夏休みに旅行に連れて行ってもらえない子供はかわいそう?
子どもと過ごす夏休み。あなたはどんなイメージを持ちますか?海に連れていったり、遊園地で遊ばせたり、おじいちゃんおばあちゃんのところへ帰省したり…。忙しい平日にはできないけれど、一緒にお料理をしたり、掃除を経験させたりするのもいいな…。子育て本や雑誌などを見てみても、そのようなアイデアがたくさん書かれています。
しかし中には、「子どもと一緒にゆっくり過ごしたい。いろいろなことも経験させてあげたい。でも仕事で忙しくて思うようにできない…」と悩むお母さんも数多くいらっしゃいます。そのようなお母さんたちは、楽しい思いをさせてあげたいのにできない、もどかしい、我が子が不憫だ…そう感じているようです。
仕事で忙しいお母さんは、子どもにかわいそうな夏休みを過ごさせてしまうのでしょうか?いえ、断じてそんなことはありません!その点について見ていきましょう。
仕事で忙しいお母さんの子どもがかわいそうというのはウソ!
平成23年度の厚生労働省の調査によると、ひとり親家庭は145万世帯以上だということです。そのようなお家では、親は子どもを育て、生活するのに毎日精いっぱいであることでしょう。そんな親御さんたちの中には、夏休みだというのにどこへも連れていってやれない、十分に子どもと関わることができないということで、子どもに対して罪悪感を感じたり、子どもを不憫に思ったりする方もいます。
夏休みでなければ、子どもは学校に行って他の子と同じように授業を受け、給食を食べ、遊ぶこともできる。でも夏休みになってしまえば、他の子と決して一緒ではない。一人ぼっちの夏休みはどんなに寂しいだろう。友達が夏休みの思い出を語るとき、我が子はどんなに辛いだろう。
できることなら、夏休みは子どもと一緒にいろいろな体験をしたい。しかし、仕事をしなければ生きていくことはできない。出かけるようなお金はないし、忙しくてそんな時間をとれない。そう考えて、子どもに対してすまなく思ったり、どうしたらよいのだろうと悩んだりしているわけです。
そのような親御さんたちに言いたいことは「自分ができる限りのことをすればよい」ということです。だれだって、自分ができる以上のことはできません。自分ができることを一生懸命にやる。それが全てです。
どんなに経済的に余裕があっても、時間に余裕があっても、できることには限りがあります。みんなそれぞれの限界の中で、できることを一生懸命やるしかないのです。みんなその点では平等です。
それに、例え時間やお金に余裕があったとしても、大事なことを忘れている人はたくさんいます。遊園地で子どもを叱りつけてばかりいるお母さん。おもちゃ売り場で子どもに怒鳴りつけて泣かせているお父さん。せっかく時間とお金を使って来ているというのに、これでは意味がありません。
子どもが安心できる環境を作って、子どもにたくさん愛情を注ぐこと。その愛情を子ども自身が感じられること。子どもの気持ちをきちんと受け止めてやること。そんな、子育てにおける大切なことをきちんと押さえておかなければ、どんなイベントも意味をなしません。そしてそれらの大切なことは、お金が必要ないものばかりなのです。それに、親が精いっぱいやっている様子を、子どもはちゃんと見ています。
夏休み、どこかに連れていってもらった思い出がない子どもは、本当に不幸でしょうか。親が忙しく一人ぼっちでいることが多い子どもは、本当にかわいそうでしょうか。決してそうとは言い切れません。
一人でいる時間が長ければ、自分一人で考え、自分の心と向き合う時間がたっぷりあるということ。きっと思慮深い大人になることでしょう。
たくさんのおでかけの思い出がないからこそ、数少ないおでかけがかけがえのない思い出になるでしょう。他の子どもたちよりも、親と過ごす時間の大切さが分かる人になることでしょう。
望めばいつでもなんでも買ってもらえる子どもは、物のありがたみを知ることができないかもしれません。逆にそういった境遇にない子どもは、物を大切に扱う心を養うことができるでしょう。きっと心の豊かな人に育つことができると思います。
自分ができることをしっかりとやって、結果は天任せにしよう
家庭によって、事情は様々です。お母さんが専業主婦だから、子どもの勉強も遊びも目いっぱい一緒にやれる家もあれば、両親ともに仕事に忙しく、裕福ではあるけれどあまり子どもにかまってやれないという家もあります。
どちらの家の子どもが幸せになれるかなんて、誰にも分かりません。ただ一ついえることは、親はそれぞれ、自分が今できることをしっかりとやり、結果についてはあれこれ思いを巡らさないこと。これに尽きます。
子どもがどのように成長していくかということは、予想はできるかもしれませんが、結果を決めることはできません。今は身を粉にして働くしかないのであれば一生懸命働き、その上で子どもに対してできることを精いっぱいやる。そこまでやったなら、あとは結果を天に任せるしかないのです。
「自分は自分、今はこれしかやることができない」と認め、ゆったりと構えましょう。今できること以上の事をしようとすると、どうしてもストレスがたまり、良い結果は生まれません。
子どもが寂しくないように、有意義な夏休みになるようにと考えすぎてしまって、自分の力以上の事をやってしまうと、かえって疲れてしまったり、思うようにできなかったりして落ち込むばかりでしょう。親がそうなっては子どもにとってもうれしくありません。
やるべきことは、自分自身ができることをきちんとやることです。もとより人は、それしかできないのですから。
本を読んだりネットで調べたりすると、「子どものために夏休みはこんな風に過ごそう!」ということがたくさん出てきます。それらはいかにも、子どもにとって良さそうな提案です。でも、それをすべてやれということではありません。自分の今をしっかりと見つめ、可能なことを精いっぱいやる。それで十分と思います。