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子供が自分の意思を持ち、決断し行動するようになるための親の助言の仕方

自ら決断する子供

子供には子供の意思があります。その意思を持って決断して、行動できるようになるためには、親が子供の意思を尊重した声掛けや、フォローをすることが必要です。今回は、様々なシーンに合わせた、子供との関わり方を見ていきましょう。

 

親子の信頼関係の重要性

親と子の間に尊敬と信頼があれば、子供の困った行動は起きにくい

「私は、子供にきちんと関心を持って接している」と普通の親なら誰でも思うでしょう。

 

それでも、子供はもっと両親には、自分に関心を持ってほしいし、自分を認めてほしいと思い、部屋を散らかし、忘れ物をしたり、乱暴な言葉遣いをしたりするのはどうしてでしょうか。

 

その原因は、親は関心を持って子供に接していると思っていても、そこに尊敬をプラスして接する事が足りないからと考えられます。親子の関係は対等であり、互いに尊敬し合う事が子育ての根底にあれば、子供の方も自然と親を尊敬します。この相互関係が成り立っていれば、特に問題は起きません。

 

この親子が互いに尊敬し合っている関係を保つには、親側のテクニックが必要です。

 

1つは、「私は、あなたがもっと効率良く勉強すれば、短時間でも身につく事が多いと思うよ」「お母さんは、あなたがもっと早く自分で起きてくれたらうれしいな」「いつも、あなたには感謝しているよ。ありがとうね」など、子供に自分の意見や気持ちを言う事です。

 

お母さんは、あなたが必要だから言っているのだと思わせる事が重要です。

 

例えば、自分で朝早く起きてほしいのは、学校へ行く前に、余裕をもって朝食が取れるし、お母さんはあなたと一緒に食べたいからと伝えます。すると子供は、朝食時間はわずかでも、僕を必要としているのだと感じます。

 

家族のために貢献している、役に立っているという意識が芽生えなければ、家族の一員であるという感覚は生まれません。

 

また、親子間の相互関係を保つためのもう1つのテクニックは、親が意見を言ったら、子供にも同じ問題や課題に対して意見を言わせる事です。

 

親が権力なども含めて一方的に意見を言ってしまうのでは、コミュニケーションは成り立ちません。親が言ったら、子供にも意見を言わせて、聞いてあげる事でコミュニケーションが成立し、信頼関係も積まれていきます。

 

自分の家庭にピッタリの、子育てや子供との付き合い方が書いてあるマニュアルはありません。普段の親子間での会話や行動を組み合わせて、応用しなければなりません。しかし、親子間で互いに尊敬しあっていて、かつ信頼関係がある事が基本になっていれば、親子関係に亀裂が入るような問題は簡単に起こりません。

 

子供が親に嘘をつくのは、親子間で何でも言える関係性では無い場合が多い

人間誰しも、嘘をつかれた事が分かれば、良い気分ではありません。それが、親子間であれば、仮にその場しのぎの悪気の無いものであっても、他人に嘘をつかれた事よりショックが大きいものです。

 

嘘をつかれたくなければ、お互いが正直に真実を言い合える仲を保つ努力を親子でもしなくてはいけません。それには、親側が子供に嘘をつかせてしまうような育て方をしないように気を配る事も重要です。

 

例えば、幼い頃から、おとなしくて消極的で、いじめられるような時もあった子供を心配して、何事も親が先回りをし、失敗をしてしまわないように育てられた子供がいたといます。

 

やがて、高校生くらいになって、親が将来を心配して毎日塾に行かせたのですが、この子供が、実は塾に行っておらず、塾にも親にも嘘をついていた事が発覚しました。特に母親は、ずっと塾に行っていると思っていた子供に嘘をつかれてしまった事がショックで、嘘つきな子供になってしまったと悩んでいました。

 

しかし、ここで重要なのは、子供が嘘を何故つかなければいけなかったのかという事です。それは、塾の先生にも、親にも本当の事が言える関係性では無かったからです。特にいつも先回りしている母親に、塾に行きたくないという意思を伝える事ができずにこのような事になってしまったのです。

 

嘘をついた子供が悪い、または嘘をつかせるほど追い込んだ母親が悪いという事は無く、どちらもそれぞれの立場から、たくさん悩み、このような事になってしまったのです。まずは、子供に自分の事を自分で決められるように、母親は手助けする事から始める必要があります。

 

おとなしく、親にも本当の事が言えない子に、いきなり何でも自分で決めて行動しなさいと言うのは無理があります。これでは、また困った時に嘘をつく事になりかねません。まずは、母親に本当の事を言える関係をしっかり築き上げる事が大切です。

 

嘘をつかずに本当の事を言える関係性がしっかりしてくると、嘘をつく事が無くなり、自分の本心を正直に話すようになるので、それが自立への一歩に繋がります。

 

夫婦関係も良好である方が、親子の信頼関係も深く築きやすい

子供は、あらゆる環境の影響を受けて成長していきます。周囲の大人や、学校や子供同士の付き合いなど様々です。

 

その中でも一番重要なのは、やはり家庭であり、親の影響です。毎日言い争いの絶えない家族の間で育ってきた子供と、平和的で穏やかな家庭の中で育ってきた子供とは、性格も随分違います。

 

最近では、父親が単身赴任で、家族とは別に生活をしているケースも増えています。父親が月に数回、あるいは年に数回自宅に戻ってくるかどうかの状態なので、家族揃ってゆっくり話している時間が無く、家族といつの間にか心に距離ができてしまいます。

 

さらに、単身赴任を終え自宅に父親が戻ってくると、昔の雰囲気のように戻れず、他人行儀になりがちです。しかも、戻ってきた途端、妻が離婚を申し出るような事態になる事も、最悪なケースとしてあります。

 

何年も、離れて暮らしている夫婦が、夫が戻ってきたところで以前のような生活に戻るというのは、簡単にできる事ではありません。ましてや、子供が小さい時に離れて暮らしていると、大人の1年間と子供の1年間では、時間の経過にとても大きく差が開きます。これが、3年だ5年だとなれば、子供はすっかり変わっていてもおかしくありません。

 

このような事を考えると、できれば、子供が小さな頃の単身赴任はできるだけ避けた方が良いと考えられます。

 

しかしながら、同じ屋根の下に一緒に住んでいるのにもかかわらず、単身赴任の父親と同じ状況にある家庭も現代では多く、日本の現代社会の問題と言っても過言ではないでしょう。子供が寝ているうちに出勤し、帰宅も真夜中になり、子供の寝顔だけを見る日々が日常的になってしまう家庭も増えています。

 

月に2、3度の休日だけを家族で過ごすところで、父と子のコミュニケーションや、夫婦関係を良好な関係に維持し続けるのはとても難しい事です。母と子は、いつも一緒に過ごしているので問題ないのですが、父親は仲間外れのような状態になってしまいます。

 

