券などさまざまです)を支給する形で行われるのが一般的です。受診票にはどんな健診に助成が受けられるかが記されており、それ以外の部分については自分で負担する形になります。あるいは一定額までは無料にするというような場合もあります。

 

助成の受け方も自治体によってさまざまです。窓口では自己負担となるぶんを差額だけ支払えばいいところもあれば、いったん全額を自分で支払い、後ほど申請すると助成ぶんが産後に払い戻されるようなところもあります。妊娠が分かった時点で、自分が居住する自治体の助成がどんな形のものであるのか、早めにチェックしておくことをおすすめします。

 

■妊娠中に引っ越しをする場合、移転先での受診はどうなるのか?

妊娠中に引っ越しをした場合は、もといた自治体の健診受診票は利用できなくなりますが、新しい自治体に転入の手続きをする際に転入先の助成制度に見合った形で振り替えが行われる形になることが多いようです。もといた自治体の健診受診票で使用していないぶんがあった場合は、引っ越しする前にもとの自治体に返却するようにしましょう。

 

里帰り出産をする場合などには、現在居住している自治体に受診票を返すと未使用ぶんに応じてお金が戻ってくるのが一般的です。その他、どのような制度になっているかは現在居住している自治体の窓口に問い合わせてみるといいでしょう。

 

■妊娠中に公費助成の内容に変更があった場合はどうなる?

病院で妊娠が分かると、医師からは母子手帳をもらってくるように言われます。母子手帳は地方自治体に妊娠届出書を提出することで発行を受けることになりますが、そのときに妊婦健診の健診受診票も受け取るケースが多いと思われます。そうでない場合も、そのタイミングでどうなるのかの説明を受けることになります。

 

このため、もし妊娠継続中に公費助成の内容が変わったような場合にはどうすればいいのか、問い合わせ先などについても確認をしておきましょう。中には、自分から申請書を出さないと助成してもらえなくなるケースもありますので、どういう手続きがいつ頃までに必要で、手続きはどこで行う必要があるのかなどをきちんと教えてもらっておく必要があります。

 

不妊治療をする場合の助成もある

人工授精、体外受精、顕微授精などは、高い費用がかかるにも関わらず健康保険を利用できません。このため、そうした不妊治療をする際の経済的な負担をサポートするために「特定不妊治療助成金制度」という制度が設けられています。

 

1回に助成される額は1回15万円(凍結胚移植や採卵したものの卵が得られなかったり状態の良い卵が得られずに中止したような場合は1回7万5千円)までとなっています。

 

この制度は平成26年4月に改正が行われ、それまで対象年齢に制限がなかったものが女性の年齢が43歳以上の場合は対象外とされるようになりました。改正前は、年間の助成回数が2回(初年度のみ3回)であったのに対し改正後は制限がなくなり、助成を受けられる期間も通算5年だったものが制限がなくなりました。

 

一方で、通算助成回数のほうは、改正前は10回であったものが初回の時点で40歳未満であれば通算6回まで、40歳以上43歳未満であった場合は通算3回までというように変更されています。

 

入院や分娩に関する費用負担は

出産に伴う入院や分娩費用は健康保険の適用を受けられないので、40数万円ほどかかる費用については自分で負担する形になります。しかし、実際には入っている健康保険の方から出産育児一時金(基本的には42万円)が出ることになりますので、それをそうした費用に充てることになります。入院や分娩でかかる費用と出産育児一時金でもらえる金額はだいたい同じぐらい、というパターンが多いようです。

 

現行制度上では、前もって申請をしておけば出産育児一時金を病院側が本人にかわって受け取るのが基本的なスタイルとなっています。このため、入院や分娩でかかる費用をいったん全額自己負担するというようなことはなくなってきています。

 

とはいえ、入院や分娩でかかる費用は病院により大きな差があり、中には出産育児一時金で支給される金額を大幅に上回るようなところもあります。このため、病院の提供してくれるサービスやその費用などを総合的に判断し、自分にあったところを選択する必要があります。

 

なお、深夜や早朝といった時間の分娩になったり、あるいは祝日や休日に分娩という運びになったようなケースでは、普通よりも割高な割増料金を請求されるのが普通です。割増料金が高すぎて「こんなはずでは……」といったことにならないように、前もってそういう場合にはどれぐらいの上乗せがされるのか、ということもきちんと調べてから病院を選ぶようにしましょう。

 

出産準備用品はどれぐらいするものなのか

お母さんが使うマタニティウェアや肌着を皮切りに、赤ちゃんが生まれてすぐに使うことになる赤ちゃん用の肌着、おむつ、授乳のために使うアイテムや服、赤ちゃん用の寝具やチャイルドシートなどなど……。妊娠してから赤ちゃんが生まれるまでの間に、さまざまな出産準備用品を準備する必要があります。出産経験者の話を総合すると、およそ10万円前後の出費をしたという人が多いようです。

 

こういったアイテムは使う時期が限定的なものですので、何でもかんでも専用のものを買いそろえるというのも経済的ではありません。例えばマタニティーウェアなどはデザインもおしゃれなものなどが販売されていますが、実際にはほんの短い期間しか使わないわりに思ったよりも値段が高い、といったようなことになりがちです。

