ゲーム脳、メール脳になると、脳の発達がストップして他人の都合や気持ちを考えられなくなる!?
ゲームは子供を虜にする遊びの一つです。また、スマホを持つ子どもが増えてきており、メールやLINEなどのチャットは子供たちの交流の重要なツールになりつつあります。しかし、ゲームもメールも上手に使わないと、子供の脳の発達を阻害してしまう恐れがあるのです。どういうことか、詳しく見ていきましょう。
ゲーム脳にならない使い方を!
「ゲーム脳」という言葉を知っていますか?ゲームをやりすぎると、ゲームをうまくやれるように脳の神経回路が形作られてしまい、アンバランスな発達をした脳になってしまうということが分かっており、そのような脳がゲーム脳と呼ばれています。
ほとんど毎日2時間以上ゲームをし続けていると、ゲーム脳になると考えられています。そうでなくても、週の半分くらいの頻度で、しかも1日につき数時間ゲームをしていると、ゲーム脳に似たバランスの悪い発達をした脳になります。
脳の中でも、人間らしい思考や判断を司るところは、前頭前野と呼ばれる部分です。しかし、ゲームをしすぎるとこの前頭前野が活発に働かなくなり、発達がストップしてしまいます。ゲームではなく他人と関わる行動をしていると、前頭前野は活性化され、発達が促進されます。
前頭前野がうまく発達しないということは大きな問題です。なぜなら、前頭前野が活発に働かなくなると、本能に関わる部分だけがアンバランスに働くようになるからです。
そうなると行動は自分中心になり、自分以外の人の都合や気持ち、今の状況を考えて判断することができなくなります。そして身勝手で常識のない行動や、破壊的な行動をするようにもなっていきます。これでは周りの人とうまくやっていくことはできません。
脳の神経回路の発達のスピードが最も速い時期は、10歳ころまでだと考えられています。その大事な時期に、ゲーム脳になってしまう習慣をつけないようにしましょう。子供の脳は、ゲームだけではない様々な刺激を受け、脳のいろいろな場所をたくさん使わなければならないのです。そのためには、ゲームなどの間接的な体験だけでなく、友達と関わりあったり、自分の体をたくさん使ったりして直接的な体験を積む必要があります。
ゲームだけに没頭することのないように、ゲームを子供に与える時には必ずルールを一緒に決めましょう。もちろん決めるだけでなく、守り続けることも重要です。たかが子供のおもちゃと、ゲームを与えっぱなしにするのは、子どもの脳にとってとても危険なことです。
「そんなこととは知らずに、今まで好きなようにやらせてきた」という方は、今からでも遅くありませんから、すぐに親子で話し合ってゲームのルールを決めてはいかがでしょうか。そしてそれをきちんと守ることで、ゲーム脳になりつつあった脳も改善されていきます。それとともに、直接的な体験を増やし、子どもの脳のあらゆる部分を働かせるようにしてみましょう。
メールやチャットをコミュニケーションの中心にするのは危険?
メールをしていても、脳はあまり疲労を感じません。それは、メールをしているとき、脳の前頭前野は働いていないからです。ですから、メールばかりしていると脳が休んでいる状態が長くなり、発達が止まってしまうのです。それどころか、退行してしまうことすらあります。
総務省の調査によれば、携帯電話(スマートフォン含む)の普及率は2015年3月末の時点で119.3%です。計算上は日本の全ての人が携帯電話をもち、中には複数台もっている人もいるということになります。もちろん赤ちゃんなどは持っていないでしょうけれど、今や小学生くらいの子供でも携帯電話を持ち歩いていることが少なくありません。
こんなにも高い普及率の理由はもちろん、携帯電話等の便利さにあります。しかし先ほども述べたとおり、メールのやりすぎは脳の発達に悪い影響を与えるなど、デメリットの部分もありますから、そのことも十分知ったうえで使うことが大切です。
子供がメールする時は、大人と違って、たいていの場合、好きな友達としかしないものです。それゆえ、メールが誰かの悪口を言うため、あるいはいじめのためのツールになってしまうこともあります。
メールでのやり取りでは、相手の顔は見えません。ですから、口に出しては言いにくいこともすんなり言えてしまうということがあります。さらに、本当は考えてもいないようなことも、うっかり書いてしまうということも起こり得ます。
面と向かって相手とやり取りをする時には、友達の表情や様子がよく見えます。だから、うっかり相手を傷つけるような言葉を言ったとしてもすぐに訂正ができますが、メールでのやり取りではそうはいきません。相手が不快に思ったとしても、それに気づくことができません。これはとても怖いことです。
人間は社会的な動物だと言われています。人は誰かと全く関わらずに生きていくことなどできません。他の人と実際に関わり合いながら様々なことを学ぶことで、成長した人間になることができます。メールでの間接的なやり取りだけでは足りません。目の前にいる他者と直接関わることなしには、人間としての成長は望めないのです。
自分の周りには、好きな人や自分と相性の良い人ばかりでなく、気が合わず好きになれない人もいるものです。そういう人と関わることはうれしいことではありませんが、それもまた、豊かな人間性を育むために重要な経験だと言えるでしょう。