決して、好んでこのような働き方をしているわけではない事は、家族も分かっているとは思います。それでも、できるだけ子供と父親が一緒に過ごせる時間を作る努力と、夫婦が何でも話し合える関係でいる事が大切です。

 

欧米のように、ベビーシッターに子供を預けて夫婦だけの時間を作り、映画を見たり、食事をしたりして過ごす事は、日本は文化の違いもあり、まだまだ気軽にお願いしている家庭は少ないでしょう。

 

しかし、夫婦が仲良く何かを楽しみ、良いコミュニケーションが保てている家庭なら、単身赴任のような状態であっても、家族間での信頼関係は育まれていきます。

 

子供は、両親が仲良く過ごしている姿を見て育ちますから、良い親子関係を保つ事よりも、まずは良い夫婦関係を保つ事を優先した方が、子供との関係は築きやすいのです。

 

性の話も素直に親の気持ちを話し、全否定をしない事で、良い親子関係を維持できる

小学校の授業から、性についての学習をしている所が多いと思いますが、最近の子供達は、性経験が早いのが現状です。ですから、学校だけに任せずに、各家庭でも中学生になったらすぐに、親が役目として、きちんと伝えておく必要があります。

 

例えば、「お母さんは、周りの情報に流されたり、興味本位で性体験をする事は、良い事だと思わない。ましてや、中学生では早いと思う。そして、子供ができたら責任が取れる年齢でもなければ、生まれてくる赤ちゃんを自分達だけで育てていくのはとても難しい事だから、絶対避けなければならない」と母親は子供に言います。

 

さらに、女の子であれば、「男女平等だと言われているけれども、妊娠したら平等ではなくて、傷ついて不利になるのは女の方なんだよ」と社会の矛盾も教えておいた方が良いでしょう。

 

多くの親は、性経験をできるだけさせないように、そのようなきっかけになる要因は、できるだけ摘み取ってしまおうとします。しかし、そのような事をしてしまうほど、子供は好きな人の方へ行ってしまいますので、引き留める方法はありません。

 

あまりにも親が細かく言ってくるのがたまらなく嫌になり、家出をしてしまうケースにもあります。

 

しかし、性経験について、きちんと早めに話しておけば、子供との関係は良好な状態を維持できます。本当に困った事が起きたら、親に必ず助けを求めてくるでしょう。たくさんの心配をして、あれこれ子供に聞いてしまいますが、それでも子供が、「大丈夫だから」と言った時は、親の仕事は黙って見守る事です。

 

もし、子供が非行に走ってしまったとしても、子供の考えや価値を受け入れずに、「不良はうちに入らないから、出ていけ」「何するか分からないから、外には出さない」などと圧力をかけない事です。こうしてしまうと、なおさら子供の心は親から離れていってしまいます。

 

しかし、子供の立場を理解できる大人が1人いるだけで、大事に至らなかったケースも非常に多いです。性体験が早い、非行に走る、不登校になるなどの経験をしたからと言って、何もなかった人よりも人生が豊かになるというわけではありません。

 

しかし、このような経験をした子供に対して、大人は批判するのではなく、理解を深める事で、親子間の仲を取り戻す事ができ、また子供が早く立ち直ります。

 

家庭以外の事は子供自身で判断させて、親は信頼しているだけで家族が仲良くいられる

子供が授業中に騒いでいるため、勉強ができずに、他の生徒に迷惑をかけていると学校の先生から連絡があったとします。そう言われたら、子供にきちんと言って叱らなくてはいけないと思うのではないでしょうか。

 

叱ると言っても、「授業は静かに聞きなさい」という内容を考えているのであれば、それは不要です。この場合、とにかく先生の話は「子供には注意しておきます」という程度で聞いておきます。

 

しかし子供には、「先生からこんな話があったから、注意しなさい」とは言わず、どうしても言いたいなら、先生からお話があったという報告に留めておきます。

 

先生が更に付け加えて、「ご家庭でも、静かにするように指導してください」と言ってきても、その通りにする事はありません。これは、学校で起きている問題です。先生は、「家庭でのしつけがなっていないから、静かにできない」と言っているようなものです。

 

しかし、家庭からしてみれば、「学校で起きていることなのだから、先生がしっかり指導しないからこうなったのではないか」とも言いたくなります。これでは、ただの責任のなすり合いになるだけで、解決にはなりませんので、とりあえずは先生の話を聞いておくだけにしましょう。

 

子供が、「先生が他の子も騒いでいるのに、自分ばかり怒られる。だから助けてほしい」と言ってきた場合は別です。しかし、先生が親に注意をしてきた場合は、「授業中うるさくて困ると先生が言っていたよ」とだけ言えば充分です。子供は、この言葉の後に母親が「そんなことしていていいの?」と言いたいはずだと分かっています。

 

だから、情報だけ与えて、その後の判断は子供に任せましょう。逆に、先生は、親に言わずに子供に直接、うるさくて困ると言えばいいわけで、親に言う事ではありません。親が子供にロープを付けて、どこにでも一緒に行くわけにはいかないのですから、管理は不可能です。学校での子供の行動にまで関与する事はできません。

 

親はただ、家庭内での子供の様子に関心を持ち、家庭外の行動は、心配する事よりも深く信頼していれば良いでしょう。

 

子供に決断させることの重要性

子供同士のトラブルが起きたら、親は子供自身の決断に自信を持てるよう助言をする

ある友達と付き合い始めたら、親から見て、子供が好ましくない行動をするようになったという事はないでしょうか。例えば、ほとんど行かなかったゲームセンターに頻繁に出入りするようになったり、勉強をやらずに、自宅では借りてきたゲームソフトでばかり遊んでいるというようなことです。

 

このような場合に、「あの子と付き合うのは、よくないから、もう会って遊びに行ったりするのは止めなさい」と否定した内容だけ伝えるのは良くありません。まずは、どうしてその友達と付き合っているのか、そのような遊びをどうして繰り返すのかと聞き出す事で、親がどう対処するかどうかを見極めます。

 

本人が、この友達と自らの意思で付き合っているというのであれば、親は問題の無い範囲で認めてあげます。自分に与えられたお小遣いの範囲内で、他人に迷惑を掛けずに遊んでいるのであれば、この友達の、子供が親には見えない部分で共感できる人間性を見つけているのかもしれません。

 

大人の前では、悪さばかりして、悪ガキと呼ばれる子供が、子供同士になると、実はとても思いやりのある優しく、子供の中では厚い信頼のある場合も、昔からよくあることです。

 

しかし、どうしても心配ならば、原則的に、他人に迷惑を掛けない事とルールを破らない事を守るのを徹底できるように、ほどよく気を配って見守ります。度を越してしまうような行為があれば、注意して、付き合いをやめさせます。

 

子供自身が付き合いたくないのに、無理してこの友達と付き合っているというのであれば、別問題です。

 

最近は、一緒に遊んだり付き合わなければ、仲間外れにされたり、いじめにあうからという理由で、無理をする子供も増えています。このような場合は、付き合いはやめさせるべきですが、ただやめなさいと言っただけでは、根本的な解決にはなりません。