 

例えば自分がすでに持っている服を上手に使い回したり、腰回りだけアジャストできるようなマタニティパンツだけ購入したり、家の中で普段着るものならば大きめなサイズのお父さんの服で代用したり、工夫の余地はいくらでもあります。

 

最近出産した姉妹や友人がいる場合、使わなくなったものを安く譲ってもらっても良いかもしれません。出産した後でも使えそうなデザインの服を買うというのも手ではありますが、妊娠中だけ必要になるような肌着などもありますので、安全面と衛生面、そしてコストの面をよく見極めて準備をするようにしましょう。

 

また、出産経験者にアンケートを取ると、無駄な出費を多くしてしまったという回答が多くなるのがベビー用品です。ベビーベッドやベビーバスなどはほんの一時期しか使わないものですし、最近では買うのではなくレンタルするという選択肢も取れるようになっていますから、そういったものを賢く利用するようにしたいものです。また、最近出産した親戚や友人などからのお下がりをもらったり、リサイクルショップに安価なものが出品されていないかチェックするという手もあります。

 

赤ちゃん用のベビー服や肌着類、おむつといった、どうしても必要そうに思えるものでも無駄になってしまうこともあり得ます。例えばベビー服はお祝いにもらえることが多い品物ですし、肌着類をたくさん買っておいたのに、結局終わってみたら数枚をずっと着回していたというようなことになったりもします。まとめて買ったおむつも赤ちゃんが大きくなってサイズが合わなくなったら使えなくなってしまいます。

 

こういったことが起きないようにするには、赤ちゃんが生まれてから1・2ヶ月の間に必要となるもの(授乳グッズ、肌着、おむつなど)や、赤ちゃん用の寝具、移動のために必要なグッズ(抱っこ紐やチャイルドシートなど)をまずそろえるようにし、残りのものについては赤ちゃんが生まれた後に必要に応じてそろえるようにするのが一番です。

 

その他こんな出費も出てくる

里帰り出産に関する費用

出産のための里帰り手段を検討する場合、大事なのは費用のことばかりではありません。里帰り費用を節約して体調を崩してしまっては元も子もありませんので、時間的にも体調の面でも余裕を見た計画を立てるようにしましょう。

 

また、出産後はお父さんが里帰り先まで来る頻度も増えることになります。何度も往復することになりますので、交通手段や交通費についても一工夫が必要です。Web予約や金券ショップの利用、交通手段の検討や早期割引の利用などを通して上手にやりくりしてみましょう。

 

また、自分の実家だからといってもお父さんが何度も宿泊することになれば親にもそれなりの負担がかかってきます。親子の間といってもなにがしかのお金を渡すであるとか、お礼を渡すといった気づかいも大事になってきます。

 

ちなみに、出産経験者の意見を聞くと、出産が終わり実家から自宅に戻る時期としては1ヶ月検診を受けたあとであったり、お宮参りが終わったあと、といったタイミングが多いようです。自分の体調や赤ちゃんの体調面も考慮してどうするかを考えるといいでしょう。

 

出産祝いへのお返し

子供が生まれると兄妹親戚や友人、職場の同僚などからいただけるのが出産祝いです。最近では現金を包んだり商品券の形でいただくことも増えており、この時期にはいろいろ物入りになりますので、こうしたお祝いは非常にありがたいものだといえると思います。出産祝いは個人差が大きい部分ではありますが、平均すると30万円前後に達するというデータもあります。

 

出産祝いをもらったら忘れないようにしなければ行けないのがお返しです。「内祝い」などともいいますが、だいたいいただいた額の1/2~1/3を目安に考えるのが相場のようです。お返しする時期としては、お祝いをいただいてから3~4週間ぐらいが適当です。

 

品物を送る場合には、送り先が増えると送料もばかにならなくなってきますので、その点にもちゃんと注意するようにしましょう。なお、職場から連名でお祝いを頂いたような場合には、大勢で分けられるようにお菓子のようなものにする気配りも大事です。

 

赤ちゃんの成長に伴う祝い事の費用

赤ちゃんが生まれると、初めのうちは赤ちゃんが健康にすくすくと育つようにとさまざまなお祝い行事をすることになります。たとえば産まれて1ヶ月目ぐらいには「お宮参り」(地域の氏神に赤ちゃんの誕生の報告をする行事)をしますし、100日目~120日目には「お食い初め」(その子供が一生食べるのに困らないように、とお祈りをする行事。実際に食べ物を食べるわけではなく、箸を使って食べさせるまねをします)をしたりします。

 

地域によっては、初節句(赤ちゃんが最初に迎える節句の日。男の子であれば5/5、女の子であれば3/3になります)に盛大なお祝いをするようなところもありますし、こいのぼりや雛人形を購入したりといったように、さまざまな形で費用がかかります。

 

こうした祝い事はお母さんの実家が準備に関わるような風習がある場合もあることから、自分の実家の両親に支援をお願いすることが多くなります。しかし、あまりに頼りきりになるのも考えものです。あまり両親を当てにすることなく、自分たち家族が無理なく行事をすることができるような規模を考えて実行したいものです。

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