女の子にはありのままを認める言葉を
積極的に何にでも取り組んでいけるように子どもを育てたいと思うのであれば、その子どもが自分自身に自己肯定感を持つように育てる必要があります。
こうした感覚というのは子どもが自分一人で育める性質のものではなく、小さいころから親がどんなふうに子どもに接してきたかによって身につくかどうかが決まるものです。子どもに積極性を持たせるには普段どんなふうに接すればいいのかについて見ていきましょう。
子どもへの愛情はきちんと口にしましょう
子どもを持っている親に対して、あなたはご自分の子どものことを愛していますか、とたずねれば、十中八九当たり前でしょう、という答えが返ってきます。その言葉通り、児童虐待などで取りざたされるような家庭を除けば、人間は普通は自分の子どものことを愛するものです。
さて、では、あなたが子どもに抱いている愛情は、子ども本人にきちんと伝わっているでしょうか、とたずねられたとしたらどうでしょうか。自信満々に、当たり前でしょう、と返せる人がどれぐらいいるでしょうか。
時に、口にしなくても態度でそういった思いは伝わるものだ、などという人を見かけますが、こうした考え方については少し疑問を抱かざるを得ません。日常生活の中でパートナーに対して感謝の念を表明しなかったばっかりに仲が冷え、ギクシャクしてしまったり離婚に至ってしまうようなケースは少なくありません。また、言ってくれれば良かったのに、と感じたり実際に相手に言ったりした経験が皆無という人はまずいないでしょう。こうした点から見れば、むしろ口にしなければ愛情や感謝の念は伝わらない、と考える方が自然であるように思えます。
大人同士でもこうなのですから、年齢もものの考え方の間にも大きな差がある子どもとの関係ではなおさらこれと同じことが言えるかと思います。親が子どものことを愛しているなんて当然のことだし、いちいち言わなくても子どもはそのへんは分かっているはず、などというのは親の側の怠慢でしかありません。
愛情をどのように伝えればいいのか
親が子どもを愛していることを伝えるというと、日々なにかしら言葉でもかければいいのかといえばそういうわけではありません。そのような空々しいやりとりをせずとも親の愛情を子どもに伝えるやり方というのは存在します。
子どもが男子であれば、子どもが何か行動したときに、そのがんばりを認めてあげる言葉をかけてやることが大事になってきます。子どもの行動の結果はあまり芳しくないものに終わってしまったとしても、よく頑張った、なかなかやるね、などとその子どもががんばってものごとに取り組んだことをきちんとほめてあげるのです。
そのようにしてほめられることにより、子どもは自分が親から認められ愛されているといった感覚を得ることができ、親が常に自分を見守ってくれているという信頼感を形作ることになります。
一方子どもが女子の場合、このようながんばりを認める言葉も大切です。ただし女子は男子よりもいい意味でも悪い意味でも真面目なので、こうしたがんばりを認める言葉をかけられると、うれしいと思いつつも、がんばらないと自分は親に認めてもらえないのではないか、などと思い始めたりしがちです。
子どもがそういった考え方をしてしまうと、親の期待になんとかして沿おうと頑張りすぎて燃え尽きてしまうようなことになってしまいます。こうした子どもは男子よりも女子に多いのです。
ですから、子どもが女子の場合には、子どものがんばりを評価するような言い方ではなく、子どもが今ここにいてくれること自体を認めるような言葉をかけていくことが大事になってきます。子どもがいることによって親が感じている幸福感といったものを、そのままストレートに伝えるようにするのです。
いちばん簡単で効果があるのは、子どもに「かわいい」という言葉をかけることでしょう。「かわいい」というのはその子どもの見た目がどうこうというような意味合いのことではなく、もっと全体的なことに対する言葉としてです。
子どもがその内面の優しさを感じさせる言動をとったり、ほほえましい行動をしたり、愛くるしい表情を見せるといったものは、外見などに関係なくどんな子どもにも共通して見られる特徴だと思います。
子どもが持っているこうした特徴は、ただ漠然と子どもを眺めているだけではなかなか気づくことができない性質のものです。その子どもに対してきちんと向き合い、注意を払って見ていて始めて気づけるたぐいのものです。
自分の子どもを大事に思い、親としてしっかり向き合っていれば、そういった瞬間に気づかされることは必ずあります。そしてそのときに、きちんとかわいいと言ってあげることが重要なのです。
注意したいのは、子どもがあまりものを考えないでやってしまった幼稚な行動をつかまえて、半分皮肉のような感じでかわいいと言ったりする人がいますが、そういう言い方はこの趣旨とは異なるという点です。そんなことを言われたら、子どもは自分が愛されていると感じるどころか馬鹿にされていると感じてしまいかねません。
子どもへの愛情は自己肯定感を育む
ふさわしいタイミングをつかまえてかわいいと言われれば、子どもは親が自分のことを愛してくれていて、いつも見守ってもらっているということを実感できますし、自分はありのままでいいんだという自己肯定感を育むことができます。そして、子どもが自己肯定感を持つというのは何にもまして重要です。
こういった形で自己肯定感を育むことのできた子どもは、何をするときにでも積極的に行動できる子どもになります。自分の能力を信じることができるので、何かに出くわしたときにとにかくチャレンジしてみようという勇気を持つことができるのです。
翻って自分の子どもを見たときに、新たな局面にであうとおっかなびっくりになってしまい、なかなか行動できないような消極的な面はないでしょうか。あるいは、ちょっとした失敗で深く落ち込んでしまい、そこからなかなか抜け出せないようなことはないでしょうか。必ずそうだと言うわけではないものの、そういった傾向がある子どもは自己価値観が低くなってしまっているかもしれません。
子どもが持っている自己肯定感というのは、いわば根拠なき自信です。そしてこの根拠なき自信は、何かことある時にはその子どもが自分を支える柱になるものです。
こういった、自分ならきっとできるはずだ、という感覚は、持ってやろうと意識して持てるような性質のものではありません。その一番の根底にあるのは自分はありのままでも親に愛され認められる存在だ、という自信や安心感なのです。
こうした根拠なき自信を子どもにつけさせるのに必要なのは、子どもが今ここにいてくれること自体を認めるような言葉、あるいは子どもの全存在を親が認めていると感じられるような言葉をかけられて育つことです。そのためには、ちゃんと子どものことを観察し、かわいいと感じたときにそのままそれを口に出して伝える、といったことが大事なのです。
日頃から親に認められ、かわいいと言われつけて育った子どもは同時に強く積極的な子どもに育ちます。簡単ながら大きな効果が見込めますので、ぜひ取り入れて欲しいものです。
更新日:2019/11/29|公開日:2016/03/26|タグ:愛情