 

親が、「例えばこんな方法はどうかしら?」と言う感じで、仲間外れにされないような行動のモデルを提案して、子供と一緒に考えていきます。その会話の中から子供が、自分でどうするかを決断できるようなサポートが重要です。

 

子供は親と一緒に考えた末の決断であれば、自信をもって行動するようになるので、問題の本質的な解決への近道になります。

 

一貫性のある家庭のルールを家族全員で決める事で、子供の困った行動を予防する

家庭のルールはさまざまで、子供の年齢やその時の状況に合わせて、変更していく必要があります。

 

特に門限については、高校生になっても小さい頃と変わらずとても厳しい家庭もあれば、あえて門限は無い家庭もあるでしょう。ジャーナリストの大宅映子さんの子育て方法も、門限無しというものでした。それと同時に、「信頼しているから」という一言を添えました。すると、大宅さんの子供達は、自分なりのルールを作って過ごしていたそうです。

 

とはいえ、門限は無しにしても、やはり大概のご家庭は、夕飯はどうするのか、何時頃帰ってくるのかなど、子供からの連絡は欲しい所です。連絡のない時間が長くなればなるほど、何か事件や事故に巻き込まれたのではないかなど心配も大きくなります。

 

家族が夕食に揃わない事が多い家庭は、「夕飯の時間に間に合わない時は必ず連絡をする事」というシンプルなルールでも良いと思います。その代わり、この約束を守らず、連絡が無かった場合は、親として厳しく叱ってもよいでしょう。

 

ただし、門限は決めないとしてしまった以上は、連絡さえあれば、親はあれこれ言ったり怒鳴りつけたい気持ちを抑えなければいけません。例えば、塾がある日に夜10時に帰ってきた場合と、お友達と遊んで夜10時に帰ってきた場合では、親は、勉強は良いけれど遊びで遅くなるのはダメだと区別してしまいがちです。

 

そのような考えが、子供に対しての言葉や態度に表れてしまうと、子供はそれが分かり、嘘をつくようになります。そのような時は、嘘をついたことだけを許せないと怒るようにします。

 

こうして、「門限は無しでも、夕飯の時間に間に合わない時は必ず連絡をする」というだけのルールが、どんどん一貫性を失ってしまうのは良くないので、家族みんなで違反した時のペナルティも含めて、ルールの見直しをする必要があります。

 

特に、ルールに無かった事をしてしまい問題になったために、ルールを変更する場合には、「初めは仕方ないが、次回同じ事をしてしまったら、やはり門限を決めた方が良いのではないか?」など具体的な提案をします。

 

すると、子供もあれこれ考えて行動しますので、親だけが決めた事を守らせるのではなく、子供と一緒に決める事が大切です。

 

「学校に行けないなら、別な事をして楽しもう」という親の思考が、子供を安心させる

人から頼まれると、嫌と言えずにPTA役員を何年もやってしまうお母さんが周囲にいらっしゃるのではないでしょうか。このようなタイプの人は、PTAだけでなく、複数の別な役員などを掛け持ちしていて、家に毎日いないというケースも多いようです。

 

「本当にやりたくないから、今年こそは、地味な服を着て下を向いて黙っていようと思います」と言いながらも、結局引き受けています。しかし、やりたくないと言いながら、実際は楽しくこなしている姿も見受けられます。

 

また、子供がいじめをきっかけに不登校になってしまいましたが、周囲の大人達が、学校に行けるようにアドバイスをしてくれたのに、学校に行かせようとする努力をしなかった母親がいました。

 

それどころか、教科書などに掲載されている名所に不登校の子供を連れて行ったり、農家のお手伝いを親子で体験したりしました。心配する周りの大人達に、「学校に行かないなら、せっかくだから今しかできない事を体験した方が良いと思って」とさらりと答えたそうです。

 

この2人の母親から言える事は、「分かりました。だから引き受けて楽しくすごします」という決意をした事です。特に不登校については、潔く事実を認め、これを良い機会だと考えて、どうせなら子供と楽しんでしまおう」と考えて行動すると、親の立場として、不登校という事をあまりつらいと感じなくなります。

 

そして、親がこのような考え方になると、子供は学校に行けるようになる場合が非常に多くなります。子供は、親が不登校に悩んでいる姿を見ているよりも、学校に行かない自分を信じて否定しなかった事に対して、安心感を得て、感じている不安がどんどん消えていきます。それが再び、学校へ行こうという気持ちへつながって行きます。

 

反対に、子供との向き合い方に、「分かったよ。でもね」とつないで子供に伝える事は逆効果です。不登校になった事は認めるけど、でもやっぱり学校には行ってほしいと言ってしまうのは、子供の事を少しも分かった事にはならず、家族全体が暗い雰囲気になってしまいます。

 

学校に行かないという事に対しての責任は、自分が取らなくてはいけないと、子供は感じています。でも親の愛情は、どんな状況になっても変わりないのだという事が分かれば、子供は安心して、同じような間違いを繰り返す事がなくなります。

 

親は子離れのチャンスがきたら、子育てではなく子供と付き合うという思考に切り替える

子離れのタイミングは、親がある日突然、子供の変化に気づいた時にチャンスが訪れます。可愛いあまり、つい甘やかしてしまったり、あれこれこうしなさいと言ってばかりになってしまう事もあります。

 

しかしある日、ふと自分の隣に子供が立った時などに、親は突然、子供の成長に気付きます。背丈が自分と同じくらいになった事はもちろん、話していて、物の見方や価値観をしっかり持っている事が分かるでしょう。

 

こうなったら、親は言葉使いを変えて、子育てという目線ではなく、大人同士の付き合いのような感覚で、子供と接してみましょう。ああしなさい、こうしなさいと言っていたものを、「こうしたらどうかな?」と提案型の言葉にします。

 

また、「これから買い物に行くから、付いてきなさい」ではなく、「一緒にこれから買い物にいかない?」と子供には、行くか行かないかを選択できるような言葉遣いに変えます。

 

子育てと言われる時期は、2分の1成人式を執り行う地域もあるように、10歳くらいまでだとする考えもあります。

 

その後は、家族の一員としてどう付き合っていくかを、親は考えなくてはいけません。しかし、たいていの親は、自分達がきちんとした将来を考えてあげてあげないと、まだ子供だから分からないだろうと思い込んでいます。しかし、親も子供も、将来の事はどうなるのかも分かりません。

 

それなのに、将来の事を考えているという理由をつけて、がんじがらめにしてしまいます。一方で、子供は、小学校高学年くらいから、今後の自分についての課題を見つけて、自分の価値観を持って成長していきます。それを、親は自分達の思うとおりにしようとしたりするので、子供も、自分の価値観を守るために親子で衝突し始めます。

 

親は、自分の意思で子供を思い通りに変えられないので、怒り、悩み、困り果てます。でも、親は勝手に悩んでいるだけで、子供は困っていません。子供の価値観を変えようとするのは不可能に近いです。子供の価値観や課題については、親がどうこう言わず、子供が考える事であると認識して付き合っていく事です。

