赤ちゃんの笑顔には戦略的な理由があった!
赤ちゃんの無垢な笑顔は、大人を幸せな気分にさせてくれます。この赤ちゃんの笑顔を、発達心理学の面と、大脳生理学の面から考えてみると、とても興味深いことがわかってきます。
赤ちゃんの笑顔は本能的なもの
赤ちゃんが笑顔を見せ始めるのは、1か月過ぎあたりから。赤ちゃんがふと見せた笑顔に、ささくれだった心が優しくなれた、という経験を、多くのお母さんがお持ちでしょう。
発達心理学の立場から考えると、この赤ちゃんの笑顔にはきちんとわけがあります。自分に対して親近感を持ってもらうためや、愛情を感じてもらうために、赤ちゃんは笑顔を見せるのです。
赤ちゃんだけではありません。大人だって、笑顔を見せてくれる人には何となくいいイメージを持ちますよね。大人と同じことを、赤ちゃんもやっているのですね。
笑顔は、赤ちゃんが生きていくための、本能的な手段です。赤ちゃんは、世話をしてくれる人が自分に愛情を注いでくれないと、生きていけないのです。
育児が辛いときでも、赤ちゃんの笑顔を見たら、「もう、しょうがないなあ」という気持ちになって、優しく抱っこすることができたり、あやしてあげたりできるものです。逆に、育児疲れがひどいのに、赤ちゃんはいつも泣き顔や仏頂面だったとしたら、おっぱいをあげたりおむつをかえたりというお世話を、もうやりたくなくなってしまうでしょう。
無力な赤ちゃんが、周りから助けてもらうために、本能として笑顔が備わっているということが、お分かりいただけたでしょうか。
人間だけが持っている笑顔
笑顔は、全ての動物の中で、人間しか持っていないということをご存知でしたか?
チンパンジーの赤ちゃんが、哺乳期という限られた時期だけ、笑顔のような表情を見せることが解明されていますが、哺乳期が終わるとそのような表情は見られません。
大脳生理学の面から見た笑顔について、ご説明しましょう。
脳にある前頭葉という部分では、コミュニケーションや思考、理性など、人間ならではの働きを統率しています。ですから、全ての動物の中で、人間の前頭葉が最も発達しているのです。笑顔は、その前頭葉から実行の指令が出ることによってもたらされているということが分かっています。
つまり、本能的なものである笑顔は、前頭葉の指令によって、理性に基づいて生み出されているということになります。
このことから考えると、赤ちゃんが笑顔を見せるとき、脳は活発に動いているといえます。ですから、お母さんやお父さんはぜひ、赤ちゃんをたくさんあやし、話しかけて、赤ちゃんを笑顔にさせてあげてください。ひいてはそれが、赤ちゃんの脳を成長させてくれるのです。