 

自分の意見を言えることの重要性

子供の責任感を高めるには、子供が意見を言える環境を家庭で整え、尊重してあげる事

「児童の権利に関する条約(通称:子どもの権利条約)」という、18歳未満に対しての権利について定めた国際条約があります。

 

この中の12条に意見を表す権利というものがあり、「子供は、自分に関係のある事について自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子供の発達に応じて、充分考慮されなければなりません。」という主旨の文言があります。

 

これは、子供を、年齢に応じた自分の意見を持って行動できるような人間に育てる事が、親の努めであると言い換える事ができます。

 

立派に成長している子供は、親に言われた通りではなく、自分の意見がはっきり言えます。何でも親に任せて過ごしてきた子供は、自分の意見を言えず、消極的で決断力も乏しいものです。また、何事も自分で責任を持とうとしません。

 

いつも親の言う通りに行動していれば、何かそれで悪い結果になっても、自分の責任ではなく、親の責任としてしまう事ができます。そのため、責任に対しての意識が薄い人間になってしまいます。

 

自分の意見がしっかり言える子供は、その意見に対して、自分で責任を取ろうという意識があります。自分の主張した意見を基に行動すれば、どんな結果でも、それは自分に返ってきます。それは経験を通して理解しています。大人社会では、これは当たり前の事ですが、実は子供社会も同じという事を、親は忘れて接しています。

 

年齢に合わせた意見が言える事、自分でどうするかを選択できる事、そしてその責任も自分で負う事ができるように、親が普段の生活からサポートする事が大切です。

 

例えば、家族揃って週末遊びに行こうという話になった時、「日曜日に家族揃ってディズニーランドへ行くからね」と子供に意見を言わせたりすることなく、一方的に決めてしまったとします。親は、ディズニーランドに子供を連れて行けば、喜んでくれると思っているのかもしれません。

 

でも、子供は家族でディズニーランドに行くよりも、近所のお友達と遊びたかったのに、ディズニーランドに行ったらどうなるでしょうか。行ってみた結果、とても楽しく過ごせたなら良いのですが、反対に、つまらないと思い、それが態度に出ても子供には責任がありません。

 

子供の意見を聞いてあげる事もしなかったのに、つまらないと思っている事を親が知り、「せっかく連れてきてあげたのに」と怒るのは筋が違います。

 

しかし、「日曜日に家族揃ってどこかに行きたいなと思っているのだけど、どうする?何処か行きたい所はある?」と親が聞きます。そして、子供が「ディズニーランド!」と言って、自分の意見が通ったとします。

 

でもそれでつまらないという態度を取ったのであれば、「自分で行きたいと言ったのに、どうしてそういう態度なの?」と聞いてみます。

 

ディズニーランドまで連れてきて、つまらない態度をとられたら、親も良い気分ではないと思います。子供の意見を聞いて、その通りにするべきではなかったと思う事もたくさんあるかもれません。

 

でも子供は、失敗してたくさんの事を学びます。同じ失敗は繰り返さないように成長していきます。同時に、自分の意見や選択して行動した事に対する責任感も身につけます。親が思っている以上に子供は、こうしてたくましく成長します。でも、子供任せにして、悪い方向や間違った事をしてしまわないかと心配するのも親です。

 

しかし、子供は心配している親よりも、自分を信頼してくれる親だと感じている方が、極端に悪い事をしないくらいの責任感が身につきます。親は子供が言った事に対して、心配であっても騙されたように演じ、子供を信じる事です。子供に意見を言わせて、自分行動は自分で選ばせることが、一番子供のためになります。

 

話す事ができないのなら、話さなくても意思表現をする手段を、親は一緒に考えてあげる

場面緘黙症という疾患があります。家庭では普通に会話をしているのに、学校を始め、外出先など場所や場面によってしゃべらなくなるという症状です。

 

学校内だけでも、お友達とは話せるのに、授業中、先生に指名されて発言を求められると、話す事ができなくなったりするケースもあります。原因が仮説の段階でしか分からない事が多い疾患です。

 

発達障害的の他に、失敗して嫌われたり、恥をかきたくないなど不安要因に対して、とても敏感な子供に、このような症状が現れてしまう事があります。しかし、このような子供の周りには、たいてい親切な子供がいて、黙っている様子に対してすかさずフォローを入れてくれます。

 

このように、友達のフォローなどがあるうちは、子供もさほど不便を感じませんし、心配もいりません。しかし、成長するにつれ、学校生活や社会生活において、話す事ができなくても、自分の意思を相手に伝える手段を身につけておく事が重要です。

 

しかし、家庭でその手段を考えたとしても、家の中では普通に話せているので、学校でも意思を伝えようとするには、先生の力も必要です。まずは、話せなくても意思を表現できる方法を考えていきます。記号をあらかじめ決めておいたり、筆談でも良いです。また、書かなくても表現できるジェスチャーも決めておきます。

 

始めはうまく行かなくても、とにかく自分の意思を表現することの重要さを、親は教えておきます。どのような方法でも、意思を伝える事は、恥ずかしい事でも不安になる事でもないと理解させます。そして子供が、自分の意思を表現しても、誰も傷つかないし、笑われる事でもないと分かれば、自信がついて、話せるようになるケースが多いです。

 

しかし、緘黙症に対して、理解に乏しい先生は、無理矢理話をさせようとしてしまいがちです。また、「学校では、お宅のお子さんは全く話してくれないので、困っています」と言われてしまう事もあるでしょう。家庭では普通に話をしている事が分かっている先生であれば、なおさら理解に乏しい先生ならこんな事を言ってくるかもしれません。

 

このような時は、「では、どうしたら良いでしょうか?」と聞き返してみるのも良いと思います。実際、家庭では安心しているから話すわけですから、学校側でも、子供が安心して意思を伝える事ができるような環境を整えてあげるべきです。そして、それは先生の仕事です。

 

親は、学校側から何か言われても、子供には「学校でもっと話せるように頑張りなさい」などという必要はありません。

 

子供の自発性を高める

親が提案するような発言をして、子供が自発的に塾に行くと言えるようなきっかけを作る

学校の教育は、一方的に詰め込みで子供達が覚えなくてはいけない事もあります。九九など丸暗記する内容もあります。しかし、子育ては詰め込み教育ではなく、親がモデルになって、いろいろな行動を示す事ができます。それを見て子供が成長するので、命令や一方的な指示は必要ありません。

 

転ばぬ先の杖ということわざがあります。しかし、子供に対して、常に失敗を内容に先回りをしている子育てでは、子供が経験を積んで学ぶ機会を奪っている事になります。

 

例えば、これから遊びに出かけようとする子供に、天気予報だと、これから雨が降ると言っていたから、傘を持っていきなさいと母親が声を掛けたとします。

 

すると子供は傘を持っていく事を拒否します。さらに母親が、雨にぬれると風邪を引くから、つべこべ言わずに持っていきなさいと言っても、子供はますます反発し、傘を持たずに飛び出してしまいます。

 

傘が無くて、雨に濡れると風邪をひくという抽象的な伝え方では、特に小さな子供の場合は理解できません。では、どのようにしたら傘を持って出かけられるようになるでしょう。それは、一度傘を持たずに外へ出たために、濡れてしまったという体験を子供がする事です。

 

濡れて体が冷えてくれば、寒くて震えてくるでしょう。そんな状態で自宅に戻ってきた姿を見て、風邪を引くといけないから、着替えて温かくしようと親が言えば、子供は、親がなぜ傘を持っていきなさいと言ったのかがきちんと理解できるようになります。

 

風邪を引かせるような事をしてまで教える事に疑問を感じるかもしれませんが、風邪は一生のうちに何度も引くものです。このような機会を与える事で、子供は確実に学び、成長していきます。

 

子供のためにと言って、親として先回りして良かれと思う事をしてしまうのは、逆に子供を甘やかしてしまう事であると言っても過言ではありません。親が良いと思っても、子供がそうは思わないのであれば、意味がありません。子供にとって良い事は、子供自身が知っています。

 

塾に行くか行かないかという問題でも同様です。子供が、塾に行った方が良いと自ら必要性を感じたら、親に意思表示をするでしょう。それを親が先回りをして、受験などで子供が苦労しないようにと言う理由で、塾に行かせようとすることが甘やかしであり、良くありません。

 

まずは、塾に行くことについて、どう考えているのか意思表示する機会を与えるために、提案するように声を掛けてみましょう。例えば、「そろそろ塾に行った方が良いと思うけど、あなたはどう思う?」といった感じです。

 

子供が塾に行くことを必要だと思ったのであれば、そうだねと言い、月謝や送迎など具体的な事を気にする発言をします。これなら、親が提案した形になるので、子供が自発的に塾に行くと決めた事になります。

 

それでは、次の場合はどうでしょうか。

 

「子供が塾に行きたいと言っていたけれども、私は子供は子供らしく、のびのびと過ごしてほしいので、行かせません」というものです。実は、これは塾に無理やり行かせている事と同じです。一見、親の考えが立派に思えるかもしれませんが、この考えは子供の意思や行動を、親が抑えつけて潰してしまっています。

 

自分にとって良い事とは何なのか、それは子供自身が知っています。ですから、親は自分の願いを一方的に押し付けたりせず、子供の意思を引き出すようなきっかけ作りに徹する事が大切です。

 

幼いうちから自発性を高めるには、目覚まし時計を与えるのが有効

個人差はありますが、幼稚園に行くようになって、自分の事がいろいろできるようになったら、子供に目覚まし時計を与え、自分で起きるようにさせてみましょう。子供でも設定ができるような、シンプルな目覚まし時計なら、親が使い方を見せながら説明すれば、理解して使えるようになります。

 

1人で起きるようにさせる時、親が「明日から自分で起きなさい」と一方的に言うのではなく、「お迎えのバスが、8時に来るから、6時に起きれば、朝ごはんを食べたり、着替えをしたりしても間に合うよ。どう?目覚まし時計を使って自分で起きてみない?」と提案してみます。子供は好奇心があるので、やってみたいと言うはずです。

 

実際、目覚ましをセットし始めたけれど、自分で起きる場合もあれば、アラームが鳴り響いているのに全く起きる気配のない子供もいます。鳴っているのを止めて2度寝をしてしまう子供もいるでしょう。

 

親は、こんな時に黙って起こしに行かずに、あらかじめ、「今度6時に起きなかった場合には、お母さんが起こしに来るけどいいかな?」と聞いておきます。

 

さらには、どういう起こし方をして欲しいかも相談します。まずは、体をトントンと叩く。それでも起きなければ、トントンと叩きながら声を掛ける。それでも駄目なら布団を全部取るなど、順を追った起こし方を、子供に相談しながら決めていきます。

 

これなら、起こしたら機嫌が悪いとか、起こした起こさないと親子喧嘩にならなくて済みます。朝の親子喧嘩は、意外に起こし方が原因で起こっている事が多いので、目覚ましが鳴ってからの行動を、親子で話し合ってルール化してしまいましょう。親子で一緒に考える事で、子供の自発性も高まります。

 

ルール化するための話し合いも同様で、親が考えを一方的に押し付けずに、提案をして子供の意見を聞き出す事が大切です。提案をする事で、子供がその提案をされるまで知らなかった行動のやり方を、親が見せる事が教える事であり、これは押し付けるという事ではありません。こんなやり方があったのだと気づき、そうしようと決断する事が重要です。

 

親が提案したことに対して、否定的な返事を子供がしてくる事もあると思います。その時には、「それでは、あなたはどんな方法が良いと思っているの?」とさらに逆提案して、子供が自分で考える機会を与えてあげます。さらに、子供が出した提案に対して、また新たに提案を親がするという事を繰り返して、どんどん親が教える事を増やしていきます。

 

私達は、学校の授業で先生が教えるイメージが強く、「教える」という事は一方通行的な事であると考えがちです。しかし、提案して親子で一緒に考えて決定するのは、本当の意味での教えることです。また、子供が自分で一生懸命考えて、自分で決定するという自発性も育ちます。

 

失敗体験の重要性

自分の不完全さを認め、失敗を恐れない人間に育てる事が、親の真の愛情である

大人もそうですが、子供も、どんな場合でも、自分の人生は自分で決める事です。親は、これを子供に教える事が必要です。親が与えたたくさんの情報や意見の中から、何を選ぼうが、組み合わせようが、それを決めるのは子供自身です。

 

自分で自分の人生を決めてきたと言い切れる人は、どんな人生であっても成功していると言えるでしょう。逆に、誰かに決められてきたと常に感じて生きている人は、たとえそれが、他人から見て豊かに見える生活であっても、不幸でしょう。

 

ただし、子供が人生を自分で決めるにあたり、たとえそれが失敗したとしても、すべて自分が引き受けなければいけない事も、親は教えるべきです。そして、親もまた、子供の失敗の後始末をするような行動はNGです。失敗から学び、そこからやり直して進んでいく事で人間は成長する事を伝えなければいけません。

 

動物は、生まれてすぐ立ち上がり歩き出すので、親離れも早いですが、人間は、生まれてすぐは歩けません。そして、1人前と言われる成人まで20年かかります。鳥のようにも飛べないし、魚のような泳ぎもできない。もし、人間が動物界に生まれたまま放り出されたら、生きられず、絶滅してしまうでしょう。

 

それでも、人間という種族は現在も生き続けているのは何故でしょうか。それは、自分達が完全な人間ではなく、不完全な生き物だと認めて、克服してきたからです。道具を作り、仲間を作り、協力する事を覚えて進化してきました。それが文明を作り上げて、今の私達へと受け継がれてきました。

 

今の私達が、完璧な人間でいよう、失敗しないように生きようと考えて人生を送ったら、ノイローゼになってしまいます。人間がもともと不完全な状態で生まれてきたと考えれば、どんなに秀才で有名大学を卒業しても、中卒で社会に出ている人間でも、あまり変わりはない事に気付きます。

 

しかし、不完全を認めると、ダメな人間になってしまうと考えがちです。特に親は、あれこれ手を貸し、先回りをして、失敗の無い人生にしてあげようと思う事が、愛情だと勘違いしてしまいます。

 

そうではなく、自分が不完全である事を認める勇気を持ち、受け入れる事で、失敗を恐れず、前に進み続ける人間に育てる事が、本当の親の役目であり、それが愛情です。

 

失敗を恐れずトライする子供を応援する事が、子供の積極性や行動力を高める

最近は、何事にも積極的な子供が減ってきました。やる前からあきらめてしまう、やる気が見えないという親の悩みが増えています。しかし、このような子供達に、「やる気や根性をだしなさい、もっとがんばりなさい」という説教や怒り方をしてはいけません。

 

もともと消極的で、受け身な子供に対して、親が上から圧力をかけるような態度で責めてしまうと、ますます消極的になるだけです。逆に、このような子供が積極的な行動をした時にこそ、関心を示してあげる方が、積極性を引き出せます。

 

いつも友達から誘われる事を待っていた子供が、自分から友達に連絡を取り、公園で遊ぶ約束をしていたら、「公園に行くの?じゃあ、お友達の分のジュースも用意するから、持っていきな」と、すぐ関心を示します。

 

勉強せずに、テレビばかり見ている子供が、机に向かって勉強し始めたら、「宿題をしているの?30分くらいたったら、おやつの準備するね。」と注目して認めてあげます。こうすると、子供に積極性が芽生えます。決して、「勉強しているの?珍しい。明日嵐が来るかも」などと冷やかしてはいけません。子供の気持ちが萎えてしまいます。

 

消極的な子供は、いつも失敗しないようにとか、恥ずかしい思いをしないようにという事を気にして、自分から行動をしません。ですから、能動的な行動を周囲が評価してくれるとも思っていません。

 

このような子供達が、失敗を恐れる原因の一つに、親が子供に取る行動が挙げられます。それは、親が子供に失敗させないように、先手を打ってしまう事です。

 

このタイプの子供は、親の言う事はよく聞く良い子と思われがちですが、自分の意思を出さずに、親任せにしてしまっているだけです。でも必ず、親の言いなりになってばかりではなく、自分の意思で行動しようとする時が来ます。

 

ところが、自分で行動に移したのにもかかわらず、今まで自分の意思で行動した経験が少なすぎて、大きな問題を起こしたり、失敗をする確率が少なくありません。子供の失敗は、これから成長して社会人になってからの事を考えたら、とても小さく、失敗と言えるものではありません。

 

失敗した時は、落ち込むこともあるでしょう。しかし、すぐに忘れて、大人になって振り返ると良い思い出だと感じるものです。だから、親は、失敗しないように育てるのではなく、失敗を恐れず、積極的に何かに挑戦する姿をほめて応援する事です。

 

こうして、失敗を恐れなくなった子供は、積極性や行動力が養われて、将来それが役立つ日がやってきます。

 

忘れ物を良くする子供は、母親が子供以上に忘れ物に気を付けている家庭が多い

しょっちゅう忘れ物をする子供がいます。反対に、忘れ物はほとんどない子供もいます。忘れ物を良くする子供は、そういう性格だからという人もいますが、そうとは言い切れません。大概は、子供自身が気を付けていないからです。

 

たとえば、毎日毎日、登校前に母親が、体操着はもったのか、教科書とノートは時間割通りにランドセルに入っているのかと子供に言っているとします。母親が散々声を掛けたのに、結局忘れ物があり、良く学校に届けに行くという事があれば、それは子供が、「何か忘れても、お母さんが持ってきてくれるから、いいや」と安心して、気を付けなくなります。

 

これでは、いつまでも自分で注意する事はありません。また、母親が、いつも忘れ物をしないように気を付けていてくれるので、子供自身は、家庭から学校に持っていくものなど覚える気もありません。母親が気を抜いて忘れていれば、子供も当然忘れています。これでは、お母さんが忘れ物をしているようなものです。

 

このように、母親が子供の忘れ物に敏感になっている以上は、どんなに前日の夜に、忘れ物をしないように準備したとしても、本人は、それを忘れないようにしようという意識が無いので、そのまま忘れて学校へ行ってしまいます。このようなケースは意外に多いのです。

 

母親は、毎日子供の顔を見る度と言っていいほど、口を酸っぱくして「忘れ物しないでよ」と繰り返して言っています。母親も、これだけ言っているのだから、あの子には、忘れ物をしないようにという意識があるはずだと思っているかもしれません。でも、子供は全く聞いていません。

 

母親に任せきりで安心しきっているし、忘れても持ってきてくれるから大丈夫だと、心のどこかで思っています。忘れ物チェックをしている学校もありますが、家庭で、母親がこのように助けている以上は、先生が何度注意しても直りません。

 

先生が忘れ物を減らしたいと思うのであれば、母親にこのような手助けを辞めるように話した方が、早いかもしれません。

 

忘れ物に関しては、これほどまで母親に依存してしまっているので、一度この関係を絶つ事をしなければなりません。まずは、忘れ物が無いかどうかを、声を掛けて確認する事を辞めて、学校に送り出す事です。それで、実際に忘れ物をしても、決して届けたりせずに、失敗体験をする事で、自ら気を付けるようになってきます。

 

忘れ物をしたという失敗が、次回から忘れ物をしないように気を付けるきっかけになる

親が子供の忘れ物を届けるのは、忘れ物をしたら、先生に怒られるかもしれないとか、体操着を忘れたら恥ずかしい思いをしてしまうのではないかなど、我が子を心配して、慌てて届けるのでしょう。

 

親の気持ちも分かりますが、いつまでたっても、これでは子供が、忘れ物をしないようにはなりません。

 

なぜなら、自分で気を付ける事をしないからです。親の役目は、忘れ物を届ける事でも無く、毎日口を酸っぱくして、忘れ物は無いかと声を掛け続ける事でもありません。子供が登校した後に、忘れ物に気が付いても、届けたりせず放っておき、子供に失敗体験をさせる事です。

 

例えば、体操着を忘れたとします。すると子供は、先生に怒られないように、隣のクラスの子に借りに行って、何事もないように体育の授業を受けるかもしれません。そんな機転が利かずに、先生に正直に話して、制服で授業を受けるかもしれません。

 

どちらにせよ、体操着を忘れて、子供がこの事態をどう乗り切るかを体験させる事が、大切です。ところが、この経験をする間もなく、親が忘れ物を届けたら、いつまでも忘れ物をする癖は直りません。

 

実は、これは親ばかりではなく、学校の先生にも同じような事が言えます。教科書を忘れた子供がいると、隣の席の子供に見せてあげなさいと言います。あるいは、先生が所有する教科書を貸す場合もあります。

 

でも、これは忘れ癖を直すという点では良い事ではありません。基本的には忘れた方が悪いわけですので、親切な対応をせず放っておけばいいのです。

 

こうすると、子供は教科書無しで授業を受けるという、困った経験をします。そして、次からは忘れないように、準備をしたり、親に頼らず自ら気を付け始めます。

 

親が忘れ物を届けたり、忘れ物が無いか、まめに確認をしないようにするにあたり、注意すべきことがあります。それは、子供に、「もう忘れ物は、届けてあげないからね」と怒って言わない事です。

 

「忘れ物をしないようにするために、やり方を変える事にした」と言うと、怒って言っているようにはなりません。ただ、忘れ物をしない子になってほしいと思う気持ちが通じ、子供も積極的に気を付けるようになります。

 

知識よりも知恵が大切

生きていくには、知識より知恵が大切!そして知恵は家庭で身につけさせるものである

学校での勉強を一生懸命やって、良い学校に進学する事は、素晴らしい事です。でも、良い学校に行くことが、自分の人生のためになり、幸せになるというわけではありません。

 

親は子供に、つい勉強しなさいと何度も言ってしまいます。でも、大人になってこうして考えてみると、学校での勉強やその他いろいろ習った事が、人生の役に立っているかと言えば、人によって回答は様々です。

 

学校で教わる事は、知識です。数式や化学の元素記号、歴史年号や文法などもすべて知識です。しかし、これらは、生きていくためにはあまり必要ではありません。

 

人間が幸せになるためには、知識ではなく知恵が必要と言われます。

 

自分の意見をきちんと相手に伝えたり、相手の話も聞いて、自分の生きるヒントにする術や、約束は守るなど当たり前のような知恵が、人生の中では重要になります。こうした知恵をたくさん持っている人ほど、周りから好かれ、頼りにされます。成績が良いばかりの人や、高学歴を鼻にかけた人ではありません。

 

子供が学力という知識を増やしたければ、学校や塾があります。しかし、生きていく上の知恵は、家庭で身につけるものであり、親が教師となります。

 

親が子供の幸せを願うなら、勉強しなさいと知識を詰め込む事ばかりさせず、たくさんの知恵を身につけさせることを意識して、共に過ごしていく事が大切です。子供に知恵を持つ機会を与えましょう。

 

苦し紛れに嘘をついた子供には、注意する事と本心を理解する事を、セットにして対応する

子供のつく嘘は、概ね2種類に分ける事が出来ます。1つは、人を騙して傷つける嘘、もう1つは、苦し紛れにつく嘘です。詐欺のような人を騙して傷をつける嘘が分かった時には、きつく叱って徹底的に追求します。

 

しかし、苦し紛れにつく嘘が分かった場合には、対応が違います。どちらにしても、嘘は良くありませんが、両方同じものとして頭ごなしに叱るのはやめましょう。

 

こんな事例があります。

 

塾を休みがちになってしまい、塾の先生にも親にも怒られたくないと思った高校生がいます。塾の先生には、母が入院してしまい、家事全般を私がすることになったので、しばらく塾を休みますと涙ながらに嘘をつきます。でも、母親は入院しておらず、この高校生は、塾に行って帰ってきたように帰宅し、生活し続けるという方法を考えました。

 

こうして、塾の先生にも親にもついた嘘は、やがて塾から自宅への電話で発覚してしまいました。でも、塾の先生が嘘はつかれたけれど、全く気付かなかったほどだったと、逆に感心してしまうくらいだったそうです。子供が帰宅して、親が問い詰めると、あっさり認めて謝罪をしてきました。しかし、親は、嘘をつかれたことに怒り、大騒ぎをしました。

 

この高校生には、人を騙して何かしてやろうという意識はなく、ただ、塾に行かない事を、先生にも親にも怒られたくない一心で、その場を逃れるために必死に嘘をつきました。大人を信じ込ませるほどの演技で嘘をついた事に、親はショックを受けるかもしれません。しかし、実は、あまり心配する事ではないのです。

 

その場逃れの嘘であれば、嘘をついた理由をきちんと聞き出してから、嘘をつくのは良くない事だと教えれば、それで良いです。逆に嘘をついた事に騒ぎすぎると、子供がかえって傷ついてしまい、逆効果です。

 

しかし、見方を変えて考えれば、嘘が上手につけるという事は、その場を回避するために知恵が備わっているとも考えられます。人を騙す嘘は、絶対ついてはいけませんが、嘘も方便という言葉があるように、嘘が役に立つこともあります。

 

もし、嘘をついて、その場を回避して、その後処理も本人がやって帳尻が合うのであれば、必要以上に嘘をついた事を責めなくても良いのではないかと思います。

 

親の潜在意識には、「子供には親が望んでいる通りの事を言ってほしい」というものがあります。塾の例で言えば、「塾ちゃんと行っているよ」と言われている事で、親は安心してしまいます。

 

逆に、塾へ行っていないという返事が返ってくれば、怒ってしまいます。親は、塾に行っているという言葉を信じて安心していました。それなのに、行動は反対の事をしていて、親はショックを受けて、嘘をつかれたと大騒ぎをします。

 

この高校生は、確かに嘘をつきましたし、良い事ではありません。でも、嘘そのものとしては、悪意が無いので、罪もありません。これがもし、もっと些細な事で嘘をつかれたら、その場で注意して済ませた話かもしれません。

 

子供が苦し紛れに嘘をついた時は、嘘をついた事を注意する事は大事です。しかし、そればかりではなく、子供が嘘をつかなければならなかった必死の心も、考えてあげなくてはいけません。嘘をつくというのは、何とかその場を切り抜けようと必死に考えた結果で、その時の本人の中では、最高の作戦だったはずです。

 

そしてまた、嘘をつくという事が、その場を生き抜く知恵だったことを分かってあげましょう。

 

子供の頼み事を何でも聞く必要はない

子供が何かを欲しがったり、頼りにしてきたら、まずは自分で何とかする方法を提案する

例えば、図書館で子供が自分で借りた本の返却日が今日なのに、自分は友達と遊ぶ約束をしたから、返してきてほしいと言われたとします。こんなときに、何も言わずに、ハイハイと引き受けてしまう母親もいます。恐らく、友達と遊ぶのを楽しみにしているし、返却だけだからという気持ちでいるのでしょう。

 

また、母親を頼りにしてきた事を嬉しく思っているのかもしれません。しかし、子供は、ただお母さんを使おうとしていて、友達と遊びたいだけです。ですから、これでは子供を助けた事にもなりません。

 

別に子供の手や足に変わって何かする必要はありません。「今日は忙しいから、返しに行けないから、自分で返してきなさい」と言ってみましょう。

 

ただし、「自分で借りた本なんだから、自分で責任を持って返しなさい」と言ってしまうのは余計な事です。本を借りたのも返すのも、子供の問題なので、ただシンプルに返しには行けないと断ります。そのあとどうするのかは、子供が決める事です。

 

返却日を守ろうと思うのであれば、友達との約束を断って、返しに行ったり、返却した後に友達と合流して遊ぶかもしれません。また、遊びを優先させて、返却日を守れなかったら、図書館からペナルティを与えられるかもしれません。しかしこれは、子供と図書館側との問題なので、母親の関与は不要です。

 

ただ自分の都合だけで、頼み事をしてきていると分かったなら、何でもかんでもハイハイと引き受ける事はありません。ただし、子供が何か勇気を出すために、何かをしてほしく頼んでくる事であれば別です。

 

また、子供が頼みごとをしてきた時に、子供がそのためにどれだけ努力したかを認識する事も忘れないようにしましょう。返却期日前に、一度返しに行ったら、休館日だったなどです。返却しようと子供なりに努力をしたが、難しかったという場合には、快く引き受けてあげた方が良いでしょう。

 

また、お小遣いに関しては、子供のお金の使い方に応じた対応が大切です。まず、どうしても欲しい物があって、そのために、今まで買っていたマンガなどを買わずに貯金してきたけれども、どうしてもあと1000円足りないと言ったケースです。その時に、1000円貸してほしいと言われたら、親はそこまでの努力を認めて、貸してあげても良いかと思います。

 

ただし、貸す時には、親と子が対等の関係にあって、きちんと借りたら返すのだという事も教えなくてはいけません。借りた1000円を、どのように返していくのか、返済計画を子供に出させます。そのうえで初めて貸してあげます。返済計画通りに終わった時は、1人の人間として認めてあげる事で、更に親子関係が深まります。

 

逆に、お小遣いを計画もなくただ適当に使っていて、足りないから1000円貸してと言われたら、これは貸す必要はありません。

 

子供の希望は即決で叶えずに、まず代わりの方法は無いか親子で話し合う

携帯型ゲーム機は、ゲームで遊ぶばかりではなく、コミュニケーションツールの1つにもなっています。携帯電話やスマートフォンを持つような感覚で、友達と連絡を取り合う事もできます。こうして、情報交換や仲間との結びつきを強くしていくので、同じゲーム機を持っていない子供は、仲間外れになってしまいます。

 

ゲーム機を持っていない事を理由に、仲間外れにされるから、ゲーム機を買ってほしいと子供に頼まれたら、親はどう対応したらよいでしょうか。即答で、いいよと言って買ってあげるわけにもいきません。簡単に買ってあげる事が良い事でもありません。

 

子供も、仲間外れにされたり、いつもゲーム機を借りて遊んでいると、「毎回人のゲーム機を借りてばかりいるなら、早く親に買ってもらえよ」などと、言われているのかもしれません。こうした気持ちを考えれば、買ってあげたくなるのが親心かもしれませんが、まずは、他の物ではいけないのかと、代案を提示してみる事です。

 

例えば、ゲーム機が無いと一緒に遊べないと言いながらも、よく話を聞いてみると、公園に集まったのに、みんなゲーム機で遊んでいるというのなら、みんなと遊べそうな他の遊び道具を、今子供が持っている中から考えます。子供が、一輪車を持っていたら、「一輪車で遊ばない?と誘ってみたら?」と提案します。

 

さらに、「一輪車なんてつまらないって言われるよ。きっと」と子供が言ってきたら、「でも、一輪車に夢中になって、乗れるようになったじゃないか。面白いと言ってくれる友達もいるよ」と、勇気づけてあげます。

 

勇気を出して、一輪車で遊ばないかと言ってみたけれど、やっぱりダメだと言われて帰ってきたら、今度は、「じゃあ、友達がどんな物で遊びたいのか聞いてみなよ」とさらに提案します。すると、友達の方から逆に「こんな遊びなら楽しそうだな」というような提案があるかもしれません。

 

親は、このように、いろいろと提案をして、子供が自分で考えて、さらには友達を巻き込んで一緒に考える機会を与える事が大切です。それでも、どうしてもゲーム機でなければならないというのであれば、買ってあげるのも良いですが、ゲーム機ばかりではなく、何でも欲しがる物を買わないように注意します。

 

無条件に欲しがる物を、欲しがる度に買い与えてしまうと、子供の思考の幅を広げる事や、独創性を養う機会を奪ってしまう事になります。

 

親子間でも互いに責任転嫁せず、対等な関係でいる事で尊重し合える

子供が忘れ物をしないようになるには、親は何度も、忘れ物は無いかと確認をしたり、忘れた物をこまめに学校に届けに行ったりしたのでは、いつまでも改善されません。

 

子供自身が、自分で気をつけて準備をするには、親は何も言わず、忘れても学校に届けたりせずに、子供に忘れたという失敗をさせる事です。そして、このルールは、親子で話し合って決めます。

 

それなのに、早速、子供が忘れ物をしたから届けに来てほしいと、連絡をしてきたら、どうしますか?「この間、ルールを決めて届けない事にしたけれど、子供は困っているんだろうな」と、迷ってしまうでしょう。

 

このような時に、電話口で「もう忘れ物をしても届けないと言ったはずでしょう?だから、知らないよ」とは言わない方が良いです。それよりも、子供の現状を確認して、何か良い方法はないのか尋ねてみます。そして、子供が自分で解決策を考える方向にもっていきます。

 

「そんなこと良いから、今すぐ持ってきてよ!」など急かされても、まずは子供に対策を考えさせます。例えば、体操着を忘れたのなら、制服のまま体育に参加すると決める事でも、隣のクラスの子に借りる事でも良いのです。

 

しかし、いくつかの解決法を考えたけれども、どうしても持ってきてほしいというのであれば、親自身が決めて持って行くのは良いでしょう。

 

ただし、どうしても都合が悪くて、届ける事が出来ないのであれば、電話でアドバイスできる事を伝え、また、どうして届けられないのか、理由をきちんと伝えて、自分で考えなさいと言います。届けられない事に、後ろめたさを感じる事はありません。相手は子供でも、届けるか届けないかの決定権は、親側にあります。それを、子供にも教えておきます。

 

ただし、親が届けると決めて、学校に行ったのに、子供が帰宅してから、恩着せがましく、「いろいろ忙しいのに、届けてあげたのよ。そのおかげで、用事もまともに済ませられなかった」などとは言わないで下さい。

 

学校に届けたのは、親が自分で決めた事で、子供に責任はありません。忘れ物をした事は、子供の責任ですが、親が届けに来たことは、また別の問題です。わざわざ、親が恩着せがましい言葉を言わなくても、子供は、言葉に出さないだけで、届けに来てくれたことを十分に感謝しているし、反省しているはずです。

 

要するに、これは、親と子が互いに責任転嫁をしないという事です。親は、自分で届けてあげたいと思って行動したのだから、子供に恩を着せたりしない。また、子供も、親が忘れ物が無いかチェックをしてくれなかったからだなど言わない。これが、対等であるという事です。

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